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「ゼロ」からの再出発 〜神奈川の630調査情報公開請求〜

神奈川精神医療人権センター 稲川洋

 

(以下の原稿を提出した直後に、神奈川県の担当課から「全面不開示を見直し、部分開示の方向で再検討したい。」との電話がありました。既に審査請求も提出した後で、このような方針変更の連絡があるのは異例のことでしょうが、当面は県庁内の再検討の結果を待ちたいと思います。ただ、部分開示の内容も現時点では全く分かりませんし、一旦は全面不開示という決定が通知され、審査請求まで行ったことは事実なので、原稿は書き換えずに掲載していただきます。その点をご承知おき下さい。)

 

ちょうど1年前に発足したばかりの神奈川精神医療人権センター(以下「KP」)では、630調査についての初めての情報公開請求を行いました。それに対する神奈川県からの答えは、全くの「ゼロ」でした。神奈川県民としては誠に腹立たしく、また他都道府県の方々に対しては恥ずかしい限りですが、この際、恥をしのんで以下にご報告します。

 

1.「東京精神病院事情」との出会い

本題に入る前に私ごとで恐縮ですが、私の家族が精神疾患を発症した20年余り前、医療機関の情報が全く得られず、保健所などからの助力も得られないまま、孤立無縁の状態にありました。その頃、ふと見つけたのが「東京精神病院事情」(何年版かは覚えていません)でした。残念ながら神奈川県の住民である私には、この本による直接的な成果は得られませんでしたが、このように患者や家族の立場に立って書かれた本があるのだということは半ば驚きであり、干天に慈雨の思いでページを繰ったことを覚えています。どんな人たちがこういう本を書いているのだろう、なぜ神奈川県版がないのだろう、という疑問が長らくありましたが、その疑問が最近になってようやく解けました。一読者として、出版に当たってこられた皆様に感謝申し上げます。そして、神奈川県民にも役に立つ情報を何とか得たいという思いから、630調査の情報公開請求に携わることにしました・・・

<以下、全文は、おりふれ通信402号(2021年6月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

 

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奈良県での取り組み 「奈良県精神科病院等立ち入り検査結果」から

社会福祉法人寧楽ゆいの会 地域生活支援センター歩っと 大田雅子

 

奈良県には、かつて「精神保健福祉ジャーナル 『マインドなら』」という情報誌がありました。おりふれ通信にも何度か登場されている、小林時治さんが編集長を務め、県内の家族会員や当事者のフリーライター、社会福祉法人のPSWが編集部員として参加、毎月1500部を発行していました。

 精神障害の当事者や家族の権利を守るための情報発信を目的にしたもので、紙面構成は、県や国全体の動きがトップにあり、家族会活動、参加法人の活動や各圏域ごとの動き、当事者ライターによるエッセイ・コラムというものでした。

制度や県内の自治体などの動きの他、自立支援医療の受給者数や精神保健福祉手帳の所持者数の推移、交通運賃の減免運動、道路交通法改正の問題、学生無年金障害者の全国訴訟、障害年金制度の問題点の指摘や受給勧奨など、多岐にわたるニュースの発信と、問題提起を行なってきました。中でも、身体障害、知的障害と同様の福祉医療制度を求めた運動については4年、学生無年金障害者の全国訴訟については10年にわたって掲載してきました。

 

「精神科病院等立ち入り検査・実地指導結果」は平成11年度分から、630調査については、平成13年度分から毎年情報公開請求を行ない、二つの情報を掛け合わせて県内の精神科病院ごとに平均在院日数や常勤医1人あたりの病床数、任意入院者の開放処遇率などを割り出し、掲載してきました。

奈良県の場合は立ち入り検査結果から以下のような情報を得ることができるため、630調査の代用がほぼできます。(主な項目は※表1のとおり。個人名・9入院者事故処理状況の性別・年齢・入院期間については非開示)。

※表1 平成30年度 奈良県精神科病院等立ち入り検査・実地指導結果 項目

 

項目

内    容

精神科病院概要

病院名、所在地、開設年月日、法人化年月日、精神科特例許可年月日、開設者名、管理者名、事務責任者、経営形態

病院施設の概要

敷地面積、建物延べ面積、標榜診療科目、総病床数、精神指定病床数、精神科病床数、隔離室、差額ベッド床数、基準看護種別

2

精神科職員の状況

職種別、常勤・非常勤別、常勤換算計

3

看護体制

時間帯、配置人員

4

入院形態別入院者数

入院形態別の入院者人数、生活保護受給者数

5

在院患者の状況

措置入院、医療保護入院、任意入院、その他入院、合計

5-1

在院患者の状況

1年以上5年未満再掲。措置入院、医療保護入院、任意入院、その他入院、合計

6

入通院者数

入院者数、外来通院者数

7

入院者の状況

検査当日に一覧表提示

8

任意入院者の入院病棟別分類

開放・半開放・閉鎖病棟別、病棟数、病床数、入院者数

9

入院者事故処理状況

性別、年齢、入院期間、事故の状況、処理経過

10

公衆電話等の種類別設置状況

病棟名、病棟数、電話数、種類(硬貨・カード)、各台数

11

行動制限の状況

制限方法、制限対象者男女別人数、制限理由(選択式)、備考

12

金銭(所持)管理について

所持方法、病院管理の理由

※その他、生活療法及び社会復帰のための施設の有無、消防査察結果について、県の医療監視結果について、職員研修会・講習会等への参加及び開催状況、建物の設計図 等

 

<以下、全文は、おりふれ通信402号(2021年6月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>

 

 

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詫び寂びおじさんの徒然日記 その13 いしころとおじさん

この世に価値のない存在なんていないんだよ

道端の石ころでさえ意味があるんだよ

フェリーニの映画「道」より

 

こんにちは おじさんです。

神出病院で起きた拷問にも等しい虐待。酷い事件です。おじさんは加害者は、どこにでもいる普通の看護師だと睨んでいます。どういうことかと言うと、精神病院という組織内で、道徳的水準の低下をひきおこすなんらかの力が働いたに違いないと思うからです。

具体的に言うと、1.院長のパーソナリティ(大元はこの人にある) 2.経営方針 3.職場の上意下達の人間関係 4.心身を消耗させる過酷な労働環境 5.他者を模倣するという人間の行動特性(これもまた大きい) これらの要因が重なった結果起こったことだとおじさんは考えます。ハンナ・アーレントの有名な言葉に「悪とはシステムを無批判に受け入れること」というのがありますが、まさにこれが事件の本質を表しているのではないでしょうか。どうも偉そうなことを言ってごめんなさい。

 

さて、話が変わります。石ころの話です。今、おじさんの枕上に石ころが一つ。これは入間川の河原で拾ってきた石です。米つぶの形をした掌中にすっぽりおさまる大きさです。赤色チャートという名の非常に硬い堆積岩のかけら(川越という所は大昔、海の底だったとか)です。何の気まぐれで持ってきたのか・・・

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院内集会 神出病院事件を繰り返さない ー虐待事件の政策的解決に向けてーに参加して

東京精神医療人権センター 木村朋子

 

 神奈川精神医療人権センターから東京精神医療人権センターに呼びかけがあり、表記の会の実行委員会に東京のセンターの者として参加した。神出病院問題については、4月号巻頭に兵庫県精神医療人権センターの吉田明彦さんが書いてくださっている。

ZOOMでの2回の実行委員会は、私にとって初めましての若い当事者の方がたくさん参加されていて、時代は変わってきていると頼もしく思った。実行委員会の話合いの中では、吉田明彦さんの、加害者の看護職員の有罪判決が昨年出たことなどで事件が一段落したような受け止め方があるが、現地では決してそうではない。被害者の人たちは今も退院も転院もできずに神出病院に入院継続させられている。救済できていない。会いに行くこともできない。自分たちにとって事件は終わっておらず、「繰り返さないために」「再発防止」と言うことで終わった不祥事を次に生かすという扱い方はしてほしくない。兵庫県の家族会連合会の女性の会長さんは今も神出病院の話をするたびに泣いてしまわれる・・・という話がとても心に残った。

5月11日当日は、コロナ緊急事態宣言下、衆議院議員会館内の大きな会場に80人が集まり、一つの机に1人ずつ、検温、手指消毒などの感染予防策をこなしつつ開催された。他にオンラインで130人の視聴参加者があったとのこと・・・

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追悼 伊藤哲寛先生

去る515日に伊藤哲寛先生が亡くなられたとの知らせがありました。急なことでとてもショックでした。「てっかん先生」と親しみを込めてお呼びしていた先生は、長い間のおりふれの会員で、20142月号に寄せてくださった、「迷走する精神保健福祉法―修正から廃止へ」という力のこもった長文が強く印象に残っています。また、故小林信子さんと親交が深く、小林さんが専従をしていた東京精神医療人権センターの強力な応援者でもありました。2002年、伊藤先生が小林さんに、当時院長をされていた北海道立緑が丘病院の精神科病棟に体験入院をし、忌憚のない意見を聞かせてほしいと依頼し体験入院が実現したのは、当時東京で院内権利擁護活動の場を見つけられずに閉塞感をもっていた東京精神医療人権センターと小林さんにとって、大きなエールでした。病院にとっても勇気のいることであり、それを提案した伊藤哲寛先生と受け入れたスタッフの皆さんに敬意を抱きました。(小林さんの「北海道立緑が丘病院で体験・監視入院をしてきました その1~3」は20025月号~78月合併号に掲載)

今回お聞きしたことでは、伊藤哲寛先生は1973年、33歳当時から「慢性期精神病患者の社会復帰を生涯の研究テーマとする」とされていたそうです。志どおりの人生を歩まれた先生の早すぎる逝去を惜しみつつ、ご冥福をお祈りします。(文責 編集部木村)

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