半世紀ぶりの政策転換の“チャンス”を 確実に活かすために(前編)
氏家憲章
1.精神医療政策の特徴
わが国の精神医療政策は、①精神科病院への入院中心の精神医療、②精神科病院を一般病院と区別し差別扱いの2つを基本としています。そのため医療で最も重要な職員は、一般病院(医療法)には認めない職員が少ない「精神科特例」です。精神科病院の入院料は、一般病院の3割と「精神科差別」です。そのため日本は、世界最大の“精神病床大国”でも、国の財政を圧迫しない「安上がりの精神医療」です。「入院中心の精神医療」と「安上がりの精神医療」(精神科特例と精神科差別)は“表裏一体”です。ここにわが国の精神医療が抱える問題の大本があります。精神医療を改革するためには、この時代後れで間違った精神医療政策の解消が課題です。
(1)病床利用率70%台目前
入院中心の精神医療体制は、在院患者の大幅減少によって‘崩壊の危機’に陥っています。それを端的に示しているのが、精神科病院の「病床利用率」(行政から許可されている定床に対する在院患者数比)です。一般病院は病床利用率80%が採算ライン、精神科病院は90%で80%台になると経営は「危険ライン」です。2024年1月の精神科病院の病床利用率は80.9%です。内訳は、80%台は24都道府県(51%)・70%台は21県(45%)・60%台2県(4%)です。
(2)在院患者大幅減少の背景
精神科病院の在院患者は、入院2~3ケ月で退院する「新入院者」のグループと年単位で入院している「長期入院者」のグループと“二極化”しています。この両方で減少しています・・・
<全文は、おりふれ通信435号(2024年8月号)でお読み下さい。ご購読(年間3,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>
| 固定リンク
最近のコメント