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滝山病院「かながわ」退院促進実行委員会の実践活動報告 ―2023年3月22日~2024年5月22日までの14か月間―

滝山病院「かながわ」退院促進実行委員会 代表 原 裕樹

『滝山病院に神奈川県民がまだ7名も入院中!』

 

【おい、なんなんだ~】

おい、なんなんだ~。誰か、何とかしてくれないか~。

この映像を観て、私(原)は思わず嘆きわめきました!

 

ある患者の代理人弁護士による刑事告発で警察が動き、2023215日に看護師が暴行容疑で逮捕されて報道され、225日はNHK「ルポ 死亡退院 ~精神医療・闇の実態~」(NHK NEWSWEBより)の取材チームにより、患者への暴力や違法な拘束、虐待の様子が映像として公開され、白日の下にさらされることになりました(以下映像を文章化し記載)。

「もうつらい思いをしたくないです」泣きながら訴える患者の映像。
病院の職員に殴られたり縛られたりしたと明かしていました。
別の映像には医療スタッフと見られる人物に殴られ「怖い、怖い」と訴える患者の姿もありました。

≪映像のやりとり≫
患者:おーい。
職員:何?「おい」ってなんだよ。「すみません」だよな。口の利き方に気をつけろよ。
患者:痛い、痛いよ。
 病室内で黒っぽい服を着た医療スタッフとみられる人物が、横たわる患者の頭を繰り返しベッドに押さえつける様子が。別の映像では、消灯後とみられる薄暗い病室の中を、医療スタッフとみられる男性が奥のベッドで声を出していた患者のもとまで歩いていくと…。

職員:うるせえよ。みんな寝てんだろ?あ?静かにしろよ
枕で患者の顔面を2回たたく様子が確認できます。

 

≪公開された音声1
患者:たん取ってくれ
職員:『くれ』言ってるやつはだめだって言ってるだろ。何回言ったら覚えるんだよ
患者:…たん取って下さい
職員:嫌です!ギャハハ

≪公開された音声2
職員:本気で行こうか、本気つっても痛くねえだろ、もっと行くぞ!(物音)
   いてぇか?本当に?なぁいてぇか?本気で行こうか?おい!
患者:痛い…

 

【いたたまれない情景】

いたたまれない情景が目に浮かびます。 八王子市にある滝山病院での患者への人権侵害が明らかになりました。実は1980年代から「死亡退院」が多すぎると長く問題視されていたようです。

この滝山病院の院長は、2001年に患者不審死や診療報酬不正で廃院した、埼玉県の朝倉病院の元院長が、滝山病院の院長になっていたのです。人工透析もできる合併症対応可能な長期療養病院として、関東一円の家族や医療機関、福祉行政が頼り、病院が閉鎖病棟に患者を長期にわたり抱え込んで、「退院転院」の考えが低下して「死亡退院」が当たり前になっていたようです。

また、滝山病院はその後も運営を続け、2022630日現在で152人の患者がなお入院し、うち31人は神奈川県民、うち20人が生活保護受給者です。(編集部註 2023630調査では、87人が入院中。そのうち神奈川県民は21人、うち生活保護受給者は14人となっています)

この映像のタイトル通り、入院したら生きて退院できず多くの入院患者が「死亡退院」(死亡しないと病院の外に出られない)とのことでしたが、私はまずは神奈川県の31人を生きて「退院転院」できるようにしようと思って一緒に関わってくれる仲間(実行委員メンバー)探しをしました

 

【「かながわ」に風が吹く】

神奈川県内の福祉や医療などに携わる有志5名が集まって滝山病院「かながわ」退院促進実行委員会を発足することができました。その後2名が加わり計7名(主な肩書:弁護士、医師、看護師、社会福祉士、精神保健福祉ボランティア、兄弟姉妹の会員、精神保健福祉士)と更に1名のオブザーバー(精神保健福祉士)のメンバーで、この14ヶ月間で13回の定例会議を開き様々な検討をしながら準備して活動をしてきました(定例会は平日18時~20時頃、横浜市中区寿町の会館にて開催)。

 

【実行委員会の目指すところ】

  • 滝山病院事件の現状と背景を深く理解する。
  • 滝山病院に入院されている患者の早期救出と生命・人権を守るために私たちに何ができるのかをみなさんと一緒に考える。
  • 今も隔離収容型の病院医療中心である日本の精神科医療を変革していく。

*特に重んじたのは、上記のテーマに関心を持たれたみなさん(サポーター約300名や市民・県民)との関りを持ち続けることで、この間9回の「ニュースレター」をメールにて配信しました。反響として「毎回、活動報告をありがとうございます」「代わりに行政に声明文を出し てくださりありがとうございます」「いつも、自分の団体にも報告させていただいています」などの返信をいただきました。

(中略)

 

◆「神奈川県知事、横浜市長、川崎市長、相模原市長宛」そして「東京都」への申し入れ内容は以下

1.滝山病院入院中の神奈川県民の一刻も早い退院を促すため一人一人に対して具体的な対策を示すこと

2.神奈川県民が滝山病院入院に至った斡旋や紹介の経緯やその後の関わりを具体的に明らかにすること

3.精神科病院への不適切な強制入院や隔離拘束や長期入院や虐待をなくすため具体的な対策を示すこと

4.入院ではなく、地域で生活しながら住まいや医療を続けていけるための、具体的な対策を示すこと

5.地域精神科医療の改善のため、精神障碍当事者や家族や支援者を入れた検討と交渉の場を継続的に設けること

➡それを受けての黒岩知事記者会見が開かれた

 黒岩知事より、面会を嫌がっている滝山病院と積極的に面会をさせてもらうような指示が出てました。20231212日現在、神奈川県民19名の入院患者でした

その結果、神奈川県職員だけでなく横浜市、川崎市、相模原市職員も面会して転院退院への働きかけをし始め、2024522日現在には入院患者はかなり減り7名となりました。

 

最後に2024年に3月に、退院転院したい入院患者や関係者のところに、どこに連絡をしたらよいかの「チラシ」を作って神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市役所に配布して、ご本人の手元でお渡し願いたいことを依頼しました。特に川崎市役所は積極的に配ってくださり、お一人の方が転院・退院することができました。まだ「かながわ」には7名の方が入院されているので何とか退院できる方法を考えて一日も早く救出をしていきたいと思っています。

Photo_20240911124501 

<全文は、おりふれ通信433・434号(2024年6月号・7月号)でお読み下さい。ご購読(年間3,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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『市民活動のひろば』紹介

編集部から おりふれ通信の紹介記事を載せてくださった「市民活動のひろば」に、今度はおりふれから紹介記事をお願いしました。

 

『市民活動のひろば』発行委員会 江頭晃子

 200261日に『市民活動のひろば』を創刊しました。東京・多摩地域を中心とした市民活動情報誌の発行を始めて丸22年、年10回発行しているので、202451日に220号を発行したところです(『おりふれ通信』のまだ半分)。毎号特集を組み、特集にそった活動をされている36団体・個人に活動紹介をしていただいています。最近の特集では、「いのちを育む食」「暮らしの中で木々(いのち)と共に」「能登半島地震」「地域の学校で学び・集いたい」「ちゃんと知りたい 新型コロナワクチン」「認知症とともに生きられるまちに」などです。思いや理念を持っているのはもちろんのこと、何かしら“動いている”皆さんに書いていただいています。

  • 特集「本人の助けになる 精神医療を」

滝山事件のことが気になっており、219号(2024.4.1)で上記のタイトルで特集を組みました(企画した時は「よりよい精神医療を求めて」と考えていたのですが、ご執筆いただいた皆さんからご助言いただき上記に変更しました)。

細江昌憲さんの巻頭言「滝山病院事件は終わっていない」では、未だに解決されていないだけでなく、報道後の1年間に40人もの患者さんが病院で亡くなっていることに衝撃を受けました。「東京精神医療人権センター」の無料電話相談・病院への訪問や面会活動や、『おりふれ通信』が43年間も継続発行されていること、「国立武蔵病院(精神)強制隔離入院施設問題を考える会」が指摘し続けてくれている病院の存在と医療観察法の問題、「精神科医療の身体拘束を考える会」が書いてくれた身体拘束により亡くなったサベジさんのことなど、恥ずかしながら初めて知ることばかりでした。

100年以上前に言われた「この国に生まれたる不幸」が何ら改善されないばかりか、当事者をないがしろにする制度が強化されることで、より「みえない化」されており、私自身も「みない」ことが当り前になっていることに愕然としました。もっともっと日常のなかで、いろんな人が一緒の暮らしをしたい!と思います。

  • 『おりふれ通信』のすぐそばに

2002年以前は、『市民活動のひろば』は東京都立多摩社会教育会館内の市民活動支援事業として発行していました。同会館は立川市錦町6丁目にあり、事業が廃止となり(私は非常勤だったので解雇となり)、市民組織として発行を継続するためにみんなで小さな事務所を借りたのは錦町1丁目。錦町に25年以上居て、いろんな団体のミニコミも収集してきたのに…知らずにおり、情報収集アンテナ力と多様性が欠けていることも痛感しました(3年前に東村山市萩山町に引っ越しました)。

『おりふれ通信』と資料交換で送っていただき、精神医療国会賠償請求訴訟、口頭弁論の様子、都庁前・滝山病院前行動、グループホーム・当事者団体のこと、学習会や講演会の報告、地域の他団体の紹介など、知り、怒りが湧いたり、みなさんの活動に感心したり、号を重ねて読むたびに大事な視点を培われているとように思います・・・

(中略)

  • 『市民活動のひろば』ご希望号をお送りします。

1号分250円(送料込み)(年102500円)

郵便振替:00150-6-258984   「市民活動のひろば」発行委員会

他金融機関からの送金:ゆうちょ銀行  〇一九(ゼロイチキュウ)   当座  258984

東村山市萩山町2-6-10-1F tel/fax: 042-396-2430

E-mailhiroba2002@a-simin.sakura.ne.jp  http://a-simin.com/

 

  • 市民活動資料室「市民アーカイブ多摩」

 立川市幸町5-96-7 tel:042-536-5535  

 info@archive-tama.sakura.ne.jp  http://www.c-archive.jp/

 開館日:毎週水曜日・第24土曜日 13001600

 

<全文は、おりふれ通信433号(2024年6月号)でお読み下さい。ご購読(年間3,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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『日ノ岡荘みんなの部屋の物語』(千書房刊)の想い

前進友の会やすらぎの里作業所 江端一起

 【遺族会】ダト想うんです、、、【遺族会】になっちゃうんだと想うんです、、、、長く患者会を開き続けていると、、、何時しか【遺族会】に為るのだと、、家族会の皆さんも、、兄弟姉妹の皆さんも、、、ソウなんですよ、長くヤッテいると、会としても個人としても、、何時しか【遺族会】や【遺族】に為っていくんですよね、、ソレがゲンジツだと想うんです、、だから、、生き延びちゃった者たちは、、生き延びれなかったなかまたちの想いを語り継ぐ意味と云うか義務と云うかが出来ちゃうんじゃないかと想うんです。ナンと云うか、病者本人も家族も兄弟姉妹も、キーサントモダチも、スタッフダチンコも、会としても個人としても、遺族会や遺族になって、想いを語り継ぐ、そういう場が患者会であれ交流の場であれナニ化であれ、会報や通信やであれ、交流広場であれ、繰り言であれ、独語であれ、絶対に必要なんじゃないかなと想うんです。出来たら、、なかま達と共にがイイのだけれど、、、この『日ノ岡荘みんなの部屋の物語』も、少しは、ソウ為っていたらいいのだけれど、、、如何かな、、、

 前進友の会は、1976年設立ですから再来年で50年に為るんデスよね、、、、若くして亡くなったなかま達、、自殺で亡くなっていったなかま達、、、大往生を遂げられたなかま達、、精神病院内で一度も退院することなく亡くなっていったなかま達、、ガンで亡くなっていったなかま達、、、、突然に亡くなっていったなかま達、、、、総合病院と精神病院を行ったり来たりしているうちに亡くなっていったなかま達、、たくさんのなかま達が亡くなっていきました、、看おくって生き続けているなかま達、、、遺さなきゃ、、残さなきゃと想ってきました、、、今、、ホッとしています、、、みんなの部屋のなかま達の声や息遣いや哄笑や泣き笑いを、、少しは残せました、、、レクや食事会や与太話や、カレーの出来栄えなどを、便所から出られなくなったことも、包丁で追いかけまわされたことも、、、、原稿は書き溜めてきたモノが手元にありました、、たくさん、たくさん、ね、でも、、実は発表する気はなかったのです。やっぱりとてもとても、シンドカッタ、ツラかったんですよ、、、、ある方の強いおすすめがあったからこそ、この本は出版出来ました。感謝しています・・・

 

<全文は、おりふれ通信433号(2024年6月号)でお読み下さい。ご購読(年間3,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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