精神科病院統計が激変! あらためて個別精神病院統計の公表を求める

東京地業研 木村朋子


 「東京精神病院事情(ありのまま)」の元データとして私たちが愛用してきた「東京都精神病院統計」(近年この名前は表題から消え、630統計と呼ばれていました)が、知らないうちに、昨年6月30日付から、国立精神・神経医療研究センターがつくった、これまでと全く違う調査票(エクセルの表)を、各精神科医療機関が入力して、原則メールで各都道府県に提出する形に変わっていました。

 変更については、同センター精神保健研究所のウェブサイト『「精神保健福祉資料」が変わります』に説明があり、「平成30年度からの第7次医療計画および第5期障害福祉計画に参照となるべく」ということで、認知行動療法や依存症集団療法等の届け出をしているか、それら療法の研修を受けた職員が何人いるか、訪問看護の実施状況など、国が現在力を入れていることが調査項目に上がっています。

 個別病院データとしては、職員数、病棟数、それぞれの病棟の病床数、措置指定病床数、開放・閉鎖の別、届出入院料、保護室数、公衆電話の数があるくらいで、あとは全部患者一人ひとりに番号を振り、入院病棟、年齢、性別、主診断、入院年月、入院形態、隔離と身体拘束指示の有無、住所地(都道府県と市町村)という個人データ一覧表に変わっています。情報公開請求をしても、個人データ一覧表をこのまま出すのは不可能という内容です。つまり630統計が公開されても、個別病院ごとの入院者の病名、年齢、入院期間、入院形態の構成や隔離・身体拘束数などを知ることはできなくなったということです。個別精神病院の情報公開を!ということを旗印に、裁判まで起こして入手したデータを広く知らせる活動をしてきた私たちには青天のへきれきでした・・・

 以下、全文は、おりふれ通信365号(2018年1月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566、立川市錦町1-5-1-201おりふれの会へ

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提言 措置入院を受け入れる病院について

東京地業研 代表 飯田文子


 この間問題としてきた精神保健福祉法改訂案は、参議院通過後、衆議院では論議される間がなく、国会会期末とともに継続審議となった。法案は諸団体が指摘するとおり、精神医療の治安目的化を明確にすることで、患者を苦しめ、医療者にとっては患者との信頼関係の構築が難しくなり、社会の精神障害者に対する差別・偏見を強化するなど、ひとつも良い点がなく、廃案にするしかないものである。

 今回の法改正は、相模原事件と無理矢理つなげる形で、全入院者の1%に満たない措置入院者の「退院後のフォロー」ばかりに焦点を当てたものとなった。措置入院は、昔のように「経済措置」として多数が長期間入院する手段として利用されることはなくなり、都道府県による措置率のばらつきも0.1%~2%の範囲に狭まってきて、大きく問題視されることがなくなってきていた。しかし今回措置入院の出口問題が政治的に焦点とされたことで、圧倒的に問題があり数も多い医療保護入院のみならず、措置入院のあり方も考え直してみなければと思った。
 
 東京の措置患者数で見ると、2007年には入院1年未満176人、1年以上14人だったのが、2013年には1年未満243人、1年以上6人と、措置入院数は増えている中で、長期入院の人は減ってきている。2013年の措置患者249人は、38人が都立松沢病院を中心とする国公立病院、残る211人が25か所の私立措置指定病院に入院している。措置入院は知事命令でなされる強制入院であり、本人、家族は入院先を選べない。本来は国公立病院が入院先となるべきだが、民間精神科病院中心の日本の状況では、東京の例に見るように措置入院のほとんどを「措置指定」された私立精神科病院が受け入れている。この指定病院の質が問題である。

 私たちは5年に1回いわゆる630統計をもとにした「東京精神病院事情」を出版してきた。個別精神科病院についてマンパワーと平均在院日数など活動性を表す指標を点数化して評価したものである。その中から、東京の25指定病院と単科国公立病院を一覧表にしてみた。この表に見るように、医師1人当たりの患者数が11人の烏山病院から、57人の多摩済生病院まで、マンパワーだけ見ても大きな病院間格差がある。措置指定にはもちろん厚労大臣が定める基準(*医師数が(A-52)/16+3以上であること A=入院患者数/3+外来患者数/2.5
看護師と准看護師の数が、入院患者数/6+外来患者数/30以上であること)があるが、精神科特例並みの基準に過ぎず、東京都内の指定病院はマンパワーに最も乏しい病院でもクリアしている。水準の低い病院にも措置入院を引き受けてもらわねば制度が維持できないという行政の怠慢であり、低い基準の病院に有無を言わさず入院させられる患者はたまったものではない。
20177
(詳しくは「東京精神病院事情2008→2013」お買い求めを。ホームページ arinomama.net

表の合計点が高い病院では、今回法案にあがった措置入院者の個別ケース検討会議のようなことは、措置入院に限らず既に必要に応じて行っている。現実には措置入院のまま退院する人はほとんどおらず、他の入院形式に切り替わって、外出・外泊などを行って退院に向かうのであり、こうした入院者の退院に向けて、地域の支援者や外来クリニック職員や、訪問看護師などが入院先病院に出向き本人を交えての打ち合わせ会を持つことは、当たり前に行われていることである。
以上から考えられることは、措置入院者個人に焦点を当てるのではなく、措置指定病院の医療の質を上げることが必要である。一般科なみの人員配置基準を含む措置指定基準を設定し直し、基準に達しない病院は指定を取り消す。このことを提言する

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こんどの精神保健福祉法[改正]案は絶対におかしい!!これは精神障害がある人々への政府からのヘイトクライムです

NPOこらーるたいとう     加藤 真規子
 
 2016(平成28)年4月1日、障害者差別解消法が施行された。しかし法制度は定着をしていなかった。2016年7月26日未明、神奈川県相模原市にある障害者施設「津久井やまゆり園」に、元職員のA被告が侵入し、入所者19名を殺害し、27名を負傷させた「相模原障害者殺傷事件」が起きたのである。

 A被告は、2016年2月、「障害者は社会にとって不要な存在だ」とする手紙を衆議院議長宛に書いていた。「障害者はいなくなればいい」と周囲に話すなど障害者に対する歪んだ考えを持っていた。A被告はその行動や主張から優生思想に基づく差別主義者といえるだろう。けれども私は彼を断罪するだけでは、本当の問題は解決しないと考える。彼のような主張を受けとめる土壌が社会に根強く、広がっているという事実と、そのような社会病理に真正面から取り組もうとしない社会や政治の在り様が本当の課題なのだ。ところがA被告を「精神保健福祉法の措置入院をさせ、12日間で退院させた」ということが最重要な問題として、「相模原障害者殺傷事件」の本質の代わりにすり替えられてしまった。事件2日後、安倍首相は、関係閣僚会議を開いて「措置入院のあり方を検討」するよう指示したのである。厚生労働省内に「検討会」が設置された。

 事件後、A被告と同じカテゴリーに入ると思われている人間、すなわち精神障害者、精神科ユーザーの人々が周囲から危険視されていると感じ、勤務や通所ができなくなったという事例も起きていた。大阪教育大学付属池田小学校児童殺傷事件を巧みに利用して、精神障害がある人々、精神科の治療を必要とする人々を弾圧する心神喪失者等医療観察法を施行した政府への恐怖が、いまだ生々しい記憶・現実としてあった。それ故に、私たちは、「相模原障害者殺傷事件」の本質である「優生思想」「少数者へのヘイトクライム」と様々な人々と連帯して闘ってきた・・・

 以下、全文は、おりふれ通信360号(2017年5・6月号)でお読み下さい。
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投稿・精神保健福祉法改正について

丘 俊夫

 2016年7月26日、知的障碍者施設『津久井やまゆり園』で19人の知的障碍者が虐殺された。刃物で切りつけたり、刺したりして、殺害は計画に沿って合理的に行われたとされ、強い殺意があったと思われる。容疑者はこのような殺害行為だけではなく、衆議院議長にも手紙を出し、安倍首相あての手紙も自民党本部に持参したという。その思想内容は「日本のために障害者を抹殺する」「生まれてから死ぬまで重複障害者は人をふこうにする」というように、障碍者への憎悪、人間ではないという蔑視など、差別と偏見に満ちている。しかしこの事件については、いまだに容疑者は精神鑑定のための留置中であり、公判も行われておらず、つまり国民の前に事実が明らかになっていないのだ。(編集部注:この原稿は2月14日に編集部に届いたものですが、その後2月24日、植松容疑者は責任能力ありと鑑定され、起訴されました。)・・・

 以下、全文は、おりふれ通信358号(2017年3月号)でお読み下さい。
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「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」の「報告書」は誤っています

多摩あおば病院 精神科医師 中島 直

 厚生労働省にもうけられた「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」(以下、検討チーム)が、「中間とりまとめ」を2016年9月14日付で、「報告書」を12月8日付で出しました。この事件に関連しては、本紙2016年8月号に、伊藤先生から見解が出されており、これには全面的に賛成です。事件の犯人とされた人に措置入院歴があったことが問題とされていますが、そのことが事件に関係しているかもわからないし、退院の仕方を工夫することで事件が防止できたとも言えないし、こういう事件の防止をすることは精神科医療の第一の目的でもありません。

 「報告書」は、「再発防止策の検討に当たって重視した3つの視点」として、「1共生社会の推進」「2退院後の医療等の継続的な支援を通じた、地域における孤立の防止」「3社会福祉施設等における職員環境の整備」を挙げていますが、「1」や「3」は分量もわずかで抽象的な文言にとどまっています。

 「2」が一番長いのですが、結局は措置入院からの退院をなかなかさせない方向となっています。特に大都市圏では、措置入院が精神科救急医療の一つのシステムとして機能しており、それが日本全国でもかなりの数を占めています。これがベストとは思いませんが、少なくとも現状では精神科救急は措置入院なしに行うことはできません。救急医療では、アクセスしやすいこと、および入院が必要な時期が終わったら速やかに退院してもらうことが重要です。退院をなかなかさせなくしたら救急医療としての機能はできなくなります。例えば、「報告書」で、措置入院で「調整会議」を開催して退院後支援計画を作成することが提唱されていますが、この会議には関係者の出席が必要です。退院が多少遅れてもこういう会議を行うことが必要な人もいますが、普通に退院できる人やすでにサポート体制ができている人も含めて一律にこのようなことを行えばただただ入院期間を長引かせるだけです・・・

 以下、全文は、おりふれ通信357号(2017年1・2月号)でお読み下さい。
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相模原の事件についての見解

【編集部から】
 7月26日未明、相模原の障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた殺傷事件には、衝撃で言葉を失う思いです。しかし、その後の政府の素早い措置入院見直しの動きは、池田小学校事件の後の医療観察法成立への動きを彷彿とさせ、言葉を失ってはいられません。また、精神科医療業界の一部から「このような事件の抑止のための方策を対外的に表明する」必要が語られることもありました。これらの動きに対して、にしの木クリニックで出した見解を紹介します。

                                                          2016.8.6
にしの木クリニック 伊藤 朋子

相模原の事件について、現在加害者の精神鑑定が行われているかどうかも不明な段階であり、5カ月前の措置入院歴をもって、犯行と精神疾患とをすぐに結びつけ、「本件は精神科医療と深く関わっており」「患者様のケアの問題であり、措置入院、再発予防、地域連携の問題であり」と断定するのは、私としては不可解です。
政府が厚労省に対し、措置入院制度の見直しを指示し、かつて加害者の措置入院した病院に調査が入ったそうですがこれも解せません。措置入院制度にも、医療観察法の制度にも、地域連携のシステムにも、問題が山積していることは事実です。しかし、本件と関連づけて議論すべきではないと考えます。

マスコミ報道によると、加害者は「障害者は生きている価値がない。よって殺すのが正義である」という差別思想(ネット上ではあふれかえっている言説ですが)をもち、計画的に犯行に及んだ確信犯であるようです。そうであるならば精神疾患があろうがなかろうが、いわゆるヘイトクライムであり、精神医療によってどうにかできるものではないように思えます。
この事件に対する反応として、「措置入院をもっと長期にしていればよかった」「措置入院の退院後も医療が関わっていればよかった」という見方が多くあるようですが、現時点でそのように言える根拠はどこにあるのでしょうか。

にしの木クリニックに通院する患者さんには、この事件によって、かつての暴力被害がフラッシュバックした人もいれば、お子さんを重度心身障害者施設に入所させており、「他人事でない」と恐怖を語るお母さんもいます。そして措置入院歴のある患者さんの中には、「自分もあの加害者と同じような、何をするか分からない危ない人間として、退院後も監視されるべき者として社会に見られるのか」とショックを受け、恐怖を感じている方もいるのです。

事件と加害者の精神疾患との関係について不明なうちから、本件一件をもって、「措置入院した者は厳重に司法、行政、精神医療関係者で監視し、重大犯罪を抑止しなければならない」と一般化して動くことは、結局のところ精神障害者を社会から排除しようとする考え方であり、本件の加害者の語っているとされる思想と同根のものだと思います。

精神医療関係者の仕事は、患者さんの治療をし、精神的な健康を守るためのサポートをすることであって、社会の治安を守ることではないと思います。厚労省から「日ごろから警察等関係機関と協力、連携につとめ」云々という文書が出ましたが、医療関係者が第一に守るべきものは守秘義務であり、このような要請は患者さんとの治療関係・信頼関係を傷つけるものであり、治療の妨げになったり、治療や障害福祉関係につながることへのハードルを高くしてしまうのではないかと危惧します。

したがって東京精神神経科診療所協会として「このような事件の抑止のための方策を対外的に表明する」ことには反対します。


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今求められる「権利擁護者」とは何か

弁護士 姜 文江

 2016年1月23日、日本弁護士連合会は「精神保健福祉法の改正に向けて ~権利擁護者について考える」と題するシンポジウムを行い、私はこの中のパネルディスカッションのコーディネーターを務め、事前質問や打ち合わせも行いました。今回は、この準備段階から当日までに聞いて考えた、私の個人的な「権利擁護者」についての意見を書かせていただきます。

 権利擁護制度を巡っては、様々な案や研究が聞かれますが、私には「本当に入院している患者さんにとってそれが最優先で作られるべき制度なのだろうか?」と思われるものばかりでした。そこで、今回、外部のパネリストの方に「入院している患者さんにとって権利擁護が必要な場面とはどういうときか」ということを事前に質問しました。その結果を私なりにまとめると、こうなります。
① 不安な時、話を聞いてくれる人がいないとき、これは時期的に、
 ①-1:納得できない入院をさせられた直後
 ①-2:その後の不安や疑問が生じたとき、  に分かれます。
② 暴行など虐待が発生しても放っておかれるとき
③ 退院したくても支援してくれる人がいないとき
④ 隔離処遇され不安なとき、病院と交渉する人がいないとき

 弁護士の目から見ると、②はそもそもあってはならないことであって、外部の人が自由に出入りできれば防げることです(少なくとも弁護士が出入りできれば虐待の相談を受けられます。)。そしてこれは障害者虐待防止法の対象に病院が含まれていないことと関係しますので、精神保健福祉法の権利擁護者制度の議論からは分けておくこととします・・・

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障害年金 -精神の障害に係る等級判定ガイドライン(案)とパブリックコメント-

福冨一郎


 精神障害の障害年金認定において地域差があるので是正する目的で、等級判定ガイドライン案が厚労省から出されました。しかし、その内容は主治医が書く診断書に「日常生活能力の判定」という7項目の4段階評価と「日常生活能力の程度」という5段階評価で等級の目安をつくり、それによって事務官がだいたいの振り分けをして、認定医が総合評価をして認定するというものです。たとえば、生活能力の程度が3で、生活能力の判定が平均すると2.5から3未満くらいの場合、今まではほとんどが2級の判定でした。しかし、ガイドラインによると3級の可能性が高いです。このガイドラインがそのまま決まれば、認定の公正化とは逆方向に向かう可能性があります。
 精神福祉が医療モデルから社会モデルへと移行しつつある中、本人に会ったこともない認定医が診断書の内容だけで判定するという、究極の医療モデルになっています。社会モデルでの判定をするなら、本人にかかわる支援者や家族、主治医、雇用主など、多くの方々の意見をとりまとめて、いろいろな分野から選ばれた認定委員が判断すべきだと思います。そもそも、このガイドラインを話し合っている委員9名のうち8名が精神科医で、当事者は誰もいないそうです。議論の内容の偏りが懸念されます。以下、ガイドラインで特に気になった項目について書き出して、意見を述べます。

 1.精神障害の項目の気分(感情)障害について書かれた部分。「適切な投薬治療などを行っても症状が改善せずに、入院を要する水準の状態が長期間持続したり、そのような状態を頻繁に繰り返している場合は、2級以上の可能性を検討する」とあります。これって今までだと1級と判定される状況だったと思います。ガイドライン作成委員の中に気分障害に理解のない精神科医がいるような気がします。入院を要する水準ではなくても、日常生活に支援を要する2級に該当する場合はいっぱいあります。入院が2級の判定条件だとも捉えられかねない表現になっています。そうでないことを明確にすべきです。

 2.共通項目の家族の日常生活の援助や福祉サービスの有無を考慮するという部分。「独居であっても、日常的に家族の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合は、それらの支援の状況を踏まえて、2級の可能性を検討する」とあります。いやいや、独居で家族の支援がない人の方が、年金が必要ですよね。福祉サービスを受けられてない人にも、様々な理由があると思います。もしかしたら、年金がもらえたら、福祉サービスを受けたいと考えている人もいるんではないかと思われます。

 3.共通項目の相当程度の援助を受けて就労している場合は、それを考慮するという部分。「就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)による就労については、2級以上の可能性を検討する。就労移行支援についても同様とする」「一般企業(障害者雇用枠を含む)で就労している場合でも、就労系障害福祉サービスにおける支援と同程度の援助を受けている場合は、2級の可能性を検討する」とあります。就労していることをもって、日常生活能力があると捉えられることがありそうです。そんなことはないです。身体障害のような外部障害の場合はわかりやすいかと思いますが、精神障害に関しても配慮があれば就労できる状態がそのまま日常生活は問題ないとは言えないと思います。実際に、生活はままならないのに外面だけは何とか保っている方もいっぱいいます。また、就労系障害福祉サービスと一般企業の記述を分ける必要があるのでしょうか。一般企業で就労系障害福祉サービスと同等の援助は難しいのが現状です。たまたま、就労において一般企業に縁があった方もいらっしゃると思います。こと就労に関しては、それを理由に障害年金の等級を下げたりすることのないようにお願いしたいです。

障害基礎年金の2級で月におおよそ65000円くらいしかもらえません。これでは、就労するか、生活保護か、しかありません。そもそも年金とは何か? そのあたりから考え直してもらいたいところです。厚労省では、障害年金のガイドラインについてのパブリックコメントを募集しています。どれくらい聞き届けられるかはわかりませんが、何も言わないよりは何か意見を書き込んでみた方がいいと思います。9月10日、17時までです。

精神の障害に係る等級判定ガイドライン(案)とパブリックコメント 9月10日まで
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495150111&Mode=0


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エモーショナルCPR(eCPR)体験記

松田 博幸

◆ eCPRとは?
 エモーショナルCPR(eCPR)は、人がクライシス、つまり、心の調子が崩れて自分でなんとかしようとしたがどうにもならない状態にあるときに、周囲の人たち(友人、家族、近隣の人、専門職者、警察など)がどのように本人に関わればよいのかを身につけるためのプログラムである。2008年にアメリカで、精神障害をもつ当事者たちの手によって生み出された。それ以前に、2001年にオーストラリアで作られた「メンタル・ヘルス・ファースト・エイド」がアメリカに紹介されていたが、それが診断名にこだわった医学モデルに縛られたものであることに違和感をもった当事者たちが自分たちの手で生み出したのがeCPRである。CPRというのは、つながること(Connecting)、エンパワーすること(emPowering)、蘇生させる(Revitalizing)という3つの過程を表すと同時に、心肺蘇生法という意味をもつ。つまり、ある人がクライシスにある際に、周囲の人が本人と心と心のつながりをもてば、本人は情緒・感情的に息を吹き返すが、そのようなかかわりがないと命を落とすことにもなるということである。実際、警官から暴行を受けて亡くなるということが北米でも日本でも起きている。また、強制医療を通して命を落とす人もいる。

 私がeCPRに関心をもち、その開発者の一人であるダニエル・フィッシャーさんを訪ねたのは2010年のことであった。ダニエルさんの自宅でeCPRの説明を受け、その根底にある考えがわかってきた。人は、他の人と心と心のつながりをもっている間、自分の心と頭とがつながった状態を維持できるが、トラウマや喪失体験によって心と心のつながりが断ち切られると、自分の心と頭とが切り離されてしまい、それぞれが働かなくなるという考えである。クライシスをそのような状態としてとらえ、人と人との間の心と心のつながりを取り戻すための方法を身につけるためのプログラムがeCPRである・・・・


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住宅扶助基準引き下げにどう対抗するか?~あきらめないで!闘うすべはある!

徳武聡子(司法書士、生活保護問題対策全国会議事務局次長)

1.住宅扶助基準引き下げ
厚生労働省は、平成27年7月1日から、生活保護の住宅扶助基準を大部分の地域で引き下げることを決定しました。これにより影響を受ける生活保護世帯は、全体の約3割の44万世帯といわれています。                   
いずれも大幅な減額ですが、特に2人世帯の住宅扶助基準の減額は「生活破壊」とも呼ぶべき深刻なレベルです。
ただ、この住宅扶助基準は一斉に実施されるのではありません。平成27年7月以降に次の賃貸借契約の更新が来るまでは、引き下げ前の現行基準が適用されます。契約に更新時期の定めがない人は平成28年6月まで猶予されます。なお、平成27年7月以降に申請する利用者には、新基準が適用されます。

Photo
(1 2-6 7の数字は世帯の人数。家賃の単位は万円)

2.引き下げに至る経緯
 住宅扶助基準は、史上空前の規模の生活扶助基準引き下げが断行された直後、平成26年3月から厚労省社会保障審議会生活保護基準部会で検証作業が始まりました。
当初より、住宅扶助基準額(支給上限額)が低所得世帯の家賃平均額よりも高額だという屁理屈をこねた財政制度審議会資料を示すなど、引き下げありきの結論が導かれるのではと危惧されていました。
しかし、厚生労働省が平成26年夏に実施した生活保護世帯の居住実態調査では、生活保護世帯の劣悪な居住実態が明らかになりました。
例えば、国は住生活基本計画(平成23年3月閣議決定)で健康で文化的な最低限度の住生活を保障する基準として「最低居住面積水準」を定め、全世帯での達成を目指しています。この最低居住面積水準の達成が、生活保護の単身世帯で46%、2人以上世帯で67%と、一般世帯よりも大きく下回っていました。また、腐朽破損物件の割合、建築基準法不適合、エレベーター等の設備の有無、駅からの距離など、いずれも一般世帯より居住環境が劣悪であることも判明しました。
一方、家賃額について、生活保護世帯では住宅扶助基準額ギリギリに設定されがちであるとの厚労省(財務省)の言い分に対し、近隣同種の住宅より明らかに高額な家賃かどうかについてのケースワーカーの回答は、疑義ありが0.6%と、明らかにおかしいケースは1%にも満たない結果でした。
これを受けて、生活保護基準部会の報告書では、住宅扶助基準引き下げありきではなく、「単純に一般低所得世帯との均衡で捉えるのではなく、実質的に健康で文化的な最低限度の生活を保障しているかという観点から、検討・検証を行っていく必要がある」「より適切な住環境を確保するための方策を検討することが必要」として、むしろ生活保護世帯の住環境を改善する必要性を示唆していました。
ところがこの報告書が提出されたわずか数日後に、厚生労働省は住宅扶助基準の引き下げを含む予算案を発表したのです。住まいは人権、ということを、全くないがしろにした対応です。

3.引き下げにどう対抗する?
上記のような経緯で引き下げられた住宅扶助基準ですが、いくつかの例外措置等が定められており、これをうまく活用することで、引き下げ前の住宅扶助費の支給を受けることができます。
(1)特別基準の設定
「世帯員数、世帯員の状況、当該地域の住宅事情によりやむを得ない」場合には一般基準の1.3倍~1.8倍の特別基準を設定してもらうことができます(「保護の実施要領について」局長通知第7の4(1)オ)。従って、①多人数世帯の場合、②車いす利用等でもともと特別基準を設定されていた場合、③都市部等で新基準の家賃で借りられる適切な物件が近隣にない場合などには、この特別基準の設定を求めて福祉事務所と交渉してみましょう。
(2)例外措置の適用
(ア)通院又は通所をしており、引き続き当該医療機関や施設等へ通院等が必要であると認められる場合であって、転居によって通院等に支障を来すおそれがある場合
(イ)現に就労や就学しており、転居によって通勤または通学に支障を来すおそれがある場合 (ウ)高齢者、身体障害者等であって日常生活において扶養義務者からの援助や地域の支援を受けて生活している場合など、転居によって自立を阻害するおそれがある場合
これらの場合には、引き下げ前の基準が適用されます。特に(ウ)では「場合など」と規定してますので、個別具体的な事情から「転居によって自立を阻害するおそれがある場合」には、幅広く旧基準の適用を認めることができると解すべきです。

こういった例外措置に当たると思われる場合には、理由などを書面に書いて「申入書」などの形で福祉事務所に提出するのも一つの方法です。
なお、生活保護問題対策全国会議では、住宅扶助基準引き下げに対する対抗法について、Q&Aを発表しています。厚労省の各通知や福祉事務所への申入書ひな形なども掲載しています。公式HP(http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-244.html)をご覧いただき、どうぞ居住の安定のためにお役立て下さい。


Qa


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