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自立支援法への疑問 ~グループホームから

グループホームでは自立支援法の10月施行に向け、居住者への障害程度区分認定調査が行われました。一方で未だに制度的にどうなるのかはっきりしないことも多いのですが、現時点で世話人が疑問・問題と考えることは?

グループホームアートリング世話人 海上美帆

1.障害程度区分認定調査に同席して感じたこと
はじめて会った人に自分の病状をうまく伝えるのはむずかしく、具体的な生活のしづらさは伝わりにくい。同じ障害でも個別性があるのに一律に決められてしまう。調査員が記入する特記事項には、個々の調査員の印象や見方に左右され、調査員の裁量の部分が大きいという印象を受けた。また市区町村の財政状況により、ばらつきがあり、認定区分が統一した基準にはなっていない。

2.グループホームの再編について
障害の程度によって選別、分離して住む場所が以下のように分けられる。
①重度向け「ケアホーム」(共同生活介護)
②中軽度向け「グループホーム」(共同生活援助)
現在入居中の入居者についての引越しの強要は、居住権の侵害にもなるのでしないとのことだが、今後、国は障害程度別に住む場所を振り分け(機能分化)ていくという考え方に立っている。
グループホームがグループである利点は、機能や、支援のしやすさ(利便性)だけではない。同じ程度の障害の人たちを集めることは、障害の程度を超えて影響し合えたり、助け合えたりする可能性もなくしてしまうことだと思う。

3.グループホーム入居者が利用できないサービス
グループホームに入居する障害者が個人としてホームヘルプを利用することが認められなくなった(編集部註:東京都立川市ではこれまでグループホーム入居者もホームヘルプを利用できていた)。グループホーム入居者は世話人からだけ支援を受けるようになり、密室化した入所施設と同じになってしまう。家族関係問題を抱える人が多く、家族分離のために入居したのに、密室化した世話人との関係の中で、家族関係の問題を再現してしまう危険性がある。ちなみに訪問看護もグループホーム入居者は2名以上の複数でなければ入れられないのが原則とのこと。  
住む本人がどこに住むことを選択しても、その人個人が必要とするサービスは受けられる環境が保障されることが大切だと思う。

4.定員規模の拡大、病院敷地内グループホーム設置など「施設化」の方向によって心配されること
地域の中で物件を探すのは難しい。また、今回、病院の敷地内でもグループホームが設置可能になる。今後グループホームは施設に併設されるなど、地域からかけ離れた場所にしかできなくなるのでは?
病院内グループホームについては賛否両論あると思う。が、地域にあるグループホームの存在価値とは全く別のもの。これまでグループホームが施設から地域移行の役割を果たしてきたことを考えるとグループホームの設置を施設内に認める法律は時代の流れに逆行するようで違和感がある。
また、他市からの入居については、この法律になって受け入れやすくなったが、条件として、もとの市区町村へ戻ってもらうことが前提になっている。どこに住むかは、個人の選択なので、そこまで踏み込まれるべきことではないと思う。

5.日額制になるとどうなるか
入居者の体が実際にグループホームに居ていくらということになる。グループホームとしては今後は経済的にまったく余裕のない状況の中で運営を考えなければならない。そこで、入居者を選ぶ際に、入院をしなさそうでより安定して入居できそうな人を優先して入居させるといったことや、安定して入居している人を新しい入居者の目処がつくまで退居させないといった自立の阻害が起こるのでは?と心配されている。入院が長引くとグループホームの籍を残しておくのが実際、難しくなる。  

 障害程度認定区分調査は短時間に多くの人数をさばかなければならず、十分調査しているとは思えないという声を聞きます。グループホームでは今まで「月額制」で関わってきたものが、「日額制」に変わります。入居者の籍があっても、入院中は補助をもらえなくなります。入院中でもグループホームとしての援助は続きます。その費用は持ち出しになるのでしょうか?利用者も世話人も金銭面だけで四苦八苦することだけは避けたいですね。
全文は、おりふれ通信8月号でお読み下さい。ご購読連絡先:FAX03-3366-2514、新宿区西新宿7-19-11児玉ビル301 おりふれの会

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古い病院の中から

次は日々の仕事の中でハッと気づかされたことです。

        民間精神病院コメディカル職員 東野みどり

 古ーい精神病院で働く私もまた中古となり、「昔ノ私ハコウデハナカッタ」と感じはしても、鈍くなってきた頭と感性で、疑問を感じては忘れ、放置してきていた。
 病院ではさまざまな、あるいは単調で単一なプログラムが、患者の治療(?)や気晴らしのために組まれる。その企画、準備、進行、後始末の多くは職員が行い、ごくたまには全部患者に任せて行われる。
 先日、私がある女性の患者さんに司会を頼んだのはそうした思惑ゼロで、しばらく動きのない状態や沈黙があって、「声が小さくて聞こえないよ」と役を取って代わられた。その場の参加者達は、入院して5年、10年が経ち、という顔ぶれだったので失礼ながら何の期待もなかった。
 ここから先はちょっとウソのように聞こえると思うが、患者さん一人ひとりの顔つきや身体の動きや姿勢、声がゆっくりと変わった。なぜ今までこれが起こらず今回起こったのかがわからないので同じ試みも再現できないが、しなくてよいことをし続け、してはいけないことを繰り返す職員や病院のあり方が、患者さんが本来の自分に立ち戻る過程をじゃましているんだね・・・とつくづく思った。
 職員しゃべり過ぎか。黙って今後を期待する。

いったいどんな出来事があったのでしょうか?私もグループの中で経験したことがあるので「そうそう!わかりますぅ!!」と思いながら読みました。(編集部佐藤記)
全文はおりふれ通信8月号をどうぞ。ご購読連絡先:FAX03-3366-2514、新宿区西新宿7-19-11児玉ビル301 おりふれの会

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『私たち、遅れているの? 知的障害者はつくられる』〔増補改訂版〕を読んで

米国カリフォルニア州で出版された『Surviving in the System:Mental Retardation and the Retarding Environment(制度の中で生き延びるにはー精神遅滞と遅れを招く環境)』を、日本の障害者福祉に詳しい秋山愛子・斎藤明子のA・Aコンビが翻訳したものを紹介します。

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『私たち、遅れているの? 知的障害者はつくられる』〔増補改訂版〕
カリフォルニア・ピープルファースト編
秋山愛子+斎藤明子訳
現代書館 2006年5月

編集部 木村朋子


原書は1983年にカリファルニアの知的障害者当事者団体、キャピタル・ピープルファーストが州の発達障害審議会に委託されて行った知的障害者の実態調査とニーズ把握の調査報告書です。この報告書は1984に出版されて以来、アメリカ国内にとどまらず英語圏の各国の当事者、福祉関係者に衝撃を与え続けたとのこと。人々を惹きつけたキーワードは「遅れを招く環境」でした。そして今、自立支援法にさらされている日本の私たちに、「遅れを招く」=障害者を一律に「処遇」し、社会から遠ざけ、自信を喪失させることではなく、当事者中心のしくみのあり方を考える上で時宜を得た増補改訂版の登場です。

 まず実態調査の結果、施設で大人の知的障害者は自立を阻害されている、その手のサービスを受けずに生活している人の方が却って良い生活をしていることが分かったというのです。
 その後ノーマライゼーションに代わって「セルフ・アドヴォカシー」がキーワードになり、これは直訳すれば「本人による本人のための権利擁護」ですが、知的障害者の支援者の「何でも自分が感じることや思うことを大切にしていいんだよ」との言葉が紹介されています。さらに「多くの知的障害者は自分がまるで価値のないもののように思いこまされている。失われた価値を取り戻し、自分の感情や考えを肯定し表現することに自信が持てるようになることが必要。セルフ・アドヴォカシーとはこのレベルから始まること」と、説明されていますが、精神障害者もまさに同じと感じます。

 結論の一つとして、「知的障害者が強くなるために」として当事者による組織づくりの方法を述べています。「なぜなら自分の障害に向き合うことを恐れている人は、障害を克服できなかったり、障害を補う方法を学習できなかったりするから」と。グループを支援、補佐するファシリテーターの重要性と適性についてもふれています。
 「遅れを招く環境」を変える提言として、ランタマン法等を受けての予算化、現在のシステムを地域プログラム中心に変える。ユニークなのは障害者の非課税の財形貯蓄として「自立生活預金」(仮称)制度化も提案しています。

 増補改訂版には8年後の今が追加取材されています。脱施設化が進み、形骸化していたIPP(個別サービス提供計画 詳しくは本紙4月号『知的障害者の「バディシステム構築とIPP作成事業」』参照)が厳密に本人中心でなければならないと法改正され、さらに「自己管理サービス」といういわばケアマネによらない自前のサービスの組み立てと契約も始まっているとのこと。またランタマン法の改正によりサービス監視機能も強化され、PAI(Protection & Advocacy Incorporated =連邦法に基づく発達障害者・精神障害者のカリフォルニア州における権利擁護機関)の中に州予算で当事者権利推進課が新設され、当事者権利推進コーディネーターが弁護士と組んで、相談、不服申し立てヒヤリングの代理人、権利の研修などを行っているとのことです。私がおりふれ紙上でPAIの精神科患者権利擁護事務所の報告をしたのは、1994年3月号のことでしたが、その後のことを知りたくなりました。

 海外の事情に疎い私にはこのような紹介がうれしいです。国によって文化の違いもありすべてを取り入れることはできないでしょうが、私たちの活動のヒントになればうれしいですね。(佐藤記)
全文は、おりふれ通信紙8月号でご購読連絡先:FAX03-3366-2514、新宿区西新宿7-19-11児玉ビル301 おりふれの会

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東京精神医療人権センター声明

                                                        2006.8.25.
自立支援法適用の精神障害者社会復帰施設案は、精神障害者差別である!
「地域移行型ホーム・退院支援施設案」は取り下げを!

                  東京精神医療人権センター  代表 永野貫太郎

 過去の精神医療行政の中で、現れては消えていた「精神病棟の転用による中間施設」が厚生労働省によって、全国課長会議の席で提示された。国は遂に日本の精神医療施策の禁じ手を使おうとしている。
 いわゆる「社会的入院者72,000人」の解決策として、「地域移行型ホーム・退院支援施設のあらまし案」を提出した。いずれも自立支援法に基づく運営であるが、今回突然示された精神障害者退院支援施設は、病院敷地内で可、4人部屋まで可、定員20~60名、病棟をそのまま転用できるというもの。おまけに病棟転用の費用まで国の補助が出るという驚くべきものである。
 この案の公表後、当事者団体は素早く反応して三障害団体が一致して反対署名を提出したが、厚労省は彼らからの意見聴取等に十分な検討時間を設けないまま、全国課長会に提示し、10月1日からの適用に邁進している。
 そもそも心神喪失者等医療観察法案が議論されていた2004年の国会で、当時の坂口厚労大臣が、法案の通過と引き替えに「精神障害者の社会復帰は、病院の敷地内ではなく、地域で生活するものとする」と答弁したのだから、上記病棟転用構想は明らかな国の約束違反であり、厳重に抗議する。
 さらに海外の実践経験からも、日本の身体・知的障害者の経験からも、社会復帰には効果がないとされている時代遅れの中間施設施策に私たちは反対する。とりわけ、病棟の転用という最悪の提案は絶対に受け入れられない、撤回すべきである。
 行政は患者の苦痛や悲しみを理解せず、その顔は依然として精神病院団体に向いていることを暴露している。
 社会復帰促進のためには、地域資源の質・量拡大に限られた予算をつぎ込むべきである。そのための議論にはまだまだ時間が必要であり、拙速な実施はすべきではない。
 世界一の精神病床をかかえ、国は不名誉な状況をかわす小手先の手段に走っているのであり、あまりに精神障害者の尊厳を傷つける施策である。医療では精神科特例という差別を受け、社会復帰においてもこのような差別を国から受けることは、精神障害者という社会的集団への人権侵害である。決して許されることではない。
 私たちは、時代遅れの中間施設施策に再考を迫り、とりわけ病棟転用による新たな収容施設の建設に絶対に反対する。
この施策の10月1日実施をとりやめ、当事者団体との話し合いを続けることを要求する。

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投稿 山本真理さんからのご案内

全国「精神病」者集団事務所と権利主張センター中野 おひろめの会

 私ども全国「精神病」者集団はこのたび中野の地にささやかな事務所を持つことになりました。同時に草の根から人権主張を行うべく権利主張センター中野プロジェクトも発足させました。障害種別を超え、障害のあるなしを超えすべての人が人権主張できる社会を私たちはめざしていきたいと考えます。多くの方と語り合い、知恵をいただき、第一歩を踏み出したいと考えております。ぜひご参加を!

日時 2006年9月9日(土)午後2時から4時 閉会後事務所にて懇親会

場所 中野区障害者社会活動センター 会議室(スマイル中野5階)
    〒164-0001 東京都中野区中野五丁目68番7号
    電話 03-5380-0891   ファックス 03-5380-0897

内容
 国連障害者権利条約第8回特別委員会報告
    各団体・参加者の皆様のメッセージ

参加費 無料

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