« 2017年6月 | トップページ | 2017年8月 »

提言 措置入院を受け入れる病院について

東京地業研 代表 飯田文子


 この間問題としてきた精神保健福祉法改訂案は、参議院通過後、衆議院では論議される間がなく、国会会期末とともに継続審議となった。法案は諸団体が指摘するとおり、精神医療の治安目的化を明確にすることで、患者を苦しめ、医療者にとっては患者との信頼関係の構築が難しくなり、社会の精神障害者に対する差別・偏見を強化するなど、ひとつも良い点がなく、廃案にするしかないものである。

 今回の法改正は、相模原事件と無理矢理つなげる形で、全入院者の1%に満たない措置入院者の「退院後のフォロー」ばかりに焦点を当てたものとなった。措置入院は、昔のように「経済措置」として多数が長期間入院する手段として利用されることはなくなり、都道府県による措置率のばらつきも0.1%~2%の範囲に狭まってきて、大きく問題視されることがなくなってきていた。しかし今回措置入院の出口問題が政治的に焦点とされたことで、圧倒的に問題があり数も多い医療保護入院のみならず、措置入院のあり方も考え直してみなければと思った。
 
 東京の措置患者数で見ると、2007年には入院1年未満176人、1年以上14人だったのが、2013年には1年未満243人、1年以上6人と、措置入院数は増えている中で、長期入院の人は減ってきている。2013年の措置患者249人は、38人が都立松沢病院を中心とする国公立病院、残る211人が25か所の私立措置指定病院に入院している。措置入院は知事命令でなされる強制入院であり、本人、家族は入院先を選べない。本来は国公立病院が入院先となるべきだが、民間精神科病院中心の日本の状況では、東京の例に見るように措置入院のほとんどを「措置指定」された私立精神科病院が受け入れている。この指定病院の質が問題である。

 私たちは5年に1回いわゆる630統計をもとにした「東京精神病院事情」を出版してきた。個別精神科病院についてマンパワーと平均在院日数など活動性を表す指標を点数化して評価したものである。その中から、東京の25指定病院と単科国公立病院を一覧表にしてみた。この表に見るように、医師1人当たりの患者数が11人の烏山病院から、57人の多摩済生病院まで、マンパワーだけ見ても大きな病院間格差がある。措置指定にはもちろん厚労大臣が定める基準(*医師数が(A-52)/16+3以上であること A=入院患者数/3+外来患者数/2.5
看護師と准看護師の数が、入院患者数/6+外来患者数/30以上であること)があるが、精神科特例並みの基準に過ぎず、東京都内の指定病院はマンパワーに最も乏しい病院でもクリアしている。水準の低い病院にも措置入院を引き受けてもらわねば制度が維持できないという行政の怠慢であり、低い基準の病院に有無を言わさず入院させられる患者はたまったものではない。
20177
(詳しくは「東京精神病院事情2008→2013」お買い求めを。ホームページ arinomama.net

表の合計点が高い病院では、今回法案にあがった措置入院者の個別ケース検討会議のようなことは、措置入院に限らず既に必要に応じて行っている。現実には措置入院のまま退院する人はほとんどおらず、他の入院形式に切り替わって、外出・外泊などを行って退院に向かうのであり、こうした入院者の退院に向けて、地域の支援者や外来クリニック職員や、訪問看護師などが入院先病院に出向き本人を交えての打ち合わせ会を持つことは、当たり前に行われていることである。
以上から考えられることは、措置入院者個人に焦点を当てるのではなく、措置指定病院の医療の質を上げることが必要である。一般科なみの人員配置基準を含む措置指定基準を設定し直し、基準に達しない病院は指定を取り消す。このことを提言する

| | トラックバック (0)

拷問等禁止条約委員会 韓国精神医療への勧告

編集部 木村朋子


拷問等禁止条約について、おりふれ通信では1999年の日本政府批准以来注目し続けている。条約を批准すると定期的に条約委員会に政府報告書を提出し審査を受けることになるが、日本の場合、第一回審査が2007年5月に行なわれた。この時は東京精神医療人権センターの小林信子さんが政府レポートに対抗するNGOのオルタナティブレポート作成に関わり、その体験と委員会審査の模様を2007年7月号で報告している(おりふれ通信のブログに全文掲載しています)。第二回目の審査は2013年5月で、この時は全国「精神病」者集団メンバーがジュネーブへ行って直接委員会でアピールしたこともあり、条約委員会からの日本政府への勧告(項目22)には、精神医療での効果的な司法手続きの確立、身体拘束と独居拘禁は最小限にし、効果的な不服申立て機関へのアクセス強化と、独立した監視機関による定期的訪問の確保が盛り込まれた。

ところで今年5月、拷問等禁止条約委員会の韓国政府への最終見解が出た。日本ではもっぱら2015年の慰安婦問題をめぐる日韓合意の見直しを勧告したことと、日本政府がそれに抗議したことで話題になったが、条約委員会は韓国の精神医療についても2項にわたって勧告している。韓国では、朴槿恵大統領弾劾裁判で有名になったあの憲法裁判所において、昨年9月29日、精神保健法の保護入院が憲法に合致しないとの決定がなされた(詳しくは2016年12月号、長谷川敬祐弁護士の「韓国憲法裁判所の保護入院憲法不合致決定について」をお読みください)。最終報告書にはこの判決への言及もあり、2013年の日本に対する勧告より踏み込んだ内容となっているので、以下紹介する・・・・・

 以下、全文は、おりふれ通信360号(2017年7月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566、立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ

| | トラックバック (0)

初版から45年 髪の花を読んで

福祉施設職員 細江 昌憲


 万物は流転する、諸行無常というように世の中は刻々変化している。それ故、それまでの価値観が一変することも珍しくない。失礼を承知で言わせていただければ、一昔前、新宿2丁目と言えば、いかがわしい場所として知られていた。性同一性障害は、その言葉すら使われることはほとんどなかった。だが、メディアがその実情を取り上げ、当事者も表に出ることで、その見方はかなり変わり理解も進んだ。

 以下、少々長くなるが、「髪の花」(小林美代子著)を引用。
「チリ紙一枚と私を売りに出したら、皆は役に立つチリ紙を買うでしょう。チリ紙の白々しさに、役立たずの私を高所から、諦めきって冷たく見捨てている社会の目を感じます」(精神病院内でチリ紙に話しかけている女性を見て)。
「私達はテレビで精神異常者、父母を殺傷等のニュースを見ると、私達一人一人が、父母を殺傷する可能性のあることを考える。一人の異常者の為に、私達全国の精神病患者が裁かれる。病院では九割の患者は、殆ど正常と変わりなく、人を殺害する者等一人もいないのだが・・・。患者以外の人間が千人に一人罪を犯しても、九百九十九人は罪に問われないが、私達全員は直ちに裁かれる。病院の檻を厳重にしろ。ニュースの伝わった翌日には病院の近所から、精神病患者は散歩に出してくれるなと、病院に抗議が来る・・・・

 以下、全文は、おりふれ通信360号(2017年7月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566、立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ

| | トラックバック (0)

侘び寂びおじさんの徒然日記 その3

小田原ジャンパー事件に思うこと

あっちら


 昨今、生身の人間が住むこの社会や、人間の価値を、経済効率だけで推し量る人たちが増えているのではなかろうかという危惧の念を抱いているおじさんです(その典型が長谷川豊氏)効率至上主義の行き着く先は、人間を人間としてではなく、物として扱うナチズムです。これはとても恐ろしい風潮だと思ってしまいます。

 今年に入り、小田原市でいわゆる小田原ジャンパー事件というのが起こりました。これは報道もされたし、かなり騒がれたので、詳細な内容は割愛します。おじさんも本当にひどい事件だと思っています。しかしながら、批判が殺到した後の小田原市の対応は評価してしかるべきものでした。同時に、理不尽な扱いを受けた時、声を上げることの大切さを再認識させられました。この事態を良い方向に導くために尽力された「生活保護問題対策全国会議」、森川清弁護士ほかの方々には、心からの敬意を覚えます。まだまだ世の中捨てたもんじゃないですね・・・・


 以下、全文は、おりふれ通信360号(2017年7月号)でお読み下さい。ご購読(年間2,000円です)のお申し込みは、本ブログ右下のメール送信で。または FAX042-524-7566、立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ

| | トラックバック (0)

« 2017年6月 | トップページ | 2017年8月 »