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福島に行って考えていることその2  浜野徹二(元浜野クリニック・精神科医)   

<編集部から おりふれ通信あてに、3月11日づけ浜野先生のお便りが届きました。読者の中にもお便りを受け取って読まれた方もいらっしゃるでしょうが、2017年8・9月号の浜野先生による福島だよりの続編として、精神医療にかかわる部分を抜粋して掲載します。>

・・・私が今毎週通っている福島県の浜通りの相双地区の精神医療事情に(主として相馬地区)ついて記してみます。昨年ふれた広野町の高野病院は、昨秋に新たに院長が赴任され、今年に入って訪問看護もはじめられています。当事者たちの意欲・努力はもちろんのことですが、全国からのいろいろな支援も力になっていると思います。

 相馬市には、3.11まで精神科クリニック・精神病院は一つもありませんでした。南相馬市には病院が二つ、クリニックが三ヶ所あったそうです。精神病院の一つは閉院を余儀なくされ、2病院で入院ベッド数は約300床あったそうですが、現在は実質上約60床の稼働となっています。したがって入院が必要となると、福島市、いわき市、宮城県の病院にお願いすることが多くなっています。人口は、相馬市は以前とほぼ同じ38,000人くらい、南相馬市は73,000人から55,000人に減少しています。医療従事者は、県全体としては3.11当時と同じくらいですが、浜通りではかなり減少しています。
 相馬市に精神科クリニックは一つのみです。3.11の直後から市長(内科医)と福島医大の精神科医が中心となって、3月末には公立相馬病院に臨時の外来ができ、全国からの支援の下年末まで稼働、それを引き継ぐ形で翌年1月から「メンタルクリニックなごみ」が発足して現在に至っています。臨時の外来は、被災地である相馬市に住んでいて3.11までは他市に通院されていた方たちの切実な訴えでなされたものと思います。現在、なごみに通われている方は約700人、初診の方は月に30人くらいです。この6年強の間に地域で認められ、安心して相談できるクリニックになっています。しかしスタッフはまだ不十分であり、彼らも被災者であります。通院されている方のうち3.11以降初診の方の7~8割は、3.11がなければおそらく精神医療に関わらずに生活ができていた方たちと思います。また3.11の前に受診されていた方たちも、それぞれ3.11の体験で病状が複雑になっていると感じます。初診の方には30分以上の時間を提供し、2回目からは10分から15分の時間を保証しています。他では言えない、言いにくいことを、その内容にかかわらす安心して吐き出せる場としてクリニックが活用されています。傾聴することが大事だと思っています。

 双葉郡の状況はもっと悲惨になっています。ある調査(2016年2月~3月)によると、震災当時正社員であった方で、調査時点で正社員として働いている方は62%、無職の方が33%となっており、当時派遣社員であった方のなんと60%が無職となっています。このような情況の中で、国はとにかく除染だけを推し進め、住環境(働き場所・学校・商店・医療機関)のことは配慮されていません。
 1年前に出された強制避難の解除とともに住宅費・生活費の支援の打ち切りが、じわじわと被災された方達を追い詰めています。1年経っても3%弱しか戻っていない自治体もあります。大熊町と双葉町は中間貯蔵施設を受け入れています。おそらく半永久的にそれが続いていくと思われます。「復興」への兆しは全く見えないと思います・・・

以下、全文は、おりふれ通信369号(2018年5月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566 立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ

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