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東京精神医療人権センター声明

                                                        2006.8.25.
自立支援法適用の精神障害者社会復帰施設案は、精神障害者差別である!
「地域移行型ホーム・退院支援施設案」は取り下げを!

                  東京精神医療人権センター  代表 永野貫太郎

 過去の精神医療行政の中で、現れては消えていた「精神病棟の転用による中間施設」が厚生労働省によって、全国課長会議の席で提示された。国は遂に日本の精神医療施策の禁じ手を使おうとしている。
 いわゆる「社会的入院者72,000人」の解決策として、「地域移行型ホーム・退院支援施設のあらまし案」を提出した。いずれも自立支援法に基づく運営であるが、今回突然示された精神障害者退院支援施設は、病院敷地内で可、4人部屋まで可、定員20~60名、病棟をそのまま転用できるというもの。おまけに病棟転用の費用まで国の補助が出るという驚くべきものである。
 この案の公表後、当事者団体は素早く反応して三障害団体が一致して反対署名を提出したが、厚労省は彼らからの意見聴取等に十分な検討時間を設けないまま、全国課長会に提示し、10月1日からの適用に邁進している。
 そもそも心神喪失者等医療観察法案が議論されていた2004年の国会で、当時の坂口厚労大臣が、法案の通過と引き替えに「精神障害者の社会復帰は、病院の敷地内ではなく、地域で生活するものとする」と答弁したのだから、上記病棟転用構想は明らかな国の約束違反であり、厳重に抗議する。
 さらに海外の実践経験からも、日本の身体・知的障害者の経験からも、社会復帰には効果がないとされている時代遅れの中間施設施策に私たちは反対する。とりわけ、病棟の転用という最悪の提案は絶対に受け入れられない、撤回すべきである。
 行政は患者の苦痛や悲しみを理解せず、その顔は依然として精神病院団体に向いていることを暴露している。
 社会復帰促進のためには、地域資源の質・量拡大に限られた予算をつぎ込むべきである。そのための議論にはまだまだ時間が必要であり、拙速な実施はすべきではない。
 世界一の精神病床をかかえ、国は不名誉な状況をかわす小手先の手段に走っているのであり、あまりに精神障害者の尊厳を傷つける施策である。医療では精神科特例という差別を受け、社会復帰においてもこのような差別を国から受けることは、精神障害者という社会的集団への人権侵害である。決して許されることではない。
 私たちは、時代遅れの中間施設施策に再考を迫り、とりわけ病棟転用による新たな収容施設の建設に絶対に反対する。
この施策の10月1日実施をとりやめ、当事者団体との話し合いを続けることを要求する。

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