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630統計情報公開運動アーカイブ

編集部から
新年もひき続き630統計情報公開問題での幕開けです。
1月7日 東京都は東京地業研の2回目の個別精神科病院情報開示請求に対して、性別、年齢、病名、入院形態、入院年月日・・・すべての項目のデータを黒塗りにした表を開示すると回答してきました。今後対応を検討し、また報告しますが、今号では、630統計が最初に情報公開された時の記録(おりふれ通信1992年8月号)と、12月の病・地学会でこの問題について発表した際、会場で配ったアピールを掲載します。

<おりふれ通信118号 1992年8月号巻頭文再掲>
東京都精神病院統計ついに全面公開 
どこに行っちゃったのー非開示の理由
東京地業研 多田朝子

 この7月、東京都は地業研の5回目の個別精神病院情報公開の請求に対し、全面的なデータを開示しました。
個別病院データの公表は、地業研が東京都の精神医療を変えていくことを考えた最初からの要求であり、十数年間事あるごとに、都に申し入れてきたものです。都は病院との信頼関係を壊すからとか、国の意向だからとか言って拒否し続けてきました。1984年東京都情報公開制度の発足に伴い、86年に第1回の開示請求を行いました。お決まりの非開示決定があり、異議申し立て、公文書開示審査会が開かれました。ここで都は①病院経営上根幹的な情報なので、公開すると病院の社会的な地位を著しく損なう ②国より開示は適当でないと指導を受けている ③病院との信頼関係が失われ、協力が得られなくなり、行政の円滑な運営が損なわれる という3点を理由に非開示の立場を強調し、審査会はなぜかこの理由にならない理由を追認しました。
納得のいかない私達は、なあんだそんな理由しかなかったんだと呆れながら、翌年、請求→非開示→訴訟と登りつめていきました。私達がこの裁判を自治体の精神医療行政のあり方を問う裁判にしようと意気込み、「精神病院に風穴をあけよう」という機関紙をつくって、関係者の協力と資金援助をいただいたのは周知のことです。

 7回の公判は、都の前記3点の主張を問うものに終始し、閉鎖的な精神医療を守るという行政の姿勢を浮き彫りにする結果となり、裁判官ですら早期和解を勧めざるをえないようなものでした。
89年2月の和解に基づき、開放率と看護者数を除く項目については開示されました。私達はこれを部分的勝利と考え、さらに空欄になった部分の開示を請求(中略)、昨年2度目の訴訟に踏み切りました。(中略)そして今度は上手に裁判をやるぞと勢い込んでいたところ、アッサリと全データをいただいたわけです。
 都側はこの5年間、理由にもならない3点をひたすら言い続けてきました。審査会も2度にわたってそれを是としました。閉鎖的な精神病院と25,000床に及ぶ長期入院者をもたらした東京の精神医療に対する責任の半分はこの行政の姿勢にあったはずです。今回の開示決定にどのような行政の方針の転換があったかわかりませんが、私達は今まで得たデータを活用して、精神病院の密室性をとっぱらっていく活動を進め、さらに行政に迫っていくことを考えたいと思います。(後略)

 

<病・地学会で配布したビラ>
アピール 630統計の激変について@第61回病・地学会東京大会2018.12.13~14
-個別精神科病院の情報公開を取り戻そう

 毎年6月30日現在で、厚労省が精神科医療機関から集めていたいわゆる630統計が、2017年6月30日付のものから、調査票も調査方法も大きく変わった。
それまでは、患者年齢別、病名別、入院期間別などの集計を書き込む様式だったのが、全患者に通し番号をふり、性別、年齢、入院形態、病名、入院年月・・・と患者個別情報の一覧表に調査票が変わった。また都道府県と各病院間で調査票をやりとりしていた方法が、国立精神保健研究所のサイトから、各病院が調査票をダウンロードして記入する方式に変わったため、都道府県が独自に集めていた調査項目がなくなった。(東京都の場合、前年6月30日から1年間の入退院数と、軽快退院・死亡退院などの内訳等の調査票を加えており、各病院の平均在院日数や死亡退院率がわかる貴重なデータだった)

 私たちは、個別精神科病院の情報は市民のものという視点で、630統計を毎年東京都に情報開示請求し、それをもとに5年に1冊「東京精神病院事情(ありのまま)」を刊行してきた。しかし2017年からは、私たちの開示請求に対して、東京都は個人が特定されるおそれがあるとして一部しか公開せず、病名、入院形態、入院期間などその病院がどんな患者構成、活動性であるかを表すデータが非公開になってしまった。
このままでは2013年統計に基づく出版が最後になってしまう。私たちのみならず、この活動は大阪、埼玉、新潟などでも取り組まれており、同じ問題が起こっている。
これまでのデータの蓄積、経年変化の追跡もここで途絶えてしまう。次ページのような比較もできなくなる。
厚労省、国立精神保健研究所は、このデータは医療計画等の立案のためのものであり、正確な統計を迅速に集めるための調査方法の変更であると言うが、統計は市民のものであり、まして長い間市民に開示され、分析され、患者・家族を含む市民に利用されてきた経過や蓄積を無視し、何の事前の話し合いもなくこのように変えてしまうというのは、行政の市民への態度として暴挙である。
630統計の情報開示は簡単にできたことではなく、東京でも京都でも裁判を起こして勝ち取ったものだった。京都地裁が開示を認めた判決(1999年10月)「先行開示している大阪府や京都市で弊害が出ていない。精神病院には高い公益性が要請されており、影響は病院が受忍すべき範囲」を再度共通認識とし、個別精神科病院の情報公開を取り戻そう。
630

 

 

 

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