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退院支援施設をめぐる厚生労働省との話し合い

七瀬タロウ(精神医療ユーザー)

 11月30日、伊藤哲寛先生もお招きして商工会館(15時~17時)で行われた、対厚生労働省陳情の概要をお伝えいたします。厚生労働省側の出席は、佐々木係長、課長補佐、他1名。
 最初40分間は、伊藤哲寛氏によるレクチャー形式の具体的経緯と問題点の説明
・1954年「第二種病院構想」(生活保護世帯向けの安上がりな病院)→日精協もふくめ大反対
・1958年「緊急救護施設新設」→悲惨な状況、ほとんど退院者なし。現在は普通の福祉施設となり、存在しない。
・1968年~「中間施設」構想は当初、精神・神経学会も提案していた。当時の医者は福祉に対する不信感があった。学会内でも論争。「終末施設になるのでは」という反対論、「医療の傘論」(医療サイドが患者の面倒を見るべきだ)が優勢だった。
 その後、やどかりの里等市民運動としての社会復帰の動き、家族会による共同作業所運動、当事者による自助運動、患者の権利擁護運動が広がる(患者の市民としての復権)。現在では、患者のエンパワーメントこそがリハビリテーションのうえで一番重要(医療リハビリモデルの限界)。なお現在点数化されて病棟内で行われている作業療法やSST等はほとんど退院促進には効果がない。
・1995年日精協「心のケアホーム」構想→病院敷地内、無期限。厚生労働省も難色を示す。現在でも日精協はこの案に近いものを求めている。
・1999年福祉ホームB型事業化→病院敷地内に社会復帰施設を認める。在所期間の歯止めあり。しかし、結果的に福祉Bの在所期間は長期化。社会復帰施設としてはほとんど機能していないのが現状。なお、実態調査のデーターが最近存在しない。
・2006年障害者自立支援法の「特例施設」として「地域移行型ホーム」「退院支援施設」構想。

 伊藤哲寛氏から、厚生労働省への質問「何故、退院支援施設構想が出てきたのか」に対し、厚労省側の回答は、退院促進のための「一つのオプション」論
 伊藤哲寛氏からの疑問提示として、この構想に手を上げるのは、多くの社会的入院患者を抱え、もはや、看護婦不足等で、経営が成り立たなくなってきている、退院促進にも不熱心な「劣悪病院」ではないか?また、社会資源が不足し、「社会復帰」にも熱心ではない自治体が、社会的入院の安易な解消策として、飛びつくのではないか?→終末施設になる可能性が極めて高いのでは?
 そのような病院やそこのスタッフで、退院促進が進むとは到底思えない。自分も道立緑ヶ丘病院で40人規模の社会復帰施設を担当(自分としては反対したのだが)、17人のスタッフで「1年間」と期間を厳密に決めて行った。現在は利用者はほとんどおらず、一部ショートステイ利用があるのみ。結果的に見て、全く不要だったと思う。あらたなハコモノに税金をつぎ込みのではなく、(退院促進の)システムに予算をつけるべき。

以下、参加者からの発言
・墨田区では、退院促進予算600万円、一方退院支援施設には一ヶ所1億円。これは、全くおかしい。
・実際に20年、30年と長期入院している患者とあって欲しい。
・今回の案は机上の空論。現場をあまりに知らなさ過ぎる。
・諸外国を含め、今回の構想には、科学的エビデンスが、全くない。4月1日実施を凍結し、いっそ、同じ一億円で、モデル事業(「退院支援施設」と「退院促進事業」)をそれぞれ、行って、有効なほうに税金を投入するようにしたらどうか?
・役人は2~3年で異動するが、こちらは一度出来てしまったモノに、長期間拘束される。たまったものではない。
・社会資源そのものが「自立支援法」の影響で、経営困難になっている。それに輪をかける「反リハビリテーション施設」(リハビリテーションとは、医療モデルではなく、人間としての尊厳の回復の意味)。
厚生労働省の回答:現在退院促進に関する諸事例を収集しているところ。
なお科学的エビデンスに関しては一切回答なし。

その他
共有出来る認識は共有すると言うことで、学習会を提案したが、キャンセルになり結局陳情という形を取った。反対派に厚生労働省の会場を貸す必要はないという声も耳にしている(厚労省側は否定、あくまで会議室が空いていなかったからと回答)。高いお金をはらってこの会場を借りた。今後も陳情と言う形をとるが、会場は厚生労働省内で、また、もう少し上の立場の人間に出席して欲しい。

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