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NHK「ドキュメント 精神科病院×新型コロナ」を見て思ったことその2

香澄 海

 

 番組を見て特に印象に残ったのは、劣悪な状況に置かれた患者たちの声が無視されていることだった。X病院で酷い褥瘡ができてしまった方がいた。そしてコロナ陽性患者と大部屋に寝かされていた方は、「感染してしまう」と保健所に助けを求めたが無視されてしまった。しかも保健所は病院に対して「なるべく隔離はすること。ただし、個室や空室がない状況ではやらない」「看護室はクリーンゾーン、それ以外の病棟はレッドゾーン」という指示を出していたそうだ。自分の意志で病棟の外に出ることができない患者さん達の恐怖はいかばかりだったろうか。感染は目の前でどんどん広がっていくというのに。

 Y病院では、6人部屋の真ん中にポータブルトイレを置いて外から南京錠で施錠した。あまりのひどさに、胸がつまって苦しくなった。

 この手の番組は、特に入院経験のある仲間にとって「怖くて見られない」「見るのに勇気がいる」ものだ。視聴すると、苦しい入院体験によるトラウマが呼び起こされたり、精神障害者に対する偏見に満ちた言葉を浴びる可能性があるからだ。その仲間の一人が言っていたのは、《患者さん達が叫んでる場面が何ヵ所かある。何故叫んでるのか脈略なく切り取られている。訳もわからず怖いのかもしれない。突然痛い治療をされて苦しいのかもしれない。私たちだって閉じ込められた時「出してくれ」って全力で叫んだ。叫んでるところだけが切り取られて「ああいう人たちは閉じ込めておかないと」と思われるのが怖い。》ということだった。

 日精協会長の山崎氏は、精神科病院は医療だけでなく、社会秩序を担保する、保安までやっているのに診療報酬が安過ぎるとコメントした。患者との信頼関係を築く気がなくて、何が医療なのか。人をその意志に反して閉じ込めることに対して一切の躊躇なく、当然だと考えてやっているのだ。同時に、この発言は、精神保健福祉法の本質を言い当てているとも言える。

  また、松沢病院でコロナ陽性患者の対応に追われている医療従事者には頭が下がる一方、齋藤医師のある言葉に怒りと悲しみと自らの不甲斐なさを覚えた。次々と運び込まれるコロナ陽性患者を送り出している劣悪病院の実態を知りながら、またそこに送り返さなくてはならないことをためらう他の医師に対して、彼はこう言った。

「そうなんだけど、すごく微妙な問題なので、だけど精神科の病院が倒産していって患者さんが放り出されて、世の中はそれを受け入れる素地がないわけだから、その辺の塩梅を見ながらやっていかないと。でも、気持ちはわかる」

 最初にやるべきは、患者さんの意志を確認することじゃないのか。その希望にそって別病院に転院、または退院の方向で動くべきだと思った。その最低限の努力をせずに「素地がない」と何故言い切れるのだろうか・・・

<以下、全文は、おりふれ通信404号(2021年8月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

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