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滝山病院事件を地域で考える学習会を開催しました

社会福祉法人プシケおおた 青木範子

 

2023年9月9日、社会福祉法人プシケおおた内実行委員会主催で「滝山病院事件を地域で考える学習会」を開催しました。

私の働く社会福祉法人プシケおおたは大田区にあります。主に精神障がいをお持ちの方の支援をしており、生活支援センターⅠ型、グループホーム、B型作業所、地域生活安定化支援事業、自立生活援助事業を行っています。私はその中のこうじや生活支援センターにて地活Ⅰ型業務と計画相談、地域移行、地域定着支援を行っています。

学習会ではNHK「ルポ死亡退院~精神医療・闇の実態~」にて退院支援をされた弁護士の相原啓介先生、NPOトモニ代表で滝山病院退院支援連絡会の細江昌憲さん、横浜市コトブキ共同診療所医師の越智祥太先生、社会福祉士と精神保健福祉士の常数英昭さんが登壇してくださり、108名の方が参加してくださいました。

 相原先生と細江さんからは滝山病院内での違法行為や事件の現状を教えていただきました。今回の報道により社会的非難が集中していることや遅々として進まない退院支援について、また滝山病院でたくさんの方が亡くなっている現状に対して、1日でも早く退院をするためには地域の支援者が協力していくことの大切さを実際に退院支援されているおふた方からお話しいただいたことはとても力強く、切迫したものでした。

越智先生からは現在の勤務地で透析治療を受けながら精神科の外来通院をされている方の実例を挙げて、地域で支えていくことについてや「目の前からいなくなれば安心」という心理が働き「手っ取り早く」解決を求める効率主義と適応主義が人権の軽視を生んでしまうこと、常数さんからは長期入院をされている生活保護受給者の支援や生活保護法に基づいた制度等お話しいただきました。今回の学習会では様々な立場から見える滝山病院問題について考えることができるきっかけになったと思います・・・

<以下、全文は、おりふれ通信426号(2023年10月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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クラウドファンディングのお礼 地域に退院支援チームを作りましょう!

精神保健福祉士 細江 昌憲

 

 この度は、お陰様を持ちまして、クラウドファンディング「患者さんが入院継続を望まない精神科病院からの退院を支援したい」~一部の問題等のある精神科病院からの退院支援プロジェクト~の目標額を達成することができました。みなさんのご厚意、本当に感謝しております。

 達成額に加え、511名もの方からのご賛同、ご支援をいただけたことに、この問題の深刻さを改めて痛感しました。また、みなさんの思いが詰まったメッセージには、胸が熱くなりました。これだけ多くの方が悩み、苦しんでいるという現実を、重く深く受け止め、今後も一人でも多く、一日も早く退院していただけるよう、活動を継続していく所存です。

 現在、入院されている方、もしくは家族、支援者の方で、退院を主治医が許可しない等、何かお困りごとがありましたら、ぜひ、連絡をください。全面的に協力させていただきます。また、一緒に活動したい、という方(福祉関係者に限りません)からの連絡も嬉しいです。(電話とメール 08093062495 /tomoni-tachikawa@td5.so-net.ne.jp細江)
 

すでに、東京都の近隣県からも退院支援の要請が複数あり、相原啓介弁護士が、本人に会いに行き、その地域の福祉関係者と調整を進めています。東京都以外でも、できる限り、対応したいと考えていますので、各地に協力してくれる「仲間」がいると、本当に有難いです。

 

「弁護士とチームを作ろう」

 退院支援に取り組むうえで、最大のネックは、主治医です。退院だけでなく、面会までも制限できるからです。しかし、弁護士に面会の制限は適用されません。病院に弁護士が連絡を入れただけで、すぐに退院が決まった、というケースは枚挙に暇がありません。「明日、退院してくれ」と放り出されたという酷い話も聞いたことがあります。今までは何だったのか。入院治療が必要なかったことを自ら認めたようなものです。ふざけるのはやめてもらいたい。

 弁護士と組んで退院を進める方法は、スピード面でも非常に有効です。弁護士がこじ開け、退院後の生活を福祉が支援する。この方法がもっと広まり、浸透すれば、退院はかなり進むでしょう。

 

「面会制限に対抗しよう」

精神保健福祉法では、第37条第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準で、面会を制限した場合、その理由を診療録に記載しかつ、適切な時点において制限をした旨及びその理由を患者及びその家族等その他の関係者に知らせるものとする―とあります。これは、実際に病院側がやるとなると相当面倒です。私達もこれを盾に、ちゃんと記録しろ、その理由を公開しろ!と煩く騒ぎ面会制限に対抗しましょう。

 

「滝山病院からの退院支援」

今年2月に滝山病院の虐待事件が発覚する前から、相原弁護士は、入院している方からの要望を受け、これまでに10名の退院、転院を支援しました。弁護士になる前は、臨床心理士・精神保健福祉士として、精神病院等に勤務されていたので、退院に向けての面会も得意分野で、まさにひざ詰めで話を聞き、場合によっては1時間以上、また、複数回に及ぶケースもありました。

退院の実務としては、それら聞き取った要望を受け、地域の福祉関係者をはじめ、透析が必要であれば、受診できる病院、クリニックを探す等、とにかく、方々に電話をかけまくります。この際、各地の透析、糖尿病、難病の当事者の会に問い合わせると、丁寧に、いろいろな情報を教えてくれます。実際に病や障害を抱えながら、地域で暮らしている訳ですから、その生の情報は実践的、具体的で、私達では気づかない、見過ごしてしまうような生活上の細かい事柄もあり、とても参考になります。もちろん、スムーズに運ぶこともあれば、アパートが決まったのに保証会社が通らない等、壁にぶち当たったケースもありました。しかし、ダメだったら次、と絶対に諦めずに進み、突破、解決してきたのです。

 滝山病院には合併症等、難しい患者が入院している、退院は困難、とずっと言われていましたが、そんなことはない事を、相原弁護士が実践したと言えるでしょう・・・

<以下、全文は、おりふれ通信426号(2023年10月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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モーツァルトを初めて聞いた日 ―劣悪?な病院で働いている皆さんへ

根間 あさ子

 

ある日、Oさんは病棟のデイルームに寮から自分のステレオを持ち込んだ。12歳の私がベートーベンもモーツァルトも知らないと聞いて、自分の大切なレコードを聞かせようとしてくれたのだ。彼がレコードを扱う手つきから、それをとても大切にしていることがわかった。その大切なものを病棟に持ち込んで、クラシック音楽など流れたこともない場所で演奏が始まった。私は初めて聞くモーツァルトの音楽に心震わせ、と書きたいところだが、その日どんな音楽を聞いたのか全く記憶はない。その前日に、私はいつものようにOさんが翌朝の薬をセットしているそばでおしゃべりをしていた。その時にクラシック音楽について全く無知なことを知られたのだろう。当時のかさばる図体のステレオを、寮から二階の開放病棟までどうやって運んだものか。私は初めて聞くクラシック音楽は良く分からぬながらも、Oさんがレコードをステレオにセットする手つきからとても大切なものを扱っていると感じOさんがそれらを大事にしていることが良く分かったし、それを私に聞かせようと奮闘してくれていることが嬉しかった。だから半世紀以上前のその記憶が今も私の心を温かくしてくれる。

私の二回目で最悪の入院生活(1960年代の私立単科の精神病院です)の中で唯一の良き思い出は、このOさんと過ごした時間である。彼は病院にとなりあっていた職員寮に住まいしていた。看護学校に通いながら看護人(男性の看護助手をこのように呼んだ)をしていたのか、それとも全く別の勉強をしていたのかは知らないが確か学生だったように思う。佐渡島から上京してきて、私と同じ年頃の妹がいるといっていた。私は彼が夜勤の時に薬をそろえたり作業しているそばで彼の話を聞くのが好きだった。彼も病棟中で一番幼い、故郷の妹と同じ年頃の私を不憫に思い心に掛けてくれたのかもしれない。詰所(ナースステーション)に患者が入るのはご法度だったかも知れないが、私は幾度となく彼の夜勤の時には詰所に入り込んでいたように記憶する。

この記憶を書くことで私が伝えたいことは、どんな過酷な環境の中にいたとしても、人の心ある振る舞いは伝わるし、人を救うことが出来るということだ。あなたが酷いところで働いていたとしても、あなたの心ある振る舞いはきっと患者さんたちに伝わるに違いないということだ。諦めずに目の前の患者さんに対して心を尽くして欲しいと心から願う。

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投稿詩  We are

森重寿一

 

我々哀れな患者は

精神病院に向かって

運ばれていく

殺されるも殺すも

お金💰を稼ぐためだけに

いいようになってゆく 

長く入院して殴られて

拘束されていじめられて

 

病院🏥の院長などなどは

好き勝手にいろいろあっても

反省のかけらもないから

 

日本の精神病院🏥は

狂ってる 狂ってる

まだ狂ってる

 

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