さいたま市情報公開・個人情報保護審査会での意見陳述(2021.7.15)報告

埼玉県の精神医療を考える会  村田京子

 

715日、さいたま市情報公開・個人情報保護審査会で、630調査非開示結果に対する意見陳述を行ってきました。15分と短いので、私からは、「同じ条例に基づきこれまでは開示しているのだから、今回の非開示理由は全く不可解だし、非開示の判断は決して承服できない」「私たちは日本の精神科医療の実情、病院の実態についてあまりにも知らない。知らないがゆえに、当事者やご家族、病院だけにしんどいことを押し付けている。多くの人が実情を知り、問題を共有するために情報公開はとても重要」ということだけ話し、次に佐川さん(鴻巣市家族会会長)がご家族の切実な思いを、星丘さん(埼玉人権センター代表)が病院や福祉施設で働く立場で、杏林大学長谷川教授が専門家として話されました。

5人まで参加できたので(埼玉県では3人)、請求人の私と代理人の髙宮弁護士に加えて、上記お三方に補佐人をお願いしましたが、佐川さんが話されている時は、審査委員も真剣な面持ちで聴き入っている感じ、星丘さんが「精神科病院で働いていた…」と話し始めると顔を上げ、興味を示した様子が伺えました。実体験とその思いがこもった言葉はやはり力があると私も感じました。また事情に精通され広く深い見識に基づく長谷川教授の意見は説得力と迫力があり、また髙宮弁護士が折々理路を正してくださり、最強の布陣だったと思います。1週間ほど前にズームで打合せをし、当日は話す順番や提出資料の確認をしました。

審査委員は5名。会長は大学名誉教授、3名が弁護士、行政経験者が1名でした。15分強の意見陳述の後、委員からの質問がありましたが、弁護士のお一人から、非常に細かい質問が続き、正直驚きました。「資料をちゃんと見てくれているんだ」という嬉しい驚きです・・・

<以下、全文は、おりふれ通信404号(2021年8月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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NHK「ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」を見て思ったことその2

香澄 海

 

 番組を見て特に印象に残ったのは、劣悪な状況に置かれた患者たちの声が無視されていることだった。X病院で酷い褥瘡ができてしまった方がいた。そしてコロナ陽性患者と大部屋に寝かされていた方は、「感染してしまう」と保健所に助けを求めたが無視されてしまった。しかも保健所は病院に対して「なるべく隔離はすること。ただし、個室や空室がない状況ではやらない」「看護室はクリーンゾーン、それ以外の病棟はレッドゾーン」という指示を出していたそうだ。自分の意志で病棟の外に出ることができない患者さん達の恐怖はいかばかりだったろうか。感染は目の前でどんどん広がっていくというのに。

 Y病院では、6人部屋の真ん中にポータブルトイレを置いて外から南京錠で施錠した。あまりのひどさに、胸がつまって苦しくなった。

 この手の番組は、特に入院経験のある仲間にとって「怖くて見られない」「見るのに勇気がいる」ものだ。視聴すると、苦しい入院体験によるトラウマが呼び起こされたり、精神障害者に対する偏見に満ちた言葉を浴びる可能性があるからだ。その仲間の一人が言っていたのは、《患者さん達が叫んでる場面が何ヵ所かある。何故叫んでるのか脈略なく切り取られている。訳もわからず怖いのかもしれない。突然痛い治療をされて苦しいのかもしれない。私たちだって閉じ込められた時「出してくれ」って全力で叫んだ。叫んでるところだけが切り取られて「ああいう人たちは閉じ込めておかないと」と思われるのが怖い。》ということだった。

 日精協会長の山崎氏は、精神科病院は医療だけでなく、社会秩序を担保する、保安までやっているのに診療報酬が安過ぎるとコメントした。患者との信頼関係を築く気がなくて、何が医療なのか。人をその意志に反して閉じ込めることに対して一切の躊躇なく、当然だと考えてやっているのだ。同時に、この発言は、精神保健福祉法の本質を言い当てているとも言える。

  また、松沢病院でコロナ陽性患者の対応に追われている医療従事者には頭が下がる一方、齋藤医師のある言葉に怒りと悲しみと自らの不甲斐なさを覚えた。次々と運び込まれるコロナ陽性患者を送り出している劣悪病院の実態を知りながら、またそこに送り返さなくてはならないことをためらう他の医師に対して、彼はこう言った。

「そうなんだけど、すごく微妙な問題なので、だけど精神科の病院が倒産していって患者さんが放り出されて、世の中はそれを受け入れる素地がないわけだから、その辺の塩梅を見ながらやっていかないと。でも、気持ちはわかる」

 最初にやるべきは、患者さんの意志を確認することじゃないのか。その希望にそって別病院に転院、または退院の方向で動くべきだと思った。その最低限の努力をせずに「素地がない」と何故言い切れるのだろうか・・・

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「ドキュメント 新型コロナ×精神科病院」を見てその1

ゴン(グループホームスタッフ)

 

 おりふれ通信でも昨年来、精神病院での新型コロナウイルス感染についての記事がいくつか出ていましたが、今回Eテレで東京都立松澤病院を中心としたドキュメントが放送されました。

コロナウイルスの問題は、現在の日本社会の問題を顕在化させるものであるとよく言われています。貧困問題・DV問題等いずれも社会的に弱い人達が十分に安全を守られることなく、支援を受けられず困窮していくという状況です。そして、やはり精神疾患の方達、特に長期にわたって病院に入院している人達が精神病院の閉鎖性から大きな危険にさらされ、現実に感染しているという実態を突き付けられました。

松澤病院の斎藤院長は「精神疾患の方は、そうでない方に比べて身体疾患で受けられる医療は明らかに劣っている」また、「現状であればますますセイフティーネットを細らせていくことになる」と話していました。現実に145病院で4600人が感染したことや、精神科病院で新型コロナに陽性になった方の6割の方は転院できなかったことが報告されていました。今回の取材に答えた厚労省。東京都・保健所は、縦割り行政を体現しており、いったいどこを見ていて何を守ろうとしているのかと愕然としましたし、日本精神病院協会会長の「精神病院は町の秩序を守っている、なくなって困るのは警察と保健所でしょ」という言葉にはいつの時代かと耳を疑うと同時に、日本の精神医療は呉秀三の時代と変わっていないのかと絶望的な気持ちになりました。

このような現状を一体どう捉え、自分に何ができるのかを問うた時に力のなさに悲しい気持ちになりますが、問題に目を背けるのでなくできることをやっていくしかないと思うしかありません・・・

 

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埼玉県630調査 情報公開審査会意見陳述

埼玉県の精神医療を考える会/埼玉県精神医療人権センター  星丘匡史

 

2021年5月24日に、埼玉県の情報公開審査会で意見陳述を行いました。補佐人に長谷川利夫さん、代理人に高宮弁護士、請求人の星丘で行いました。埼玉県は、拘束指示数と隔離指示数のみ非開示という状況でしたので、拘束問題の第一人者である長谷川さんにも参加していただきました。

審査委員は、3名で弁護士と大学の先生でした。

長谷川さんは、豊富な資料と文献と拘束帯をもってきて、身体拘束の問題を語り、利用者が病院を選ぶ「医療選択権」を保障する意味からも情報開示は絶対的に必要と話されました。高宮さんは、今まで出ていた情報が出なくなるのはおかしい。また、都道府県によって条例に多少の差があるものの、情報公開条例の基本的な立て付けは同じなのに、東京や大阪で出ている情報が埼玉で出ないのもおかしいと話されました。星丘は、昔働いていた病院の保護室の様子を話し、この情報が出たところで大した影響はないが、隠すことによって病院の質は悪化すると話しました。

審査委員の一人は大きく頷きながら関心を持って我々の話を聞いてくれました。審査会がどのような回答をしてくるか楽しみです。と言うのも、開示しないようなら裁判を行いたいと思っているからです・・・

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「ゼロ」からの再出発 〜神奈川の630調査情報公開請求〜

神奈川精神医療人権センター 稲川洋

 

(以下の原稿を提出した直後に、神奈川県の担当課から「全面不開示を見直し、部分開示の方向で再検討したい。」との電話がありました。既に審査請求も提出した後で、このような方針変更の連絡があるのは異例のことでしょうが、当面は県庁内の再検討の結果を待ちたいと思います。ただ、部分開示の内容も現時点では全く分かりませんし、一旦は全面不開示という決定が通知され、審査請求まで行ったことは事実なので、原稿は書き換えずに掲載していただきます。その点をご承知おき下さい。)

 

ちょうど1年前に発足したばかりの神奈川精神医療人権センター(以下「KP」)では、630調査についての初めての情報公開請求を行いました。それに対する神奈川県からの答えは、全くの「ゼロ」でした。神奈川県民としては誠に腹立たしく、また他都道府県の方々に対しては恥ずかしい限りですが、この際、恥をしのんで以下にご報告します。

 

1.「東京精神病院事情」との出会い

本題に入る前に私ごとで恐縮ですが、私の家族が精神疾患を発症した20年余り前、医療機関の情報が全く得られず、保健所などからの助力も得られないまま、孤立無縁の状態にありました。その頃、ふと見つけたのが「東京精神病院事情」(何年版かは覚えていません)でした。残念ながら神奈川県の住民である私には、この本による直接的な成果は得られませんでしたが、このように患者や家族の立場に立って書かれた本があるのだということは半ば驚きであり、干天に慈雨の思いでページを繰ったことを覚えています。どんな人たちがこういう本を書いているのだろう、なぜ神奈川県版がないのだろう、という疑問が長らくありましたが、その疑問が最近になってようやく解けました。一読者として、出版に当たってこられた皆様に感謝申し上げます。そして、神奈川県民にも役に立つ情報を何とか得たいという思いから、630調査の情報公開請求に携わることにしました・・・

<以下、全文は、おりふれ通信402号(2021年6月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

 

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奈良県での取り組み 「奈良県精神科病院等立ち入り検査結果」から

社会福祉法人寧楽ゆいの会 地域生活支援センター歩っと 大田雅子

 

奈良県には、かつて「精神保健福祉ジャーナル 『マインドなら』」という情報誌がありました。おりふれ通信にも何度か登場されている、小林時治さんが編集長を務め、県内の家族会員や当事者のフリーライター、社会福祉法人のPSWが編集部員として参加、毎月1500部を発行していました。

 精神障害の当事者や家族の権利を守るための情報発信を目的にしたもので、紙面構成は、県や国全体の動きがトップにあり、家族会活動、参加法人の活動や各圏域ごとの動き、当事者ライターによるエッセイ・コラムというものでした。

制度や県内の自治体などの動きの他、自立支援医療の受給者数や精神保健福祉手帳の所持者数の推移、交通運賃の減免運動、道路交通法改正の問題、学生無年金障害者の全国訴訟、障害年金制度の問題点の指摘や受給勧奨など、多岐にわたるニュースの発信と、問題提起を行なってきました。中でも、身体障害、知的障害と同様の福祉医療制度を求めた運動については4年、学生無年金障害者の全国訴訟については10年にわたって掲載してきました。

 

「精神科病院等立ち入り検査・実地指導結果」は平成11年度分から、630調査については、平成13年度分から毎年情報公開請求を行ない、二つの情報を掛け合わせて県内の精神科病院ごとに平均在院日数や常勤医1人あたりの病床数、任意入院者の開放処遇率などを割り出し、掲載してきました。

奈良県の場合は立ち入り検査結果から以下のような情報を得ることができるため、630調査の代用がほぼできます。(主な項目は※表1のとおり。個人名・9入院者事故処理状況の性別・年齢・入院期間については非開示)。

※表1 平成30年度 奈良県精神科病院等立ち入り検査・実地指導結果 項目

 

項目

内    容

精神科病院概要

病院名、所在地、開設年月日、法人化年月日、精神科特例許可年月日、開設者名、管理者名、事務責任者、経営形態

病院施設の概要

敷地面積、建物延べ面積、標榜診療科目、総病床数、精神指定病床数、精神科病床数、隔離室、差額ベッド床数、基準看護種別

2

精神科職員の状況

職種別、常勤・非常勤別、常勤換算計

3

看護体制

時間帯、配置人員

4

入院形態別入院者数

入院形態別の入院者人数、生活保護受給者数

5

在院患者の状況

措置入院、医療保護入院、任意入院、その他入院、合計

5-1

在院患者の状況

1年以上5年未満再掲。措置入院、医療保護入院、任意入院、その他入院、合計

6

入通院者数

入院者数、外来通院者数

7

入院者の状況

検査当日に一覧表提示

8

任意入院者の入院病棟別分類

開放・半開放・閉鎖病棟別、病棟数、病床数、入院者数

9

入院者事故処理状況

性別、年齢、入院期間、事故の状況、処理経過

10

公衆電話等の種類別設置状況

病棟名、病棟数、電話数、種類(硬貨・カード)、各台数

11

行動制限の状況

制限方法、制限対象者男女別人数、制限理由(選択式)、備考

12

金銭(所持)管理について

所持方法、病院管理の理由

※その他、生活療法及び社会復帰のための施設の有無、消防査察結果について、県の医療監視結果について、職員研修会・講習会等への参加及び開催状況、建物の設計図 等

 

<以下、全文は、おりふれ通信402号(2021年6月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

 

 

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院内集会 神出病院事件を繰り返さない ー虐待事件の政策的解決に向けてーに参加して

東京精神医療人権センター 木村朋子

 

 神奈川精神医療人権センターから東京精神医療人権センターに呼びかけがあり、表記の会の実行委員会に東京のセンターの者として参加した。神出病院問題については、4月号巻頭に兵庫県精神医療人権センターの吉田明彦さんが書いてくださっている。

ZOOMでの2回の実行委員会は、私にとって初めましての若い当事者の方がたくさん参加されていて、時代は変わってきていると頼もしく思った。実行委員会の話合いの中では、吉田明彦さんの、加害者の看護職員の有罪判決が昨年出たことなどで事件が一段落したような受け止め方があるが、現地では決してそうではない。被害者の人たちは今も退院も転院もできずに神出病院に入院継続させられている。救済できていない。会いに行くこともできない。自分たちにとって事件は終わっておらず、「繰り返さないために」「再発防止」と言うことで終わった不祥事を次に生かすという扱い方はしてほしくない。兵庫県の家族会連合会の女性の会長さんは今も神出病院の話をするたびに泣いてしまわれる・・・という話がとても心に残った。

5月11日当日は、コロナ緊急事態宣言下、衆議院議員会館内の大きな会場に80人が集まり、一つの机に1人ずつ、検温、手指消毒などの感染予防策をこなしつつ開催された。他にオンラインで130人の視聴参加者があったとのこと・・・

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20年前のこと (体験談)

T.Y.

1.点滴の日にちが切れていること

私が看護婦さんに言うと、「液体の色が変わっていないので平気」それで終わり。

でも1年に1回保健所の監査の時、裏庭の倉庫に運んで入れ、監査が終わるとまた点滴を病院に運んでいた。

 

2.主任看護婦さんに文句を言うと保護室に入れられ、不思議と翌日の朝見ると、体が動けなくなっていて、その日またはその翌日死んで、それで人生が終わり。その人はシンナーで入院。そのときまだ24才。

 

3.重症室で朝の食事の時、パンがのどに詰まり、事務員が私の名前を呼び、掃除機を持ってきて私が口の中に入れてもパンが取れず、そのまま事務員と2人、担架で霊安室に運び、そのとき私が「目がパチパチしてますよ」と言っても話を聞こうともしませんでした。

 

 私が34才の時、生きて社会復帰できたのが不思議です。

そのとき生活保護で入院していたら生きて社会復帰できなかったと思います。

 

<編集部飯田のコメント>

 T.Y.さんが20年前に経験した入院先は、東京青梅市の青梅厚生病院です。私はこの病院を50数年前に訪問したことがあります。この時の印象は、フェンスで囲われた中庭に大きな犬(シェパード?)が我がもの顔で駆け回っていたこと。院内に入ると、100人以上の人が閉じ込められていたわけですから、他の病院では多かれ少なかれ人がいるザワザワした感じがあったのですが、それが全くなし。異様に静かだったことです。

それから50数年たっての2016630日の精神病院統計を見ると、他の病院と比較しても圧倒的に看護者が少なく(精神科特例よりも更に低い「特別入院基本料」を採用)、平均在院日数も3,189日と異常に長い(東京都内精神科病院の平均は217日)。このような病院が未だに残っているのは残念だが、これが現実です。



 

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ハーディング氏講演会「ヨーロッパの恣意的拘禁防止制度と新しい法的枠組み」

東京精神医療人権センター 木村朋子

 

2月号でお知らせした表記の講演会を、323ZOOMで視聴した。この講演は昨年春ハーディングさんが来日して行われるはずだったが、コロナ感染症の影響で1年延期されオンライン開催となったものだ。家にいながら無料でジュネーブにいる人の話がライブで聴ける。時間とやる気さえあれば、勉強の機会は無限大という今の時代をあらためて思った。

 

講演は冒頭、法改正を繰り返し、スタッフの人権研修を行い、地域でのサポートを充実させて退院促進しても、なお精神病院内での人権侵害は頻発しているという事実を確認する。そして障害者権利条約委員会とWHOは、権利条約(CRPD)に基づき強制処遇廃絶というパラダイムシフトを追求している と述べる。

 

司法精神科医であるハーディングさんが活動するCPT(拷問及び非人間的なまたは品位を傷つける取り扱い、刑罰の防止に関する欧州委員会)が、ヨーロッパ各国の精神病院、入管・刑事施設など、人が本人の意思に反して入れられる施設に、事前予告なく、いかなる時間であっても立ち入り、入所者と直接(立ち合いなしで)面会、診察し、カルテほか法的書類を閲覧する強い権限を持つことは、以前から小林信子さんに聞いていた(おりふれ通信199810/11月号に日赤看護大でのハーディングさんの講演録として小林さんが書いている)。しかし今回の講演で、CPTの活動は、ヨーロッパ評議会という欧州の国連のような組織の、閣僚委員会(2004年「精神障害者の人権及び尊厳の保護に関する勧告」を決議)、議会(決議に拘束力はないが47ヵ国からの324人の議員が目下の政治的・社会的問題について活発に議論し、改革のための発想が生み出される場であるという。ここで2019年に「精神保健における強制を終わらせる」決議がされている)、そしてとりわけ欧州人権裁判所と連動して、効果的な働きをしていることがよくわかった。

 

CPTは2018年~19年にかけて、欧州評議会域内47ヵ国のうち、34ヵ国を訪問し、精神病院への訪問は21ヵ国61病院にのぼるという。(2020年の訪問がコロナ禍でどうだったのか、聞きもらしてしまった。)内訳ではトルコ、ロシア8病院、ギリシャ6病院、フランス、アイルランド5病院などが目につく。訪問結果は、勧告を含む報告書としてその国の政府に送られ、政府は6ヶ月以内に回答しなければならない。これまでに立ち入り調査を拒否した、政府、施設はないという。

 

CPTと欧州人権裁判所との協働・相乗効果は、下の写真のように、裁判所がフランス、ストラスブールに牛のようにとどまり緩慢な動きではあるがどっしりと存在感がある一方、CPTは鷺のように自由にあちこち飛んでいき、牛のもとへ見聞をもたらすと例えられた・・・

<以下、全文は、おりふれ通信400号(2021年4月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

 

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精神病院での新型コロナ感染拡大 人権状況も危機的

有我 譲慶(ありが・じょうけい)


認定 NPO 法人大阪精神医療人権センター理事・看護師

 

精神科入院者がさらされている危機

 新型コロナウイルス感染流行の中、精神科入院者はかつてない危機にさらされている。

1つ目は、精神病院では大規模クラスターが多発し、国内の感染率の4倍ものリスクにさらされている危機。2つ目はコロナ対策の名のもとに面会も外出も極端に制限され、人権状況が危機にある。

 

閉じ込められながら国内感染率の4

 私は「精神科病院・コロナ」などの複数のキーワードによるGoogleアラート検索と病院のWEBサイト、自治体のコロナサイトなどをチェックして、精神病院における新型コロナ感染状況を集計してきた。

 その結果、把握できた分だけで、2021年2月16日時点で、73病院の入院患者を含む院内感染があり21病院では終息していない。陽性患者数2,842人、死亡患者数47人、陽性職員ら802人で合計3,644人だった。報道されない院内感染も多く、病院のサイトのチェックで偶然見つかる事も多い。したがって、すべては把握しきれないが、少なくとも入院患者の感染は国内感染率の4倍、死亡率4倍と驚くべき状況だったのだ。100~200のクラスターとなっている病院ほど、死亡などの転帰や指定医療機関への転院者数を明らかにしない傾向があり、実態の把握は困難だ。職員のみの感染は73病院よりはるかに多く、集計では省いた。

 感染率、死亡率は、東洋経済オンラインの「新型コロナウイルス国内感染の状況」の最新集計から。日本の人口は125,930,000人とし、精神科病院の入院者数は、厚生労働省の「病院報告2018年1日平均在院患者数」より214,956人として計算した。(報道でつかめない総合病院・大学病院の精神病床入院者は含んでいない)

 

大規模クラスターが多発

 患者と職員を合わせた院内感染規模で5人以上が「クラスター」と呼ばれる。1~4人:13病院、5~19人:13病院、20~39人:13病院、40~59人:10病院、60~99人:14病院、100~199人:7病院、200人以上:3病院。私が把握した73病院のうち88%がクラスターであり、40人以上のクラスターは47%にもなる。しかも、100人超が10、そのうち3病院は200人超と爆発的である。しかしほとんどテレビで報道されることはない・・・

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