こんどの精神保健福祉法[改正]案は絶対におかしい!!これは精神障害がある人々への政府からのヘイトクライムです

NPOこらーるたいとう     加藤 真規子
 
 2016(平成28)年4月1日、障害者差別解消法が施行された。しかし法制度は定着をしていなかった。2016年7月26日未明、神奈川県相模原市にある障害者施設「津久井やまゆり園」に、元職員のA被告が侵入し、入所者19名を殺害し、27名を負傷させた「相模原障害者殺傷事件」が起きたのである。

 A被告は、2016年2月、「障害者は社会にとって不要な存在だ」とする手紙を衆議院議長宛に書いていた。「障害者はいなくなればいい」と周囲に話すなど障害者に対する歪んだ考えを持っていた。A被告はその行動や主張から優生思想に基づく差別主義者といえるだろう。けれども私は彼を断罪するだけでは、本当の問題は解決しないと考える。彼のような主張を受けとめる土壌が社会に根強く、広がっているという事実と、そのような社会病理に真正面から取り組もうとしない社会や政治の在り様が本当の課題なのだ。ところがA被告を「精神保健福祉法の措置入院をさせ、12日間で退院させた」ということが最重要な問題として、「相模原障害者殺傷事件」の本質の代わりにすり替えられてしまった。事件2日後、安倍首相は、関係閣僚会議を開いて「措置入院のあり方を検討」するよう指示したのである。厚生労働省内に「検討会」が設置された。

 事件後、A被告と同じカテゴリーに入ると思われている人間、すなわち精神障害者、精神科ユーザーの人々が周囲から危険視されていると感じ、勤務や通所ができなくなったという事例も起きていた。大阪教育大学付属池田小学校児童殺傷事件を巧みに利用して、精神障害がある人々、精神科の治療を必要とする人々を弾圧する心神喪失者等医療観察法を施行した政府への恐怖が、いまだ生々しい記憶・現実としてあった。それ故に、私たちは、「相模原障害者殺傷事件」の本質である「優生思想」「少数者へのヘイトクライム」と様々な人々と連帯して闘ってきた・・・

 以下、全文は、おりふれ通信360号(2017年5・6月号)でお読み下さい。
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措置入院の制度改革に思うこと

山本則昭

 3月6日に行われた「シンポジウム 精神障がい者の医療と福祉はだれのものか-措置入院の制度改革について考える-」(日弁連主催)に参加した。

 今回の精神保健福祉法の改訂案は、相模原事件をうけて設置された「相模原市の障害者施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」の提言に基づくものである。「これからの精神保健医療福祉のあり方に関する検討会」の「報告書」(2月8日)もこれを踏襲している。2月24日、事件の容疑者は鑑定の結果「責任能力あり」とされ起訴されたが、その結果を待たずに改訂案は取りまとめられた。その肝は措置入院の「改正」であり、当初から一定の意図をもって用意されたことは明白である。その主な「改正」点を確認しておく。
1、措置を行った都道府県等は措置入院中から退院後支援計画(退院後の医療その他の援助についての計画)を作成しなければならない。
2、措置入院先病院は、医療保護入院と同様、退院後生活環境相談員を選任し、患者の退院に向けた支援を行う。
3、退院後支援計画作成都道府県等は、退院後、患者が居住地を移したとき、移転先の都道府県等に必要な情報を通知しなければならない。
4、都道府県等は関係行政機関等により構成される精神障害者支援地域協議会を設置し、退院後支援計画等作成に関する協議及び実施に係る連絡調整を行う。

 入院中の丁寧な治療や処遇は結構だが、それは従来の法制度の枠内でも十分可能である。問題は、むしろ退院後である。措置解除された後の地域生活をどこまでも追いかけて「支援」を行えることになっている。「支援」というと一見聞こえはいいが、その実は管理であり、監視だ。期限も明文化されていない。措置入院中であれば、一応は退院請求や処遇改善請求があるが、措置入院歴のある地域生活者には不服申し立て権の定めもない。一方「精神障害者支援地域協議会」には関係行政機関に情報提供を求める権限が与えられている。

 要するに、一旦措置になったら簡単に退院をさせない、退院後も地域管理を継続することが趣旨であり、他方でいかに「共生社会の推進」を謳っても理念倒れでしかない。鑑定結果を待たずに上記のような措置入院の改訂案を作り上げたのは、「今回の事件は精神疾患によるものであり、措置入院を厳しくして監視をすることで防止対策としますよ」という国民へのメッセージである。3月6日の集会のシンポジウムで皆が一致して批判していたのが「精神医療を治安の道具にしている」というものだった・・・

 以下、全文は、おりふれ通信359号(2017年4月号)でお読み下さい。
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「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」の「報告書」は誤っています

多摩あおば病院 精神科医師 中島 直

 厚生労働省にもうけられた「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」(以下、検討チーム)が、「中間とりまとめ」を2016年9月14日付で、「報告書」を12月8日付で出しました。この事件に関連しては、本紙2016年8月号に、伊藤先生から見解が出されており、これには全面的に賛成です。事件の犯人とされた人に措置入院歴があったことが問題とされていますが、そのことが事件に関係しているかもわからないし、退院の仕方を工夫することで事件が防止できたとも言えないし、こういう事件の防止をすることは精神科医療の第一の目的でもありません。

 「報告書」は、「再発防止策の検討に当たって重視した3つの視点」として、「1共生社会の推進」「2退院後の医療等の継続的な支援を通じた、地域における孤立の防止」「3社会福祉施設等における職員環境の整備」を挙げていますが、「1」や「3」は分量もわずかで抽象的な文言にとどまっています。

 「2」が一番長いのですが、結局は措置入院からの退院をなかなかさせない方向となっています。特に大都市圏では、措置入院が精神科救急医療の一つのシステムとして機能しており、それが日本全国でもかなりの数を占めています。これがベストとは思いませんが、少なくとも現状では精神科救急は措置入院なしに行うことはできません。救急医療では、アクセスしやすいこと、および入院が必要な時期が終わったら速やかに退院してもらうことが重要です。退院をなかなかさせなくしたら救急医療としての機能はできなくなります。例えば、「報告書」で、措置入院で「調整会議」を開催して退院後支援計画を作成することが提唱されていますが、この会議には関係者の出席が必要です。退院が多少遅れてもこういう会議を行うことが必要な人もいますが、普通に退院できる人やすでにサポート体制ができている人も含めて一律にこのようなことを行えばただただ入院期間を長引かせるだけです・・・

 以下、全文は、おりふれ通信357号(2017年1・2月号)でお読み下さい。
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韓国憲法裁判所の保護入院憲法不合致決定について

弁護士 長谷川 敬祐

本年9月29日、韓国の憲法裁判所において、精神保健法の保護入院が憲法に合致しないとの決定がなされました。韓国の裁判所の決定とはいえ、日本の医療保護入院の問題と通じるところが多々あると思います。本稿では、韓国の憲法裁判所の決定の概要を紹介した後に、日本の医療保護入院制度の問題について私なりの考えを述べたいと思います。
1 韓国の当該事案の概要
当該事案では、強制入院させられたご本人が、韓国の精神保健法24条の規定により、子ども2人の同意と精神科専門医の入院診断によって精神医療機関に強制入院させられたことについてその違法性を裁判で争いました。そのなかで、精神疾患などの強制入院の可否を保護義務者の同意と精神科医1人の判断に任せている精神保健法第24条が憲法に反するなどとして、憲法裁判所に法律の違憲性の判断を求めました。

2 韓国の精神保健法24条について
韓国の精神保健法24条は、保護義務者による入院を定めたものです。保護義務者2人の同意と精神科専門医の入院の必要性の判断がある場合に、強制入院が可能となっています。その際、精神科専門医は、①入院などの治療または療養を受けるに値する程度の精神疾患にかかっていること、②患者自身の健康・安全や、他人の安全のための入院などを行う必要があることのいずれかに該当すると判断した旨の意見を記載しなければならないとされています・・・

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兵庫県独自の措置入院者の継続支援

精神保健福祉士・精神障害当事者 @兵庫県
彼谷哲志

神奈川県相模原市の障害者支援施設で、19名の障害者が殺害されるという痛ましい事件がありました。容疑者の動機などは報道などで漏れ伝わるところですが、裁判を通じて事件の全容が解明されることを願っています。
厚生労働省が事件を受けて設置した「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」の中間まとめによれば、相模原市の容疑者は、地元警察から相模原保健所に通報があり、他害の恐れがあるため、北里大学東病院に2週間措置入院。容疑者が退院した後に行政からの支援はとくにありませんでした。警察や行政の連携、病院の判断が適切だったか、様々な議論がなされていることは、読者のみなさんもご存知だと思います。

兵庫県の継続支援チーム
兵庫県では、県独自の取り組みとして、措置入院の退院後のフォローを行う「継続支援チーム」を設けて、今年4月から運用をはじめています。相模原市の事件の翌月には塩崎厚生労働大臣が兵庫県を視察していますし、検討チームも10月に視察する予定で、兵庫の方式を参考に検討が進められる可能性が高いでしょう。
ところで、筆者は現在、相談支援事業所で働いていますが、この継続支援チームと連携したことはなく、制度については私自身も職場の精神保健福祉士も、地元新聞の報道を通してはじめて知りました。県内の多くの精神保健福祉士も似たようなものだと思います。地域で働く精神保健福祉士が措置入院に関わることはそう多くありません。ちなみに、2014年度の全国の措置入院件数は1479件、医療保護入院の17万件から比べると少なく、兵庫県で2015年度末に措置で入院していた患者は15人です・・・

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9月1日から実施された、「精神・知的障害の障害年金の等級判定のガイドライン」について

精神障害年金研究会、東京・無年金障害者をなくす会、駒木野病院
山口 多希代

みなさん、てんかんを除く精神障害(発達障害含む)と知的障害の障害年金の認定に新しいしくみが導入されたのをご存知でしょうか。厚生労働省のホームページや年金関係の雑誌、社会保険労務士のホームページなどで情報が入っているかもしれませんが、ここで概要を紹介したいと思います。本稿では、障害年金診断書を診断書と表記します。

■ガイドラインについて
国民年金の障害基礎年金は、地方裁定といって都道府県ごとに認定審査が行われています。以前から「都道府県での差が大きい」「就労していると支給停止になってしまう」などの声が上がっていました。今回のガイドラインは、地域差の問題が報道されたことをきっかけに、厚労省内で調査をし、特に地域差の大きかった精神・知的障

害について対策を講じる必要があるということになりました。そして、昨年2月に専門家検討会を立ち上げ、障害認定の都道府県格差を縮小し標準化を図るために「ガイドライン」を作りました。パブリックコメントの数の多さにも見られるように、このガイドラインは多くの当事者・関係者が不安や疑問を持っていましたが、いよいよ9月1日から実施されることになりました。この日以降、新規で請求される方(受付分)に適用されます。現在受給中の人は、次回の障害状態確認届から適用され、改定請求や支給停止事由消滅届を出す場合も同じです・・・

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奈良県・福祉医療実現への足取り-奈良県家族会連合会奥田和男会長の資料から

編集部から:「マインドなら」(現在は惜しくも休刊中です)というミニコミがあり、おりふれ通信編集部あてに送っていただいたものを楽しみに読んでいました。そこでかなり以前から奈良県の精神障害者医療費助成運動について報告がされていました。今回、「マインドなら」編集者の小林時治さんに、運動の経緯やこれからの課題などを書いていただきたいとお願いしたところ、詳細な資料が送られてきました。
以下に、編集部による抜粋を載せますが、詳しくは6月下旬に発行された300頁を超える『運動の記録』(問い合わせ・注文は、奈良県精神保健福祉ボトムアップ連絡会 Tel/Fax 0472-55-2301)を購入の上ご参照ください。(頒価2000円)

 奈良県の精神障害者福祉医療は、精神保健福祉手帳1級、2級所持者に対し、全診療科の入院・通院に、身体・知的障害者の福祉医療制度と同じ助成をするものですが、6月末現在、橿原市を除く11市と全27町村で実現、もしくはそのメドがつきました。橿原市も前向きに検討中と言われ、2017年度には100%実施の見込みです・・・

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