ボストン「ピア運動」見学・体験記 (その1)
七瀬 タロウ(精神医療「ピア」当事者)
はじめに
ボストンを中心にマサチューセッツ州の精神障がい者ピア運動を体験する機会があった(マサチューセッツ州の州都がボストン市)。アメリカは州の独立性が大変強く州予算や州法等の持つ意義が日本の自治体とは比べものにならないくらい大きい。今回ご紹介させていただくボストンの精神障がい者ピア運動もマサチューセッツ州の独自の運動という側面も大変強いという点はまず念頭に置いていただければと思う。
1)ボストン(マサチューセッツ州)の精神障がい者ピア運動のあらまし
アメリカのピア運動といっても、日本同様さまざまなタイプが存在する。また地域によっても当然異なる。今回ボストンで私がおもに見学、参加したのは、州政府から、独自の予算をとって活動しているピア運動中心であるが、他にもNAMI等様々なタイプが存在する。
マサチューセッツ州のピア運動は歴史的にみると、1985年に既存の精神医療のケア、サポートシステムに不満を持った故ジュディ・チェンバレン(邦訳『精神病者自らの手で―今までの保健・医療・福祉に代わる試み 1996』)とダニエル ・フィッシャー(「リカバリー」概念をアメリカ政府に公式に認めさせたことでも知られる「ピア精神科医(理論家・活動家)」)が中心になって設立したルビーロジャーセンターと呼ばれる小規模な場所でのピアによるリカバリー・アドボカシー活動から始まった。マサチューセッツ州の場合、1980年代からの運動や裁判の成果で州予算や市の予算がピア団体に公的に直接支出されている。具体的な活動内容それ自体は日本各地で行われている当事者運動と大差はないとも言いうるが、「公的」に認められているということが、単に「予算面」のみならず、数や規模等の「量的」、「質的」な面でも日本との大きな違いをもたらしている。以下、その違いを含め具体的にご紹介したい・・・
以下、全文は、おりふれ通信302号(2011年12月号)でお読み下さい。
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