東京都が滝山病院を合併症登録病院として、長年患者を送っていた件

東京地業研 木村朋子

 

前号巻頭香澄海さんの「日精協誌巻頭言の問題点」で、東京都精神科患者身体合併症医療事業(いわゆる都合併症ルート)の参加病院に、滝山病院が入っていたことを知った。つまり、東京都は他の精神科病院で発症した合併症の患者さんを、公的に滝山病院に依頼して送り込んでいたということである。これは丸山次郎さんという松沢病院内科医が201510月第69回国立病院総合医学会のシンポジウムで「東京都の精神科合併症医療ー松沢病院内科医からみてー」という報告をされているのをネット検索により見つけ、分かったのだった。少し前のデータなので、今現在の合併症依頼先病院がどうなっているのか(滝山が入っているのか)、香澄さんが電話で問い合わせたところ、東京都精神保健医療課は内部資料なので公開していないと答えた由。その後東京ネットワークが東京都に質問し、佐藤精神保健医療課長が「1年ごとの契約であり、今年度は滝山病院とは契約していない」と答えている。

東京都では1980年代から夜間・休日精神科救急、身体合併症医療(精神科病院で合併症が出た場合、東京都のあっせんで指定の病院に転院、治療が終わったら必ず元の病院に戻るというルール)をそれぞれ整備してきたが、その後精神科救急医療体制として一本化し、「精神科病院入院者(救急)身体合併症医療」の名のもとに、精神科病院で合併症患者が出た場合、病院から精神保健医療課に依頼、都が受け入れ先病院と調整、迅速な対応が必要な場合(Ⅱ型)、4つの当番病院(松沢病院等)に転送、対応が必要な場合(Ⅲ型)には22の登録制病院に転送する仕組みになっているという。滝山病院はⅢ型病院として登録され、20093人、20109人、20112人、20123人、20136人、20141人、20154人、20163人、20171人、20181人、20190人、20203人、20213人の患者を受け入れている。数字は「東京都の精神保健福祉」からの引用で、2021年については「主に腎疾患」との解説があった。

Ⅲ型病院として登録されている22病院とは、順天堂大病院、国立国際医療研究センター、東大病院、慶応大病院など、前号香澄さんの表にある病院で、高度先進治療の病院群の中で、滝山病院と北野台病院は目立つ。少ないスタッフ数や日頃の活動性の低さから見て、なぜこの病院に?と疑問である・・・

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もうこれで最後にしよう! 滝山病院事件の問題点の徹底追及を通して精神医療体制の転換を目指す院内集会 第2弾 「情報公開」に焦点を当てて 参加記

東京地業研 木村朋子

 

4月13日、表記の会が衆議院第2議員会館で開かれた。第1弾は3月13日。そこで東京地業研として、情報公開で得た1987年以来の東京都精神病院統計(その後630統計)に見る滝山病院について、90年代、2000年代、2010年代、2020年代にわたって報告した。

 1987年以来滝山病院は一貫して、死亡退院率が高く(1987年72%、2021年64%、ちなみに2021年は自宅やグループホームへの退院は0%)、有資格看護職員が少なくかつ非常勤が多く(1987年看護者数非開示、2021年常勤有資格者13人、非常勤120人)、外来がなく(1987年、2021年ともに0)、生活保護の受給率が高く(1987年36%、2021年55%)、地元からの入院が少なく広域からの入院を受け入れているというのが特徴である。良いとされる精神科病院は、回転率が高く(短期入院が多い)、退院した患者さんが外来通院し、そのついでに病棟に立ち寄って入院している人や職員に刺激や励ましを与え、地域との結びつきともあいまって、病院の風通しがよいというイメージがあるが、滝山病院はその正反対の条件をそろえていると言える。
同じ内容をこの間、今号に報告のある東京精神医療人権センター勉強会、精従懇、病・地学会の滝山病院問題オンラインカフェ等で報告し、マスコミの取材も受けてきた。若い新聞記者に「問題がわかっていたのに、なぜこんなに長い間改善されなかったのでしょうか?」とまっすぐなまなざしで問われ、グサッときた。わかっていたけどこの45年変えられなかった。今回のような隠し撮りによる取材とテレビでの放映という思い切った手段によらなければ、世に問うこともできなかった。残念ながらそれが現実だ。

しかし45年前から積み上げてきた情報公開請求と得たデータの個別病院ごとの公表という活動があったから、今回長く続いてきた滝山病院問題ということを明らかにできたという面もある。そのことに焦点を当てたのが今回の院内集会第2弾であった…

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千葉県(630調査情報開示請求)への反論書から

埼玉県の精神医療を考える会 村田京子

 

昨年、千葉県へ630調査の情報開示請求をしましたが、在院者についての情報(調査票549の全て)が「個人の権利利益を害するおそれ」を理由として非開示でした。8月に審査請求をし、ようやく年明けに弁明書が届き、さっそく反論書を書いて2月に提出しました。

弁明書への反論なので、弁明書にある非開示理由「特定の立場にある者が有する情報あるいは入手し得る情報との照合により、特定の個人が識別される可能性がある」を否定することがメインです。そしてその項は、神奈川精神医療人権センターの稲川洋さんが資料提供してくださった反論書から、ほぼ引用させていただいきました。反論書としては、その項に尽きます(他府県でも個人情報を理由に非開示となった場合には、この項が参考になると思います。関心のある方はお問い合わせください)。

ただ、それ以外にも我ながらかなり熱く書いている部分がありました。一つは「高度な秘匿性が求められる情報」について。精神科だからと特別視されている感じがどうしても私には引っかかってしまうのでした。

 

高度な秘匿性が求められる情報について

弁明書に「加えて、措置入院や医療保護入院という本人の同意なくして精神科病院に入院することとなった患者の高度な秘匿性が求められる情報も含まれており、個人の人格的な権利利益の保護に欠けることのないよう慎重に判断すべきものである」とある。確かに人権侵害と表裏一体の実情を孕む精神科病院の患者情報であれば、人格的な権利利益の保護に特段の配慮が求められるのかもしれない。しかし、「だから非開示」という判断は浅慮と言わざるを得ない。開示による不利益と同様、非開示による不利益も十分に考慮されてこその慎重な判断である。

自分に関係する情報が、高度な秘匿性が求められる情報とされ、非開示に、また黒塗りにされることは、むしろ個人の尊厳を傷つけることもあり、必ずしも人格的な権利利益の保護となるとは限らない。また秘匿、あるいは非開示によって、存在や実態が見えにくくなることは、周囲の理解を阻み、存在感を弱め、社会からの隔絶をもたらしかねない。すなわち精神科病院や患者を知られざる存在として地域から遠ざけることになり、患者や家族を孤立させ、追い込むことにも繋がりかねない。

さらに、「情報」を守ることが「個人やその人権」を守ることになるのかという懸念もある。精神科病院に本人の意思に基づかず強制的に入院させられるという場面は、患者個人に対する重大な人権侵害があり得る場面である。さらに年単位で、意に反した入院が続いている患者が少なくないのが精神科病院である。仮にも個人情報を盾にするなどして情報が秘匿されれば、個人、またその人権が危機に晒されることにもなりかねない。高度な秘匿性が求められる情報だからこそ、むしろ「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要」な情報でもある…

 

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なぜ精神障害者は議会の傍聴が出来ないのか(後編)

心の旅の会 市民精神医療研究所  寺澤 暢紘

                    

6 資格・利用制限条項見直し、撤廃に向けた取り組みの経過

精神障害者の欠格・制限条項撤廃に向けた取り組みは、1974年三重県で「精神薄弱者」を理由にした運転免許の取り消し処分をめぐって、欠格条項の撤廃に向けた活動が取り組まれ、裁判で免許取り消し処分が撤回された経過があります。

その後、1981年からの「完全参加と平等」を掲げる国際障害者年を契機に発足した、障害者施策推進本部(総理府)が関係各省庁で所管する63制度の障害を理由とした欠格、制限等について再検討する方針を明らかにした「障害者に係る欠格条項の見直しについて(障害者施策推進本部)」(1999(平成11)年8月9日付)決定し、見直しが行われています。

1972年には東京で「精神病院問題を考える市民運動の会」が、公衆浴場における精神病者の「入場制限」の掲示調査などを行い、その後世田谷区営プールの「入場制限」撤廃の取り組みが行われています。

そして、1981年の国際障害者年を受け、1986年に岡山精神衛生国際障害者年推進委員会が、「これでよいのか『欠格条項』を見て」との小冊子を発行し、欠格条項の問題が社会的に取り上げられる契機となっています。

こうした動きの中、厚生省から都道府県知事あてに「精神障害者に係わる資格制限・利用制限等について」(健医発第881号 昭和62年7月21日付け)が通知され、各都道府県市町村での条例・規則改正の動きにつながっています。

その後、1985年11月に大阪で「大阪精神医療人権センター」が設立され、1988年当時大阪はじめ岡山、京都、滋賀、東京等で制限条例撤廃の活動が取り組まれました。静岡でも1990年6月に三島、沼津を中心とした障害者団体により「議会傍聴制限撤廃の申し入れ」が行われました。(参考:「精神障害者の欠格条項」全家連欠格条項に関する研究会編 1995年発行)

また、「障害者の欠格条項をなくす会」では2009年に公平委員会の傍聴規則改正に向け、自治大臣官房文書課監修の「市町村例規準則集」に掲載されている、「公平委員会傍聴人取締規則」が差別規定であるとして、当時の自治大臣あてに「公平委員会傍聴人取締規則における欠格条項の撤廃を求める要望書」を提出しています。

 

7 公衆浴場法では伝染病患者と同じように精神病者を排除

1972年の東京における公衆浴場における精神病者の入場制限問題は、1920年の「浴場及浴場營業取締規則」が1942年に改正され、「伝染病患者」と「精神病者」が公衆浴場から排除されており、伝染病も精神病も人に感染するからという理解できない規定になっていますが、次元の違うものだと思います。現行の制限条項でも公衆浴場法と同じような文脈で、「伝染病の疾患又は精神に異常があると認められたとき」、「感染性の病気にかかり、又は精神に障害があると認められる者」との表記が存在しています。(参考:「公衆浴場の法的規制における欠格条項の変遷」川端美紀著)・・・

 

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なぜ精神障害者は議会の傍聴が出来ないのか(前編)

心の旅の会 市民精神医療研究所  寺澤 暢紘

                    

 

1 なぜ、今なのか

2022年6月3日付けの秋田魁新報の「障害者の議会傍聴認めない差別的条文 大仙市が修正へ」との記事(https://www.sakigake.jp/news/article/20220601AK0021/)を知り、精神障害者の制限条項の「亡霊」が現れたように感じました。

「亡霊」との思いは、30年前の1991年11月に静岡県内市町村における、精神障害者の入場・利用制限条項について調査を行ったことを思い起こしたことにあります。当時の静岡県内74市町村の内、70市町村で123件の議会や博物館やプール等々の入場・利用制限条項があり、中には「瘋癲、白痴」という用語で対象者を規定している自治体が8件ありました。

なぜ今なのかとの思いは、国連の障害者権利条約が締結され、とりわけ障害者差別解消法が施行されている現況にあります。と、同時に呉秀三の「我邦十何万ノ精神病者ハ実ニ此病ヲ受ケタルノ不幸ノ外ニ、此邦ニ生レタルノ不幸ヲ重ヌルモノト云フベシ」との言葉が思い浮かびました。それは、精神障害者への差別、偏見が今も変わらず存在していることの「不幸」を感じたからです。

なお、秋田県だけの問題ではないと考え、全国の自治体の精神障害者の制限条項についてインターネット検索を、「都道府県市区町例規集(https://uub.jp/opm/ml_reikishu.html)」から行いました。

 

2 約四割の自治体に差別条項があり、最多は教育委員会傍聴規則

検索結果は全国1718市区町村(2021年1月1日現在)のうち、351自治体及び58の広域行政機関(参加自治体数324、重複自治体あり)の条例規則に精神障害者を対象とした制限条項が460件存在していました。制限条項が存在している単独自治体数は全自治体の20.4%で、広域行政機関参加の自治体を加えると約4割(39.3%、重複あり)の自治体で様々な制限条項が存在していました。

制限条項が存在していないのは大阪府、広島県、山口県の3府県で、それ以外の44都道府県で460件の制限条項が存在していました・・・

<以下、全文は、おりふれ通信416号(2022年11月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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630情報公開その後

東京地業研 木村朋子

 

今年2月号に村田京子さんが、埼玉県で隔離・拘束の非開示が審査請求の末開示されたこと。またさいたま市は全面非開示決定に対して、村田さんたちが審査請求→審査会での意見陳述を経て、「精神科病院には高い倫理性が期待され、それに照応した情報公開が求められる」との審査会答申が出され、全開示に至ったことを書いてくれました。その後のことを報告します。

神奈川県については、昨年6月号に神奈川精神医療人権センター(KP)の稲川さんが開示請求に対して、ゼロ回答すなわち神奈川県から「公開拒否決定通知」が送られてきた旨報告がありましたが、その後審査請求をし、しかし県は審査会の答申前に「全面開示する」と方針転換。2021630調査を得て、KPのホームページに県内70ヶ所の精神科病院のデータベースを掲載しています。一つ一つの病院ごとに、写真(どなたかが撮影に行かれたのでしょうか?)をトップに、職員数、在院患者の年齢・性別、入院期間、主診断、入院形態・処遇などの表がならび、ビジュアル的に素晴らしく、KPの迫力を感じます。

これで東京・埼玉・神奈川は全開示になったわけですが、埼玉の村田さん、神奈川の稲川さんは、首都圏で残る千葉県の開示請求もしてくれています。結果は、病床数、職員数などの病院情報は出されたものの、患者情報については入院者の総数以外全面非開示、黒塗りだらけというものでした。理由は「特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、尚個人の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当するということ。村田さんと稲川さんは、630の内容はすべて統計数字であって、カルテのような個人情報とは全く違う、必要以上に配慮や保護を行って非開示とすることは、むしろ差別的ではないかなどの考察をされていて、全く同感です。村田さんは審査請求もされる方向とのこと。

審査会での意見陳述ができた埼玉と異なり、東京はここ10年以上情報公開審査会での意見陳述が認められておらず、強く要求した私たちもダメでした。代わりに2019630の非開示決定という行政処分に対して、行政不服審査法に基づく口頭意見陳述を求め、それは63日に都庁で実施されました。傍聴も認められず、審査委員も来ず、処分庁(=非開示決定をした精神保健・医療課)の職員を前に、申立人(尾藤さん)と髙橋弁護士が、こちらの主張を30分間述べるのみというものでした…

<以下、全文は、おりふれ通信413号(2022年7月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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630調査と情報公開―三木由希子さんの話を聞いてー

東京地業研 山本則昭

 

 1月27日、情報公開クリアリングハウスの三木由希子さんの話を伺う勉強会「630調査と情報公開」に参加した。三木さんは「情報公開法を求める市民運動」(1980年設立、以下「市民運動」)から活動に参加した。当時、政治汚職や薬害、公害などの究明が公務員の守秘義務や企業秘密によって阻まれていた。情報公開を求める運動が各地で起き、地方自治体が次々と情報公開条例を制定、そんな中で「市民運動」は全国の情報センター的な役割を担った。1999年には情報公開法が制定され、その後「情報公開クリアリングハウス」に名称変更。「公的機関における市民の知る権利の確立」という目的のため、その手段として「情報公開制度」「個人情報保護制度」を位置付けているとのこと。

 多くの情報をいただいたが、印象に残るポイントについて報告する。

1「情報提供と情報公開請求の違い」 「情報提供」は情報提供側が任意に提供対象や情報内容を選んで(場合によっては情報を加工して)実施するのに比して、「情報公開請求」は請求者が誰であっても、どんな目的・意図であっても公開できるか否かで非公開理由の該当性が判断される。そして、処分の内容に不服がある場合は審査請求、訴訟で争うことができるものだ。しかし「どちらが正しいかではなく、市民として損をしないためにうまく組み合わせることが重要」とのこと。「運動論や心情的正しさを追求し過ぎると、制度の範囲で判断させるための争点化に失敗することがよくある」と忠告をいただいた。「あまりウェットにならずサラッと開示請求するのがいい」とも。

2「厚労省の対応をどう考えるか」 厚労省は2018年の国会で「公開するかしないか、どういうふうに公開するかというのは、都道府県ごとに判断していただくもの。国の方で都道府県に公表するなとか決して申し上げるつもりはない」と答弁している。一方、同年の630調査時の都道府県への依頼内容として「患者に関する情報が含まれていることから・・・個人情報保護の観点から精神科医療機関の提出した個々の調査票の公表は予定しておらず、・・・その旨を明示した上で協力を求めること」としている。厚労省の思惑としては「医療機関側の反発を招くことは避けたい」「都道府県に調査票自体の公表を予定したものではないことを周知し、依頼内容に反映するように求める」「都道府県が非公開を前提に調査協力を求めた場合、情報公開条例の不開示規程に該当する可能性が高くなり、法人の利益保護との関係で慎重になる」つまり「厚労省は都道府県の個々の情報公開請求に対する決定に介入はできないが、望ましい決定を引き出しやすくなる」といううまいやり方をしていると三木さんは評する…

<以下、全文は、おりふれ通信409号(2022年3月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

 

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2019年度630調査(埼玉県・さいたま市)開示請求 -審査請求のその後;開示決定!

埼玉県の精神医療を考える会 村田京子

【埼玉県】20203月開示請求 5月・6月部分開示決定(隔離・拘束指示数が非開示) 9月審査請求  20215月審査会口頭意見陳述 10月審査会答申「不開示としたことは妥当ではなく、取り消すべきである」 12月処分庁裁決書「不開示とした部分を取消し、別表の通り開示する」

【さいたま市】2020年8月開示請求 9月部分開示決定(ほぼ全面非開示) 12月審査請求 20213月処分庁との口頭意見陳述 7月審査会口頭意見陳述 11月審査会答申「処分を取り消し、開示できる部分について再検討を行うべきである」 2022年1月処分庁裁決書「処分を取消す」

「開示請求」に始まり、非開示に対する「審査請求」、処分庁の弁明書に対する「反論書」の提出(弁護士に依頼)、審査会での「口頭意見陳述」。労力も時間もかかりましたし、星丘さんがおりふれ(403217月号)に書いた「もともと出ていた情報が出なくなって、それを出してもらうために労力を使うのは虚しい気持ち」が正直私にもありました。が、ともあれ今回、開示にちゃんと辿り着くことができ、良かったです!また、さいたま市の審査会の答申では、以下に抜粋転載したように、国民の医療選択権について触れた上で「精神科病院には高い倫理性が期待され、それに照応した情報公開が求められる」との記述があり、虚しさが少し解消されました。

 

【さいたま市情報公開・個人情報保護審査会の答申書から抜粋】

審査会の判断の理由 ~中略~ 医療法人に関する情報は、医療が生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とするものであり、医療の提供は良質かつ適切なものであることが求められていることから、ほかの種類の法人の情報とは別異の考察が必要である。

医療は国民の健康の保持増進ひいては生命の尊重に寄与することを目的としている。医療における中心的な存在は患者でありその家族である。患者及びその家族にとってどのような場で治療をうけるかを知ることは不可欠であり、患者及びその家族には、自らの判断で医療機関を選び、十分な情報を得たうえで治療方法を選択する権利が保障されていなければならない(それは日本国憲法第13条幸福追求権及び第25条生存権に基づく)。そのためには、病院情報が広く公開されることが必須である。医療機関にとっても、患者及び家族の選択を通じて医療の質を吟味され、治療構造の見直しを通じて良質な医療の確保につなげていくことが可能になる。

医療法(昭和23年法律第205号)によれば、病院や診療所等は、医療法に基づく設立認可によって医療法人とすることができ、認可された医療法人はその責務として、提供する医療の質の向上及びその運営の透明性の確保を図り、その地域における医療の重要な担い手としての役割を積極的に果たすよう求められ(同法第40条の2)、その運営に非営利性と公共性が求められる存在である。~中略~

患者とその家族の医療の選択が保証されること、そのための病院情報の公開は医療法人の基本的な責務であり、医療法人がこれらの観点から医療機能について一定の評価をうけることは運営基盤の強化を図るためにも避けて通れないところである。

さらに、当該病院は、精神保健福祉法に基づき、強制入院や在院患者に対する行動制限あるいは身体の自由を制限する権限を与えられており、その存在は高い倫理性が期待されているのであるから、それに照応した情報の公開が求められることは不合理ではない。

 

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2020年東京630情報公開

東京地業研 尾藤昌子

2021年818日、東京都地域精神医療業務研究会としては2年ぶりに「2020630調査精神病床を持つ医療機関調査票」の開示請求を行いました。(2019年分は昨年、長谷川利夫さんが東京都に対して公開請求をし、開示されたものをいただきました)

9月25日付で「開示決定等期間延長」の通知がきました。延長理由は「公文書が大量であり、気管内に決定することが困難であるため」と記載されていました。

延長期限の1015日に開示決定通知書が届いたのですが、通知書には「全開示 自衛隊中央病院および協和病院を除く103病院分」とあり、この2病院については別に非開示決定通知書が付され、開示・非開示2通の通知になっていました。

非開示の理由は、自衛隊中央病院と協和病院は紙媒体で調査票を提出し、東京都は控えをとることなく厚生労働省に提出したため、現に保有しておらず、存在しないためというものです・・・

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さいたま市情報公開・個人情報保護審査会での意見陳述(2021.7.15)報告

埼玉県の精神医療を考える会  村田京子

 

715日、さいたま市情報公開・個人情報保護審査会で、630調査非開示結果に対する意見陳述を行ってきました。15分と短いので、私からは、「同じ条例に基づきこれまでは開示しているのだから、今回の非開示理由は全く不可解だし、非開示の判断は決して承服できない」「私たちは日本の精神科医療の実情、病院の実態についてあまりにも知らない。知らないがゆえに、当事者やご家族、病院だけにしんどいことを押し付けている。多くの人が実情を知り、問題を共有するために情報公開はとても重要」ということだけ話し、次に佐川さん(鴻巣市家族会会長)がご家族の切実な思いを、星丘さん(埼玉人権センター代表)が病院や福祉施設で働く立場で、杏林大学長谷川教授が専門家として話されました。

5人まで参加できたので(埼玉県では3人)、請求人の私と代理人の髙宮弁護士に加えて、上記お三方に補佐人をお願いしましたが、佐川さんが話されている時は、審査委員も真剣な面持ちで聴き入っている感じ、星丘さんが「精神科病院で働いていた…」と話し始めると顔を上げ、興味を示した様子が伺えました。実体験とその思いがこもった言葉はやはり力があると私も感じました。また事情に精通され広く深い見識に基づく長谷川教授の意見は説得力と迫力があり、また髙宮弁護士が折々理路を正してくださり、最強の布陣だったと思います。1週間ほど前にズームで打合せをし、当日は話す順番や提出資料の確認をしました。

審査委員は5名。会長は大学名誉教授、3名が弁護士、行政経験者が1名でした。15分強の意見陳述の後、委員からの質問がありましたが、弁護士のお一人から、非常に細かい質問が続き、正直驚きました。「資料をちゃんと見てくれているんだ」という嬉しい驚きです・・・

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