「いのちのとりで裁判」名古屋地裁判決から 生活保護制度を考える
元生活保護利用者 和久井みちる
1.「いのちのとりで裁判」について
いのちのとりで裁判は、2013年8月から最大10%を段階的に引き下げられた生活保護費について、「おかしい、許せない」と言う声を挙げた当事者が原告となり、全国29の地域と裁判所で争われてきた裁判です。全国で最大1021名の生活保護利用当事者が原告になりました。その裁判の最初の判決が、2020年6月25日に名古屋地裁で言い渡されました。
私自身は元生活保護利用者という立場であり、原告になることはできませんでした。それでも、この裁判に関心をもって見守ってきた一人として、判決について考えたいと思います。
2.名古屋地裁の判決
名古屋地裁の判決は、極めて簡単に言うと「引き下げは妥当だった、引き下げによって最低生活費を下回っているとは言えない。」という、原告の主張はまったく受け入れられない、
判決でした。私が生活保護で生活していた、引き下げられる前の基準でさえ本当に不自由で、節約のしようもないほどにギリギリの保護費だったのです。それがさらに減額されたというのに、一体、何が「妥当」だったというのでしょうか。
判決では「生活保護の削減などを内容とする自民党の政策は、国民感情や国の財政事情を踏まえたものであって、厚生労働大臣が、生活保護扶助基準を改正するにあたり、これらの事情を考慮することができることは前記(1)に説示したところから明らかである。」とされています。つまり「(与党である)自民党が財政事情が大変と言っているのだから、厚労大臣がそれを踏まえて引き下げの判断をすることは問題がない」というのです。また、「厚労大臣の判断の過程に過誤や欠落等があるということはできず、その判断が違法であるということはできない」とも言っています・・・
<以下、全文は、おりふれ通信394号(2020年8/9月合併号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ>
| 固定リンク
最近のコメント