つながりたい・会いたい・伝えたい~各地の精神医療人権センターが集まり、発信した理由~(後編)
上坂紗絵子(京都府立大学/元大阪精神医療人権センター事務局)
<伝えたい!>
第三者による精神科入院者の権利擁護とは~日本精神保健福祉士協会の全国大会での発信~
1.取り上げたテーマ
2023年度(愛媛)と2024年度(姫路)で、プレ企画としてシンポジウムを開催し、分科会で連続発表を行いました。入院者訪問支援事業の創設により、「入院者の権利擁護」が注目されています。そのことからプレ企画は2年連続で採択され、早々に定員いっぱいになりました。参加者は、精神医療人権センターのメンバーだけでな
く、地域事業所、医療機関、自治体、教育機関の職員など様々でした。入院者訪問支援事業に関心のある方が多くいましたが、精神医療人権センターの活動への関心は濃淡がありました。このことは想定していたことでもあり、だからこそ入院者の権利擁護に関して様々な切り口での話題提供や発表を行いました。
(1)プレ企画:シンポジウムの開催
テーマは「入院者訪問支援事業がはじまる今、各地のソーシャルアクションから『権利擁護』を考える」です。
内容については、2023年度は、おかやま精神医療アドボケイトセンターからは、つながりから組織化のプロセス、どさんこコロ(北海道)からは、精神科病院に所属する精神保健福祉士が活動に参加することの可能性や意義・ピアスタッフとしての経験をいかした参加のあり方、広島からはネットワークづくり、神奈川精神医療人権センターからは、当事者と精神保健福祉士の連携、大阪精神医療人権センターからは、精神科病院所属する精神保健福祉士と精神医療人権センターそれぞれからみた「第三者による権利擁護」についての報告が行われました。2024年度は、岡山からは、入院者訪問支援事業の実施状況、北海道からは入院中の方のための電話相談、大阪からは入院中の方への面会活動、神奈川からは、精神科病院への訪問活動(病院全体の視察)、精神保健福祉資料(630調査)の請求と全国の人権センターのネットワークについての報告がありました。
いずれの年もグループに分かれての意見交換を行い、グループにはファシリテーターとしてネットワーク会議に参加する各地のセンターのメンバーが入りました。
(2)分科会での口頭発表:共通テーマで連続発表
事前に話し合って共通テーマを設定した上で、各地のセンターから複数名が続けて発表をしました。2023年度は「精神科病院入院者への権利擁護活動」を共通の演題にしました。それぞれの内容は、大阪からは医療機関との関係性、広報とソーシャルアクション、神奈川からは設立と活動実績、北海道と広島からは設立に向けてどのような動きをしたのか、そして、各地のセンターのネットワークづくりについての6題の発表を行いました。2024年度は630調査(情報公開開示請求)をテーマとし、東京と埼玉の情報開示までの過程とデータ活用、北海道からは非開示でもできること、神奈川からは病院選びを目指した発信(冊子作成)についての3題の発表がありました。
2.伝えたかったこと
精神医療人権センターの行ってきた第三者による精神科入院者の権利擁護は、個別相談活動(電話相談や面会)だけではありません。訪問活動(病院内を視察し、入院者から聞き取りをする)や情報公開、政策提言や発信まで、入院中の方ひとりひとりの声をきくことから、社会をかえることまで様々な視点での取り組みがあり、それらの活動はつながっています・・・
<全文は、おりふれ通信438号(2024年12月号)でお読み下さい。ご購読(年間3,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>
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