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『ハーディング名誉教授講演録』の出版について

戸塚悦朗(弁護士・第二東京弁護士会所属)

 

講演会と講演録の出版について

第二東京弁護士会(人権擁護委員会)は、2021323日にジュネーブ大学名誉教授のハーディング先生をお招きしてZoom講演会を開催しました。私は通訳をしたのですが、何とか大役を果たすことができました。幸い、多くの方々に参加して頂くことができて、講演会は成功しました。参加者の皆さまに感謝申し上げます。その講演会の報告が以下のとおり、二弁のホームページに掲載されています。

(3/23)「ハーディング名誉教授講演会~恣意的拘禁は防止できるのか?制度的保障と法的な枠組みの必要性~」開催のご報告|第二東京弁護士会 (niben.jp) そのURLは、https://niben.jp/news/report/2021/202112163134.htmlです。

この報告には、ハーディング名誉教授がどのような方なのか、どのような内容の講演会なのか、なぜ私たちがこの講演会を開催したのかなどが簡略に説明されています。

とても大事な内容ですので、講演と質疑のほかに、ハーディング先生が提供して下さったすべての参考資料の翻訳もつけて、『ハーディング名誉教授講演録』を冊子として出版(202112月)しました。身体拘束についての最新の欧州ヒューマンライツ裁判所の判決の翻訳も入っています。冊子は、全国の弁護士会、国会図書館、弁護士会館の合同図書館に贈呈したほか、医療従事者などにご贈呈いたしました。しかし、部数はわずか100部ですので、残念ながら、多くの方に差し上げることができませんでした。

そこで、コンピューターとインターネットへのアクセスがあれば、第二東京弁護士会会員である弁護士ではない一般の方々も含め、どなたでも講演録を読んでいただけるように工夫しました。二弁のホームページの講演報告の末尾に、講演録(PDF)へのリンクが張ってあります。ここをクリックすると講演録が全部読めます。とても便利な時代になり、IT技術の進歩に驚いています。

ハーディング先生には、この冊子を20221月にお届けできました。欧州評議会(COE)に送って、報告すると言っておられました。レマン湖畔で私が撮影したハーディング先生の写真が二弁のホームページ上の報告に掲載されているのですが、それがとても気に入ったということです。先生は、日本語を勉強しておられますので、熱心に内容を読んで、いくつも質問をしてこられました。「日本の関係者の方々から、この『講演録』にどのような反応が寄せられていますか?」というお尋ねがありました。

しかし、まだ広報が十分ではありませんので、お答えができる段階ではありません。私たち二弁も努力します。皆さまも、できる限り広くこの情報が知られるように、ご協力いただければ大変ありがたく思います・・・

<以下、全文は、おりふれ通信408号(2022年2月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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2019年度630調査(埼玉県・さいたま市)開示請求 -審査請求のその後;開示決定!

埼玉県の精神医療を考える会 村田京子

【埼玉県】20203月開示請求 5月・6月部分開示決定(隔離・拘束指示数が非開示) 9月審査請求  20215月審査会口頭意見陳述 10月審査会答申「不開示としたことは妥当ではなく、取り消すべきである」 12月処分庁裁決書「不開示とした部分を取消し、別表の通り開示する」

【さいたま市】2020年8月開示請求 9月部分開示決定(ほぼ全面非開示) 12月審査請求 20213月処分庁との口頭意見陳述 7月審査会口頭意見陳述 11月審査会答申「処分を取り消し、開示できる部分について再検討を行うべきである」 2022年1月処分庁裁決書「処分を取消す」

「開示請求」に始まり、非開示に対する「審査請求」、処分庁の弁明書に対する「反論書」の提出(弁護士に依頼)、審査会での「口頭意見陳述」。労力も時間もかかりましたし、星丘さんがおりふれ(403217月号)に書いた「もともと出ていた情報が出なくなって、それを出してもらうために労力を使うのは虚しい気持ち」が正直私にもありました。が、ともあれ今回、開示にちゃんと辿り着くことができ、良かったです!また、さいたま市の審査会の答申では、以下に抜粋転載したように、国民の医療選択権について触れた上で「精神科病院には高い倫理性が期待され、それに照応した情報公開が求められる」との記述があり、虚しさが少し解消されました。

 

【さいたま市情報公開・個人情報保護審査会の答申書から抜粋】

審査会の判断の理由 ~中略~ 医療法人に関する情報は、医療が生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とするものであり、医療の提供は良質かつ適切なものであることが求められていることから、ほかの種類の法人の情報とは別異の考察が必要である。

医療は国民の健康の保持増進ひいては生命の尊重に寄与することを目的としている。医療における中心的な存在は患者でありその家族である。患者及びその家族にとってどのような場で治療をうけるかを知ることは不可欠であり、患者及びその家族には、自らの判断で医療機関を選び、十分な情報を得たうえで治療方法を選択する権利が保障されていなければならない(それは日本国憲法第13条幸福追求権及び第25条生存権に基づく)。そのためには、病院情報が広く公開されることが必須である。医療機関にとっても、患者及び家族の選択を通じて医療の質を吟味され、治療構造の見直しを通じて良質な医療の確保につなげていくことが可能になる。

医療法(昭和23年法律第205号)によれば、病院や診療所等は、医療法に基づく設立認可によって医療法人とすることができ、認可された医療法人はその責務として、提供する医療の質の向上及びその運営の透明性の確保を図り、その地域における医療の重要な担い手としての役割を積極的に果たすよう求められ(同法第40条の2)、その運営に非営利性と公共性が求められる存在である。~中略~

患者とその家族の医療の選択が保証されること、そのための病院情報の公開は医療法人の基本的な責務であり、医療法人がこれらの観点から医療機能について一定の評価をうけることは運営基盤の強化を図るためにも避けて通れないところである。

さらに、当該病院は、精神保健福祉法に基づき、強制入院や在院患者に対する行動制限あるいは身体の自由を制限する権限を与えられており、その存在は高い倫理性が期待されているのであるから、それに照応した情報の公開が求められることは不合理ではない。

 

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冬   森重寿一

雪❄️が降っている

めんどうなあの友

僕は辛かった

アパートに帰り

PC💻でYouTube

みながら

タバコ🚬に

ライターで

火🔥をつける

冬❄️

あいつはこころ傷だらけ🩹

 

冬❄️

ピンチはチャンス

僕の気持ちは葛藤している

外に出るとまわりは白い雪❄️

午前4時 心に時は流れつつ

街は眠り あの日のように

静かな深夜は不思議な時を刻む

 

近くのコンビニへ

自転車🚴‍♂️を走らせた

ビール🍺と菓子を買い

アパートに帰る

 

こころのなかの

愛の傷

リピートしたくない

カプセルナイト

ああ

心は

クールダウン

午前5

空はしらみかけて

空間に漂う

僕は辛かった

あの頃 

ああ 悩んでいる友のこと

感じるんだ

決めた

あの海🏖のような

広く深く強いひとになろうと

雪❄️が降っている

 

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コロナ 3度目の春

佐藤朝子 

 

 2020年の今頃は世の中がこんなに変わるとは予想しておらず、夏になれば収束するだろうと楽観的でした。しかし、私の勤務する病院でも病棟を一つ閉鎖し、コロナ病棟の人員を強化し始めた頃にはさすがにのんきにしていられなくなりました。1回処置を行うごとに使い捨てていたサージカルマスクは週に2枚の配給制となり、こんな枚数で感染しない方がおかしいだろうと、憤りながら仕事をし、テレビで「感染するのは自己責任です」などとインタビューで答えている人には「じゃあ、感染しても病院に来ないでよね!」と自分たちもいつ感染するかもしれない恐怖と、それでも業務をこなさなければならないことへの行き場のないイライラをぶつける毎日でした。

また、1枚ずつパックされたアルコール綿も品薄になり、ふた昔前のように容器に入れた脱脂綿に消毒液を浸して準備しました。昭和から看護師をしている私は「万能つぼ」と呼ばれる容器で作っていたので昔を思い出して懐かしく思っていましたが、30代のスタッフには万能つぼ自体を知らないと言われ、がっくりしました。

職場の歓送迎会や暑気払いは軒並み中止となり、昼休憩も一つの部屋で使用する人数が制限されはじめ、食事しながら愚痴を言ったり、趣味や家族の話をしながらお互いの人となりを確認できていたのが、今では一部屋一人で食事をすることになっているので、まったく交流する機会がなく、新人看護師のメンタルのフォローなどが難しくなっています。

昨年の東京都内の精神病院はいくつかの病院でクラスターが発生し、元々精神科特例で看護師が少ない中の感染だったため十分な清潔ケアや床擦れ予防ができなくなっており、そんな中でも頑張ってケアしていたことが裏目に出て、コロナで呼吸状態が悪くなるだけでなく、かなりひどい床擦れができている患者も搬送されてきました・・・

<以下、全文は、おりふれ通信408号(2022年2月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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