« 2006年6月 | トップページ | 2006年8月 »

近隣住民の建設反対に抗してー人権救済申し立ての効果

編集部では、地域住民の建設反対運動に遭いながらも、5年間をかけて施設を立ちあげ、活動を続けている埼玉県春日部市の地域生活支援センター「たけさと」と通所授産施設「おおば」を訪問し、事務長塩崎和成さんに経験をお聞きしてきました。

編集部 飯田文子


 1997年8月 精神障害者生活訓練施設(援護寮)、地域生活支援センター、通所授産施設の三機能をもつ社会復帰施設の建設を始めるに当たり、地区の責任者に挨拶に行ったところ、「施設を建てないようにお願いする」旨の申し入れがありました。
 建設予定地の周りに「精神障害者施設反対 地区住民」と書かれた立て看板が立てられ、並行して住民の署名を添えた「大場地区内精神障害者社会復帰施設建設に反対する要望書」が埼玉県と春日部市に提出されました。
 1998年になって4回の説明会が開かれました。塩崎さん達は住民の質問に答えるとともに、施設見学の紹介もしましたが、結局1人も見学には行かなかったそうです。説明会の中で代替地を用意するとの申し入れがあり、2000年の5月まで待ちましたが、提示はありませんでした。
 この間、毎日新聞に「精神障害者との『人権摩擦』」のテーマで、精神障害者の社会復帰施設、グループホーム、作業所などを始める際住民が反対する例が後を絶たないと掲載され、全国の例の中にここも取り上げられました。
 2000年5月塩崎さん達は、地元住民と歩み寄る確認書を取り交わすことを提案しましたが、6月、話し合いは決裂しました。
 そこで翌7月、地元の同意も得られて県弁護士会へ人権救済申し立てを行いました。これに対し2001年6月県弁護士会は地元自治会宛に要望書を通知しました。
 2002年1月 地元住民との話し合いがもたれ、建設を妨害するような行動はありませんでした。
 2003年4月 地域生活支援センター「たけさと」と通所授産施設「おおば」が設立、発足。

この5年間に起きた様々な出来事や、塩崎さんがこの経験を通して感じられたことを紹介していきます。

以下は、おりふれ通信7月号でお読み下さい。ご購読連絡先:FAX03-3366-2514、新宿区西新宿7-19-11児玉ビル301 おりふれの会

| | トラックバック (0)

厚生労働省への公開質問状―自立支援法・障害区分認定調査と審査への疑問

2006.7.10.
東京都地域精神医療業務研究会
代表 飯田文子
〒190-0022 東京都立川市錦町3-1-33
留守tel/fax 042(524)7566 

今年4月から施行された障害者自立支援法は、障害をもった多くの方々に、大きな混乱と困難を引き起こしています。私共は、特に障害程度区分認定について、さまざまな疑問をもち、以下のような質問状を厚生労働省に出しました。
様々な場から問題を提起し、制度の根本的やり直しにもっていかなければと思います。 

【全体について】
1.細部不確定のまま施行を急いだ理由は何か。そのために不要な不安を障害当事者に負わせたことについて、どう考えているのか。
全容がはっきりしないまま制度化を急ぐことでいたずらに混乱を招き、不安をかきたてている。対象となる人々にとっては、生活が成り立つかどうかの重大事であり、また、不安に弱く、時間をかけた丁寧な説明を必要とする人々を対象としているにもかかわらず、拙速としか形容しがたい早急さで実施期日を早期に設定した理由は何か。

1.サービスの要・不要で支給を決定していた支援費制度を撤廃し、新制度を導入した理由は何か。
障害程度が同一であっても必要とするサービスの種類、量は同一ではない。その点で支援の必要性を支給の根拠としていた支援費制度はきわめて妥当性の高い制度であった。支援費制度に問題があるとしても、問題となった部分を各方面の意見を参考にして部分的に改正すれば済むのに、導入されて数年も経たない制度を撤廃し、新制度を導入しなければ問題解決を図れないと考えた理由は何か。
 さらに、新制度を導入しなくても、申請されたサービスの種類及び量を担当者が妥当と思えばそのままサービスを支給し、疑問がある場合のみ認定審査にまわすという方法で対応できると考える。にもかかわらず複雑で煩瑣な障害区分認定制度を創設し、医療、福祉関係者を多数動員し、申請者全員を対象に区分認定を受けさせるという、税効率上も疑問が多く、支援費制度が依拠していた障害者の自己申告の正当性を頭から否定し、社会的偏見を助長するような制度にしたのはなぜか?

1.公平性、透明性を担保するため同じ尺度で測るというが、尺度が同一であれば公平な処遇をしている、と言える根拠は何か。
 同一尺度の適用と客観性の担保は同一ではない。認定調査の項目は身体機能の判定に偏しており、生活上の「困難さ」を測定する項目は極端に少ない。そのため認定調査員に対して様々な、配慮を求めているとも聞く。調査員のさじ加減を許容する調査ははたして公平、透明であると言えるのか?
同じ尺度にこだわるのでなく多様な障害に見合った公平さは「合理的に説明できるかどうか」を基準にすべきではないか。


1.障害程度区分が重いと多くのサービスが得られ、障害程度区分が軽いとサービスを削減されて生活上の困難が増す。障害者が「障害が軽くなることを望まないようにする」制度を施行する理由は何か。
障害程度区分認定調査、審査等では、障害が重度とアピールし、認定されないとサービスが得られないことになるが、これは障害当事者のプライドと意欲を損なうものではないか。一方で「自立せよ」と言うこととの矛盾をどう考えるのか。


【申請について】
1.自立支援法が施行され認定調査が始まっていることを知り、窓口に申請に行ったところ、申請書を渡してもらえなかった事例が発生している。「認定調査を実施して該当、非該当を決定する」はずなのに「門前払い」を許容しているのはなぜか。
 このままでは生活保護の水際作戦のような給付抑制が進む危険がある。申請する権利は具体的にどう保障されるのか。


【調査の実施について】
1.調査を受ける側の「知る権利」は保障されているか。
・認定調査の前に、何のための調査かを本人が承知し、質問項目等どんな調査を受けるのかを本人が事前に知り、心の準備も含めた準備ができるようになっているか。
・調査員が記入した調査票を一次判定に送る前に本人が確認できるか。

1.調査の実施に当たって知的、精神障害を含む障害当事者に対する権利や尊厳の尊重と、調査に起因する体調不良を防止するための配慮はなされているか。
・実施場所:実施場所は調査対象者と調整できることになっているが、調査員側が本人が望まないにもかかわらず日頃の状況を把握できる場所(例えば自宅)を強要する事はないのか。本人の望む場所で調査が受けられるよう配慮しているか。
・回数:1回で実施することになっているが3桁にもなる質問項目を1回で行うことが本人の負担となる場合、複数回に分けることは可能か。本人のペースを尊重することになっているか。
・援助者:調査は介護者への聞き取りを重視しているが、まず障害当事者が自らの状況を述べられるようにするため、本人が希望する場合、本人が指定する援助者を同席させることは可能か。反対に、本人が望まない人間の同席を拒否できるか。
・本人と介護者との意見相反:この調査では家族等介護者からの聞き取りが重視されているが、本人と介護者との聞き取り内容が同一でない場合、どのように判断されるのか。
・本人が介護者からの聞き取りを拒否できるか。
・調査員の話し方:調査員は「優しく問いかける」とされているが、調査対象者の年齢・性別にふさわしい礼儀正しい態度で問いかけることがまず第一ではないか。「優しく」という表現は、障害者を子ども扱いする調査員が出ることが危惧される。

【不服申し立てについて】
1.不服申し立ての方法、申し立て期限は調査対象者本人に、障害があっても理解できる表現・方法で告知しているか。

| | トラックバック (0)

おすすめです 森 実恵著<心の病>をくぐり抜けて 岩波ブックレットNo.671

編集部員が「わかる!わかる!私もそうだった!」と言いながら読んだこの1冊

編集部 石井真由美(精神医療ユーザー)

 この本を読み始めてすぐに、ぐんぐん心が動いていきました。森さんの思いや、さまざまな症状と体験、そしてメッセージが、とてもとても分かりやすく書かれていたからです。自分の過去の体験を思い出して私も何かメッセージを発信したいと燃えたり、とにかく読んでいる間とても忙しかったです。
 でも私にとってこの刺激の強い本を最後まで読むことができたのは、常に森さんの文章から力を与えられていたからです。これはまさに力をもらえる本でした。

 幻聴の話はとてもリアルで、読みながら「うるさい!うるさい!」と言ってしまいました。森さんが幻聴や妄想を飼い慣らすプロセスは、もう職人芸のような感じがしました。
 私の場合、葛藤状態は他人には見えません。自分の障害や苦しさを理解してもらうのって難しいなって思います。
 
 私の場合、自己肯定感の低さを直すためにカウンセリングを受けましたが、限界がありました。この頭の状態をどう説明すればいいか、自分でもよく分からなかったけれど、森さんが書かれている「思考に忍び込む困った幻聴(56頁)」に少し似ている感じがしました。

 森さんの「どういうわけか」幻聴の勢力が弱くなった話も印象的です。

 「殺風景な閉鎖病棟 心潤す花もなく(13頁)」は、病棟の中の映像と音と臭いに包まれました。「訴えてやる!」とか「ふー!」とか喚きながら読んでいました。

 「本当は自然体で生きたい(16頁)」の「私が現在あるのは『ぼちぼちクラブ(大阪精神障害者連絡会)』の仲間のおかげ。でも割り切れない何かがある。病者は病者どうし群れをなすしかないのでしょうか。みんな本当は、自然体で、社会の中で生きたいのです」はそのとおりだし、「欠格条項、社会参加への障壁(52頁)」に対して、「一人前にできない人は雇えない。・・・精神障害者の部分を盾にして甘えたり、使い分けないで」という読者さんの声に、どう向き合えばいいのか分からず、この悲しい気持ちや理不尽な思いを言葉にできない歯がゆさを感じ震えた。

 その他すごく感動した詩もあったし、これぞ自助グループに使いたい詩もあった。病気、症状(幻聴)が、結局回復への道へ連れて行ってくれているみたいな奇跡のようなプロセスもびっくりで素敵だし。感想はまとまらないけれど、編集会議で、「この本をみんなに紹介したい?」と聞かれ「したい!」と心から元気に思ったのです。
この本たくさんの人に読んでほしいです。


詳しくは、おりふれ通信7月号でお読み下さい。連絡先:FAX03-3366-2514 新宿区西新宿7-19-11児玉ビル3-1 おりふれの会

| | トラックバック (0)

投稿詩 自(おの)ずからの生き方

 転石光

人間も 自然の一部
 地球の生態系の一画を
担う存在であるから

自のリズムに 則って
 自然に 寄り添いながら
生きるのが 一番心地よいし
 仕合わせに なれる道だ

| | トラックバック (0)

« 2006年6月 | トップページ | 2006年8月 »