退院促進の個別給付化をどう活かす?
山本則昭
精神科病院からの退院支援のことをいつの頃からか「地域移行支援」と呼ぶようになった。そして、これまで都道府県ごとに行われていた「退院促進事業」は2012年4月から障害福祉サービスとして個別給付化された。精神科クリニックのPSWとして患者さんの入退院に関ってきて、また現在グループホーム職員として入院している方の受け入れに関わることのある立場としてこの問題を考えてみたい。
[1]クリニックにおいて私は、多くの患者さんの入院(非自発的入院も含めて)に関わった。入院させた者として退院にもそれなりの責任を持ちたいという意識はあったものの、残念ながら限界はあり、結果として帰って来れない人は多くいた。自らが入院に関わった患者さんを何年も経って病院を訪れた際に見かけることがあり、後ろめたい思いをしたこともある。
[2]数年前からグループホーム職員となり、長期入院、社会的入院の方の入居受け入れに関わる経験をした。最近では地域移行コーディネーター事業所(2012年度から個別給付化に伴い、東京都内では12か所から6か所に減り「体制整備事業」と呼ばれている)が関わったケースの入居にも関わっている。その中で感じるのは、一つは確かに病院だけの取り組みではなく退院促進事業が入ることの有効性であり、もう一つは、「退院促進事業が入れる病院はそれなりに退院に取り組む姿勢があるところだ」ということ。努力されている病院の姿勢に、それまでの私自身の病院に対する先入観を改めることもあり、他方「やっぱり病院は変わっていない」と感じることもある。
[3]さて、本題であるが、「個別給付化は社会的入院の解消に役立つのか」ということだが、理屈っぽいことを初めに言うと「個別給付は退院促進に馴染まない」というのが率直な感覚である。個別給付とは、個人つまり入院している本人の責任において申請し、場合によっては1割の自己負担を支払って利用する福祉サービスである。一方、いうまでもなく社会的入院とは個人の病状は一定程度改善しているが、様々な社会的要因によって退院できないでいることをいうわけであり、退院促進事業の先駆けとなった大阪府の「社会的入院解消事業」(ネーミングも分かりやすい)は、「社会的入院は人権侵害」として行政責任を認めたところから始まったはずだ。社会的責任が個人の責任にすり替えられた違和感は否めない・・・
以下、全文は、おりふれ通信316号(2013年3/4月号)でお読み下さい。
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