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障害年金 -精神の障害に係る等級判定ガイドライン(案)とパブリックコメント-

福冨一郎


 精神障害の障害年金認定において地域差があるので是正する目的で、等級判定ガイドライン案が厚労省から出されました。しかし、その内容は主治医が書く診断書に「日常生活能力の判定」という7項目の4段階評価と「日常生活能力の程度」という5段階評価で等級の目安をつくり、それによって事務官がだいたいの振り分けをして、認定医が総合評価をして認定するというものです。たとえば、生活能力の程度が3で、生活能力の判定が平均すると2.5から3未満くらいの場合、今まではほとんどが2級の判定でした。しかし、ガイドラインによると3級の可能性が高いです。このガイドラインがそのまま決まれば、認定の公正化とは逆方向に向かう可能性があります。
 精神福祉が医療モデルから社会モデルへと移行しつつある中、本人に会ったこともない認定医が診断書の内容だけで判定するという、究極の医療モデルになっています。社会モデルでの判定をするなら、本人にかかわる支援者や家族、主治医、雇用主など、多くの方々の意見をとりまとめて、いろいろな分野から選ばれた認定委員が判断すべきだと思います。そもそも、このガイドラインを話し合っている委員9名のうち8名が精神科医で、当事者は誰もいないそうです。議論の内容の偏りが懸念されます。以下、ガイドラインで特に気になった項目について書き出して、意見を述べます。

 1.精神障害の項目の気分(感情)障害について書かれた部分。「適切な投薬治療などを行っても症状が改善せずに、入院を要する水準の状態が長期間持続したり、そのような状態を頻繁に繰り返している場合は、2級以上の可能性を検討する」とあります。これって今までだと1級と判定される状況だったと思います。ガイドライン作成委員の中に気分障害に理解のない精神科医がいるような気がします。入院を要する水準ではなくても、日常生活に支援を要する2級に該当する場合はいっぱいあります。入院が2級の判定条件だとも捉えられかねない表現になっています。そうでないことを明確にすべきです。

 2.共通項目の家族の日常生活の援助や福祉サービスの有無を考慮するという部分。「独居であっても、日常的に家族の援助や福祉サービスを受けることによって生活できている場合は、それらの支援の状況を踏まえて、2級の可能性を検討する」とあります。いやいや、独居で家族の支援がない人の方が、年金が必要ですよね。福祉サービスを受けられてない人にも、様々な理由があると思います。もしかしたら、年金がもらえたら、福祉サービスを受けたいと考えている人もいるんではないかと思われます。

 3.共通項目の相当程度の援助を受けて就労している場合は、それを考慮するという部分。「就労系障害福祉サービス(就労継続支援A型、就労継続支援B型)による就労については、2級以上の可能性を検討する。就労移行支援についても同様とする」「一般企業(障害者雇用枠を含む)で就労している場合でも、就労系障害福祉サービスにおける支援と同程度の援助を受けている場合は、2級の可能性を検討する」とあります。就労していることをもって、日常生活能力があると捉えられることがありそうです。そんなことはないです。身体障害のような外部障害の場合はわかりやすいかと思いますが、精神障害に関しても配慮があれば就労できる状態がそのまま日常生活は問題ないとは言えないと思います。実際に、生活はままならないのに外面だけは何とか保っている方もいっぱいいます。また、就労系障害福祉サービスと一般企業の記述を分ける必要があるのでしょうか。一般企業で就労系障害福祉サービスと同等の援助は難しいのが現状です。たまたま、就労において一般企業に縁があった方もいらっしゃると思います。こと就労に関しては、それを理由に障害年金の等級を下げたりすることのないようにお願いしたいです。

障害基礎年金の2級で月におおよそ65000円くらいしかもらえません。これでは、就労するか、生活保護か、しかありません。そもそも年金とは何か? そのあたりから考え直してもらいたいところです。厚労省では、障害年金のガイドラインについてのパブリックコメントを募集しています。どれくらい聞き届けられるかはわかりませんが、何も言わないよりは何か意見を書き込んでみた方がいいと思います。9月10日、17時までです。

精神の障害に係る等級判定ガイドライン(案)とパブリックコメント 9月10日まで
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495150111&Mode=0


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