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10月3日滝山病院前行動のこと

特定非営利活動法人こらーるたいとう  加藤眞規子

 

はじめに

 私は現実的に滝山病院に入院している患者さんが、一日もはやく、一人でも多く安心安全な場所に退院されることを願うばかりです。その応援がしたいです。そのために、私自身の健康を大切にすること、足元のNPOこらーるたいとうの活動を丁寧にすることに努力していきたいと思っています。

 

1 滝山病院へ初めていったこと

 930日に立川市の特定非営利活動法人トモニの細江昌憲さんと滝山病院へ伺いました。行きも帰りも八王子駅―滝山病院間はタクシーを使いました。「103日午後3時頃に要望書を提出させていただきたい」と申し入れに行ったのです。内容的には「入院中の患者さんを速やかに全員退院させてほしい。私たちもできる限りの協力・応援をさせて頂きたい」というものでした。

 八王子駅へ戻り細江さんとお別れをして、私は再度、北口6番バス乗り場から西東京バス「工学院大学経由樽原町行」に乗ってみました。滝山病院へは、「陶鎔(とうよう)小学校前」で下車し、長い坂を登っていきます。バス代は370円(片道)、乗車時間は30分ほどかかります。このバスは、毎時6分、26分、46分に出ています。

 私はできれば103日滝山病院前行動に参加して下さる方々全員が「要望書」を提出するところに立ち会えるようにしたいと思っていました。しかし滝山病院内に入ることは無理かもしれないと思いました。すでに呼びかけ文に応えて賛同者賛同団体はかなりの数になっていたからです。

 滝山病院は「非常に辺鄙なところにある」といわれて来てみると、バスで賑やかな八王子駅周辺に出ることができ、もよりのバス停から10分から15分歩く精神科病院は都内に結構あるのではないかと思います。

 滝山病院の受付のところに、パンフレットが置いてありました。そして並んでおいてあったパンフレットは「民間救急移送」のものと、「心肺蘇生法」のものでした。これだけ見て、入院を決められてしまう患者さんもあったのだと思うと、大変恐くなり、つくづく患者さんが他人事とは思えなくなりました。まっとうな精神科病院では、民間救急移送を使ったり、患者さんが裸に近い状態で運び込まれたりした場合は、入院を断る病院もあります。

 患者さんを精神科治療に繋げることはいわば関わりの正念場であり、多くの仲間が「精神病になったことよりも、酷い病院に強引に入院をさせられたことのほうが傷になっている」と訴えています。こらーるたいとうの電話相談に寄せられる相談の中に、「いい病院を紹介して下さい」というものがあります。「いい病院」は一人ひとりの方との相性の問題もあり、難しい質問ですが、「やめておいたほうがいいという悪い病院」については答えるようにしています。患者さんもご家族も情報の少ない中で非常に大切なことを決めるのですから、私たちはなるたけ正しい情報を得る努力をして、答えてきました。

 

2 103日(火曜日)滝山病院前行動

 事前の呼びかけに、33団体、個人が賛同してくださいました。当日230分現地集合。6070人が滝山病院前に集まりました。しかし結局、私たちは滝山病院の門のチェーンの中には、入れてもらえませんでした。理由は事務長がインフルエンザに罹患して不在であること、「患者さんの最後を看取ることのどこが悪いのか」ということでした。しかし要望書を渡すときは、玄関の前で渡すことになりました。

 午後230分から3時までの間、チェーンの外側の急な坂で、参加者同士で、自己紹介と今日参加した理由等を伝えあいました。

以下、一部の方の発言を紹介します。

天畠大輔:私は参議院議員の天畠大輔です。私は14歳の時、医療ミスにより四肢麻痺、発話障害、嚥下障害、視覚障害を負いました。障害があることで人生の選択肢は本当に狭かったです。幸運なことに、昨年7月からは参議院議員として国会で仕事をさせていただいています。

この滝山病院で虐待事件が発覚してから半年以上が経ちました。入院患者の皆さんに心を寄せ、議員として私なりの方法で貢献することはできます。今年320日の予算委員会質疑で滝山病院のことを取り上げました。その際には精神科病院問題を議論する時に人権擁護の観点が足りていない点を重視しました。もちろん、虐待防止発見の仕組み、診療報酬、不正請求の追求、生活保護行政として適正だったか、などの検証と改善は必要です。

しかし、より急ぎ重視されるべきは、虐待を受けた方、間近で見た方、今も病院内に残っている方たちの退院、転院、新しい生活のための支援ではないでしょうか。当事者性の回復、つまり自らが直面する困難がどのようなものかを自覚し、病院をはじめ社会全体に訴えていけるようになっていく。そのような当事者性の回復過程を、病院内外の支援者が支えていく仕組みが必要です。

今年8月には市民団体の皆さんと一緒に「滝山病院問題を考える市民と議員の連絡会議」を立ち上げました。本日時点で280もの個人団体から賛同をいただいています。今日、滝山病院に要望書を持参されたのは、長年、地域生活や権利擁護活動を担ってきた障害当事者や支援者のみなさんです。虐待事件とその後の入院患者さんたちの処遇を気にかける市民がこんなにもいらっしゃいます。 適切な医療、適切な地域生活支援を受けながら、どんな障害があっても自分らしく暮らせるようにしたい。病院側の皆さんには、この要望書に少しでも歩み寄っていただきたいと願っています。ともに頑張っていきましょう。

相原啓介:今日、こういう形で申し入れと、小さい集会みたいな形をとったことは、とてもよかったと思います。「滝山病院をどうする」という問題が残っていますし、もっと構造的な問題――こんなことを繰り返さないようにどうしたらいいのかという問題があります。天畠議員がおっしゃったように、今100人ぐらいの方が残っているわけですよね。それで退院したいと言っているけれども、全然実現しない。残念ながら虐待が今もないかどうか、わからないです。非常にずさんな治療で、寿命よりも早く亡くなってしまう方もおそらくいるんじゃないかと私自身は思っているところです。中に現実にいらっしゃる方と直接つながりたい、お手伝いしたいという声を、今日届けられるのは、とても大きな意義があると思っています・・・

 

<以下、全文は、おりふれ通信427号(2023年11月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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精神国賠第13回口頭弁論

当事者 小峰盛光

20231024()のお話をしたいと思います。原告の伊藤時男さんと待ち合わせをして東京地方裁判所に電車で向かいました。電車の中で伊藤時男さんは「講演の依頼がたくさんきている」、「絵の個展もやる」と、忙しい日々を送ってるみたいでした。デイケアにも行っていて、「病院にいたときは何もできなかったから今が一番幸せだ」と言ってました。   

1時間前に裁判所に着き、支援者の方々とロビーで話されました。時間になり開廷して、少し進行すると裁判官が一度後に下がり、裁判官3人で話し合うために休廷になりました。が、すぐ終わりました。傍聴は62名で、103号法廷は98名傍聴できるのであと36名、どうにか次回は満員にしたいと思いました。

報告会会場に移動して、長谷川弁護団長から経緯の説明を受けました。今回は、前回原告側から提出した準備書面に被告が反論の書面を提出しました。国の反論は、・指定医制度や精神医療審査会などの制度があるので不作為にはあたらない・憲法上の権利侵害は明白ではない。国賠法上の違法性は認められない・原告側から提出した証言の個別の事と国の責任は別 というのが大まかな趣旨でした。法律のたてつけ論に終始し、具体的な制度上の問題点には踏み込まないというもの。

原告側と論点がかみあっていないため準備書面を作成し提出しました。被告が原告の主張に対して真摯に向きあわず、従前の主張を繰り返しているので裁判所において争点の整理をして双方の主張をかみあうようにしてほしいと主張したうえで被告側の主張の問題点を指摘したもの。裁判所は争点整理の必要性はない。原告側が言いたいことや証人尋問が必要であれば人証申請・証人尋問の申請をしてほしいということでした。結審に向けて裁判所が動き出したようです。

この間の裁判の過程を受ける形で医療保護入院は違憲の可能性があると書いた研究者がいるのでそれも書面で出したとのこと。医療保護入院に何の疑問を持たなかった憲法学者などが少しずつ疑問を持つようになってきているそうです。

弁護団は今のところ福祉関係者、医師、憲法学者、原告の証人申請を考えているとのこと。次回口頭弁論で、その可否や何人まで証人尋問を行なうかを決めることになります。というのが報告会の内容でした(報告会の内容は精神国賠のホームページを引用しています)。報告会参加者は70名でした。

そのあと新橋のカラオケ店に10数名で行き、カラオケをしました。伊藤時男さんは三橋美智也とか五木ひろしの歌を歌ってました。みんなで盛り上がり新橋で解散しました。

 

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さんきゅう秋祭りと新生存権裁判東京

さんきゅうハウス 神馬幸悦

 

私は現在週3回の人工透析を受けているため、どうしても病院中心の生活にならざるを得ず、普通に働くことはできません。そこで、立川市にある「さんきゅうハウス」という生活困窮者に住居や食事提供等のサポートをしているNPO 法人で働いています。

そこで毎週土曜日、お弁当(他にレトルト食品、お菓子、パン、飲み物)を配布しています。毎回20数食から多い日は30食出ます。

 

10月21(土)11時から15時にてさんきゅう秋祭りが行われました。焼きそば、バーベキュー、コーヒー、ジュース等を提供しました。最後は、恒例のビンゴゲームを行いました。お天気にも恵まれ、スタッフとお客様合わせて5 3人の参加者。またカンパも30,000円を超えるほどいただきました。本当にありがとうございました。

予定していたにもかかわらず相談に来れなかった方がいたらしいのですが、逆に予定してなかった新たな相談者も来たらしいです(申し訳ございませんが、神馬はこの日体調悪くて欠席しました)。いずれにしても相談者は毎月絶えることなく何人か訪れてくる状況が続いております。これから年末年始に向けて生活がいっそう厳しくなる人が来るかもしれませんので、みんなで対応したいと思ってます。

 

10月16日に行われた新生存権裁判東京で神馬は意見陳述をしました。

この裁判は、年内12月121330分より最後の裁判(結審)が東京地裁103法廷室で行われ、判決の日が決まります。

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「滝山病院への偽装による強制入院~所沢市の事件から   医療保護入院を考える」に参加しました

東京地業研 山本則昭

923日、浦和で開かれた会は、埼玉県精神医療人権センターが主催し、話題提供者は相原啓介弁護士と藤井千代医師でした。

この事件は、所沢市の職員が、家族がいるにもかかわらず市長同意で滝山病院に医療保護入院させたというものです。その方は、精神疾患の治療と共に人工透析も受けていて、精神状態が不穏となり人工透析を拒否しましたが、他の受け入れ透析機関が見つからないということで透析可能な滝山病院に入院させられたのです。この方には家族(姉)がおられますが、「家族は音信不通」と嘘の文書を作成して市長同意の医療保護入院としました。市の生活保護(生活福祉課)と障害福祉(保健センター)の職員7人が書類送検されています。これは、その方の退院支援に相原氏が関わったことで判明しましたが、そうでもなければ闇に葬られたのでした。

相原氏も当日話しておられましたが、どれだけ透析の受け入れ機関を探したのか、強制入院という形をとらなければ透析治療の継続が不可能という判断をどのようにしたのか、文書の偽造までしたのは何故か、入院先は滝山病院でなければならなかったのかなど疑問は尽きません。残念ながら、当日の会でもその疑問は晴れることはありませんでした・・・

 

<以下、全文は、おりふれ通信427号(2023年11月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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