630調査と情報公開―三木由希子さんの話を聞いてー
東京地業研 山本則昭
1月27日、情報公開クリアリングハウスの三木由希子さんの話を伺う勉強会「630調査と情報公開」に参加した。三木さんは「情報公開法を求める市民運動」(1980年設立、以下「市民運動」)から活動に参加した。当時、政治汚職や薬害、公害などの究明が公務員の守秘義務や企業秘密によって阻まれていた。情報公開を求める運動が各地で起き、地方自治体が次々と情報公開条例を制定、そんな中で「市民運動」は全国の情報センター的な役割を担った。1999年には情報公開法が制定され、その後「情報公開クリアリングハウス」に名称変更。「公的機関における市民の知る権利の確立」という目的のため、その手段として「情報公開制度」「個人情報保護制度」を位置付けているとのこと。
多くの情報をいただいたが、印象に残るポイントについて報告する。
1「情報提供と情報公開請求の違い」 「情報提供」は情報提供側が任意に提供対象や情報内容を選んで(場合によっては情報を加工して)実施するのに比して、「情報公開請求」は請求者が誰であっても、どんな目的・意図であっても公開できるか否かで非公開理由の該当性が判断される。そして、処分の内容に不服がある場合は審査請求、訴訟で争うことができるものだ。しかし「どちらが正しいかではなく、市民として損をしないためにうまく組み合わせることが重要」とのこと。「運動論や心情的正しさを追求し過ぎると、制度の範囲で判断させるための争点化に失敗することがよくある」と忠告をいただいた。「あまりウェットにならずサラッと開示請求するのがいい」とも。
2「厚労省の対応をどう考えるか」 厚労省は2018年の国会で「公開するかしないか、どういうふうに公開するかというのは、都道府県ごとに判断していただくもの。国の方で都道府県に公表するなとか決して申し上げるつもりはない」と答弁している。一方、同年の630調査時の都道府県への依頼内容として「患者に関する情報が含まれていることから・・・個人情報保護の観点から精神科医療機関の提出した個々の調査票の公表は予定しておらず、・・・その旨を明示した上で協力を求めること」としている。厚労省の思惑としては「医療機関側の反発を招くことは避けたい」「都道府県に調査票自体の公表を予定したものではないことを周知し、依頼内容に反映するように求める」「都道府県が非公開を前提に調査協力を求めた場合、情報公開条例の不開示規程に該当する可能性が高くなり、法人の利益保護との関係で慎重になる」つまり「厚労省は都道府県の個々の情報公開請求に対する決定に介入はできないが、望ましい決定を引き出しやすくなる」といううまいやり方をしていると三木さんは評する…
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