読者からの手紙2 滝山にいる患者さんのことを思い、書いてみました。
根間あさ子
「ルポ死亡退院」というテレビ番組を見て以来思い悩んでいます。
あの放送は深夜の放送だったので録画して見たのですが、最初は、とても辛くてまともに見ることもできませんでした。でも目を背けてはいけないと、気を取り直してくり返し視聴しました。
病名を持ち、入院経験がある者としてはあのような病院が存在することは恐怖でしかないです。決してよそ事ではないことなのです。私だって運が悪ければあそこにいたのかもしれないのです。
暴力を振るっている人と同じ空間でその暴力を止めようともせずに平然と仕事をしている看護者がいるのを見れば、滝山病院の問題は逮捕された人だけの問題ではないことがわかります。職員のモラルが失われているのです。
考えてみてほしいのです、もしそこに患者の立場であなたがいたらと。暴言を吐き暴力を振るう人間がいるのに誰も止めようとしないのです。酷い目に合わされても誰も助けてくれない所なのです。あなた自身は殴られていなくても、とても怖いし、絶望的な気持ちになるでしょう。
私が、半世紀も前ですが、入院していた病院で、看護者が患者さんをレイプするという事件が起きました。しかし、警察に通報されることもなく事件にもならずに有耶無耶にされました。その看護者は首にもならず、もちろん逮捕もされず、別の病棟に配置換えになっただけでした。これは、この看護者だけの暴力行為でしたが、それでも患者にとっては精神病院が立場の違いで酷い扱いをされる場所なのだということを痛切に知らされた出来事でした。
つい最近、東京都が、21年6月の調査で滝山病院の死亡退院率が64.3%だったと発表しました。この病院に入ったが最後、生きて外に出ることは出来ないということなのでしょう。そもそも精神科病院の患者は、入院が長期になってくると、だんだん諦めの気持ちが出てきます。もう退院できないのかもしれないと。ましてこのような、ただ死ぬのを待つだけの病院、まともなケアも受けられずに、何かというと縛られて、酷い褥瘡ができても手当してもらえない、そんなところにいる患者さんはどんな思いで日々を過ごしておられるのでしょうか。そう思うと居ても立ってもいられない焦燥感に襲われます。
あの放送があってから数ヶ月がたちました。滝山病院から患者さんたちを救い出したい。何とかまともな医療を受けられる所に転院なり退院なりさせてあげたい。そう願わずにはいられません。
私たちに出来ることはないのでしょうか?
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