ハーディング氏講演会「ヨーロッパの恣意的拘禁防止制度と新しい法的枠組み」

東京精神医療人権センター 木村朋子

 

2月号でお知らせした表記の講演会を、323ZOOMで視聴した。この講演は昨年春ハーディングさんが来日して行われるはずだったが、コロナ感染症の影響で1年延期されオンライン開催となったものだ。家にいながら無料でジュネーブにいる人の話がライブで聴ける。時間とやる気さえあれば、勉強の機会は無限大という今の時代をあらためて思った。

 

講演は冒頭、法改正を繰り返し、スタッフの人権研修を行い、地域でのサポートを充実させて退院促進しても、なお精神病院内での人権侵害は頻発しているという事実を確認する。そして障害者権利条約委員会とWHOは、権利条約(CRPD)に基づき強制処遇廃絶というパラダイムシフトを追求している と述べる。

 

司法精神科医であるハーディングさんが活動するCPT(拷問及び非人間的なまたは品位を傷つける取り扱い、刑罰の防止に関する欧州委員会)が、ヨーロッパ各国の精神病院、入管・刑事施設など、人が本人の意思に反して入れられる施設に、事前予告なく、いかなる時間であっても立ち入り、入所者と直接(立ち合いなしで)面会、診察し、カルテほか法的書類を閲覧する強い権限を持つことは、以前から小林信子さんに聞いていた(おりふれ通信199810/11月号に日赤看護大でのハーディングさんの講演録として小林さんが書いている)。しかし今回の講演で、CPTの活動は、ヨーロッパ評議会という欧州の国連のような組織の、閣僚委員会(2004年「精神障害者の人権及び尊厳の保護に関する勧告」を決議)、議会(決議に拘束力はないが47ヵ国からの324人の議員が目下の政治的・社会的問題について活発に議論し、改革のための発想が生み出される場であるという。ここで2019年に「精神保健における強制を終わらせる」決議がされている)、そしてとりわけ欧州人権裁判所と連動して、効果的な働きをしていることがよくわかった。

 

CPTは2018年~19年にかけて、欧州評議会域内47ヵ国のうち、34ヵ国を訪問し、精神病院への訪問は21ヵ国61病院にのぼるという。(2020年の訪問がコロナ禍でどうだったのか、聞きもらしてしまった。)内訳ではトルコ、ロシア8病院、ギリシャ6病院、フランス、アイルランド5病院などが目につく。訪問結果は、勧告を含む報告書としてその国の政府に送られ、政府は6ヶ月以内に回答しなければならない。これまでに立ち入り調査を拒否した、政府、施設はないという。

 

CPTと欧州人権裁判所との協働・相乗効果は、下の写真のように、裁判所がフランス、ストラスブールに牛のようにとどまり緩慢な動きではあるがどっしりと存在感がある一方、CPTは鷺のように自由にあちこち飛んでいき、牛のもとへ見聞をもたらすと例えられた・・・

<以下、全文は、おりふれ通信400号(2021年4月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

 

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GAMの日本への導入を検討するzoomミーティングに参加して

香澄 海

 4月号で松本さんが紹介してくださったGAM2003年版ガイドブックの翻訳が進められている。その概要を聞く機会があり、報告させていただく。今回のミーティングでは、ガイドブックの内容の報告以外、参加者の意見や感想を出し合い、日本でガイドブックをどういう構成で広めていくのかが話し合われた。

 GAM(精神科の薬と主体的につきあう)において、強調されているのは、個人の体験を大切にすること、そして何よりも自分の体験に基づいて薬を自分で選ぶ権利があるのだということを服薬当事者が自覚することだ。多くの服薬当事者は主治医に減薬を言い出せなかったり、勇気をもって言い出しても否定されたりしている。会の参加者にも最近そういう体験をしたばかりという方がいた。何故なのだろう?本人の意見は何故遮られてしまうのか?

 私も向精神薬を服薬して、もう30年近い。当初は医師に言われるままに出されたものを飲んでいるだけだった。薬疹などの副作用があったときには、すぐに変えてもらえた。では目に見えるものなら信じてもらえるのだろうか。SNRIで躁転したときには服薬中止となり気分安定薬にチェンジした。華々しい行動が目立てば薬は変更してもらえるのだろうか。

 さて、この私の疑問の呈し方がそもそも間違っていることにお気づきだろう。GAMでは「主体的につきあう」とある。お任せではないのだ。病気ではなく、人を中心に置く。私も躁状態の時に「おまえの言うことなんか誰も信じない」と言われたことがある。そういう経験をし続けると、自信を失っていき主体的に選択できなくなってしまう。薬の飲み心地や副作用の辛さを知っているのは私なのに、自分で自分を置き去りにしてしまう。 また精神科には強制入院の制度があるので、「こんなことを言ったら入院させられるのでは」という恐れから言い出せない場合もある・・・

<以下、全文は、おりふれ通信395号(2020年10月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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精神保健における自律性の獲得と服薬(GAM~ギャム~)

松本葉子(薬剤師)

2020129日に大阪府立大学へ、202022日に東京大学へ、カナダケベック州から、セリーヌ・シーアさんがGAMを伝えに来てくれた。セリーヌさんは、コンシューマー(精神保健ユーザー)であると同時にプロフェッショナルでもある「プロシューマー」というアイデンティを持たれている。同じく当事者であり、専門職であり、そして女性である私を、大阪でも、東京でも、セリーヌさんはずっと励まし続けてくれた。セリーヌさんが私たちに伝えてくれたことは、誰しも、薬を自主的に飲む(もしくは飲まない)権利を持つということの肯定だった。

GAMGaining Autonomy & Medication in Mental Health)は1990年代半ばからカナダケベック州で開発されてきたアプローチであり、オルタナティブ組織連合RRASMQや当事者の権利擁護団体協会AGIDD-SMQ、大学の研究者を中心としたÉRASME研究チームなどによって、つくりあげられてきた。そこでは、利用者との密なコラボレーションがおこなわれているそうだ。2015年には、ケベック州保健・社会サービス省のメンタルヘルスアクションプランでもGAMの重要性が強調されたという。

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GAMは、薬物療法が当事者のQOL(生活の質)をよくするものになるための以下の7つのステップから成り立っている。

1.目覚める(私は人である。権利。意味。)2.自分自身を見つめる。3.適切な人々、情報、ツール 4.決定する 5.計画する&変化に備える 6.(減薬の)10%ルール 7.離脱と感情

 

<以下、全文は、おりふれ通信390号(2020年3/4月合併号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

 

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入院患者を削減する政策が『退院促進』だった日本! 『病床削減』『病院数削減』とストレートに表現したベルギー! 何を目指し、何に取り組むのかをはっきりさせない限り、改革は結局、 既得権益の保護に終わる

齋藤明子(コミュニティサポート研究所)

 

 11月6日参議院議員会館で開かれた「共同創造の精神医療改革」実行委員会・きょうされん主催の「なぜベルギーは変わったのか?なぜ日本は変わらないのか?」を聞きに行った。多くの国は精神科病院・病床は公立が大半を占めているが、ベルギーは日本のように民間の精神科病院も多かったと聞いた。耳を貝のようにして必死で聞いたのだが、高齢者の耳には聞き取りにくいことも多く、講演者(ベルギー連邦公衆衛生保健省Bernard Jacob氏)はフランス語が母語ということもあり、更に内容の正確な把握が難しかった。以上を前提にしたうえで私が理解したこと、感じたことを書くので、当日聴いた方、ベルギーの事情に詳しい方はぜひ訂正、補足をお願いしたい。

 「この改革は保健大臣が精神病院に1日滞在したことから始まりました」というのが第一声。これはベルギーの精神保健が他のヨーロッパ諸国に遅れを取っている、という自覚からだという。2008年の統計によるとベルギーの1万人当たりの病床数はモナコに次いで2番目に多い。確かに日本も周辺のアジア諸国から「日本は遅れている」と思われたらあせるだろう。実際、韓国、台湾、シンガポール等と比べてどうなのだろう?

 次いで入院が必要な人をコミュニティに留める方法が実施された。それには入院していると同じくらい手厚いケアが自宅で受けられることが必要である。二つのタイプの『モバイルチーム』が用意された。一つはクライシス対応のチーム。直ちに患者の所に駆けつけて必要なら24時間、週7日間でも張り付いている、あるいは1日何回でも訪ねていく。チーム編成は医師、心理、看護。このチームのケアは最長で3週間受けられる。クライシスが過ぎたら別のタイプのモバイルチーム(心理、医師、OT)が週1回あるいは隔週、対応する。

 このモバイルチームのメンバーは病床削減、病院削減で生み出されたスタッフが当たる、と私は理解した。というのは別の場面で医療改革にあたって誰一人失業させないよう最善の注意を払った、という発言があったからだ。精神保健に限らず知的障害者の施設を閉鎖した話でも、失業者を出さないことが強調されていた。改革を行う時、改革によって不利益を被る人への配慮は欠かせない。ただし、不利益を被る人がいたら改革しない、ということではない!・・・

 

<以下、全文は、おりふれ通信387号(2019年12月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

 

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第62回日本病院・地域精神医学会総会に参加して -初めての沖縄で考えたこと-

藤本 豊

 

「第62回日本病院・地域精神医学会総会」に参加するために、初めて沖縄に行った。今回の総会は「監置小屋が問う精神保健のいまと明日」「合言葉は『ライフサポート』~愛楽園から『看取り』を考える~」「沖縄の今から発信するミライ inputからoutput」「沖縄の精神医療の歴史から日本の精神医療の未来を見つめる」など沖縄の特色が満載だった。総会に参加して、戦後のアメリカ統治下での「本土」と違った流れがあったとこと再認識した。

大会テーマの「安心して病むことのできる社会―多様性をあるがままにともに歩いていくチャンプルーの島沖縄で―」を受けた大会企画シンポジウム「安心して病むことのできる社会は構築されたか」に参加した。その中で当事者シンポジストから、初めての入院体験を踏まえて「安心できる」社会になったとの報告があった。それを聞いた座長を含めたフロアーは「安心できるようになったんだなぁ」と納得している雰囲気に包まれていた。シンポジストにとっては良い入院だったと思う。しかし、一人の成功体験から「社会が変わった」と言えるか疑問であったが、座長からも全体状況を見渡しての発言はなかったのが残念だったし、「社会が変わった」と感じていたフロアーの雰囲気が気になった・・・

 

以下、全文は、おりふれ通信386号(2019年10・11月合併号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ

 

 

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「リカバリー全国フォーラム 2019」に行ってきました

グループホーム非常勤職員 ゴン

 

 台風17号が来るのではと心配しながら、池袋の帝京平成大学で行われた「リカバリー全国フォーラム 2019」に行ってきました。お天気は心配をよそに大きく崩れることなく傘は不要でした。今年で11回目とのことで、初回参加の私とは違い慣れた方がたくさんいました。全国から1000人以上の方が参加しているとのことでした。

今年のテーマは昨年に引き続き「ピアサポート」とのことで、実際にピアサポーターとして活動されている方、これからピアサポーターになりたいと思っている方、ピアサポートに興味がある方やこれからピアサポーターと一緒に仕事をしていきたいと思っている医療機関や福祉関係の方など「ピアサポート」と言ってもそれぞれに想いがあるようでした。2日目のシンポジウム「リカバリーを実現するサービスを求めて~ピアサポートの可能性:その広がりと深まり」では、ピアサポーターとして医療機関で働いている当事者・ピアサポーターを雇用しようと民間病院に移ったワーカーの奮闘と苦悩・地域包括システムを視野にピアサポーターを雇用したNPO法人理事長の考え・ピアスタッフとして起業し協働モデルを実践している方からの報告と提言と多岐にわたり、リカバリーとともにピアサポートが定着していることを実感しました。ピアサポートがリカバリーを具現化するうえで欠かせない要素であることは広く知られていることのようですが、それをどのように実践につなげていくかが課題となっているようです。ピアサポートは必要だが、現実的にピアサポーターとして雇用されるピアスタッフを増やしていくことはまだまだ障壁が多いようでした・・・

 以下、全文は、おりふれ通信386号(2019年10・11月合併号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ

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オープンダイアローグについて詳しくはならなかったけれど、 貴重な経験を経た人の言葉は胸に浸み透りました

齋藤明子(コミュニティサポート研究所)

7月23日東京大学駒場キャンパスで開催されたオープンダイアローグセミナーに行った。セミナーは2部に分かれており、第1部は「オープンダイアローグの研究状況と今後」で使用言語は英語。ところが私は直前になって会場が変更されたことに気づかず、変更前の会場に行って「誰も来ないなぁ」と嘆いていたりしたため、遅刻してしまった。近眼で耳も聞こえにくくなっている私だが、さすがに講演が始まっているのに前に割り込む勇気は持ち合わせず、良く見えないパワーポイントの画面や、ちょっと音が籠もり気味のマイクに悪戦苦闘し、初心者ゆえ7つの原則もはっきりとはわからないままに第1部は終わってしまった。しかし第2部「経験専門家の役割」になって、私の耳は大草原の草食動物のようにピンと立った。

草食動物の場合はライオンや虎や豹の接近を聞き逃したら命に係わるからだが、私の場合、1980年代、90年代、そして2000年代を通して身体、知的、精神障害者の当事者活動を支援し続けて来た者として、「差別や偏見、受身な立場に置かれた人間が、同じ経験を通り抜けて来た“仲間”の存在によって、どの位安心し、勇気を持つことができ、大切な情報を得、そして自分の言葉が正しくみんなに伝わるように助けてくれる」と思えるのか知りたかったからだ。

 

珠玉の経験専門家語録。「私は自分の人生の専門家!」「今の自分を愛してる」「小・中学生に『人生にはこういうこともある』と話したい」

  経験専門家のTiiaさんはまず「私は自分の人生の専門家です」と言った。そして自分の人生について静かに語り出した。19歳で薬物依存になり外側はずっと笑っていても内側は空っぽ。アルコール依存にもなり、「自分にウソをつきたくないと思って」5週間入院した。自分の人生をやっとつかまえたと思った。放したくないと思って家に帰ったが、洗濯機の中にいる気持ちだった。息子がいたが自分で育てると自分のつらい子供時代が思い出されてしまうので、保育者が派遣された。セラピーを受け、人を信用できなかった自分がセラピストを信用できるようになり、セラピーが終了した。セラピストがお守りを作ってくれた。5年前に「経験専門家になりませんか?自信の素になりますよ」」と言われた。「自分が経験したことが専門分野になる!経験を力にすることができる!自分が経験したことを相手に伝えたい」と思ったという。自分の経験を類似の経験すらない人にも、これだけビビッドにわかりやすく伝えられるとは、「まさに専門家だ」と私は思った・・・

 以下、全文は、おりふれ通信385号(2019年9月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ

 

 

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ザ・ニューステージ賞をいただきました!

おりふれ編集委員 佐藤 朝子

 日本精神科看護協会主催の第26回精神科看護管理研究会に参加しました。場所は滋賀県大津市。滋賀県には初めて行きましたが、京都から2駅で行けることを初めて知りました。滋賀県在住の方々からは琵琶湖は滋賀県の面積の6分の1を占めていることや、関西のおにぎりは味海苔を使ってごはん全体を覆わない、でも海苔巻きは普通の焼きのりだねとか、東京のお味噌汁は赤だしだと思っていたこと、滋賀県には鮒ずししかないなぁ(笑)など、看護とは違う情報も仕入れてきました。

 研修名に「看護管理」とあるため内容は管理に関することで、参加者は看護部長クラスの方が多いのだろうと想像していました。そして、プログラムを見ると2泊3日の合宿タイプで、夕食の時にもイベントがあり、夕食後にも仲間と語り合う時間が設けられているではないですか。他職種の方には「看護の人は熱くてエネルギッシュだね」と言われ、どんな個性派がいらっしゃるのだろうとやや恐怖心を持ち、ビクビクしながら参加しました。
 仕事の関係で2日目からの参加でしたが、前日から参加されている方は夕食で交流し、仲間と語り合う会で交流し、部屋に戻って(4人相部屋)交流し、すでに親密な感じが漂っており、一晩でこんなに仲良くなっているおばちゃんパワーについていけるかなとますますビビッておりました。

 今回の研究会のテーマは「精神科看護の語りと流儀」で、長年精神科看護に携わってこられた方々を講師に、昭和から平成にかけての精神科医療を取り巻く情勢を振り返り、ご自身が大切にしてこられた看護、今後も伝えていきたいことを話されました。50年前の入院患者に対する扱い、看護師は患者に拒否されることは想像していなかったが、拒否されて初めて看護師も考え方を変えなければならないと気づかされたと、今では当たり前のことですが、先人の方々が地道に努力されてこられた結果だったのだなと理解しました・・・

 以下、全文は、おりふれ通信381号(2019年4月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ

 

 

 

 

 

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お薬当事者研究

松本葉子

 2018年12月13日、14日、第61回日本病院・地域精神医学会総会東京大会が、タワーホール船堀で開催された。1日目、交流コーナー「お薬・当事者研究」に関わったのでその思い出を書きたい。

 私は普段は薬剤師として働いているが、18歳からの数年間、抗精神病薬という種類の薬を数種内服していた。薬は、私にとっては副作用ばかりがきつくて、最終的には断薬してしまった。その後、薬剤師になり、薬局で患者さんと接する仕事に携わってきた。仕事をする中で、過去、薬を薬剤師からもらっていた患者としての私の気持ちと、一般的な薬剤師としての役割(患者さんに薬を飲んでもらうことが最終目標になっているような)に、埋められない溝があることに気づいた。さらに、特に精神科においては、薬の効果、副作用について、患者さんの主観的経験がないがしろにされてしまうという事実を目の当たりにした。患者さんが薬を嫌がれば、それは病状が悪化しているサインだとさえされてしまうこともあった。若い頃、自分の意思で薬をやめ、回復してきた私が、一般的な薬剤師としてだけ働くことは難しかった。
 当事者研究はべてるの家ではじまったものだが、薬のテーマにしぼった当事者研究を、二か月に一回ほど、仲間と続けてきた。そこでは、内服当事者の主観的経験をできるかぎり丁寧に表現することを心掛けた。内服当事者の主観的経験に耳を傾けることは、記憶の中の若い頃の私の存在に意味を与える重要な実践だった・・・

 以下、全文は、おりふれ通信378号(2019年2月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ

 

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日本病院・地域精神医学会で岡田靖雄先生の話を聞いて

佐藤 朝子

 12月13~14日、東京江戸川区で日本病院・地域精神医学会が行われました。この学会は医師、看護師、ケースワーカー、薬剤師、作業療法士、事務職などの病院職員だけでなく、地域の保健師、グループホーム世話人、作業所職員、患者会、ユーザーなど、あらゆる立場の方が参加されるめずらしい学会です。

 私はこの学会の編集委員を担当していますが、私も他の編集委員も本来業務があり、編集委員の作業はその合間にやらざるを得ないのが実情です。そのため、企画検討・原稿集め・査読・校正作業に時間がかかり学会誌の発行が遅れることがありました。もう少し魅力的な学会誌にしたい、また30~40年前の学会員の方々の篤い想いは今の精神医療をご覧になってどのように感じておられるのか、後進に伝えたいことはなにか、私たちはそれらに応えることができているのかを考えるために「先達に聞く」をテーマに、先輩方にインタビューを行い学会誌にまとめてきました。
 そのような作業をすすめているときに、松沢病院に勤務されていた医師の岡田靖雄先生が『夜明け前 呉秀三と無名の精神障害者の100年』という映画に出演されているとお聞きし、岡田先生にインタビューに行くのはどうかと話し合いました。インタビューするからには映画を見ておかないと、映画を見たからには多くの編集委員が話を聞きたい、それならいっそ学会で公開インタビューしようではないかと話がトントン拍子にまとまり、今回の企画になったわけです・・・

 以下、全文は、おりふれ通信377号(2019年1月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ


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