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このままでいいのか日本の精神科医療と制度(後半)~当事者の視点から

精神科病棟転換型居住系施設を考える会 成田 茂

 ここ数年、いや以前から精神科医療による隔離・身体拘束の現場で、「身体拘束」が原因で死亡する痛ましい状況が数多く報告されています。もしも、あなたが何らかの精神的不安定などから、突然、ベッドに拘束帯で縛られ身体拘束されたら、どのような気持ち、状況になりますか?おそらく、「離してくれ、助けて」と大声で泣き叫びませんか?それが、精神科病院の現状なのです。ただ、全く、感情的になっただけで精神疾患と診断されて、措置入院身体拘束に至ったという女性の方もいます。その原因は夫婦喧嘩が発端でした。うつ病を抱える夫と健常な妻とのもめごとの中で、妻が少し感情的になり、「あなたと居るくらいなら死んだ方がまし」と言った言葉を真に受け、夫が警察官を呼び、妻をパトカーで精神科の病院へ連れて行き、その妻はそのまま措置入院で入院させられ、隔離、身体拘束をされたというケースもあるのです。精神科医は、当事者の言動や行動、振舞などから、何とでも病名を付けて精神疾患者にしてしまうのでしょうか。精神科医は、健常な人でさえもいとも簡単に精神疾患者に仕立ててしまうところがないでしょうか。

 私自身も、似たような理不尽な精神科への入院をさせられた経験をもちます。何だか少し調子が良くないと自分から病院に行ったら、安定した精神状態にもかかわらず、保護室へ隔離入院させられたこともありました。
 医療保護入院や措置入院の方が、請求点数が稼げるのでしょうか。とにかく、少々のことでも即入院、しかも長期入院です。私が入院していた、病棟、病室にも何年も、いや何十年も入院させられているという患者さんが沢山おりました。なぜここまでの長期入院になってしまうのでしょうか。他の諸外国、とりわけイタリアやベルギーなどでは、国が入院設備のある精神科の病院を廃止し、制度を変えて精神疾患、精神障害当事者に対する地域移行支援を推し進めている国々があるのです。今、他の欧米諸国でもそういった動きにあるといわれています。イタリア、ベルギーでは、入院設備のある精神科の病院を廃止し、街角の自治体の出張所などに、診療施設を配置し、地方自治体と、医師、看護師、精神保健福祉士、ケアマネ、介護福祉士などが連携して当事者が地域で安心して生活できるようなシステムを構築し、万が一状態が悪くなっても、数日間から長くても1週間程度の入院として、早く自宅などで生活ができるようにしているのです。なぜ日本は、イタリアなど諸外国と同じように精神医療や制度を変えられないのでしょうか。日本の精神科医療は、昔の形態のまま何十年も立ち遅れていると言われています。

 私が入院をしていた病院の病室から見える所に、何棟ものグループホームを建てて主治医から、退院をしたらそのグループホームへ入所しろと実際に言われたこともあります。そんな、病院の目の前にあるような施設に、ただ移り住むことが病院を退院したといえるでしょうか?国は、数年前から精神科の病院の空いている病室や設備をグループホームなどの施設として使うという、いわゆる病棟転換型居住施設を推し進めようとしています。患者を退院させたことにして、同じ病棟内の施設の居住で住まわせるという形式です。患者や当事者は真に退院できたと思うでしょうか?長期入院の延長線上にしかありません。むしろ長期入院を推奨するかのような制度ではないでしょうか・・・・

 以下、全文は、おりふれ通信373号(2018年10月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ

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