« 自立支援法移行期に感じること | トップページ | Save Our Safety-net 緊急アクション 生活保護費削減に反対し、ナショナルミニマムの確立を求める集会に参加して »

続・障害者自立支援法 支給決定プロセスをブラックボックスにするな 10.16情報交換会@立川市中央公民館報告

東京地業研 木村朋子

 前号で山本が報告した市町村審査会委員を囲んでの勉強会に続くものとして、自立支援法に基づく障害区分認定を経たサービス支給が実際に始まった10月、今度は審査委員のみならず、サービスの受け手の側の障害当事者(身体・知的・精神)の参加も得て、二度目の情報交換会を開いた。以下、その要約記録。 

<審査委員から>
東京都N区 身体・知的合議体委員:10月末では終わらず11月までかかる予定。現在身障半分、知的は医師意見書の遅れで30%しか済んでいない。当面「みなし」でやっていく。いずれもこれまでのサービス量を維持する方向で進んでいる。知的では事務局から、「区分4にしないと今いる施設から出ねばならなくなるので区分4以上にしてほしい」など注文。「79項目が知的に合わない。区分が下でも今回はサービス維持するが、次からはダメ。これまでも既得権というものはあった」とも発言あり。
精神合議体委員:自分の合議体は8割アップ、隣の合議体は2割、勉強会を開き考え方、
基準を合わせる努力もしているが。単身者は月30時間プラスされる。ヘルパーはこれまで「見守り共同実践」と言われてきたのを逆手にとって、だから時間がかかるといっている。

東京都T市 合議体委員:介護保険と両方審査委員やっている。全国一律公平というが、全く違う。状態象が示されておらず(介護保険は後から出されたが、区分アップの根拠がない。委員の頭の中それぞれにある状態象。立川では障害福祉課員による調査票はよく書いてある。医師意見書は大ざっぱだが。事務局から意見を言うことはいけないとされているが、審査委員の側からどんどん質問をして、現状に沿ったサービスになるよう審査している。しかし一体何を目的にしているのか、能力はあっても日常できない・やってないことをどう見るのか、悩むし腹が立つ。市も板ばさみであると思う。
東京都K市 合議体委員:K市では10月末の時点で医師意見書遅れによる「みなし」が10件出た。250~260件の内非定型は10件。審査会に「今までどおりで」と事務局が提出。二次判定変更には「慣れちゃった」感。最初は厚生省のマニュアルに影響され1ランクアップしかないみたいに思ってやっていたが、だんだん2ランクアップが増え(精神はこれが最大)、3ランクアップもあり。本人の状態像に合わせ必要なサービス量を考え、しかしサービス量は根拠にならないので、アップの理屈づけを考えるというやり方。本当の意味での障害程度区分とは何か委員もわからない。横並び、比較でやっている。
現在自分の関心は審査から支給に移っている。そこでの問題は
1.従来の人にはひとまず現状保障(でもそのうちは下げていく含み)、新規の人には厳しく。2.支給決定基準が、各自治体ある(国庫基準の1.3~1.5倍が多い。区部では2倍のところも)。しかし正式でないとか決裁を通ってないなどの理由で公開されていない。利用者にくれないところも多い。3.障害程度区分は勘案事項でそれで決定するのではないということだったが、結局それで決定している。
今のところ移動支援にまで区分が使われることは出てきていないよう。自治体毎にほんとにバラバラだが、区分認定の呪縛からは免れている。
<当事者の話>
堤さん(身体障害当事者):町田では区分・支給基準・アンケート3点セットで送られてきた。2003年4月の支援費で、従前と新規に格差ができ、それ以降「新規」だった人は今回の基準でよくなると喜んでいる。重度訪問介護の対象者では、おおむねこれまでのサービス量は確保されている。その一方で居宅介護の人は時間数が減らされている。総時間は減らないが移動が減った例もある。町田は移動支援から肢体不自由が省かれていることもあり、区分3以下の人は「移動」がない。しかしちょっとの減についてはあきらめてしまう人が多い。市の窓口に文句を言いに行くと、「じゃあ裁判やる覚悟なんですね」と言われて引き下がることも。再審査請求・不服申し立て・裁判をはっきり分けて取り組む必要がある。
←人権センター小林:最終的には行政訴訟で自立支援法そのものを問題にする必要ありと思う。不服審査の却下例を集めて行政訴訟へもっていく。それには11月判決の大田区鈴木さん裁判(移動介護を激減された訴訟)にも注目している。(←質問:介護保険での裁判例あるのか? →誰も知らず)
七瀬さん(精神障害当事者):僕も1回3時間だったのを1時間半に減らされ困っている。←堤:家事援助は基本が1.5時間、次に1.5時間入るとすると2時間間を置いてということになっている。市町村が認めて1.5時間以上にすることはできるが、事業者の収入が90%に減らされる。

加藤さん(身体障害当事者):立川は日野、八王子、多摩・・・近隣市と同じ基準で提示してきた。他市では上限撤廃したところもあるが、上限を設ける意向。大阪には基準を決めない地域もあると聞いている。とにかく問題はお金。これまで24時間保障していた人には続けたいが上限744時間が精一杯といい、ダブル介助を削れ、30分でも一人で過ごせないのかなどと、個別にそういう話しをして崩そうとしている。新規の人には「個別の対応」の一点張りで不服を受け入れない。24時間の保障を維持できないのも問題だが、ヘルパー単価が下がり賃金も下がり、ヘルパー不足の状況も生まれている。30年前に戻ってヘルパー募集のビラまきするような状況だ。立川市がこれではさびしい。でも市は「高い基準を続けて、よそから転居してくる人にどこから金を捻出する?」と言う。どこにでも住めるようにするのが国の責任。多団体で請願書を出し、自民党議員とも話し合ったがまるでわかっていない。でもがんばるしかない。

大沢さん(知的障害当事者):市から調査に来ると連絡があったので、調査を受ける前に、信頼しているヘルパーさんがパソコンを持ってきて、調査項目にどう答えるか予行演習をした。 役人らしくないイケメン調査員が調査に来た。あてはまらない(身体障害向けとか)質問は省いてくれた。自閉症とか知的障害向けの質問に答えた。「手を洗う」などの身の回りの事はできるので、できないことを話した。例えば時間が決まっているときに時間通りに行くにはガイドヘルパーが必要なこと。お金は自分でおろしてこれるが、大きなお金の管理は難しいので、支援者に手伝ってもらって水光熱費、自治会費など封筒に入れて振り分けておくこと、など。その後連絡が来て区分3で、1ヶ月30時間になった。これは以前と同じである。

七瀬さん(精神障害当事者):ヘルパー資格を持つ友人を小さな事業所から派遣してもらっている。今年春からヘルパーが入り家が見違えるようにきれいになって、昔はしていた料理がまたできるようになった。忘れていたものを取り戻した。
認定調査は何でこんなこと聞かれるのかと思った。我々もそうだが、行政もよく分かっていない。悪法とは言えできてしまった以上、使ってみて文句を言うべきと思っている。

その他の報告:5県の審査委員に電話インタビューしたところ、2ヶ所の合議体で、特記事項や医師意見書を点数化(?)し、コンピューターに入力して二次審査を行っているということだった。二次審査の現行方式変更のモデル事業か?今後注目要。

 この情報交換会を踏まえ、あきらめないで「このサービスではやっていけない」と行政に言ってゆくことの大切さを確認した。また自立支援法以前からサービスを受けていた人の現状は確保されても、10月以降新規に申請する人が低い基準で押さえられる傾向がはっきりしてきている。その実態を明らかにしていく必要、新規の人にこれまでのサービス水準を知らせていく必要がある。そもそもこれまで、どういうニーズをもつ人がどんなサービスを受けてきているのかを互いに情報交換、共有したい。精神障害の場合、介護サービスは現実的にはホームヘルプくらいなので、当面ヘルパー利用の実状を明確化する作業をしていこう。そういう過程で三障害統合の中の精神障害特有のニードや困難、ホームヘルプ以外に必要なサービスのあり方が見えてくるのではないかと話し合っている。

|

« 自立支援法移行期に感じること | トップページ | Save Our Safety-net 緊急アクション 生活保護費削減に反対し、ナショナルミニマムの確立を求める集会に参加して »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/19973/13437233

この記事へのトラックバック一覧です: 続・障害者自立支援法 支給決定プロセスをブラックボックスにするな 10.16情報交換会@立川市中央公民館報告:

« 自立支援法移行期に感じること | トップページ | Save Our Safety-net 緊急アクション 生活保護費削減に反対し、ナショナルミニマムの確立を求める集会に参加して »