精神医療国家賠償請求訴訟の東京地裁結審に向けて

精神医療国家賠償請求訴訟研究会代表 古屋 龍太

◆はじめに

伊藤時男さんを原告とする精神医療国家賠償請求訴訟(以下「精神国賠」)が、いよいよ山場を迎えています。早ければ来春には結審を迎えるかも知れません。本紙でも、これまでの裁判の様子が小峰さん他の方々から報告されていますが、直近の様子をご報告しておきます。

なお、精神医療国家賠償請求訴訟研究会(以下「精神国賠研」)の現在の会員・支援者は635名、20238月の総会で7つの常設委員会から成る運営委員会体制に移行しました。古屋が運営委委員長(代表)に選出されましたので、今後ともよろしくお願いいたします。

◆第14回口頭弁論

2023年125日に第14回口頭弁論が行われました。法廷の傍聴席には43名、報告会には会場37名+Zoom12名の計49名の方に参加していただきました。

今回の裁判では、原告弁護団側から証人尋問の申請がなされました。これまでの裁判で、原告側弁護団は、精神国賠研が集めた当事者・家族・専門職130名の証言陳述書をもとに、「時男さんひとりの身に起きたことではない」ことを示すために、膨大な証拠資料をまとめて提出しています。また、精神医療の政策に詳しい学識経験者として、精神科医・精神保健福祉士など10名の意見陳述書を裁判所に提出しています。今回、法廷における証人として新たに申請されたのは、以下の4名です。

・伊藤時男さん(原告)

・伊藤順一郎さん(精神科医)

・藤井克徳さん(日本障害者協議会代表)

・横藤田誠さん(憲法学者)

原告側からの申請に対して、被告国側からは、「それぞれ意見陳述書も提出されており証人尋問は不要」との見解が示されました。裁判官は、次回裁判期日で原告の証人尋問のみ認め、その他の方は必要が認められれば検討すると告げました。この結果、次回裁判では、原告の伊藤時男さんを証人に弁護団から1時間の主尋問、被告国側から20分の反対尋問が行われることになりました。

  閉廷後に行われた裁判報告会では、今後の裁判の見通しについて、結審に向かいつつある現状が確認されました。本裁判の結果が、仮に原告側の勝訴となれば、被告国側は控訴するでしょう。仮に原告側の敗訴となった場合には、あくまでも原告の時男さんの意思が優先されます。その場で、時男さんからは「できるところまでやる」との決意が示され、参加者から拍手がわきました。

本裁判も最後の山場を迎え、結審に向かおうとしています。ぜひご予定に組み入れて、傍聴席から時男さんの証言を見守り静かな応援をお願いします。

(中略)

〇出版のご案内

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『かごの鳥~奪われた40年を懸けた精神医療国家賠償請求訴訟』

伊藤時男著/古屋龍太編/寄稿:織田淳太郎、門屋充郎、杉山恵理子、長谷川敬祐、藤井克徳、東谷幸政

出版社:やどかり出版、発売日:2023/12/18

四六判:130頁 定価¥1200+税(¥1320

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〇裁判のご案内

精神国賠第15回口頭弁論

2024年227日(火)15時開廷

東京地方裁判所103号法廷

(東京メトロ丸の内線・日比谷線・千代田線

「霞が関駅」下車、A1出口より徒歩1分)

精神国賠研の会員・支援者は14時半までに裁判所ロビーに集合し、若干のミーティングを行った後に入廷します。

裁判閉廷後は、近くの貸会議室に移動し17時頃より裁判報告会を行います。書籍販売コーナーも設けて、『かごの鳥』その他の関連書籍も特価で販売します。裁判報告会はどなたでも参加可能ですので、ぜひご参加ください。

 

<全文は、おりふれ通信429号(2024年1月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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これ以上死亡者を出しては絶対にいけない

滝山病院にアクセスする会 細江 昌憲

 

 12月11日夜、滝山病院内で転退院を希望していた方が亡くなった。これで僕が知る限り、30名もの方が病院内で亡くなったことになる。以下、相原啓介弁護士のX(旧ツィッター)を引用します。

 

 128日、詳細はお伝え出来ませんが、今週になって滝山入院中の方とようやくお一人つながれ、 本日、医師同行で2回目の面会をしてきました。危険な状態で専門病院への転院を前提に転院先を探し始めました。都の調査対象者で退院、転院を希望していましたが、今日までそのままです。心底怒りが沸きます。

 1212日 昨日転院先が決まり、救急救命士同行で救急を手配し、本日正午にお迎えできる事になりましたが、昨夜、突然お亡くなりになりました。私が初めてお会いしてから5日目、滝山から出られるまであと、16時間でした。私は同じ轍を踏みました。非常に強く責任を感じています。

 その人は「早く滝山から出たい」、と訴えたのに数か月間もそのままにされていた。どれだけ寂しかっただろう。希望だけ与えておいて何もしない。人として絶対にやってはいけないことだと思う。同じように、出たい、という意向を伝えたが放置されている方が、未だに入院を強いられている。この方たちは、転退院が進まない理由を対面できちんと説明を受けているのだろうか。それだけは人として絶対にやらなければいけないことだ・・・

 

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11.22滝山病院事件を放置しない!入院者の地域移行を進めよう!都議会内集会

地域で暮らすための東京ネットワーク  早坂 智之

 

11月22日都議会内で、「滝山病院事件を放置しない!入院者の地域移行を進めよう!都議会内集会」が行われました。報告と感想を書いてみたいと思います

 

この集会は、多くの団体の共催で行われました。滝山病院事件がNHKの報道で発覚したのが今年の2月。それから9ヶ月。遅々として進まない入院患者さんの地域移行。それに対する怒り。又、滝山病院は以前から死亡退院率の多い精神科病院として有名でした。それを何年にもわたって放置し続けた我々の贖罪の意味が込められていたと思います。

 

集会は15時半に開会。司会挨拶の後は、一般社団法人精神障害者地域生活支援とうきょう会議代表理事の鈴木卓郎さんによる「滝山病院入院患者の退院支援をどう進めるか」と題した基調報告。滝山病院事件の現状・この先、東京都がやるべきこと・支援者である私たちがやるべきこと・市民社会の一員として私たちができることの4つに分けてお話しいただきました。鈴木さんのお話は、分かりやすく示唆に富んでいたと思います。

続いて、れいわ新選組・参議院議員、「滝山病院問題を考える市民と議員の連絡会議」の天畠大輔さんの報告。議員としてできること、市民としてできることの提起をわかりやすくしていただきました。その後、NPO法人トモニの細江昌憲さんからの「滝山病院へのアクセスの会」の設立の経緯と東京都への要望書とその回答書の説明。NPO法人全国精神障害者地域生活支援協議会あみの伊澤雄一さんから「滝山病院へのアクセスの会」の今後の活動方針の説明がありました。

 

ここで時間の関係で、都議会議員の方5名の方の発言。東京都議会生活者ネットワークの岩永やすよ議員、グリーンな東京の漢人あきこ議員、立憲民主党の五十嵐えり議員・関口健太郎議員・阿部ゆみ子議員でした。

 

そして、杏林大学教授・精神科医療の身体拘束を考える会の長谷川利夫さんから、11月20日に行われた社会保障審議会障害者部会の報告がありました・・・

当日の集会の模様は、以下のHPからご覧になれます  

https://www.youtube.com/watch?v=h_rhK-R37wo

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10月3日滝山病院前行動のこと

特定非営利活動法人こらーるたいとう  加藤眞規子

 

はじめに

 私は現実的に滝山病院に入院している患者さんが、一日もはやく、一人でも多く安心安全な場所に退院されることを願うばかりです。その応援がしたいです。そのために、私自身の健康を大切にすること、足元のNPOこらーるたいとうの活動を丁寧にすることに努力していきたいと思っています。

 

1 滝山病院へ初めていったこと

 930日に立川市の特定非営利活動法人トモニの細江昌憲さんと滝山病院へ伺いました。行きも帰りも八王子駅―滝山病院間はタクシーを使いました。「103日午後3時頃に要望書を提出させていただきたい」と申し入れに行ったのです。内容的には「入院中の患者さんを速やかに全員退院させてほしい。私たちもできる限りの協力・応援をさせて頂きたい」というものでした。

 八王子駅へ戻り細江さんとお別れをして、私は再度、北口6番バス乗り場から西東京バス「工学院大学経由樽原町行」に乗ってみました。滝山病院へは、「陶鎔(とうよう)小学校前」で下車し、長い坂を登っていきます。バス代は370円(片道)、乗車時間は30分ほどかかります。このバスは、毎時6分、26分、46分に出ています。

 私はできれば103日滝山病院前行動に参加して下さる方々全員が「要望書」を提出するところに立ち会えるようにしたいと思っていました。しかし滝山病院内に入ることは無理かもしれないと思いました。すでに呼びかけ文に応えて賛同者賛同団体はかなりの数になっていたからです。

 滝山病院は「非常に辺鄙なところにある」といわれて来てみると、バスで賑やかな八王子駅周辺に出ることができ、もよりのバス停から10分から15分歩く精神科病院は都内に結構あるのではないかと思います。

 滝山病院の受付のところに、パンフレットが置いてありました。そして並んでおいてあったパンフレットは「民間救急移送」のものと、「心肺蘇生法」のものでした。これだけ見て、入院を決められてしまう患者さんもあったのだと思うと、大変恐くなり、つくづく患者さんが他人事とは思えなくなりました。まっとうな精神科病院では、民間救急移送を使ったり、患者さんが裸に近い状態で運び込まれたりした場合は、入院を断る病院もあります。

 患者さんを精神科治療に繋げることはいわば関わりの正念場であり、多くの仲間が「精神病になったことよりも、酷い病院に強引に入院をさせられたことのほうが傷になっている」と訴えています。こらーるたいとうの電話相談に寄せられる相談の中に、「いい病院を紹介して下さい」というものがあります。「いい病院」は一人ひとりの方との相性の問題もあり、難しい質問ですが、「やめておいたほうがいいという悪い病院」については答えるようにしています。患者さんもご家族も情報の少ない中で非常に大切なことを決めるのですから、私たちはなるたけ正しい情報を得る努力をして、答えてきました。

 

2 103日(火曜日)滝山病院前行動

 事前の呼びかけに、33団体、個人が賛同してくださいました。当日230分現地集合。6070人が滝山病院前に集まりました。しかし結局、私たちは滝山病院の門のチェーンの中には、入れてもらえませんでした。理由は事務長がインフルエンザに罹患して不在であること、「患者さんの最後を看取ることのどこが悪いのか」ということでした。しかし要望書を渡すときは、玄関の前で渡すことになりました。

 午後230分から3時までの間、チェーンの外側の急な坂で、参加者同士で、自己紹介と今日参加した理由等を伝えあいました。

以下、一部の方の発言を紹介します。

天畠大輔:私は参議院議員の天畠大輔です。私は14歳の時、医療ミスにより四肢麻痺、発話障害、嚥下障害、視覚障害を負いました。障害があることで人生の選択肢は本当に狭かったです。幸運なことに、昨年7月からは参議院議員として国会で仕事をさせていただいています。

この滝山病院で虐待事件が発覚してから半年以上が経ちました。入院患者の皆さんに心を寄せ、議員として私なりの方法で貢献することはできます。今年320日の予算委員会質疑で滝山病院のことを取り上げました。その際には精神科病院問題を議論する時に人権擁護の観点が足りていない点を重視しました。もちろん、虐待防止発見の仕組み、診療報酬、不正請求の追求、生活保護行政として適正だったか、などの検証と改善は必要です。

しかし、より急ぎ重視されるべきは、虐待を受けた方、間近で見た方、今も病院内に残っている方たちの退院、転院、新しい生活のための支援ではないでしょうか。当事者性の回復、つまり自らが直面する困難がどのようなものかを自覚し、病院をはじめ社会全体に訴えていけるようになっていく。そのような当事者性の回復過程を、病院内外の支援者が支えていく仕組みが必要です。

今年8月には市民団体の皆さんと一緒に「滝山病院問題を考える市民と議員の連絡会議」を立ち上げました。本日時点で280もの個人団体から賛同をいただいています。今日、滝山病院に要望書を持参されたのは、長年、地域生活や権利擁護活動を担ってきた障害当事者や支援者のみなさんです。虐待事件とその後の入院患者さんたちの処遇を気にかける市民がこんなにもいらっしゃいます。 適切な医療、適切な地域生活支援を受けながら、どんな障害があっても自分らしく暮らせるようにしたい。病院側の皆さんには、この要望書に少しでも歩み寄っていただきたいと願っています。ともに頑張っていきましょう。

相原啓介:今日、こういう形で申し入れと、小さい集会みたいな形をとったことは、とてもよかったと思います。「滝山病院をどうする」という問題が残っていますし、もっと構造的な問題――こんなことを繰り返さないようにどうしたらいいのかという問題があります。天畠議員がおっしゃったように、今100人ぐらいの方が残っているわけですよね。それで退院したいと言っているけれども、全然実現しない。残念ながら虐待が今もないかどうか、わからないです。非常にずさんな治療で、寿命よりも早く亡くなってしまう方もおそらくいるんじゃないかと私自身は思っているところです。中に現実にいらっしゃる方と直接つながりたい、お手伝いしたいという声を、今日届けられるのは、とても大きな意義があると思っています・・・

 

<以下、全文は、おりふれ通信427号(2023年11月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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精神国賠第13回口頭弁論

当事者 小峰盛光

20231024()のお話をしたいと思います。原告の伊藤時男さんと待ち合わせをして東京地方裁判所に電車で向かいました。電車の中で伊藤時男さんは「講演の依頼がたくさんきている」、「絵の個展もやる」と、忙しい日々を送ってるみたいでした。デイケアにも行っていて、「病院にいたときは何もできなかったから今が一番幸せだ」と言ってました。   

1時間前に裁判所に着き、支援者の方々とロビーで話されました。時間になり開廷して、少し進行すると裁判官が一度後に下がり、裁判官3人で話し合うために休廷になりました。が、すぐ終わりました。傍聴は62名で、103号法廷は98名傍聴できるのであと36名、どうにか次回は満員にしたいと思いました。

報告会会場に移動して、長谷川弁護団長から経緯の説明を受けました。今回は、前回原告側から提出した準備書面に被告が反論の書面を提出しました。国の反論は、・指定医制度や精神医療審査会などの制度があるので不作為にはあたらない・憲法上の権利侵害は明白ではない。国賠法上の違法性は認められない・原告側から提出した証言の個別の事と国の責任は別 というのが大まかな趣旨でした。法律のたてつけ論に終始し、具体的な制度上の問題点には踏み込まないというもの。

原告側と論点がかみあっていないため準備書面を作成し提出しました。被告が原告の主張に対して真摯に向きあわず、従前の主張を繰り返しているので裁判所において争点の整理をして双方の主張をかみあうようにしてほしいと主張したうえで被告側の主張の問題点を指摘したもの。裁判所は争点整理の必要性はない。原告側が言いたいことや証人尋問が必要であれば人証申請・証人尋問の申請をしてほしいということでした。結審に向けて裁判所が動き出したようです。

この間の裁判の過程を受ける形で医療保護入院は違憲の可能性があると書いた研究者がいるのでそれも書面で出したとのこと。医療保護入院に何の疑問を持たなかった憲法学者などが少しずつ疑問を持つようになってきているそうです。

弁護団は今のところ福祉関係者、医師、憲法学者、原告の証人申請を考えているとのこと。次回口頭弁論で、その可否や何人まで証人尋問を行なうかを決めることになります。というのが報告会の内容でした(報告会の内容は精神国賠のホームページを引用しています)。報告会参加者は70名でした。

そのあと新橋のカラオケ店に10数名で行き、カラオケをしました。伊藤時男さんは三橋美智也とか五木ひろしの歌を歌ってました。みんなで盛り上がり新橋で解散しました。

 

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「滝山病院への偽装による強制入院~所沢市の事件から   医療保護入院を考える」に参加しました

東京地業研 山本則昭

923日、浦和で開かれた会は、埼玉県精神医療人権センターが主催し、話題提供者は相原啓介弁護士と藤井千代医師でした。

この事件は、所沢市の職員が、家族がいるにもかかわらず市長同意で滝山病院に医療保護入院させたというものです。その方は、精神疾患の治療と共に人工透析も受けていて、精神状態が不穏となり人工透析を拒否しましたが、他の受け入れ透析機関が見つからないということで透析可能な滝山病院に入院させられたのです。この方には家族(姉)がおられますが、「家族は音信不通」と嘘の文書を作成して市長同意の医療保護入院としました。市の生活保護(生活福祉課)と障害福祉(保健センター)の職員7人が書類送検されています。これは、その方の退院支援に相原氏が関わったことで判明しましたが、そうでもなければ闇に葬られたのでした。

相原氏も当日話しておられましたが、どれだけ透析の受け入れ機関を探したのか、強制入院という形をとらなければ透析治療の継続が不可能という判断をどのようにしたのか、文書の偽造までしたのは何故か、入院先は滝山病院でなければならなかったのかなど疑問は尽きません。残念ながら、当日の会でもその疑問は晴れることはありませんでした・・・

 

<以下、全文は、おりふれ通信427号(2023年11月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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滝山病院事件を地域で考える学習会を開催しました

社会福祉法人プシケおおた 青木範子

 

2023年9月9日、社会福祉法人プシケおおた内実行委員会主催で「滝山病院事件を地域で考える学習会」を開催しました。

私の働く社会福祉法人プシケおおたは大田区にあります。主に精神障がいをお持ちの方の支援をしており、生活支援センターⅠ型、グループホーム、B型作業所、地域生活安定化支援事業、自立生活援助事業を行っています。私はその中のこうじや生活支援センターにて地活Ⅰ型業務と計画相談、地域移行、地域定着支援を行っています。

学習会ではNHK「ルポ死亡退院~精神医療・闇の実態~」にて退院支援をされた弁護士の相原啓介先生、NPOトモニ代表で滝山病院退院支援連絡会の細江昌憲さん、横浜市コトブキ共同診療所医師の越智祥太先生、社会福祉士と精神保健福祉士の常数英昭さんが登壇してくださり、108名の方が参加してくださいました。

 相原先生と細江さんからは滝山病院内での違法行為や事件の現状を教えていただきました。今回の報道により社会的非難が集中していることや遅々として進まない退院支援について、また滝山病院でたくさんの方が亡くなっている現状に対して、1日でも早く退院をするためには地域の支援者が協力していくことの大切さを実際に退院支援されているおふた方からお話しいただいたことはとても力強く、切迫したものでした。

越智先生からは現在の勤務地で透析治療を受けながら精神科の外来通院をされている方の実例を挙げて、地域で支えていくことについてや「目の前からいなくなれば安心」という心理が働き「手っ取り早く」解決を求める効率主義と適応主義が人権の軽視を生んでしまうこと、常数さんからは長期入院をされている生活保護受給者の支援や生活保護法に基づいた制度等お話しいただきました。今回の学習会では様々な立場から見える滝山病院問題について考えることができるきっかけになったと思います・・・

<以下、全文は、おりふれ通信426号(2023年10月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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クラウドファンディングのお礼 地域に退院支援チームを作りましょう!

精神保健福祉士 細江 昌憲

 

 この度は、お陰様を持ちまして、クラウドファンディング「患者さんが入院継続を望まない精神科病院からの退院を支援したい」~一部の問題等のある精神科病院からの退院支援プロジェクト~の目標額を達成することができました。みなさんのご厚意、本当に感謝しております。

 達成額に加え、511名もの方からのご賛同、ご支援をいただけたことに、この問題の深刻さを改めて痛感しました。また、みなさんの思いが詰まったメッセージには、胸が熱くなりました。これだけ多くの方が悩み、苦しんでいるという現実を、重く深く受け止め、今後も一人でも多く、一日も早く退院していただけるよう、活動を継続していく所存です。

 現在、入院されている方、もしくは家族、支援者の方で、退院を主治医が許可しない等、何かお困りごとがありましたら、ぜひ、連絡をください。全面的に協力させていただきます。また、一緒に活動したい、という方(福祉関係者に限りません)からの連絡も嬉しいです。(電話とメール 08093062495 /tomoni-tachikawa@td5.so-net.ne.jp細江)
 

すでに、東京都の近隣県からも退院支援の要請が複数あり、相原啓介弁護士が、本人に会いに行き、その地域の福祉関係者と調整を進めています。東京都以外でも、できる限り、対応したいと考えていますので、各地に協力してくれる「仲間」がいると、本当に有難いです。

 

「弁護士とチームを作ろう」

 退院支援に取り組むうえで、最大のネックは、主治医です。退院だけでなく、面会までも制限できるからです。しかし、弁護士に面会の制限は適用されません。病院に弁護士が連絡を入れただけで、すぐに退院が決まった、というケースは枚挙に暇がありません。「明日、退院してくれ」と放り出されたという酷い話も聞いたことがあります。今までは何だったのか。入院治療が必要なかったことを自ら認めたようなものです。ふざけるのはやめてもらいたい。

 弁護士と組んで退院を進める方法は、スピード面でも非常に有効です。弁護士がこじ開け、退院後の生活を福祉が支援する。この方法がもっと広まり、浸透すれば、退院はかなり進むでしょう。

 

「面会制限に対抗しよう」

精神保健福祉法では、第37条第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準で、面会を制限した場合、その理由を診療録に記載しかつ、適切な時点において制限をした旨及びその理由を患者及びその家族等その他の関係者に知らせるものとする―とあります。これは、実際に病院側がやるとなると相当面倒です。私達もこれを盾に、ちゃんと記録しろ、その理由を公開しろ!と煩く騒ぎ面会制限に対抗しましょう。

 

「滝山病院からの退院支援」

今年2月に滝山病院の虐待事件が発覚する前から、相原弁護士は、入院している方からの要望を受け、これまでに10名の退院、転院を支援しました。弁護士になる前は、臨床心理士・精神保健福祉士として、精神病院等に勤務されていたので、退院に向けての面会も得意分野で、まさにひざ詰めで話を聞き、場合によっては1時間以上、また、複数回に及ぶケースもありました。

退院の実務としては、それら聞き取った要望を受け、地域の福祉関係者をはじめ、透析が必要であれば、受診できる病院、クリニックを探す等、とにかく、方々に電話をかけまくります。この際、各地の透析、糖尿病、難病の当事者の会に問い合わせると、丁寧に、いろいろな情報を教えてくれます。実際に病や障害を抱えながら、地域で暮らしている訳ですから、その生の情報は実践的、具体的で、私達では気づかない、見過ごしてしまうような生活上の細かい事柄もあり、とても参考になります。もちろん、スムーズに運ぶこともあれば、アパートが決まったのに保証会社が通らない等、壁にぶち当たったケースもありました。しかし、ダメだったら次、と絶対に諦めずに進み、突破、解決してきたのです。

 滝山病院には合併症等、難しい患者が入院している、退院は困難、とずっと言われていましたが、そんなことはない事を、相原弁護士が実践したと言えるでしょう・・・

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モーツァルトを初めて聞いた日 ―劣悪?な病院で働いている皆さんへ

根間 あさ子

 

ある日、Oさんは病棟のデイルームに寮から自分のステレオを持ち込んだ。12歳の私がベートーベンもモーツァルトも知らないと聞いて、自分の大切なレコードを聞かせようとしてくれたのだ。彼がレコードを扱う手つきから、それをとても大切にしていることがわかった。その大切なものを病棟に持ち込んで、クラシック音楽など流れたこともない場所で演奏が始まった。私は初めて聞くモーツァルトの音楽に心震わせ、と書きたいところだが、その日どんな音楽を聞いたのか全く記憶はない。その前日に、私はいつものようにOさんが翌朝の薬をセットしているそばでおしゃべりをしていた。その時にクラシック音楽について全く無知なことを知られたのだろう。当時のかさばる図体のステレオを、寮から二階の開放病棟までどうやって運んだものか。私は初めて聞くクラシック音楽は良く分からぬながらも、Oさんがレコードをステレオにセットする手つきからとても大切なものを扱っていると感じOさんがそれらを大事にしていることが良く分かったし、それを私に聞かせようと奮闘してくれていることが嬉しかった。だから半世紀以上前のその記憶が今も私の心を温かくしてくれる。

私の二回目で最悪の入院生活(1960年代の私立単科の精神病院です)の中で唯一の良き思い出は、このOさんと過ごした時間である。彼は病院にとなりあっていた職員寮に住まいしていた。看護学校に通いながら看護人(男性の看護助手をこのように呼んだ)をしていたのか、それとも全く別の勉強をしていたのかは知らないが確か学生だったように思う。佐渡島から上京してきて、私と同じ年頃の妹がいるといっていた。私は彼が夜勤の時に薬をそろえたり作業しているそばで彼の話を聞くのが好きだった。彼も病棟中で一番幼い、故郷の妹と同じ年頃の私を不憫に思い心に掛けてくれたのかもしれない。詰所(ナースステーション)に患者が入るのはご法度だったかも知れないが、私は幾度となく彼の夜勤の時には詰所に入り込んでいたように記憶する。

この記憶を書くことで私が伝えたいことは、どんな過酷な環境の中にいたとしても、人の心ある振る舞いは伝わるし、人を救うことが出来るということだ。あなたが酷いところで働いていたとしても、あなたの心ある振る舞いはきっと患者さんたちに伝わるに違いないということだ。諦めずに目の前の患者さんに対して心を尽くして欲しいと心から願う。

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滝山病院問題のこれまでとこれから

一般社団法人精神障害者地域生活支援とうきょう会議 代表理事

鈴木 卓郎

 

暴行被害者の安否を憂う

 はじめに、私が一番気になっていることから書きます。滝山病院の入院患者で、暴行被害を受けていた方の安否は、今現在どうなっているのでしょうか。身の安全とご本人の安心感が確保される環境にいればよいのですが、まだ滝山病院に入院し続けている可能性も考えられるでしょう。私の知る限り、被害者の安否は報道されていませんし、東京都は公式の場で説明をしていません。滝山病院で開かれている虐待防止委員会では、確認されているかもしれませんが、そこで話し合われている内容は非公開です。どなたか情報をお持ちの方がいましたら、是非教えてください。このことだけでも、東京都に問う必要があると考えています。

 

滝山病院入院患者数の推移

 2022年の630調査を見ると、滝山病院には2022年6月30日時点で152人が入院していました(内訳:生活保護受給者75人、非受給者77人)。今年2月15日に暴行事件が報道された時点では、145人の入院患者がいたとされています(註1)。それが5月に入院患者に対する意向調査が行われた際には120人ほどに減っており(註2)、さらに7月末時点の入院患者数は101人になっているとのことです(註3)。滝山病院の病床数は288(精神255、療養33)ですので、すでに3分の2近くが空床となっています。

 ここからは推測の話になりますが、暴行事件発覚後にまず各市区町村の生活保護行政が、滝山病院入院中の生活保護受給者への意向確認等を行い、転院・施設入所退院などが一部進んだものと考えられます。後述する5月の東京都の意向調査は、生活保護受給者ではない71人の入院患者を対象に行われたのですが、その時点での入院患者数が120だとすれば、残りの50人ほどが生活保護受給者ということになります。2022年630調査からは20人ほど減っており、この方たちの転院・退院(死亡退院も含まれていると思います)の動きが2月〜5月にかけてあったと考えると、数値の辻褄が合うわけです。

 一方、生活保護受給者ではない入院患者にはこの間ほとんど転院や退院の動きがなかったことになります。その方たちへのアプローチはどうなっていたのでしょうか。次に東京都の意向調査のことをみていきます・・・

<以下、全文は、おりふれ通信425号(2023年9月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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