私たちの手で ニュージーランドの当事者運営ショートステイ‐精神病院入院に代わるサービス‐に参加して
全国「精神病」者集団 運営委員・
大田障害者連絡会代表 山田悠平
体調の波は人間につきものですが、とりわけ精神障害者には切実な問題です。精神障害者の僕の経験でも今日の体調が嘘のように翌日には体調が一変することがあります。体調の急変、それ自体が僕には困ることですが、それに対して希望するケアが担保できていないこともまた当事者として困っていることです。というのも、「これは入院が必要なのでは?」という僕の認識に関わらず、医師の判断によって入院が出来ないこともありました。また、自宅から少し離れて環境を変えるために、安易に入院を選んでしまう時がありました。このように自分が受けるケアを選択出来ない状況に課題を感じていました。それは、僕自身の医師とのコミュニケーションの改善というよりも、当事者ニーズに即した社会資源そのものを創ることで解消されると思っています。その折に、『私たちの手でニュージーランドの当事者運営ショートステイ‐精神病院入院に代わるサービス‐』という学習会(2016年3月・東京中野開催)に参加することができました。
学びの報告の前に講師の新開貴夫さんという人物にフォーカスしてまずは筆を進めさせていただきます。新開さんは国立病院機構熊本医療センターにて精神保健福祉士としてお仕事をしています。しかし、今回の海外での学びは、なんと個人の取り組みとして視察をされたそうです。既存の精神医療体制の代替のあり方を海外にまで足を運ばれて探求されているとのことでした。そのこと自体にすごく感銘を受けたのですが、新開さんが学習会開始早々におっしゃったお言葉が、失礼ながらニュージーランドの実践のお話以上にとても印象に残っていました。「いろいろな海外の良質な実践が、国内の既存の体制の補完として機能しては元も子もありません。」確かに、至極当然のことではありますが、僕には衝撃でした。なぜなら、日本の精神医療体制は部分的な修正での改善ではなく、抜本的な見直しが必要と専門職のお立場でありながらのお言葉だったからです。いや、むしろ良識ある専門職のお立場だからこその大変意義深いご発言に思いました。これは、僕の想像ですが、障害学について造詣が深い一方で、日々現場でのご苦労があり、本来の希求すべき姿からギャップがあったのかもしれません。そのもやもやとした気持ちをひしひしと感じました。
今回の学習会は、ニュージーランドの社会情勢、福祉制度、労働観、クラブハウスの機能、ピアサポートワーカーなど多岐に及びました。ここでは、ピアサポートワーカーについて学んだことを書きます・・・
以下、全文は、おりふれ通信350号(2016年5月号)でお読み下さい。
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