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精神医療国家賠償請求訴訟の東京地裁結審に向けて

精神医療国家賠償請求訴訟研究会代表 古屋 龍太

◆はじめに

伊藤時男さんを原告とする精神医療国家賠償請求訴訟(以下「精神国賠」)が、いよいよ山場を迎えています。早ければ来春には結審を迎えるかも知れません。本紙でも、これまでの裁判の様子が小峰さん他の方々から報告されていますが、直近の様子をご報告しておきます。

なお、精神医療国家賠償請求訴訟研究会(以下「精神国賠研」)の現在の会員・支援者は635名、20238月の総会で7つの常設委員会から成る運営委員会体制に移行しました。古屋が運営委委員長(代表)に選出されましたので、今後ともよろしくお願いいたします。

◆第14回口頭弁論

2023年125日に第14回口頭弁論が行われました。法廷の傍聴席には43名、報告会には会場37名+Zoom12名の計49名の方に参加していただきました。

今回の裁判では、原告弁護団側から証人尋問の申請がなされました。これまでの裁判で、原告側弁護団は、精神国賠研が集めた当事者・家族・専門職130名の証言陳述書をもとに、「時男さんひとりの身に起きたことではない」ことを示すために、膨大な証拠資料をまとめて提出しています。また、精神医療の政策に詳しい学識経験者として、精神科医・精神保健福祉士など10名の意見陳述書を裁判所に提出しています。今回、法廷における証人として新たに申請されたのは、以下の4名です。

・伊藤時男さん(原告)

・伊藤順一郎さん(精神科医)

・藤井克徳さん(日本障害者協議会代表)

・横藤田誠さん(憲法学者)

原告側からの申請に対して、被告国側からは、「それぞれ意見陳述書も提出されており証人尋問は不要」との見解が示されました。裁判官は、次回裁判期日で原告の証人尋問のみ認め、その他の方は必要が認められれば検討すると告げました。この結果、次回裁判では、原告の伊藤時男さんを証人に弁護団から1時間の主尋問、被告国側から20分の反対尋問が行われることになりました。

  閉廷後に行われた裁判報告会では、今後の裁判の見通しについて、結審に向かいつつある現状が確認されました。本裁判の結果が、仮に原告側の勝訴となれば、被告国側は控訴するでしょう。仮に原告側の敗訴となった場合には、あくまでも原告の時男さんの意思が優先されます。その場で、時男さんからは「できるところまでやる」との決意が示され、参加者から拍手がわきました。

本裁判も最後の山場を迎え、結審に向かおうとしています。ぜひご予定に組み入れて、傍聴席から時男さんの証言を見守り静かな応援をお願いします。

(中略)

〇出版のご案内

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『かごの鳥~奪われた40年を懸けた精神医療国家賠償請求訴訟』

伊藤時男著/古屋龍太編/寄稿:織田淳太郎、門屋充郎、杉山恵理子、長谷川敬祐、藤井克徳、東谷幸政

出版社:やどかり出版、発売日:2023/12/18

四六判:130頁 定価¥1200+税(¥1320

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〇裁判のご案内

精神国賠第15回口頭弁論

2024年227日(火)15時開廷

東京地方裁判所103号法廷

(東京メトロ丸の内線・日比谷線・千代田線

「霞が関駅」下車、A1出口より徒歩1分)

精神国賠研の会員・支援者は14時半までに裁判所ロビーに集合し、若干のミーティングを行った後に入廷します。

裁判閉廷後は、近くの貸会議室に移動し17時頃より裁判報告会を行います。書籍販売コーナーも設けて、『かごの鳥』その他の関連書籍も特価で販売します。裁判報告会はどなたでも参加可能ですので、ぜひご参加ください。

 

<全文は、おりふれ通信429号(2024年1月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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これ以上死亡者を出しては絶対にいけない

滝山病院にアクセスする会 細江 昌憲

 

 12月11日夜、滝山病院内で転退院を希望していた方が亡くなった。これで僕が知る限り、30名もの方が病院内で亡くなったことになる。以下、相原啓介弁護士のX(旧ツィッター)を引用します。

 

 128日、詳細はお伝え出来ませんが、今週になって滝山入院中の方とようやくお一人つながれ、 本日、医師同行で2回目の面会をしてきました。危険な状態で専門病院への転院を前提に転院先を探し始めました。都の調査対象者で退院、転院を希望していましたが、今日までそのままです。心底怒りが沸きます。

 1212日 昨日転院先が決まり、救急救命士同行で救急を手配し、本日正午にお迎えできる事になりましたが、昨夜、突然お亡くなりになりました。私が初めてお会いしてから5日目、滝山から出られるまであと、16時間でした。私は同じ轍を踏みました。非常に強く責任を感じています。

 その人は「早く滝山から出たい」、と訴えたのに数か月間もそのままにされていた。どれだけ寂しかっただろう。希望だけ与えておいて何もしない。人として絶対にやってはいけないことだと思う。同じように、出たい、という意向を伝えたが放置されている方が、未だに入院を強いられている。この方たちは、転退院が進まない理由を対面できちんと説明を受けているのだろうか。それだけは人として絶対にやらなければいけないことだ・・・

 

<以下、全文は、おりふれ通信429号(2024年1月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

 

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学会に初参加して演題発表を体験!

飯田明楽 

 

私は若輩者の20代当事者である。今回、学会に初めて参加し、ジャーナリストの月崎時央氏と向精神薬が原因で起きた自分の体験について共同発表を行った。

奇しくも私の祖父が住む神奈川県横須賀の地で、第66回日本病院・地域精神医学会総会神奈川大会は開催された。今学会のテーマは『生きる基軸を求めて〜基本に立ち返っての提言〜』である。プログラムには医師に限らず、看護師・精神保健福祉士・当事者・弁護士と多種多様な人々による演題が掲載されている。

身体拘束に関する演題を聞いて

学会初日、私は一般演題①のテーマ『身体拘束・人権』の部屋に参加した。

身体拘束や人権にまつわる演題発表では、実際に病院で身体拘束を全廃にした結果と研究、車椅子ベルトの課題について、精神保健支援弁護士制度を活用した患者の権利擁護の報告などが発表された。身体拘束を全廃した研究では、現場スタッフから改めて身体拘束について検討した結果、否定的な意見が多く見られたそうだ。

実は私の祖父は家族が身体拘束を受けている場面に立ち合い、心に傷を被った1人だ。権力ある著名な精神科医がメディアで拘束について賛成的な意見を述べていた事は記憶に新しい。しかし身体拘束は、患者の人権と心を傷つけるのはもちろん、医療現場の医師や看護師だけでなく、祖父のように当事者の家族など、関わる人の心に傷やしこりを残すものだ。

私は当事者として、患者の人権を大切にしようと取り組む多くの発表者の姿勢に希望の光を見出した・・・

 

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当事者の皆さんと一緒に『学会へ行こう』プロジェクトを続けて

ジャーナリスト 月崎時央

 

私は精神保健福祉について‘90年代から取材をしているジャーナリストで、病地学会には以前から時々参加してきた。

2016年頃にメンタルサバイバーチャンネル(代表・不破令 以下MSCと表記)という向精神薬の問題について情報を発信する当事者メディアを作り、現在もその世話人をしている。

  MSC は2017年の松本大会を機に当事者とともに『学会へ行こう』というプロジェクトをスタートし、2018年の東京大会、2022年の京都大会(オンライン開催)でも交流企画『お薬・当事者研究』として多剤処方や誤診の問題を何度かとりあげてきた。

私が『学会へ行こう』プロジェクトを始めたのは、ジャーナリストとしてさまざまな学会に参加してみて、その場がいかに専門家の解釈や言葉で埋め尽くされ、当事者不在で進行しているかを目の当たりにしたためだ。

そういった精神保健福祉の状況の中で、病地学会は、小さいけれど、当事者や家族に門戸を開いている魅力的な学会だという印象を持っており、当事者の皆さんと一緒に学会に参加する機会を大切にしている。

 このため、4年ぶりの対面開催が叶った今回は『向精神薬と眼瞼痙攣についての考察』という演題発表と交流企画『お薬ダイアローグカフェ出張版!薬とリカバリーについて話そうよ』という2つを企画した。

実は、演題発表を行った20歳代の若手当事者飯田明楽さんは、昨年京都大会でM S Cが企画した交流企画『お薬・当事者研究』にオンラインで参加してくれたことが縁で、以来一緒に勉強会などを行うようになり活動をともにしている・・・

 

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