旅行シーズン到来!  -少しでも安く行くには-

福冨一郎


 私の住んでいる市は、東京の多摩地区にあります。3~4年前に知ったのですが、なんと、旅行に行くとき、障害者に補助金が出るのです。障害者と介助者ひとりあたり、年1回5000円が支給されます。みなさんの自治体にもこのような制度があるかもしれませんね。もしも、見落とされていたら、たいへんな損をすることになるので、調べてみてはいかがでしょう。自治体の広報や障害者向けのパンフレットなどに掲載されていることが多いと思います。役所の窓口で、直接尋ねるのもいいかもしれません。

 障害者手帳があれば、映画は1000円で観ることができるのはご存知でしょうか?その他、有料の公園や博物館、美術館などが無料になったり、割引があったりします。交通機関でいえば、東京都の場合、都営地下鉄、都バス、日暮里舎人ライナー、都電荒川線などが無料で乗れて、私営バスのほとんどは半額で乗れます。また、多くのタクシーが一割引になります。

 無料や割引が可能な施設の一覧は「障害者手帳で行こう」というサイトに掲載されています。

「障害者手帳で行こう」
http://shogaisha-techo.fanweb.jp/

精神障害者手帳で受けられる各種サービスというサイトもあります。

精神障害者手帳で受けられる各種サービス
http://fukushi.webcrow.jp/

 また、高速バスの精神障害者割引はほとんどありませんが、東京アクアラインを通って川崎から木更津へ行くバスなどは、半額になります。高速バスではありませんが、富士急行のバスも手帳で半額になります。とりあえず、割引がないか尋ねてみたら、案外、割引可能だったりします。残念ながら、今のところ航空機とJRは精神障害者手帳による割引はありません。


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私たちの手で ニュージーランドの当事者運営ショートステイ‐精神病院入院に代わるサービス‐に参加して

全国「精神病」者集団 運営委員・ 
大田障害者連絡会代表 山田悠平

 体調の波は人間につきものですが、とりわけ精神障害者には切実な問題です。精神障害者の僕の経験でも今日の体調が嘘のように翌日には体調が一変することがあります。体調の急変、それ自体が僕には困ることですが、それに対して希望するケアが担保できていないこともまた当事者として困っていることです。というのも、「これは入院が必要なのでは?」という僕の認識に関わらず、医師の判断によって入院が出来ないこともありました。また、自宅から少し離れて環境を変えるために、安易に入院を選んでしまう時がありました。このように自分が受けるケアを選択出来ない状況に課題を感じていました。それは、僕自身の医師とのコミュニケーションの改善というよりも、当事者ニーズに即した社会資源そのものを創ることで解消されると思っています。その折に、『私たちの手でニュージーランドの当事者運営ショートステイ‐精神病院入院に代わるサービス‐』という学習会(2016年3月・東京中野開催)に参加することができました。

 学びの報告の前に講師の新開貴夫さんという人物にフォーカスしてまずは筆を進めさせていただきます。新開さんは国立病院機構熊本医療センターにて精神保健福祉士としてお仕事をしています。しかし、今回の海外での学びは、なんと個人の取り組みとして視察をされたそうです。既存の精神医療体制の代替のあり方を海外にまで足を運ばれて探求されているとのことでした。そのこと自体にすごく感銘を受けたのですが、新開さんが学習会開始早々におっしゃったお言葉が、失礼ながらニュージーランドの実践のお話以上にとても印象に残っていました。「いろいろな海外の良質な実践が、国内の既存の体制の補完として機能しては元も子もありません。」確かに、至極当然のことではありますが、僕には衝撃でした。なぜなら、日本の精神医療体制は部分的な修正での改善ではなく、抜本的な見直しが必要と専門職のお立場でありながらのお言葉だったからです。いや、むしろ良識ある専門職のお立場だからこその大変意義深いご発言に思いました。これは、僕の想像ですが、障害学について造詣が深い一方で、日々現場でのご苦労があり、本来の希求すべき姿からギャップがあったのかもしれません。そのもやもやとした気持ちをひしひしと感じました。

 今回の学習会は、ニュージーランドの社会情勢、福祉制度、労働観、クラブハウスの機能、ピアサポートワーカーなど多岐に及びました。ここでは、ピアサポートワーカーについて学んだことを書きます・・・

 以下、全文は、おりふれ通信350号(2016年5月号)でお読み下さい。
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または FAX042-524-7566、立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ

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ピアガーデンの紹介

林まさき


 ある夜、中学高校の頃の友人にメールをしたら、デーモンメールが返ってきた。これはその友人に、私からのメールを拒否をされているか、あるいはメールアドレスが変わった事を意味する。あれ、メールアドレス変わったのかなぁ‥‥自分は教えてもらってないなぁ‥‥
私(障がい者)の人間関係や付き合い方が、その友人(健常の人)から見ると、行き過ぎて濃かったのかも知れない。どこか気持ち悪く感じたのかも知れない。そんな事で悩んでる最中、冊子「ピアガーデン」をデイケア時代から付き合いのある仲間から入手できたので、紹介したいと思います――

このピアガーデンという冊子には「リカバリーの庭にようこそ」という副題があります。最近よく耳にするリカバリーとはなんだろうか、自分にとってのリカバリーとはどういう状態になる事なんだろうか、と考える良い機会になり、全国でピアスタッフとして活動する方の生の声が載っています。

「ピア(peer)」とは「対等な関係」「仲間」「同輩」等を意味します。例えば、上司と精神疾患を患っている部下といった関係では、上司のアドバイスを部下が被害的に受け止めてしまったりする事はありがちだと思いますが、同輩(ピア)からのアドバイスなら共感しやすくより素直に話を聴けるのではないでしょうか。「ピアスタッフ」という仕事の内容から、こんな事で苦労するといった、ぶっちゃけ話まで掲載されています・・・

 以下、全文は、おりふれ通信350号(2016年5月号)でお読み下さい。
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投稿・香山リカ講演「こころの病は'ひとごと'ではない!」に共感

クリエーション 森重寿一

 トライ・ザ・ブルースカイという北区の自助グループの有志と、クリエーションという杉並区の自助グループの有志で(といっても2人だけだが)、表題の香山リカさんの講演会に参加しました。2016年1月24日、寒かったのですがコンビニで有志と待ち合わせて、練馬区立区民・産業プラザ3Fココネリホールにすんなり着きました。
 主催者の挨拶の後、講演者が現れました。香山リカさんは精神科の医師になって30年。成り立ての頃は精神科を口にするのはタブーだったと言われました。有志は、香山さんはいまどきの若い女性のような気さくな方と言っていました。同感でした。以下、香山さんの話と、自分の考えを取り混ぜて書いてみます。

 香山さんとは同じ年という川島なお美さん(故人)の話が出て、川島ファンとして興味深く聞きました。
「クリスタル族でシャネルやルイ・ヴィトンのブランドでもって東京をカッポする川島さん、他方わたしは田舎から出てきた女子大生、ライバルじゃないが。川島さんは癌が発症したことを公表し、抗がん剤を使うかどうか悩んだ末、使わないで女優として皆の前に出る事を選択しました。入院してブログに、「ちょっと入院しました」と病院のベッドで寝ている写真を載せた。キレイに化粧して、髪もブローしていた・・・

 以下、全文は、おりふれ通信349号(2016年4月号)でお読み下さい。
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『続・精神病で運転免許を返上しなくちゃいけないの?』

たにぐち万結


あの聴聞から、1年が経とうとしています。しかし、思い出したくもない煩雑な手続きと苦痛の日々は、過ぎ去ったわけではありません。
結果から先に書きますと、私は、免許停止になりました。6ヶ月の処分でした。

聴聞は、とても威圧的な警察官によるものでした。私は、後で述べるような手続きのため、合計2回の聴聞を受けました。
はじめの聴聞で訊かれたことはいくつかあり、書き出していると枚挙にいとまがないのですが、とても印象に残っている言葉がありました。
「あなたにとって免許は必要ですか?」
耳を疑いました。もちろん、いい意味での『印象的』ではありません。
私にとって免許がどうとか、もうそんなことは言っても通じまい。そう思いましたが、呆れる私にとっても、まさに免許は必要なのでした。
必要だと答えると、さらに質問をかぶせてきました。
「どうして必要なのですか?」
しばしの間、絶句してしまいました。どうして、今までスムーズに更新できていた免許が、突然更新できなくなり、しかも免許がどうして必要なのかとまで訊かれなくてはならないのだろうか。意味がわかりませんでした。前回から、重ねて言いますが、私は『無事故・無違反』なのです。
「これから働くことになれば、免許が必要になるかもしれません。実際、求人で見たら、普通免許が要る仕事はたくさんあります」
そう、確かに、今仕事らしい仕事には就けていないし、車も持っていませんが、いざ免許が必要になった時に、免許がないと困るのです。私は、いろんなチャンスを、失ってしまいます。驚いてしまった私でしたが、きちんと反論できたと思います。法の下の平等にもとる、瑕疵のある法律(注・欠陥のある法律のこと)だと主張し、弁護士にも助けられて、その場では、免許の停止を逃れることができました。
しかし、だからといって、聴聞が終わったわけではありません。私は、2度目の聴聞のための呼び出しを受けたのでした。

その後、警察に提出するための、診断書を書いてもらうため、弁護士と一緒に、主治医のところに行きました。そこでのことも、少し書きたいと思います。
弁護士と私が聴聞のことを話すと、主治医は、医者に運転ができるとか判断ができるわけがない、運転しているところを見たことがないので…と『逃げ』のようなことを言われてしまったのでした。そして、私が警察で聴聞を受けるのも、私が事故を起こしたから免許の停止になろうとしているのであって、自分に責任はない…と言われたのです。
事故もなにも、そんな思い込みで、今まで停止になるような診断書を書き続けていたのか。そう思うと、とても腹が立つのと同時に、悲しくなりました。
この主治医に、事故をしたと言った覚えはなく、勝手に決めつけられたのは、ロクに話もしない数分間の診察のためもあったかもしれません。とにかく、あるかなきかの信頼関係が、もろくも崩れ去っていくのをはっきりと感じました・・・

 以下、全文は、おりふれ通信347号(2016年2月号)でお読み下さい。
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障害学国際セミナー2015@北京 参加体験記

立命館大学客員研究員 安原 荘一(七瀬 タロウ)

昨年11月末から12月はじめにかけて北京で開かれた障害学国際セミナーに参加する機会を得ることが出来ました。障害学国際セミナーと言うのは、2009年度より開始された〈生存研究センター〉(立命館大学)と韓国〈障害学フォーラム〉との連携関係を基礎とし、両国の障害学関連の研究者・当事者を中心として継続されてきた国際研究交流で、2014年にソウルで開かれた際に新たに中国からの参加も加わって、2015年は北京で開催される運びとなったわけです。
 私は当時気になっていた、障害者施設の利用者タイムカード制について、諸外国の人はどう思うのか?聞いてみたかったのと最近海外に旅行する機会がなかったこと、また中国の精神障害者のおかれている事情はどうなっているのかを知りたくて、ポスター発表を応募いたしました。旅費は大学持ち、セミナー中の滞在費は中国持ちと言う大変良い条件でしたので、10月半ば頃から必死で応募書類等を書き、英文ポスター原稿を制作したり慌ただしい日々が続きましたが11月30日に関西空港から北京へと無事なんとかたどり着きました。

11月30日の夜は情報交換会(交流会)で、主に韓国から来た障害学研究者・当事者と交流いたしました。言葉は基本英語です。最近かなりの情報がネットでも得られるようになっていますが、やはり具体的に人とあって交流を深めることは非常に大切だと思います。情報化社会と言ってもあまりに情報量が多いので具体的に何が問題なのか。どのあたりにどうアクセスすれば自分の問題関心にそった情報に出会えるのかは結構わからないものです。

12月1日に障害学国際セミナーが開かれました。会場はなんと北京にあるホテルニューオークラの会議室で私には少し縁遠い世界でしたが、朝9時頃に会場に行って壁にポスターを貼り付けセミナーの開催を待ちました。

さて皆さんご存知のように現在東アジア(日・中・韓)の間には、政治的に大変厳しい対立状況があります。また中国国内でも昨年7月人権派弁護士100人以上が一斉に拘束されるという事件が起きていて、中国政府はNGOや人権擁護団体に対する監視を強めています。今回のセミナーがぎりぎりまで開催正式決定が遅れたのは、このセミナーを実質的に主催したHI(Handicap International)というNGO団体(運営資金はEUから出ている)と中国政府との交渉が難航したと言う事情があるようです。開会のオープニング挨拶で長瀬修客員教授がおっしゃっておられましたが「3ヵ国の政治主導者が最近やっと顔を合わせたのは、嬉しいこと」であり「政治主導者が会わない時にこそ、私たちは会うべき」です、とのことでまずはセミナーが開催されたこと自体に大変意義があったと言えるでしょう・・・

以下、全文は、おりふれ通信347号(2016年2月号)でお読み下さい。
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「ひきこもりへの支援」を取材して

日本社会事業大学大学院博士後期課程 澤田優美子

取材したきっかけ
 2014年末から、『精神保健福祉ジャーナルゆうゆう』の編集委員をさせていただいていて、編集会議に出席したり、取材や記事の執筆をしていました。(ゆうゆうは、萌文社発行、ゆうゆう編集委員会編集、「当事者が中心でつくる精神保健福祉の情報誌」です。残念ながら、出版不況のため、2015年9月をもって廃刊となりました。)
 2015年9月発行の第70号の特集は、「ひきこもりへの支援―ひきこもりの社会的要因と必要な支援と環境について考える」というものでした。東京シューレ・シューレ大学、NPO法人ニュースタート、月乃光司さん、NPO法人あやめ会地域活動支援センター窓の会、ひきこもりフューチャーセッション庵―IORI―の取り組みを紹介しました。
 私は、その中で、シューレ大学、月乃さん、窓の会、庵を取材し、月乃さん、窓の会、庵の記事を書きました。

当初考えていたこと
 お恥ずかしいことですが、ひきこもり状態にある方々のことをよく知らず、勝手なイメージを描いていました。その名のとおりひきこもっている、訪問してもなかなか会ってくれない、と考えていました。ひきこもっている人たちの気持ちはわかっていませんでした。
 私も、統合失調症による精神科病院への入院の前後約6年間、ほとんど寝たきりで家にいました。でも、自分がひきこもりだとは思っていませんでした。ひきこもっているつもりはありませんでした。行くところもないし、生きているだけで疲れて眠くてどうしようもないので、外出できなかったのです。そして、いつの間にか、6年経っていたのです・・・

 以下、全文は、おりふれ通信344号(2015年10・11月合併号)でお読み下さい。
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FGC研修に参加して

DPI障害者権利擁護センター 五位渕真美

きっかけ

 2015年7月17日から20日まで、Family Group Conference(以下、FGC)研修 in Tokyoに参加してきました。それまで聞いたこともなかったFGCでしたが、そのタイトルに「支配と強制のない世界へ」とあり、心惹かれたことが事の始まりです。

 幼少期、私は肢体不自由児施設に入所経験があります。障害があるということで地元の幼稚園、小中学校に受け入れを拒否され、また、機能回復訓練で少しでも体がよくなってほしいという両親の強い思いによるものでした。あらゆることが決められ、職員の顔色をうかがう生活に、私はよく「ここは現実ではない。私はずっと眠り続けていて悪夢の中にいるんだ」と夢想にふけっていたものです。思う存分お菓子や御飯を食べたかったし、毎日お風呂に入りたかったし、家族と一緒にいたかったし、もっと勉強がしたかったし、かなえられない望みばかりでした。それを声にできる機会があるはずもなく、自分から発信する力も術も当時は無でした。まさに支配と強制の世界の下、障害者として生まれてきたからにはがんばるしかない、自分さえ我慢すればそれでよいと自分自身を抑圧し続けていたと振り返ります。そして今この時も障害をもつ人の多くは隔離制限された環境での生活を強いられていることを忘れてはならないと常に思っています。

 現在、私はDPI障害者権利擁護センター(注)の相談員をさせていただき、日々、さまざまな障害をもつ方々の電話相談や、場合によっては面談や交渉等の同行も行っています。最近、精神に病気や障害をもつ人たちの継続的な相談が増えています。そこで感じることは、本人に対して、その周囲の人が、本人の理解や納得を得るまで情況の説明ができていないことにより、誤解を生み、それが不信感につながって関係性が悪化するという事例がみられます。もし本人の望む支援を丁寧に聞ける人がいたら…、もし本人を取り巻く現状課題について丁寧に説明できる人がいたら…、本人の生きにくさを軽減できるのではないかとよく考えます。本人と周囲の人たちが、本人の望む支援について同じ理解を得られるようにするものの一つとして、FGCは有効ではないかと思います・・・・

注:DPI障害者権利擁護センターとは
DPI日本会議(障害当事者団体で構成される国際NGO)が個人の権利侵害に対応するため、1995年に設立した権利擁護機関。障害をもつ相談員が自分の体験を活かして、障害当事者の視点から相談に応じている。
 連絡先:03-5282-3138(相談専用)


 以下、全文は、おりふれ通信343号(2015年9月号)でお読み下さい。
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障害年金 -精神の障害に係る等級判定ガイドライン(案)とパブリックコメント-

福冨一郎


 精神障害の障害年金認定において地域差があるので是正する目的で、等級判定ガイドライン案が厚労省から出されました。しかし、その内容は主治医が書く診断書に「日常生活能力の判定」という7項目の4段階評価と「日常生活能力の程度」という5段階評価で等級の目安をつくり、それによって事務官がだいたいの振り分けをして、認定医が総合評価をして認定するというものです。たとえば、生活能力の程度が3で、生活能力の判定が平均すると2.5から3未満くらいの場合、今まではほとんどが2級の判定でした。しかし、ガイドラインによると3級の可能性が高いです。このガイドラインがそのまま決まれば、認定の公正化とは逆方向に向かう可能性があります。
 精神福祉が医療モデルから社会モデルへと移行しつつある中、本人に会ったこともない認定医が診断書の内容だけで判定するという、究極の医療モデルになっています。社会モデルでの判定をするなら、本人にかかわる支援者や家族、主治医、雇用主など、多くの方々の意見をとりまとめて、いろいろな分野から選ばれた認定委員が判断すべきだと思います。そもそも、このガイドラインを話し合っている委員9名のうち8名が精神科医で、当事者は誰もいないそうです。議論の内容の偏りが懸念されます。以下、ガイドラインで特に気になった項目について書き出して、意見を述べます。

 1.精神障害の項目の気分(感情)障害について書かれた部分。「適切な投薬治療などを行っても症状が改善せずに、入院を要する水準の状態が長期間持続したり、そのような状態を頻繁に繰り返している場合は、2級以上の可能性を検討する」とあります。これって今までだと1級と判定される状況だったと思います。ガイドライン作成委員の中に気分障害に理解のない精神科医がいるような気がします。入院を要する水準ではなくても、日常生活に支援を要する2級に該当する場合はいっぱいあります。入院が2級の判定条件だとも捉えられかねない表現になっています。そうでないことを明確にすべきです。

 2.共通項目の家族の日常生活の援助や福祉サービスの有無を考慮するという部分。「独居であっても、日常的に家族の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合は、それらの支援の状況を踏まえて、2級の可能性を検討する」とあります。いやいや、独居で家族の支援がない人の方が、年金が必要ですよね。福祉サービスを受けられてない人にも、様々な理由があると思います。もしかしたら、年金がもらえたら、福祉サービスを受けたいと考えている人もいるんではないかと思われます。

 3.共通項目の相当程度の援助を受けて就労している場合は、それを考慮するという部分。「就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)による就労については、2級以上の可能性を検討する。就労移行支援についても同様とする」「一般企業(障害者雇用枠を含む)で就労している場合でも、就労系障害福祉サービスにおける支援と同程度の援助を受けている場合は、2級の可能性を検討する」とあります。就労していることをもって、日常生活能力があると捉えられることがありそうです。そんなことはないです。身体障害のような外部障害の場合はわかりやすいかと思いますが、精神障害に関しても配慮があれば就労できる状態がそのまま日常生活は問題ないとは言えないと思います。実際に、生活はままならないのに外面だけは何とか保っている方もいっぱいいます。また、就労系障害福祉サービスと一般企業の記述を分ける必要があるのでしょうか。一般企業で就労系障害福祉サービスと同等の援助は難しいのが現状です。たまたま、就労において一般企業に縁があった方もいらっしゃると思います。こと就労に関しては、それを理由に障害年金の等級を下げたりすることのないようにお願いしたいです。

障害基礎年金の2級で月におおよそ65000円くらいしかもらえません。これでは、就労するか、生活保護か、しかありません。そもそも年金とは何か? そのあたりから考え直してもらいたいところです。厚労省では、障害年金のガイドラインについてのパブリックコメントを募集しています。どれくらい聞き届けられるかはわかりませんが、何も言わないよりは何か意見を書き込んでみた方がいいと思います。9月10日、17時までです。

精神の障害に係る等級判定ガイドライン(案)とパブリックコメント 9月10日まで
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495150111&Mode=0


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エモーショナルCPR(eCPR)体験記

松田 博幸

◆ eCPRとは?
 エモーショナルCPR(eCPR)は、人がクライシス、つまり、心の調子が崩れて自分でなんとかしようとしたがどうにもならない状態にあるときに、周囲の人たち(友人、家族、近隣の人、専門職者、警察など)がどのように本人に関わればよいのかを身につけるためのプログラムである。2008年にアメリカで、精神障害をもつ当事者たちの手によって生み出された。それ以前に、2001年にオーストラリアで作られた「メンタル・ヘルス・ファースト・エイド」がアメリカに紹介されていたが、それが診断名にこだわった医学モデルに縛られたものであることに違和感をもった当事者たちが自分たちの手で生み出したのがeCPRである。CPRというのは、つながること(Connecting)、エンパワーすること(emPowering)、蘇生させる(Revitalizing)という3つの過程を表すと同時に、心肺蘇生法という意味をもつ。つまり、ある人がクライシスにある際に、周囲の人が本人と心と心のつながりをもてば、本人は情緒・感情的に息を吹き返すが、そのようなかかわりがないと命を落とすことにもなるということである。実際、警官から暴行を受けて亡くなるということが北米でも日本でも起きている。また、強制医療を通して命を落とす人もいる。

 私がeCPRに関心をもち、その開発者の一人であるダニエル・フィッシャーさんを訪ねたのは2010年のことであった。ダニエルさんの自宅でeCPRの説明を受け、その根底にある考えがわかってきた。人は、他の人と心と心のつながりをもっている間、自分の心と頭とがつながった状態を維持できるが、トラウマや喪失体験によって心と心のつながりが断ち切られると、自分の心と頭とが切り離されてしまい、それぞれが働かなくなるという考えである。クライシスをそのような状態としてとらえ、人と人との間の心と心のつながりを取り戻すための方法を身につけるためのプログラムがeCPRである・・・・


 以下、全文は、おりふれ通信342号(2015年8月号)でお読み下さい。
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