滝山病院「かながわ」退院促進実行委員会 代表 原 裕樹
『滝山病院に神奈川県民がまだ7名も入院中!』
【おい、なんなんだ~】
おい、なんなんだ~。誰か、何とかしてくれないか~。
この映像を観て、私(原)は思わず嘆きわめきました!
ある患者の代理人弁護士による刑事告発で警察が動き、2023年2月15日に看護師が暴行容疑で逮捕されて報道され、2月25日はNHK「ルポ 死亡退院 ~精神医療・闇の実態~」(NHK NEWSWEBより)の取材チームにより、患者への暴力や違法な拘束、虐待の様子が映像として公開され、白日の下にさらされることになりました(以下映像を文章化し記載)。
「もうつらい思いをしたくないです」泣きながら訴える患者の映像。
病院の職員に殴られたり縛られたりしたと明かしていました。
別の映像には医療スタッフと見られる人物に殴られ「怖い、怖い」と訴える患者の姿もありました。
≪映像のやりとり≫
患者:おーい。
職員:何?「おい」ってなんだよ。「すみません」だよな。口の利き方に気をつけろよ。
患者:痛い、痛いよ。
病室内で黒っぽい服を着た医療スタッフとみられる人物が、横たわる患者の頭を繰り返しベッドに押さえつける様子が。別の映像では、消灯後とみられる薄暗い病室の中を、医療スタッフとみられる男性が奥のベッドで声を出していた患者のもとまで歩いていくと…。
職員:うるせえよ。みんな寝てんだろ?あ?静かにしろよ
枕で患者の顔面を2回たたく様子が確認できます。
≪公開された音声1≫
患者:たん取ってくれ
職員:『くれ』言ってるやつはだめだって言ってるだろ。何回言ったら覚えるんだよ
患者:…たん取って下さい
職員:嫌です!ギャハハ
≪公開された音声2≫
職員:本気で行こうか、本気つっても痛くねえだろ、もっと行くぞ!(物音)
いてぇか?本当に?なぁいてぇか?本気で行こうか?おい!
患者:痛い…
【いたたまれない情景】
いたたまれない情景が目に浮かびます。 八王子市にある滝山病院での患者への人権侵害が明らかになりました。実は1980年代から「死亡退院」が多すぎると長く問題視されていたようです。
この滝山病院の院長は、2001年に患者不審死や診療報酬不正で廃院した、埼玉県の朝倉病院の元院長が、滝山病院の院長になっていたのです。人工透析もできる合併症対応可能な長期療養病院として、関東一円の家族や医療機関、福祉行政が頼り、病院が閉鎖病棟に患者を長期にわたり抱え込んで、「退院転院」の考えが低下して「死亡退院」が当たり前になっていたようです。
また、滝山病院はその後も運営を続け、2022年6月30日現在で152人の患者がなお入院し、うち31人は神奈川県民、うち20人が生活保護受給者です。(編集部註 2023年630調査では、87人が入院中。そのうち神奈川県民は21人、うち生活保護受給者は14人となっています)
この映像のタイトル通り、入院したら生きて退院できず多くの入院患者が「死亡退院」(死亡しないと病院の外に出られない)とのことでしたが、私はまずは神奈川県の31人を生きて「退院転院」できるようにしようと思って一緒に関わってくれる仲間(実行委員メンバー)探しをしました。
【「かながわ」に風が吹く】
神奈川県内の福祉や医療などに携わる有志5名が集まって滝山病院「かながわ」退院促進実行委員会を発足することができました。その後2名が加わり計7名(主な肩書:弁護士、医師、看護師、社会福祉士、精神保健福祉ボランティア、兄弟姉妹の会員、精神保健福祉士)と更に1名のオブザーバー(精神保健福祉士)のメンバーで、この14ヶ月間で13回の定例会議を開き様々な検討をしながら準備して活動をしてきました(定例会は平日18時~20時頃、横浜市中区寿町の会館にて開催)。
【実行委員会の目指すところ】
- 滝山病院事件の現状と背景を深く理解する。
- 滝山病院に入院されている患者の早期救出と生命・人権を守るために私たちに何ができるのかをみなさんと一緒に考える。
- 今も隔離収容型の病院医療中心である日本の精神科医療を変革していく。
*特に重んじたのは、上記のテーマに関心を持たれたみなさん(サポーター約300名や市民・県民)との関りを持ち続けることで、この間9回の「ニュースレター」をメールにて配信しました。反響として「毎回、活動報告をありがとうございます」「代わりに行政に声明文を出し てくださりありがとうございます」「いつも、自分の団体にも報告させていただいています」などの返信をいただきました。
(中略)
◆「神奈川県知事、横浜市長、川崎市長、相模原市長宛」そして「東京都」への申し入れ内容は以下
1.滝山病院入院中の神奈川県民の一刻も早い退院を促すため一人一人に対して具体的な対策を示すこと
2.神奈川県民が滝山病院入院に至った斡旋や紹介の経緯やその後の関わりを具体的に明らかにすること
3.精神科病院への不適切な強制入院や隔離拘束や長期入院や虐待をなくすため具体的な対策を示すこと
4.入院ではなく、地域で生活しながら住まいや医療を続けていけるための、具体的な対策を示すこと
5.地域精神科医療の改善のため、精神障碍当事者や家族や支援者を入れた検討と交渉の場を継続的に設けること
➡それを受けての黒岩知事記者会見が開かれた
黒岩知事より、面会を嫌がっている滝山病院と積極的に面会をさせてもらうような指示が出てました。2023年12月12日現在、神奈川県民19名の入院患者でした。
その結果、神奈川県職員だけでなく横浜市、川崎市、相模原市職員も面会して転院退院への働きかけをし始め、2024年5月22日現在には入院患者はかなり減り7名となりました。
最後に2024年に3月に、退院転院したい入院患者や関係者のところに、どこに連絡をしたらよいかの「チラシ」を作って神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市役所に配布して、ご本人の手元でお渡し願いたいことを依頼しました。特に川崎市役所は積極的に配ってくださり、お一人の方が転院・退院することができました。まだ「かながわ」には7名の方が入院されているので何とか退院できる方法を考えて一日も早く救出をしていきたいと思っています。
<全文は、おりふれ通信433・434号(2024年6月号・7月号)でお読み下さい。ご購読(年間3,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>
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