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アウトリーチは精神医療改革の決め手となり得るか

金杉和夫(精神科医、金杉クリニック)

 2010年6月18日の朝日新聞は「厚労省チーム 精神疾患患者への訪問支援導入合意」の見出しで、在宅の精神疾患患者を医療や福祉の専門家チームが訪問支援する「アウトリーチ」を本格導入することで、重症患者の治療が長期入院に偏っている現状を改め、地域で患者を支える体制に大きく転換すると報じている。この厚労省の検討チームの方針は4月3日から5月29日にかけて都立松沢病院で毎週土曜日に精力的に開催された「こころの健康政策構想会議」で、ACTに代表されるアウトリーチ活動への関心と期待が高まったのを受け継いだものであろう。
 
  ACTは、通院や通所ができず、既存の精神保健・医療・福祉サービスでは地域生活を支えることが困難な、重い精神障害を抱えた人を対象に、多職種の専門家のチームが包括的で継続的な訪問支援を行い、入院させずに地域生活を支えていく援助方法である。日本でも、現在全国で12チームが活動し、拡大する機運が高まっている。患者や関係者からの関心も高いが、特に地域での医療の支援がないことに悩む家族からの期待が大きい。
しかしACTは重症者を対象に特化された地域生活支援の方法であって、地域の全体的な精神保健・医療・福祉サービスに取って代わるものではなく、その一翼を担い補完するものである。長期入院者の地域移行後の支援や在宅で「ひきこもり」あるいは未治療・治療中断の患者の支援にACTが役立つことは期待できるが、一方でACTへの過剰な期待が、アウトリーチの導入が日本の精神保健・医療改革、社会的入院の解消、精神障害者の地域福祉、生活支援の構築の決め手であるかのような偏った議論へと進むことを私は危惧する。

 5月21日と22日日本精神神経学会の広島総会に参加しACTに関する講演とシンポジウムを聞くことができたので、その報告も兼ねて、ACTあるいはアウトリーチに期待すべきことと期待してはいけないことについて考えてみたい・・・

 以下、全文は、おりふれ通信289号(2010年6月号)でお読み下さい。
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