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イギリスの地域精神医療 その光と陰

福冨一郎

 2016年12月18日、「イギリスの地域精神医療 その光と陰」と題された講演を聴きに行きました。講師はDPI日本会議の浜島恭子さんという方で、場所はあの、中野サンプラザでした。たくさんの人が集まって、有意義な話を聴くことができました。そのときの感想などを書いてみます。

まえがき
 イギリスと聞くと最近、面白いことがありました。イギリスの議会が国営放送であるBBCに対して、こんなことを言ってきました。「放送終了時には、イギリス国歌である God save the Queen を流すように」。
そして、その日、放送終了後に流された曲は Sexpistols の God save the Queen でした。歌詞の内容はこんな感じです。「女王陛下に神のご加護を、彼女は人間じゃない、あんたに未来なんかあるものか!」。さすがあの「モンティーパイソン」なんていう番組を放映している放送局の面目躍如といったところです。しかも国営放送。Sexpistols というのは、1970年代後半のロックバンドです。この頃のイギリスは、失業率が25%。怒りまくった若者が、あちこちで暴動を起こしたりしていました。そこから生まれた文化はパンクと呼ばれ、ファッションや音楽、芸術など、様々な分野に広がりました。その音楽、パンクロックの中心的存在が Sexpistols でした。
 また、イギリスといえば、福祉発祥の地で、それは1601年のエリザベス救貧法に端を発するところです。日本ではまだ江戸時代になる前です。 そんな反骨精神と福祉の進んだ国というイメージがあります。しかしその反面、最近は移民政策に対して不満を持つ人々が増え、国民投票の結果、EUを脱退することになりました。

講演内容 1.イギリスの医療
 この国の医療制度は評判が悪くて、もちろん医療費は無料なのですが、何ヶ月も待たされるとのことです。お金のある人は、有料の病院ですぐに診てもらえます。それに加えて、たとえば精神科に行きたいと思っても、直接精神科に行くことができません。一次医療といって、一般登録診療所という指定されたかかりつけの医師のところへまず行って、そこの判断で何科を受診するか照会されて、やっと二次医療の地域精神医療チームのところへ行けて、そこから三次医療の病院または地域デイセンターなどにたどり着くわけです。これでは時間がかかるのも無理はないですね。イギリスにも強制入院制度があります。日本の医療保護入院に当たる、アセスメントのための強制入院制度、それと措置入院に当たる、治療のための強制入院制度です。どちらも、決定は慎重に行われ、期間も定められています。強制入院の申請者は、認定精神保健専門職または、はっきりと順位が定められた、最も近い親族になりますが、親族が申請することは希だそうです・・・

 以下、全文は、おりふれ通信357号(2017年1・2月号)でお読み下さい。
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または FAX042-524-7566、立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ


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「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」の「報告書」は誤っています

多摩あおば病院 精神科医師 中島 直

 厚生労働省にもうけられた「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」(以下、検討チーム)が、「中間とりまとめ」を2016年9月14日付で、「報告書」を12月8日付で出しました。この事件に関連しては、本紙2016年8月号に、伊藤先生から見解が出されており、これには全面的に賛成です。事件の犯人とされた人に措置入院歴があったことが問題とされていますが、そのことが事件に関係しているかもわからないし、退院の仕方を工夫することで事件が防止できたとも言えないし、こういう事件の防止をすることは精神科医療の第一の目的でもありません。

 「報告書」は、「再発防止策の検討に当たって重視した3つの視点」として、「1共生社会の推進」「2退院後の医療等の継続的な支援を通じた、地域における孤立の防止」「3社会福祉施設等における職員環境の整備」を挙げていますが、「1」や「3」は分量もわずかで抽象的な文言にとどまっています。

 「2」が一番長いのですが、結局は措置入院からの退院をなかなかさせない方向となっています。特に大都市圏では、措置入院が精神科救急医療の一つのシステムとして機能しており、それが日本全国でもかなりの数を占めています。これがベストとは思いませんが、少なくとも現状では精神科救急は措置入院なしに行うことはできません。救急医療では、アクセスしやすいこと、および入院が必要な時期が終わったら速やかに退院してもらうことが重要です。退院をなかなかさせなくしたら救急医療としての機能はできなくなります。例えば、「報告書」で、措置入院で「調整会議」を開催して退院後支援計画を作成することが提唱されていますが、この会議には関係者の出席が必要です。退院が多少遅れてもこういう会議を行うことが必要な人もいますが、普通に退院できる人やすでにサポート体制ができている人も含めて一律にこのようなことを行えばただただ入院期間を長引かせるだけです・・・

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