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生活保護法の改定、そして生活困窮者自立支援法  その問題と今後の課題(前編)

田川英信(自治体職員 元査察指導員・ケースワーカー)

 昨年12月に生活保護法が改定され、生活困窮者自立支援法が成立しました。
どこが問題なのでしょうか。今号では生活保護法改定について、次号で生活困窮者自立支援法について、お伝えします。

1.生活保護法一部改定(今年7月施行)について
以下のような改定の問題点が指摘されています。
① 特別な事情がない限り、申請者は申請書を提出する義務を負う(第24条第1項)とともに、保護の要否・種類・程度等を決定するための書類を申請時に添付する義務を負う(第24条第2項)
これまで問題とされてきた水際作戦を公認するかのような改定です。当初の法案になかった「特別な事情」を挿入させたことで、歯止めをかけたとの評価もあります。しかし、「特別な事情」があるかどうかは福祉事務所が判断するため、歯止めにはなりえません。
ただし、厚生労働省は口頭申請についても認め、書面等の提出についても「申請から保護決定までの間でも構わないという、これまでの取扱いは法改正後も変更はない」と説明しています。この説明は、明らかに法文と異なり、これが全国の福祉事務所に徹底されるかどうか、懸念があります。
なお、申請書の記載事項や、添付書類の不備の場合、申請行為自体が成立していないため、不備を理由に申請が却下されても、不服申立自体ができなくなる、と論理的には考えられます。これは救済手段がないことを意味します。たとえ事後に不備を補ったとしても、その補った時点からしか保護開始ができず、当初の申請段階からの救済はできません。困窮者にとっては生死にかかわることになります。


以下、全文は、おりふれ通信326号(2014年3月号)でお読み下さい。
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または FAX042-524-7566、立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会へ

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2月1日(土)精神障害がある時も、あたりまえに社会で暮らしたい、医療保護入院の改悪を絶対許してはならない-公的アドボカシーの導入をめざして-   第2回ミーティング@エル・おおさか

七瀬タロウ

 2月のまだ寒い季節ですが、以上のようなミーティングに出席してきました。

 大変盛りだくさんの内容で、簡潔に内容を紹介するのは難しいのですが、まず、岡崎 伸郎さん(国立病院機構仙台医療センター精神科部長、精神保健従事者団体懇談会[精従懇]代表幹事)の基調講演「精神保健福祉法体制はどこへ行くのか」が、約一時間行われました。基本的には、今回の精神保健福祉法「改悪」にいたる経緯や、今回の国会での付帯決議をもとに今後どのように取り組んで行くべきかといった話でした。

 そのあと、シンポジウム「精神障害がある時も、あたりまえに社会で暮したい」が行われました。
シンポジストは、山本 深雪さん(大阪精神障害者連絡会[ぼちぼちクラブ] 代表)、下村 幸男さん(大阪精神障害者連絡会[ぼちぼちクラブ] 事務局員)、松田 博幸さん(大阪府立大学 教員) コーディネーター 藤原勝也さん(メインストリーム協会)。
 
 山本深雪さんは大精連の取り組みの丁寧な紹介、下村幸男さんは、自己の数回にわたる入院歴を振り返った実体験の話を、また松田博幸さんは、現在話題になっている「ピアサポート」制度は当事者運動の医療による「取り込み」につながるのではと言った懸念を諸外国の例をあげて紹介してくださいました。

 これは私自身の感想ですが、アメリカやカナダ等当事者団体の「医療・行政への取り込み」という現象は実際起きているようでして、日本のピアサポート自体、まだまだこれから大きく発展していくものと思いますが、「予算措置」「資格化」という形で、巧みに取り込まれ「自律性」「批判性」を失ってしまうようなことはあってはならないものと思いました・・・

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病棟転換型居住系施設について

東京都地域精神医療業務研究会

 障害者政策委員会の場で、厚労省検討会で地域の受け皿作りの一つとして議論されている病棟転換型居住系施設が話題となった。そこで後藤委員からの質問に対して北島課長は個人の意見として「病院も含めて地域社会であると思っている。ただ地域生活で自立して生活するということとのつながりは、どういう施設かによるところがあるので、この検討会の中で病床が単に看板のかけ替えになって、そこを地域と呼ぶようなことがないようにしていく必要があると思っている」と答えた。

 そもそもこの議論のきっかけとなった厚労省内「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」策定検討会での岩上氏(特定非営利活動法人じりつ代表理事・精神保健福祉士)の発言「病院で死ぬということと病院の敷地内にある自分の部屋で死ぬことには大きな違いがある」について、障害者政策委員会では反対意見が相次いだ。尾上委員は「どんな違いがあるんでしょうか。大きな違いがあるとは全く思えません。これはいわば、精神障害のある人は病院や施設に入っているのが当たり前だという考え方があるから、この二つには大きな違いがあると思っているのではないか。もっと言えば、障害のある人は二級市民という見方が無意識のうちにこの文章の中ににじみ出ているのではないかという感想を持たざるを得ません」と、支援者にありがちな「原則は反対だが長期入院の患者ことを思うと・・・」論者に再考を促した。またこの居住系施設に健常者が入居する予定がないなら、まさしく障害者権利条約違反であると断じた。石川委員長は「まだどういう人が住むのか決まっていないということだが、健常者が住みたいと思うとは到底思えないが」とちくり。この転換施設が必要悪と考える人々には耳が痛いのではないだろうか。

 出発点となった厚労省内指針検討会での議論も1月23日付朝日新聞社説もそうだが、精神科病院の問題点について何ら言及していない。そこを批判せずにこの施設を認めることに非常に違和感を持つ。何故なら、この転換施設には精神科病院の問題点がそのまま持ち越されるからである。限られた人間との交流しかできない精神科病院の閉鎖性、強制入院に裏打ちされた病院スタッフと患者の関係、地域で自立して暮らすためのノウハウ獲得の欠如などが全く解消されない。「原則は反対」論者の方々の想像力の欠如という他はない。
 政策委員会での上野委員の意見を聞いて想像力を働かせて欲しい。「当院は典型的な精神科病院であると思うが、町中から離れたところにあって、地域との交流がない。そもそも周囲にあまり人が住んでいないということもある。例えば当院に転換型居住系施設が出来たらば、退院してここに入所した人がどうなるかというと、買い物も病院内の売店で済ませて多分病院の敷地内ですべての生活が完結してしまうと思う。地域の生活に移行したとは到底言えない。私も色々な例を聞いたことがあるが、病院の目の前のグループホームに退院した方の話として、病院の訪問看護を受けて病院のデイケアに行って病院からの配食サービスを受けて、そして病院のスリッパをはいてジャージ姿で過ごしている。その方が『僕はいつ退院できるんでしょうか』と聞くという。そういう実態になるんじゃないかと思う」。
 また、この施設を設置する病院がどのくらいあるのだろうか。例えば、東京西部にある病院で設置するところが出てくるだろうか。死亡退院が年間2万人と厚労省が示しているが、退院者のうち3分の2が死亡退院である滝山病院が設置するとは到底思えない。
 そもそも、住まいと呼べる居室の確保をするためには、相当な投資が必要である。住まいであればキッチン、トイレ、浴室などが必要になるが、その改装費用はどこが出すのか。もしも公費で助成するのであれば、何故わざわざ精神科病院の施設に投資するのか大変疑問だ。「仲間のいるところで生活したい」という患者さんの声に応えるためという「良心的」意見もあるが、それはまさしく長期入院のために起きた施設症ゆえの願望なのではないだろうか。病院内だけの限定された人間関係や文化の中で作られてしまったものをエンパワーするためには、病院と異なるコミュニケーションや生活様式の獲得が不可欠だと思う。
 さて、そのような転換施設に替わる住居として考えられるのが、公営住宅や空き家である。ここを活用することのメリットは、病棟転換と違ってより広範囲の“住まいの貧困”にあえぐ人々の社会資源となり得るということである。人里離れたところではなくて、普通の市民が暮らす街の中で「生き生き、のびのびとした生活」を営んでいくことが障害者権利条約の理念であると考える。

 最後に、政策委員会で佐藤委員が述べたように「計画相談の強いニーズを持っているのは精神科病院の中に長期に入院している人ではないか。その人たちを優先して計画相談を来年いっぱいにやっていく。そのことを国と地方自治体が義務としてやる。病院管理者はそれに対して協力しなくてはいけないということを義務づける」というのも、閉鎖的な精神科病院の中へ外の風が入るという面も含めて強く支持する。
(編集部註:障害当事者委員が多数を占める障害者政策委員会での発言中の「健常者」とは、精神を含む障害をもたない人の意)

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