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「Nさんの病院暮らしから地域移行」支援の体験から

横田彰敏

精神科の病院で長期入院している人が退院して地域で暮らしていくための支援、いわゆる地域移行支援に私は支援者として、ある当事者に約二年位前から退院するまでの間関わらせてもらっていました。その当事者は今年の6月に退院して、今、葛飾区にあるグループホームで元気に暮らしています(と思う)。

 ふだん私は、地域で自立生活をしている知的障がい者と言われている人たちの介助や支援の仕事をしています。ですから精神科の病院で入院している人が、退院して地域で暮らしていくための支援をするというのは、はじめてのことでした。地域移行の支援者といっても、もちろん私は支援者たちの中心的存在というのではなくて、支援者といっていいのかもわからない位のしろうと的立場でした。
私がこの支援に関わったのは、行政から委託された地域移行支援事業の基幹の人(支援者の中心的存在)が、たこの木クラブ(私が所属している支援団体)に、当事者のNさんを紹介してくれたのがきっかけでした。

 以下、全文は、おりふれ通信353号(2016年8/9月号)でお読み下さい。
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相模原の事件についての見解

【編集部から】
 7月26日未明、相模原の障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた殺傷事件には、衝撃で言葉を失う思いです。しかし、その後の政府の素早い措置入院見直しの動きは、池田小学校事件の後の医療観察法成立への動きを彷彿とさせ、言葉を失ってはいられません。また、精神科医療業界の一部から「このような事件の抑止のための方策を対外的に表明する」必要が語られることもありました。これらの動きに対して、にしの木クリニックで出した見解を紹介します。

                                                          2016.8.6
にしの木クリニック 伊藤 朋子

相模原の事件について、現在加害者の精神鑑定が行われているかどうかも不明な段階であり、5カ月前の措置入院歴をもって、犯行と精神疾患とをすぐに結びつけ、「本件は精神科医療と深く関わっており」「患者様のケアの問題であり、措置入院、再発予防、地域連携の問題であり」と断定するのは、私としては不可解です。
政府が厚労省に対し、措置入院制度の見直しを指示し、かつて加害者の措置入院した病院に調査が入ったそうですがこれも解せません。措置入院制度にも、医療観察法の制度にも、地域連携のシステムにも、問題が山積していることは事実です。しかし、本件と関連づけて議論すべきではないと考えます。

マスコミ報道によると、加害者は「障害者は生きている価値がない。よって殺すのが正義である」という差別思想(ネット上ではあふれかえっている言説ですが)をもち、計画的に犯行に及んだ確信犯であるようです。そうであるならば精神疾患があろうがなかろうが、いわゆるヘイトクライムであり、精神医療によってどうにかできるものではないように思えます。
この事件に対する反応として、「措置入院をもっと長期にしていればよかった」「措置入院の退院後も医療が関わっていればよかった」という見方が多くあるようですが、現時点でそのように言える根拠はどこにあるのでしょうか。

にしの木クリニックに通院する患者さんには、この事件によって、かつての暴力被害がフラッシュバックした人もいれば、お子さんを重度心身障害者施設に入所させており、「他人事でない」と恐怖を語るお母さんもいます。そして措置入院歴のある患者さんの中には、「自分もあの加害者と同じような、何をするか分からない危ない人間として、退院後も監視されるべき者として社会に見られるのか」とショックを受け、恐怖を感じている方もいるのです。

事件と加害者の精神疾患との関係について不明なうちから、本件一件をもって、「措置入院した者は厳重に司法、行政、精神医療関係者で監視し、重大犯罪を抑止しなければならない」と一般化して動くことは、結局のところ精神障害者を社会から排除しようとする考え方であり、本件の加害者の語っているとされる思想と同根のものだと思います。

精神医療関係者の仕事は、患者さんの治療をし、精神的な健康を守るためのサポートをすることであって、社会の治安を守ることではないと思います。厚労省から「日ごろから警察等関係機関と協力、連携につとめ」云々という文書が出ましたが、医療関係者が第一に守るべきものは守秘義務であり、このような要請は患者さんとの治療関係・信頼関係を傷つけるものであり、治療の妨げになったり、治療や障害福祉関係につながることへのハードルを高くしてしまうのではないかと危惧します。

したがって東京精神神経科診療所協会として「このような事件の抑止のための方策を対外的に表明する」ことには反対します。


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