自立支援法移行期に感じること
共同作業所職員 奥田育子
S作業所のS施設長(後Sさんとする)は、自立支援法推進派の1人である。ある日Sさんの発言に私は我が耳を疑った。まだ国や都や区の方針が打ち出されない段階で、Sさんは新法移行の為の方策を提案してきた。働きたいと思う気持ちがメンバーにあること、お金をより多く稼ぎたい気持ちのある人がいることは確かであり、その実現に向けてSさんが一生懸命であったことは認める。そしてこれが精一杯中立的に評価したSさんに対する書き方である。
でも私の考え方は違っている。私が作業所職員になったはじめの頃、ノーマライゼーションの流れの中で、就労イコールゴールではないと先輩職員は言っていた。『その人のあるがままを大切に』これも一般的な作業所職員の考え方ではなかったろうか。
しかし新法移行期の今、S作業所では共にやるという姿勢より、より効率的にスピーディーに作業をこなすメンバーや、外で働き収入の高いメンバーに対して配慮がなされている。逆に言うと、高齢者や作業に乗り切れないメンバーが居づらい雰囲気になっている。
何よりも素朴な疑問は、介護保険の財政破綻をなぜ当事者が担わなければならないのか? 法律の用語は難しい。私たちは職員という立場で当事者の人達にどれほどわかりやすく伝えることができたのだろう? 単なる手続き方法の説明で終わってしまっていたのではないだろうか?
私がこうした現場で働き、今感じることは、怒りと悲しみである。組織存続の為なら、もの言わぬ弱いメンバーの人達の尊厳や誇りは傷つけて構わないのだろうか?こうした現実を耐えた将来に当事者はどんな夢をもてるのだろうか?
最後に、私が痛感しているのは残念ながら、週3回作業所に通所すること、また施設長Sさんに対する忠誠心(現にSさん自身の口からメンバーに対して、自分にとって敵か味方かという発言がなされている)が、S作業所にメンバとして在籍できるか否かの踏み絵となっている実態があるということである。
難病を患いながら作業所職員としてメンバーと関わり、施設長との考え方の違いに憤りを感じている奥田さんです。
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