« 2022年2月 | トップページ | 2022年4月 »

630調査と情報公開―三木由希子さんの話を聞いてー

東京地業研 山本則昭

 

 1月27日、情報公開クリアリングハウスの三木由希子さんの話を伺う勉強会「630調査と情報公開」に参加した。三木さんは「情報公開法を求める市民運動」(1980年設立、以下「市民運動」)から活動に参加した。当時、政治汚職や薬害、公害などの究明が公務員の守秘義務や企業秘密によって阻まれていた。情報公開を求める運動が各地で起き、地方自治体が次々と情報公開条例を制定、そんな中で「市民運動」は全国の情報センター的な役割を担った。1999年には情報公開法が制定され、その後「情報公開クリアリングハウス」に名称変更。「公的機関における市民の知る権利の確立」という目的のため、その手段として「情報公開制度」「個人情報保護制度」を位置付けているとのこと。

 多くの情報をいただいたが、印象に残るポイントについて報告する。

1「情報提供と情報公開請求の違い」 「情報提供」は情報提供側が任意に提供対象や情報内容を選んで(場合によっては情報を加工して)実施するのに比して、「情報公開請求」は請求者が誰であっても、どんな目的・意図であっても公開できるか否かで非公開理由の該当性が判断される。そして、処分の内容に不服がある場合は審査請求、訴訟で争うことができるものだ。しかし「どちらが正しいかではなく、市民として損をしないためにうまく組み合わせることが重要」とのこと。「運動論や心情的正しさを追求し過ぎると、制度の範囲で判断させるための争点化に失敗することがよくある」と忠告をいただいた。「あまりウェットにならずサラッと開示請求するのがいい」とも。

2「厚労省の対応をどう考えるか」 厚労省は2018年の国会で「公開するかしないか、どういうふうに公開するかというのは、都道府県ごとに判断していただくもの。国の方で都道府県に公表するなとか決して申し上げるつもりはない」と答弁している。一方、同年の630調査時の都道府県への依頼内容として「患者に関する情報が含まれていることから・・・個人情報保護の観点から精神科医療機関の提出した個々の調査票の公表は予定しておらず、・・・その旨を明示した上で協力を求めること」としている。厚労省の思惑としては「医療機関側の反発を招くことは避けたい」「都道府県に調査票自体の公表を予定したものではないことを周知し、依頼内容に反映するように求める」「都道府県が非公開を前提に調査協力を求めた場合、情報公開条例の不開示規程に該当する可能性が高くなり、法人の利益保護との関係で慎重になる」つまり「厚労省は都道府県の個々の情報公開請求に対する決定に介入はできないが、望ましい決定を引き出しやすくなる」といううまいやり方をしていると三木さんは評する…

<以下、全文は、おりふれ通信409号(2022年3月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

 

|

『新型コロナウィルス ナースたちの現場レポート』紹介

溝口 雅子

2021年3月、日本看護協会出版会編集部から『新型コロナウィルス ナースたちの現場レポート』(以下本誌)が出版されました。『本誌』の“はじめに”で、瞬く間に世界中に拡散してパンデミックを引き起こし、人類を恐怖に陥れた「記録」を残すことが出版の目的であるとし、内容としては20201月の中国・武漢市への自衛隊の災害派遣から、第三波がくる12月までの約1年間にわたる医療ケア現場の様子と、日々の暮らしを綴ったレポートであり、医療専門職としての責任感、未知のウィルスへの恐怖心、差別・偏見に対する怒りや悲しみ、大切な人への思いなど、看護職であり、生活者でもある1人の「人」としての姿が垣間見られると述べています。

執筆者には、日本はもとより海外で働いている人も含まれ、医療機関の機能・規模に関係なく、クリニック、介護施設や訪問看護ステーション等々から162人が語っています。コロナ関連の情報が錯綜、氾濫する中、時を経て少し客観的にコロナと向き合うことが可能な今、自分の体験したこと、考えたことなどを振り返る時の一助として、この本をおすすめします。

 

「面会禁止」「面会制限」を振り返って

長引くコロナ渦、私たちは感染予防、大切なものを守るために多くのものを失い、多くのことを我慢してきました。今まで“当たり前”であったことが、“当たり前”でなくなることも多く経験してきました。その一つに医療機関や福祉施設等での「面会禁止・制限」があります…

 

<以下、全文は、おりふれ通信409号(2022年3月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

|

« 2022年2月 | トップページ | 2022年4月 »