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精神医療審査会について都知事宛質問状提出その後 ー処遇改善請求を積極的に行おうー

東京精神医療人権センター

前々号(No.266)、前号(No.267)で東京都の精神医療審査会は、患者の権利を制限していることを取り上げてきた。前号で報告した2月6日付け質問状に対して、2月26日都から都立中部総合精神保健福祉センター所長名で以下の回答があった。

 ご質問を拝読いたしました。当センター職員が、電話で十分にご理解いただけるようご説明できなかったことに対し、お詫び申し上げます。
退院及び処遇改善の審査請求につきまして、その事務の実際を十分にお伝えできなかったと思われますので、改めてご説明申し上げますとともにご指摘の趣旨を踏まえ、こらからも丁寧かつ適正な事務を心がけてまいります。
1 東京都精神医療審査会では、退院請求申請を却下されてから6ヶ月後でなければ、新たな申請を受け付けないということはございません。また、頻回に請求される方につきましても、そのつどお話を十分に伺いながら対応いたしております。
  処遇改善請求におきましても同様の取り扱いをしております。
2 同じ方が短期間で別の入院施設から新たな退院請求をされた場合については、以前の請求とは別個のものとして対応しております。
3 殊遇改善請求の内容は、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第37条第1項の規定に基  づき厚生労働大臣が定める基準」(昭和63年4月8日厚生省告示130号)に準拠して対応しておりますので、隔離、拘束の事項だけを審査するということはございません。
4 東京都精神医療審査会の運営については、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」及び「精神医療審査会運営マニュアル」に準拠し、適正に行っており、ご質問の1~3については、東京都と東京都精神医療審査会との話し合いで合意しているという事実はございません。

この回答に対して人権センターとしては、電話で告げられたようなことないという確認をし、改めて詳細について確認をするため、3月17日付けで再度センター所長宛の以下の質問状を提出した。

前略 ・・・・その回答を今回は書面で頂くのではなく、あらかじめ質問事項をお知らせした上で、ぜひ川関所長以下、担当者の方々と話し合いの機会を設け、そこで回答を回答をいただきたいという要望をいたします。・・・後略

1 回答にあったごとく、「6ヶ月後でなければ新たに申請を受け付けないということはない」というのであれば、退院および処遇改善の申請があるならば、法の精神に則りできる限り速やかに受理し、審査にかけると解釈してよいのですね
2 処遇改善請求の内容は厚生省告示第130号に準拠して対応しており、隔離・拘束の事項だけを審査するということはないとのことですが、隔離・拘束以外に具体的にはどのような改善請求を受け付けているのでしょうか
3 中部センター平成19年度事業概要(p77)にある18年度東京精神医療審査会実績には、「相談、苦情」1,858件とありますがこれはどのような内容でしょうか?大まかな内訳をご提示下さい。
4 このうち、退院請求の受付、受理を拒否または保留した事例は何件ありますか?
あるとすれば、その理由はどのようなものですか?
5 同様に処遇改善請求について受付、受理を拒否または保留した事例は何件ありますか?あるとすれば、その理由はどのようなものですか?
6 このうち書面による申し立てを、拒否または保留した事例がありますか?

 上記質問状を提出の後、電話でのやりとりの結果4月24日中部センターで話し合いをもった。出席者は、中部センターから所長、広報援助課長、医療審査係長、医療審査係員2名の5名、人権センターから3名であった。
 広報援助課長から私共の質問状にそった回答があり、その合間に改めての確認や質問をやりとりする形で話し合いは、進められた。

◎ 質問1に関して
 退院請求申請の半分以上は、入院後1ヶ月以内の人。審査会の決定が出てから次の申請受理までの期間は、今までで一番短い例で1ヶ月以内があった。一般的にいわれている3ヶ月経過しなければ申請を受理しないということはない。ましてや6ヶ月経過しなければということはない。
*確認事項・・再申請の待機期間というものはない。必要ならば審査会の決定が出た直後でもあ りえる。
◎ 質問2に関して
処遇改善請求の内容が隔離、拘束だけということはないが、処遇改善請求自体が少ない。処遇改善請求の内容の中には、病院指導の分野に入るものもある。任意入院の人からの請求も受け付 けている。
*確認事項・・退院請求と処遇改善請求は別のものである。処遇改善請求として対応する。
*要望事項・・人権センターは、入院中の人達の要望の多くは処遇改善請求に該当すると考えている。電話での苦情や相談の中に含まれていると思われるので、それらを処遇改善請求として取 り上げていただきたい。
◎ 質問3に関して
1,858件の内容・相談984件、苦情217件、その他674件。またその中身は退院・処遇に関すること859件、審査会のこと366件、病院内の人間関係のこと210件、入院形態のこと197件、院内の生活と治療のこと136件、その他107件であった。処遇に関することの多くは、電話の制限に関することであった。院内の生活と治療のことの中身は、たばこ、カルテ開示、入院費、他院への通院,薬のこと等であった。
*要望事項・・院内の生活と治療に関する相談や苦情の中に処遇改善請求として取り上げるべきことが多く含まれているのではないかと思われる。その中身をもっとよく見てください。メモとして残されている相談・苦情に関しても審査会で報告して頂きたい。
*確認事項・・審査会は非常に多忙でメモまで検討する余裕はないが、年一回の合同部会で報告することはできる。
◎ 質問4,5,6に関して
拒否、保留は今までない。文章や文字が不明で返却したことはある。
◎ その他
*要望事項・・東京都の人口に比して審査会の部会が6部会しかないのはあまりに少ない。
もっと部会数を増やして処遇改善請求にも積極的に取り組んでいただきたい。

 以上が話し合いの報告である。東京都の精神医療審査会は、入院者数22,000人に対して6部会のみ。一部会当たり単純に計算して3700人の人権を守らなければならない。書類審査だけでも大変な量となっている。審査委員の内訳も法改正で医師2・法律関係者2・学識経験者1でも良いこととなったが相変わらず医師3・法律関係者1・学識経験者1と医師の意見が強い構成のままだ。しかし、多忙なことを理由に退院・処遇改善請求を制限することは、許されることではない。今回の話し合いで、そのようなことは、東京都の場合には、絶対ないことを確認した。改めて、積極的に請求を出す活動をしていきたい。
 東京都以外の地域でも請求を積極的に行うことを呼びかけます。

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大阪精神医療オンブズマン制度の存続を求める緊急署名に協力を!

大阪精神医療人権センターの緊急要望書を転載します。(編集部)

2008年4月21日

大阪府知事 橋下 徹  殿
「精神障がい者権利擁護システム事業(精神医療オンブズマン制度)」
の存続に関する緊急要望書
NPO大阪精神医療人権センター 代 表   里 見 和 夫

大阪府が4月11日に発表した「財政再建プログラム試案」に「精神障がい者権利擁護システム事業」の廃止案が盛り込まれました。しかし、本事業は、府が独自に実施している施策であるところ、その中身は試案の「改革の内容」(目標額設定の考え方)にある分類(イ)「府民の生命に関わる緊急性・重要性の高い事業」に該当し、今後より一層強化することが求められているものですので、当センターは本事業の存続を強く要望します。
以下、本事業創設の経緯および本事業が分類(イ)に該当する根拠について述べます。
【本事業創設の経緯】
「精神障がい者権利擁護システム事業」は、1997(平成9)年に大和川病院事件がマスコミ等で大々的に報道され、同病院における精神障害者に対する重大な人権侵害の実態が明らかになったことを受けて創設されたものです。大阪府および精神科医療関係者は、大和川病院事件を深く反省し、二度とこうした事件を生じさせないために、新たな、より強固な権利擁護システムの確立が不可欠であることを確認しました。そして、精神保健福祉法上の機関である大阪府精神保健福祉審議会において議論を取りまとめ、同審議会は、2000(平成12)年8月に「精神病院内における人権尊重を基本とした適正な医療の提供と処遇の向上について(意見具申)」を大阪府知事に提出しました。これに基づいて本事業内容が具体化され、2002(平成14)年9月、同審議会の承認を得て、2003(平成15)年度から本事業が正式にスタートし、現在に至っているものです。
本事業は、13機関(大阪府、大阪精神科病院協会、大阪精神科診療所協会、日本精神科看護技術協会大阪支部、大阪精神保健福祉士協会、大阪弁護士会、大阪精神障害者連絡会、大阪精神医療人権センター、大阪府精神障害者家族会連合会、大阪府社会福祉協議会、大阪府保健所長会、大阪市、堺市)と学識経験者で組織する「大阪府精神障がい者権利擁護連絡協議会」(事務局:大阪府こころの健康総合センター)の下で運営されており、過去5年間にのべ76病院を訪問し、院内での権利侵害の疑いがある事例の改善等に多大な貢献をしてきています。
【本事業が分類(イ)に該当する根拠】
精神科医療では、その閉鎖性が常に問題となり、数多くの権利侵害事件が起こってきました。  それを防ぐために、行政監査や精神医療審査会等のチェック機能が法的に位置づけられています。しかし、大和川病院事件の教訓は、法に基づいたチェック機能だけでは権利侵害の防止には不十分である、ということでした。これは先に述べた府の精神保健福祉審議会の場でも確認された内容です。
当センターは、本事業が始まる以前から、大阪府下の精神科病院に入院している精神障害者の人権を擁護するための活動の一環として、精神科病院を訪問し、第三者の視点でその病院内の療養環境を視察し、行政監査や審査会では見落とされがちな人権侵害の疑いのある事例に つき病院側に改善を求め、入院患者の声を聞く活動を続けてきました。ただ、これらの活動を通じて明らかになった改善を要する事項について、当センター、当事者団体、家族会、サービス提供者側や行政が同じテーブルについて議論し、改善の方向を検討することのできる場はありませんでした。しかし、この病院訪問活動が府の事業として公的に保障され、上記13機関と学識経験者で構成される連絡協議会のもとで本事業が運営されることにより、それが可能となり、その結果、本事業は、「府民の生命に関わる緊急性・重要性」を有する多くの権利侵害事例を未然に防止し、療養環境の改善をもたらすなど大きな成果を挙げてきました。
本事業により改善された事項の大半は、法に基づくチェック機能の役割を与えられている 行政監査や審査会の審査では、残念ながら見落とされてきたものです。
本事業がスタートしてから5年間で、大阪府内の精神科病院入院中の患者が人としての誇りを失わずにすむ具体的な改善がなされてきました。本事業によるこれらの改善は、治療機関が「こころの安定と自信の回復」の場として機能できるようにし、結果として長期入院の減少および医療費の削減にもつながっています。また、本事業による病院訪問活動で出逢う入院患者には、大阪府の退院促進事業などの紹介や地域の福祉施策ができていることを伝えるなど、本事業は、病院外から病棟内への情報伝達役の一部も担ってきました。本事業は、今後より一層強化するよう求められることはあっても、その役割が小さくなることはありません。
このように本事業は、年間約160万円弱の業務委託料をはるかに超える効果を生み出してきています。何よりも本事業が入院中の患者の尊厳を尊重し、「府民の生命に関わる緊急性・重要性」を有する権利侵害事例を未然に防止するなどの成果をもたらしたことは、高く評価されるべきです。
本事業は、入院中の精神障害者の権利擁護システムとしては、わが国で初めての制度であり、国の「精神病床等に関する検討会」でも数度取り上げられるなど、全国的に高い注目を集めています。
また、本事業は、2006(平成18)年12月に国連総会で採択された障害者権利条約の趣旨にも合致していますので、より一層強化発展させることが求められており、廃止はその趣旨に逆行するものです。

 以上のとおり、本事業は、その創設の経緯、目的、実績等のいずれの点からしましても、分類(イ)「府民の生命に関わる緊急性・重要性の高い事業」に該当しており、かつ、今後更に強化すべきものであることが明らかですので、当センターは、あらためて、本事業の存続を強く要望致します。
以 上

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生活保護通院移送費削減通知の撤回を求める

            2008.4.16.
厚生労働大臣 舛添要一様
                    東京都地域精神医療業務研究会 代表 飯田文子
                    立川市錦町3-1-33 tel/fax042(524)7566

生活保護通院移送費削減通知の撤回を求める

 私たちは精神医療・福祉の現場で働く従事者の団体です。精神病院の閉鎖性やそのもとでの長期入院問題の解決と、地域での精神医療と生活保障を求める立場から、下記の理由で生活保護通院移送費削減通知の撤回を求めます。


1.厚生労働省が掲げてきた精神病院社会的入院者の退院促進施策と矛盾する。
 現実に退院している長期入院者の多くは、生活保護を受給し地域で単身生活を送っているが、通院交通費削減は、これから退院しようとするただでさえ不安でいっぱいの人々の退院への気持ちを削ぐものである。また精神病院が交通不便な郊外に偏在していることを考えると、退院後の不安定な時期に慣れた病院に通院することができなくなる。

2.精神科外来通院は通常長期にわたることが多い。デイケア・ナイトケアなどで通院が月に20回にも及ぶこともある。交通費が出なくなると必要な通院もできなくなり、ひいては病状悪化につながる。

3.精神科外来受診においては、医師ほか職員との信頼関係が非常に重要であり、また未だ厳然として存在する精神障害者差別等のため、自宅近くより少し離れた精神医療機関を選ぶ人も少なくない。そうした現実があるにもかかわらず、受診先や距離を一律に制限することは著しく不適当である。

4.通院交通費を自己負担せよということは通院継続への大きなハードルとなる。
 精神科受診者の中には、ご本人の動機付けは薄いが医療側から見て治療の必要度の高い人がおり、来院の促し・説得などにより外来通院がやっと継続している例もある。治療中断が生活破綻や再入院につながることが危惧される。

5.以上、今回の通知は当面の生活保護費を減らすことができても、これまで通院交通費を保障されて外来通院を継続していた人々の病状の不安定、再入院を招き、長い目で見れば社会保障費を増やし、当事者の生活の質を落とすことになる。

[解説]
 厚生労働省は3月、生活保護の通院交通費を今後災害現場や離島などからの搬送に限り、これ以外は例外的給付とする。その場合も福祉事務所管内の医療機関へ、最低限の日数、最も経済的な交通手段で通院することとの方針を出し、4月その旨を自治体に通知、ただし当面3ヶ月は「是正期間」として現状維持とした。理由は「濫給防止」であり、背景には北海道滝川市の受給者に通院交通費として2億円以上を支給し、マスコミで大きく取り上げられたこと等がある。
 これに対し、反貧困ネットワークなどが昨秋の生活保護基準切り下げ検討の時同様、素早く反論。滝川市等での行政責任を保護受給者に転嫁するものである・昨秋見送らざるを得なかった保護基準切り下げを別の形で実質的に行うもので、医療を受ける権利の侵害だと主張。東京地業研でも、精神医療従事者の立場から4月16日の厚労省交渉に向けて前頁の要望をまとめた。その後も厚労省交渉は続けられ、その中で厚労省は「もともと通院移送費は生活扶助費(食費・高熱水費)に含まれている。一般世帯でも月に千円から二千円の交通費は払うでしょう」「(通知の『例外的給付』に『へき地』『高額』な場合は支給するとあるが)へき地や高額の内容は各福祉事務所で判断する」「改正の趣旨は一律に切るのではなく、個々の事情に応じて必要性を判断すること。必要な方に必要な分を出すということだ」などの話をしているとのこと。 自治体では、埼玉、千葉、横浜、川崎、東京
の生活保護担当課長が3月21日「通院移送費は、医療扶助の内容として、被保護者の最低生活保障上、必要欠くべからざるものとして認められてきたものである。このことから、生活保護実施の連続性に配慮し、支給範囲の運用については、地方自治体の意見を聞いて慎重に検討されたい」との要望書を出している。東京都は4月25日障害者団体との話し合いで、現状維持の方針と応えてもいる。一方たとえばさいたま市浦和福祉事務所では『平成20年度の基準改定により、通院交通費が廃止されることになりました。つきましては、病院にバスや電車等で通院している人について、4月1日以降の通院交通費は自己負担となり、支給されなくなります。ご理解とご協力をお願いします』、また東京都小金井市では『原則、通院のための交通費は支給できません。ただし、身体障害等により電車・バス等の利用が困難な場合、他の交通機関の利用料を支給することができます。交通費を支給できる場合でも、原則として小金井市内または最寄りの地域とします』という「お知らせ」を早々と出した。個々の受給者に交通費が出なくなると伝えたり、通院先を近くに変えるよう指導を始めている自治体の話もあちこちで聞く。自治体交渉は重要だ。
 障害者についてはDPIの山本創さんが情報を集めようと呼びかけている。一つ一つの例について福祉事務所の公式見解なのかまた理由や内容を確認し、情報を集中しよう。
(情報は編集部へ寄せて下さっても結構です)

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ドグマチールの話

匿名希望

 最近の話である。たぶん自律神経から来た胃腸障害だと思うのだが、胃の具合が悪いので主治医に言ったところ「ドグマチール」なる薬を50mg一日二回処方された。以前にも使った事があり、ネットで調べた所、抗精神薬としては、なぜか日本でだけ(?)使用されていて軽い抑うつに効く、本来は胃潰瘍の薬とあった。女性ホルモンを含有(?)しているらしい所がひっかかったものの胃の具合には勝てず、服用する事にした。そうしたら胃の調子も良くなり食欲が出て来て、これは良い薬だと喜んでいた。ところが、ある状態になってしまったのである。はやい話が、インポテンツになってしまったのである。てっきり別の薬の副作用かと思い、主治医に言ったところ、いとも簡単に「あっ、それはドグマチールの副作用ですよ」と言われてしまった。私の場合、服用をやめられたが、これで謎が解けた。欧米で使われないのはそこだったのだ。人権の中には性の領域も当然含まれてしかるべきである。日本では統合失調症にこのドグマチールを大量に処方するらしいが、これではまるで去勢ではないだろうか。精神的なダメージを受ける恐れのある問題のある薬をなぜ大量処方するのか、ぜひ専門家に問いたい気持ちである。

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似ているところ、違うところ

 林武文(訪問看護ステーション元)

 夜布団に入ると耳につく断続的な機械音。「何やろうね?」と隣の妻に聞いてもよく分からない。改造車の排気音か、夜中に洗濯している住人がいるのか、頭の中でぶうん、ぶうんと自分で言っている様な気もする。試しに耳栓(聴覚過敏がある私の常備品である)をして寝たが、疲れていたのでいつの間にか眠ってしまった。そんな夜が続き、正体が分かったのが帰省中の郷里にて。妻に同じ事を聞き、あっと気づいた。そうか、これでみんな苦しんどるのか!これが人の声ならたまらんやろうな...
 その後は聞こえたり聞こえなかったり。無いと寂しい感じもするが、聞こうとすると消え、またすぐに鳴り出すその音は、まるで人格を持って嫌がらせをしているかの様に嫌な感じである。なるほど、誰かが機械で操作しているとの被害的な解釈も分かる気がする・・・・・

 以下、全文は、おりふれ通信268号(2008年3・4月合併号)でお読み下さい。
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あと出しジャンケンの弁Ⅸ ネオリベラリズムと「福祉」の運命

-ネオリベラリズムは「福祉」を極小化する-(補論)

岡本省三

[読者に] このシリーズの急がれる完結が不可能となっているこの時、幸いにもある論文に逢着した。拙論の極めて有力な補強材料としていかにその批判的分析を提供する。
[前置き] かの残酷無残な「後期高齢者医療制度」の強行導入は、「最小抵抗線に沿った」(2007年9月拙文)奇襲攻撃として、ネオリベラリズム(以下「NL」)が、およそソーリの顔の如何と無関係にその福祉極小化への既定の途を今や誰はばかることなく加速させている現実を示す記念碑的巨歩に他ならない。

 [一] 朝日新聞(4/1朝刊)が「高齢者ご注意 国内初の薬剤リスト」なる四段抜きチョーチン記事で報じた「高齢者向け・・・避けた方がよい医薬品リスト・・を国内初・・に公表」した「国立保健医療科学院の今井疫学部長らの研究グループ」による対象論文は次の通りである。「高齢患者における不適切な薬剤処方の基準ーBeers Criteriaの日本版の開発ー(日本医師会雑誌第137巻第1号2008年4月号84-91」共同執筆者4人のうちBeers M Hは他ならぬCriteria(1997)開発者と同改訂版(2003)共同開発者の1人Fick D M及び今井氏の部下他1名である。この他研究に当たった専門家委員会(9人)、また末尾謝辞では「多大なご協力者」4人の名が披露されている。
 [二] 批判的分析 (A)前提:この種「学術論文」の良心的な分析(特に素人がやるんである!)は、文面を超えた不明不審箇所の照会、未知の述語の勉強などを当然要請する。それが一切省略された理由は行文が自ら明らかにすると信ずる。 (B)同論文は「Ⅰ目的」で、「わが国における地域で生活している外来通院の65歳以上の高齢患者および養護施設(!)で生活している虚弱高齢者に・・・プライマリケア(!)レベルにおける不適切な薬剤処方の基準」として「Beers基準の日本版を開発すること」とする。
 まず①医療機関入院者の省略 ②プライマリケアレベルへの限定 の二点に注意せよ。NLは高齢者が専門医療施設のみが提供しうる充分かつ高度な医療の機会と場とを奪い、その外で、即ち養護施設(強化老人保健施設、特養ホーム、介護付き有料老人ホームetc)なるプライマリケアも疑わしい非医療機関で、そして何よりも自宅(それがあるとして)で、本人と家族(がいるとして)での死、を強要しつつある。
(C)かくして本論文の本質的特長はNLの喫緊の政治的・政策的要請に応えて、薬理疫学「専門家」の看板の下でのみ為し得る正解と覚しきものを一挙に提供している。誠に時宜にかなった貢献と規定することができよう。以下やや詳述する。
 ①「今日の治療薬」など拡大PL法対応の相乗作用・副作用情報を網羅的に満載している凡百のネタとは決定的に異なり、②中心的攻撃対象=高齢者に特化し ③日本医師会雑誌なる斯界最高権威(と思います)に公表と場を選び ④対象薬剤の「期間画定」をも抜かりなく行い ⑤一見所要の基準を満たした疫学的研究(それも国際的な!)の成果らしき体裁を備え ⑥極めてコンパクト(=使い勝手よし)な形をとるなどなど攻撃過程である程度は不可避な相手側の反撃(eg.訴訟提起)に対応すべき最良のツールとして甚だ有効有益な「新知見」ではないであろうか。
(D)(「こいつまたやってる、我田引水!ヤメロ!」のヤジあり)エー、次に進みます。「Ⅳ考察」の核心部分にクドクドと次の文が登場する。(この方たち皆さんこんな悪文が好きなのかドーか)
 「(この日本版どおりの処方を)実施していれば、高齢患者にとって望ましくない転帰になっても医療者側は医療訴訟を起こされない、あるいは起こされても負けない、というわけではないであろう。その逆に・・従わない・・処方を行い・・望ましくない転帰になった場合は、医療者側は訴訟の場面でより一層不利な立場になる・・・」云々 (何に比べてより一層不利な立場になるのか?それともアナタ方アプリオリにもともと不利な立場なのであって、それがより一層そうなるのかドーなのか。ついでにオリジナルのBeers Criteriaにもこんなことヌケヌケと書いてあるのかドーカ)
(E)「Ⅲ方法」について それが真に疫学的研究と称しうるには当然フィールドワークを中心とする長期にわたる多大な労力の確保、膨大かつ多様な協力者、対象薬剤の追跡・評価といった巨大な事業である他はない。「方法」の記述はその要約すら素人の私には困難であるが、ひとまず「専門家委員会」(9人のリストが掲出されている)については、ただ1回の会議(2006年9月)、その前後の「質問票」の送受が記され、最後に2007年1月決定されている。
 いずれにしよこれら手続きが冒頭の一般的要請を満足させているか否か、ここでいま断案を下す立場には私はいない。
(E)「Ⅳ考察」は冒頭「わが国の専門家委員らのコンセンサスにより、高齢患者における不適切な薬剤処方の基準が示された」と断定しつつ、「法的拘束力はない」だの「厳格に遵守されなければならないというものではない」などの「必要な留保之言」、さらに「すべてを網羅する基準ではなく」「使用禁止というものでもな」く(当ったり前でしょう!)、要は「代表制」が唱われ、そしてやがて(C)のアキレた本音=「真の目的・意味・存続理由」の自白となる。
(F)その他 ①末尾の文献20本(17本は英文)をみると、価値中立的なものを除けば驚くべき文献が羅列される。eg.15)にはExplicit criteria for ・・nursing home Residents 17)Centers for Medicare & Medicaid Sevices 5)the health care cost ・・in nursing facilities などなど。
 そしてⅢ方法で採用された「改良デルファイ法」は、かねて周知の代表的な反動的シンクタンクRand Corporation製である。これらの文献、ひいては本研究そのものが指向する方向が一体如何なるものであるのか、未知の人は取り敢えず次のものによって白日のごとく覚知するであろう。
○堤未果『貧乏大国アメリカ』(2008岩波新書)
○M.ムーア「Sicko」(DVDが入手できる)
②3頁を占めるリストについては膨大であり、その紹介には後日の労を要する(特に「商品名」の同定)が、一応紹介に値するものとして次号に掲載したい。   (以上)
                 

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