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精神医療審査会はこっそり患者の権利制限をしている

東京精神医療人権センター 小林 信子

 発端は「人権センター」への相談から
 今日の脆弱な精神保健福祉法の患者の権利保障が、私たちの知らないうちに審査会と行政の馴れ合いで制限を受けているのである。
 措置入院中の患者さんが、退院請求をしたが却下された。納得がいかないので再度、退院請求と外出も希望しているので処遇改善請求をするために審査会係(中部総合精神保健福祉腱センター)へ電話したところ、窓口担当者から以下のような説明を受けたというのである。
1.都と審査委員との話し合いで、退院請求が却下されてから6ヶ月経ないと新たな申請は受け付けないことにした。また、退院請求時には常に処遇改善も同時に行なっているので、すでに退院請求をした患者の処遇改善の受付も6ヶ月を経ないと新たな申請は受け付けない。
2.処遇改善請求については、隔離・拘束のみの事項だけを審査する。このことは、都と審査会との話し合いで合意されているが、明文化はされていない。

現状を説明する
「人権センター」に退院請求などの相談が寄せられる場合、初めての場合は、申請用紙が添付されている「センター」発行の患者の権利擁護パンフレットを患者さんに送り、それを利用して患者さん自身で請求を行ってもらっている。ご存知のように、日本の精神医療審査会は行政が行っているのと同じで、司法の場合のように三審制を取っていないから、却下されても上告できない。そして、「センター」の知る限り、病状が回復していないがための却下なので、約3ヶ月の機関を置いてから再請求を受け付ける、という行政側が設定したルールをこの間ずっと相談者には説明してきた。この期間自体も厳密に言えば、国連人権規約や「原則」に違反しているのではないかと私たちは思っていた。
さて、1,2のことを確認すべく翌日、審査会担当者に電話で聞いてみたところ、相談者の言うとおりであり、さらに以下のことが付け加えられた。
3.措置入院中に退院請求をし、結果が出る前に退院したり、また短期間で再び措置入院になり、再び退院請求をした場合、前回の申請から6ヶ月以内の場合は、申請者の様子を見てケースバイケースで扱う(入院先が同じ病院か別の病院かにはかかわりなく・・)というものだった。

・・・・・・・・・(中略)

 情報をください
 6ヵ月後の申請といい、処遇改善請求の項目についての制限といい、これでは患者の人権は護れない。私たち「センター」が監視を怠ってきたということもある。大いに反省しているが、各地の「人権センター」と連絡を取り合って情報収集をすると同時に、この「おりふれ通信」読者の住んでおられる自治体における精神医療審査会の1と2の運用実態の情報をお寄せください。

 全文は、おりふれ通信 2008年1月号でお読み下さい。
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退院支援施設(香川県 三愛会 レイクビュー) 「見たまま、聞いたまま」見学記 

七瀬 タロウ

 当事者団体、精神医療・福祉従事者関連団体、マスコミの強い反対を押し切って、昨年4月1日から、「退院支援施設」構想が、強行実施された経緯は、過去のおりふれ通信でも紹介されているが、各地での地方自治体相手の粘り強い行政交渉、全国規模の反対運動、そして私立精神科病院が長期入院者の退院促進を進めることで、経営的にいわば「自分の首を絞めてしまう」といった様々な事情により、現在山梨県と香川県に2ヶ所建設されているに留まっている。しかも、いずれも、いわば「イレギュラーな形」で、山梨県の場合は援護寮を作る計画だったのが、援護寮が廃止されたため、退院支援施設の話に乗った。また、これからご紹介する、香川県の退院支援施設レイクビューの場合も、病棟、ベット数の大幅削減計画が最初にあり(550床を350床程度まで減らす)社会資源の圧倒的不足(丸亀市内にはグループホームは2ヶ所、定員計14名でいずれも満室状態)、等もあいまって、最高1億円と言われる、国の建設資金の援助は受けずに、自力で建設した施設である。
私自身は、いわば、看板の架け替えによる数合わせ的な「社会的入院解消策」ではなく、社会資源の充実、当事者のピアサポート等も含めた退院促進こそ本道で退院支援施設構想には今でも反対なのであるが、では実際に建設された退院支援施設は、どのように運用されているのだろうか?香川県のレイクビューを幸い見学する機会があったので「見たまま、聞いたまま」をご報告したいと思う。

三船病院自体はおそらくこれからの入院患者数激減の傾向をにらんで、ベット数大幅削減等による「スリム化作戦」で今後の生き残りを考えているようである。この経営方針自体は、他の私立精神科病院もぜひ参考にして欲しいと思う。
さて三船病院の敷地から70メートル位はなれたところに退院支援施設レイクビューがある。3階建ての鉄筋プレハブ風の建物で定員30名、現在27名が入居している。男性21名、女性6名、利用期間は2年で1年延長可能、利用者の平均年齢は54.1歳(最高72歳、最低35歳)平均在院13.7年、最高在院年数44年、最短入院年数1年である。現時点では三船病院の入院患者以外は受け入れていない。スタッフは管理者を含め計8名。居室利用料月1万円、その他共用部分の光熱水費、自立支援法の1割負担等で750円、シーツ布団レンタル料で2200円。おおよそ1万7000円程度の利用者負担がかかる(各種減免制度あり)。
部屋は個室で6畳程度の広さ、ベット、小型冷蔵庫、テレビ、エアコンが備品で、電話は回線共有方式。押入れもかなり広いものがある。鍵は各階ごとと、部屋ごとの鍵を各自が所有し、24時間出入り自由。喫煙は各階ごとの喫煙ルームで可、アルコールは禁止。
また、貴重品盗難等のトラブルを避けるために、居室内へは外部の友人のみならず、同じ施設内の人も立ち入り禁止とのこと。この辺は個人的には疑問を感じたところである。貴重品の管理は将来施設から出ても、大変重要なことであり、押入れの奥にわからないようにしまっておくとか、カギ付ロッカーを備えておけば良いことなのではないだろうか?友人等を居室に招けないというのは、施設の管理的側面から来る大きな弊害だと思う。
さて、居住棟の中には共用部分があり、各階ごとにユニットバス、かなり広い炊事用設備がある。ガスはコインメーター形式。ただし、聞いたところによれば、朝はパン等を焼いて食べている人も多いが、昼食、夕食はほとんどの人が一食350円の業者の弁当を注文している。生活訓練では料理実習等も行われているのだが、自炊している人は数名程度。
近くには24時間開いている大型スーパーマッケットや各種店舗が集まっている場所もあり、買い物には不自由しないのだが、実際の自炊にはなかなかいたらないようだ。
私の個人的体験で言うと、自炊は冷蔵庫の中身とスーパーマケットの安売り食品で、栄養があり、自分なりに美味しいと思えるものをありあわせのもので何とか作り続けるのがコツで、無論冷蔵庫の中身が腐ってしまうこともままあるが、料理教室ではそのような実際の生活の知恵までは、学べないのではないかと思う。
さて、居住棟の他に、生活訓練棟がある。友人との面会もここの一室で行われる。生活訓練(担当の方は「訓練」と言う言葉はあまり好きではないとおっしゃっておられたが)、の内容は、前述の料理教室のほかに、体力をつける教室、シーツ交換、金銭管理指導、買い物訓練、居室や共用スペースの掃除等様々である。また公民館を利用した各種日中活動等いろいろ工夫されておられるようである。なお、午前と午後にそれぞれメニューが組まれているが1時間程度で終わってしまうことも多く、いわゆる厳しい訓練という感じではない。利用者に感想を聞いたところ「楽しいよー」と言う返事が返ってきた。
なおレイクビューは生活訓練施設なので職業訓練はやっていない。最後に利用者といろいろ意見交換する機会があったが、24時間風呂に入れる、外出が自由な点、個室である点等病棟生活よりははるかに、快適に感じているようだった。
反面「ここ2年しかいられないんだよ」と質問すると「あともう一年いれるんだよ」との返事。当初から懸念されていた「新たな施設病」の気配もなんとなく感じられた。開棟してもう6ヶ月たっているので、なかには充分もう退所できる人もいるように思い、担当の方に聞いて見たのだが、各種関係者による地域移行推進協議会もまだ立ち上がったばかりの段階で、具体的な地域移行の動きはこれからの課題のようである。なお施設の運営協議会は存在しないとのことである。
担当の方も2年後にスムーズに地域移行に結び付けていけるのかが最大の課題で、やはり地域の社会資源の圧倒的不足やサポート体制に最大のネックを感じておられるようであった。
また、東京での厚生労働省交渉や各地での反対運動の話を私が話すと興味深く聞いておられ、「私自身、病棟改造型の4人部屋というのはちょっとどうかと思う」等感想を述べておられた。

最後に私の個人的感想を述べてみたい。どう考えても地域の社会資源の不足、各種サポート体制の不備と言うのがいずれにせよネックになる。逆に言えば、退院促進、各種サポート体制、社会資源の充実に力を入れていれば必要のない「施設」である。とはいえ病棟にいるよりは確かに利用者のアメニティーが高いのも事実であり、いわゆる「よりまし論」もまったくわからないわけではない。
しかし、逆に言えば現状の多くの病棟のアメニティーや患者の自由度があまりに低すぎるのであり、むしろそちらを向上させ、その一方で各種社会資源やサポート体制を充実させていくのがやはり本筋ではないだろうか。レイクビューの場合、立地も市内で良く、外出先にも不自由しない。しかし、多くの山奥に立地する精神科病院が同様な試みをしても、まずうまくいかないのではないだろうか。
今までの退院促進運動の実績等を踏まえた上で、これからの退院促進運動のあり方全体を考えてみると、退院支援施設という「施設」は、「一つのオプション」としても不要であり、根本的な退院促進のネックの解消にまずは力と予算を注ぐべきではないだろうか。
ただの社会的入院患者の退院者数の数合わせ、安易な私立病院の生き残り策、施設病が施設で治せるかという問題、結果的に予測される在所期間の長期化等、退院支援施設はやはり根本的な問題をはらんでいると思う。


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10・3陽和病院看護師刺殺事件に関して

陽和患者協会会員 大石正文

 2007年10月3日早朝、陽和病院(東京都練馬区)東3A病棟で、不幸で悲しむべき事件が起きてしまいました。入院していた18歳の予備校生(当然未成年です)が、見まわりに来た33歳の看護師某氏を刃物で刺し殺してしまったのです。
 東3A病棟は全閉鎖の急性期病棟ですが、入院していた当の本人は、症状が回復し退院すると決まっていた日の午前1時に、看護師某氏を刺したのだそうです。これらは10月3日の朝日新聞夕刊にも載りましたが、記事から事の真相を追求するのは困難です。

 以下全文は、おりふれ通信 2008年1月号でお読み下さい。ご購読連絡先:FAX042-524-7566、立川市錦町1-5-1-201 おりふれの会

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<本の紹介> 『支援の障害学に向けて』

編集部  木村朋子

『支援の障害学に向けて』
横須賀俊司・松岡克尚編著 2007年10月末現代書館刊

 「障害学」という分野に魅力を感じてきた。昨年4月号「欠格条項をなくす会」の情報ブックレット『NOからYESへ』の紹介でもふれたように、健常者は「すでに配慮されている人」、対して障害者は「まだ配慮されていない人」(皆が鳥のように空を飛べたらエレベータのみならず階段もいらない。人は空を飛べないから高いところへ上がるためには階段やエレベーターが「配慮」として必要。既に配慮されている多数の人は、気づかないうちに配慮されているのだ)など、目からウロコの気づきを与えてくれる。しかしそういった障害学の考え方を実効性あるものとするための制度・政策や、とりわけ実践の研究が立ち遅れているという問題意識から本書は編まれている・・・・

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