« 2006年5月 | トップページ | 2006年7月 »

自立支援法 障害区分認定審査を調査する!呼びかけ

東京地業研 木村朋子

 東京「立川市の在宅障害者の保障を考える会」の加藤みどりさんが、自立支援法の障害程度区分認定審査会の審査委員に障害当事者を入れるべきと要望したところ、市側の回答は「検討中」しばらく経って「実はもう決まっていたので、今からでは無理」と不誠実で、加藤さんが憤っておられたことは、2月号に書きました。大阪「ぼちぼちクラブ」の「大精連ニュース」では、障害者の地域生活の実状をよく知る生活支援センターから、認定調査の調査員を選任するよう交渉したにもかかわらず、大阪市は社会福祉協議会への委託にこだわり譲らなかったと報じられました。
 その後各地で、ヘルパー、グループホーム利用者を中心に認定調査と審査が始まり、審査委員に当事者が入っている自治体、審査委員の名簿さえ秘密にしている自治体、また審査会の合議体によっては、コンピューターによる一次判定を2階級アップさせることを渋る障害福祉課職員を審査委員が説得し実現した例、別の所では知的障害者施設長の審査委員が「重度の知的障害者は、外出もコミュニケーションもせず、受けるサービスがないのだから・・・」と適当にすまされてしまっているという例も聞こえてきます。
 私たちはそもそもこの認定調査で一人ひとりの日常生活上必要な支援が量れるとは思えず、
これまでの支援費制度や精神障害者の諸社会資源の利用時の、本人の希望と地域機関の判断でサービス提供を進める方法をなぜ変えなければならなかったのか必要性が全く解りません。介護保険と符丁を合わせるためというのみではあまりにも予算・労力の無駄が多く、結果も大きな不具合が予想されます。
 そこで、各自治体で区分認定審査会の委員になっている人で聞いてみられる人に聞き取り調査をすることにしました。調査項目は以下のとおり。
1.認定調査委託の有無、有るとすれば委託先はどこか。また委託はお金がかかるので調査員を嘱託として雇いあげている自治体もあるところから、調査員の人数とその内嘱託は何人か。
2.審査委員中、当事者委員の有無。その他の委員の職種と人数
ところによっては当事者はおろか、医師をはじめ病院医療職と大きな社会福祉法人の入所施設長で占められ、障害者の地域生活の実状に詳しい審査委員が皆無の審査会もあるようです。
3.審査会の合議体(グループ)数、1合議体の審査委員数、審査開始時期
ところによっては、身体と知的・精神の審査を専門に担当する合議体を設けている自治体もあるとのこと。
4.一次判定の変更割合と精神障害者の変更例の有無
認定調査結果をコンピューターにかけた一次判定は結果が低く出がちだと言われており、医師の診断書や特記事項の記載を加味した審査会での二次判定でアップすることも多いとのこと。その場合1ランクアップが通常とのことですが、合議体によっては審査委員の主張によって2ランクアップした例もあった由。
5.審査委員に対する自治体の注意事項
自治体によっては、「知的・精神はこれまでのサービス水準が低いので、現状以下になるような結果を出すな」と審査結果に注文をつけたり、現状のサービスに縛られず結果を出すよう依頼したりということがあるとのことなので。
6.認定調査時の利用者とのトラブル(審査会で報告されたものがあれば)

 認定調査時のことについては、利用者から、
・項目数が多くはじめの方の介護保険共通項目は、見たのみで明らかなためかもしれないが、調査員が勝手にドンドン回答を書き込み、何が書かれたのか不安だった。
・認定調査員とのはじめの四方山話で、病状もよくなり積極的に生活をエンジョイしていることをわかってほしくて、一人旅をしたことについて話したら、その後身体的にしんどい点の特記事項記載希望に『一人旅ができるのだから大丈夫でしょう』と記入してくれなかった。
などの不満、不安も聞いており、審査委員のみならず、当事者の声を集め、行政担当者の机上がクレームの山となるような状況もつくっていかなければと話し合っています。

 自立支援法は動き出し、現場では実際の調査・審査への戦術として、障害を重く見せサービスを勝ち取る方法なども言われています。それは障害者が生活を守っていくために必要な方
便でしょう。しかし、必要な支援を受けて障害がない人と同様な地域生活、社会参加をするのは障害者の権利であり、それを保障するのが公的な義務だという理念からどんどん離れていくようです。「とせいれんニュースレター126号」掲載の『「あなた達はいなくなれ」というメッセージ』で宮澤秀一さんが「障害があるから支援を受けるのは「当然」ではないのか?そこに「お金を払いなさい」と言われるのは『あなた達は、世間のやっかい者なんだよ。本当は生きていてはいけない存在なんだよ』と宣告されているように、わたしにははっきりと聞こえる」と書いておられますが、障害のある人にこんな風に感じさせてしまう制度であると思います。動き出した制度に乗って行かざるを得ない現実はあるけど、それだけでは悔しいしダメだ。では何をしていけばいいのか。いろんな方法で自立支援法の問題を社会に明らかにしていくこと。たとえば現在行われている滋賀県の知事選では三人の候補者全員が、質問に応えて自立支援法が制度上のミスをもつと発言しているそうです。この質問をしかけた人が偉かったなぁと思います。
 で、私たちは「同一尺度による障害認定が公平性と透明性を担保する」というところにこの問題ある制度の根幹を感じ、それをもっと明らかにしてみようと遅ればせながら取り組んでいるわけです。
 以下に調査票がありますので、読者の皆様も是非ご協力よろしくお願いします。

「ninnteisinnsakaichousa.xls」をダウンロード


| | トラックバック (0)

『懲りない精神医療-電パチはあかん!!』をぜひ読んでください 

七瀬 タロウ(精神医療ユーザー)


『懲りない精神医療-電パチはあかん!!』
編集・企画 前進友の会 
千書房 2005年刊 1,200円

私はこの本を、三回程繰り返して読んだ。最初は、電気ショック療法に対する当事者による強烈な批判の書として。二回目は、現在の精神医療全般に対する強烈な批判の書として。三回目は、自分の「人生」「体験」そのものを考え直すための書として。そして今日、紹介文を書くために、改めて読み直した。本著は、およそ、短い要約にはなじまない本なのであるが、以下、本著の内容を、可能な限り、紹介していこうと思う。
第一部の中心舞台は、2003年12月6日、京都府立洛南病院(院長 岡江晃)主催の「第8回精神科急性期治療研究会」(「電気ショックの効用」についての発表会)。10月20日の洛南病院訪問調査によって、電気ショックを過去30年間欠かさずやり続けてきたという、調査結果を得た前進友の会のメンバーは、かつて反十全会闘争(1974年9ヶ月で859名の入院患者を殺した京都の悪徳病院に対する闘争)等を共に闘ってきた洛南病院の医者達が、長年電気ショック療法を行い続けてきたことに強いショックを受け、12月1日に「抗議文」を提出、そして、12月6日には、前進友の会総勢6人で「発表会」会場(ぱるるプラザ京都)にビラ撒

きに突入する。そして、総勢100名程の医者達が集まった「発表会」は結局中止に追い込まれた。
その後の経緯等は、直接本著にあたって欲しいのだが、ここでは、前進友の会が何故(修正型を含めた)電気ショック療法に反対しているのか、そしてそれが、何故現在の精神医療総体に対する批判ともなりえているのかを論じて行きたい。そして本著を、病に苦しむ当事者のみならず、電気ショック療法は「効く」場合が多い、希死念慮が強いうつ病患者に対する最後の治療法として大変有効である等々考えている、電気ショック療法肯定派の多くの精神医療関係者等にもぜひ一読して欲しいと思い、筆者の意見も交えながら、紹介を続けていくことにする。
まず、副作用の問題である。記憶ならびに認知機能障害(せん妄、逆行的健忘、記憶力低下)は明らかに認められている。本著でも、国語辞典を引く際に、「あ、か、さ、た、な、」まではいいが、その後の順序があいまいで辞書を引くのが大変な例等が挙げられている(39頁)、また、これは本著で紹介されている例ではないが、奥さんの顔と名前を忘れた、それどころか結婚した事実まで忘れた例や、これは最近のアメリカの例であるが、看護婦が電気ショック療法を受けた結果、それまでに覚えた看護技術をすべて忘れてしまったのだが「医療過誤裁判」で勝訴し、多額の賠償金を勝ち取ったという例も報告されている。なお本著60~68頁に、前述の「発表会」の冒頭で、このような電気ショック療法の宣伝になるような発表会はやめて欲しいと壇上で10分間訴え続けた黒川医師(光愛病院)によって、詳細な副作用等の各種問題点がわかりやすく整理されているので、当事者運動にまったく興味がない精神医療関係者にもせめてここだけは読んで欲しい。
さて次は病状の再燃の問題。電気ショック療法は急性期治療の有効性が高いとされているが(この理解が「病棟機能分化」体制下の急性期治療における、電気ショック療法の蔓延をもたらしている)、6ヶ月以内に約50%が再燃する。そして、再び電気ショック療法の繰り返し。そして何よりも、電気ショック療法は、回復にとって決定的に重要な、自然治癒力の発動を極端に遅らせるという、警告を鳴らす医師(星野弘)もいる(79頁)。
結局、精神医療において「治療する」「治す」とは一体どういうことなのか、その根本が電気ショック療法において根源から問われているのだ。
大体ココロに限らず、そもそもどこにも病気がまったくない人など、健康すぎてかえって不気味である。かつて、ファシズムが「健康の帝国」を目指していたことを、そして精神障害者を大量に抹殺したことを、忘れないようにしよう。
そして「治療」の名の下に、「人格」とやらまで破壊されるのは誰だってまっぴら御免である。電気ショック療法は、確実に「人格」を形成する「記憶」=過去を破壊する。例えば一風変わった芸術家風のおじいさんが、入院して電気ショック療法を受け、打ちひしがれてほとんど廃人同様になって退院したという話も聞いたことがある。それでも「治療」としては成功したことになるのである。
最後に私自身の「人生」「体験」の問題として、本著を読んだ感想を述べてみたい。たとえ、精神的外傷等をも伴うものであれ、「記憶」=過去こそが、現在の私を形づくっているのであり、中井久雄が述べるように、好ましい「体験」こそが、私を変えていく力を持っているのである(63頁)。(例えば私の場合「規則正しい生活」を送る様にと最初の主治医に禁止されていた「旅行」に思いきって出かけたが、(3ヶ月間、東南アジア各地放浪の貧乏旅行、フィリピンの片田舎で、英語のテキストと格闘しながら、100ドルでスキューバライセンスの資格も取りました!)その「体験」は、多くの現地での友人との出会いも含め、人生観を覆すような様々な「体験」の連続だった)。
さて中井によれば、服薬等は、しばしば好ましい「体験」を伴うが、電気ショックは「体験の連続性を破壊する」のであり、また当人の「体験」には絶対になりえない。さらに、電気ショック療法は「精神科医の人格に影響を与える。無感覚になるか神経衰弱になるかは別として。看護師についても同様」。ECTはなんと治療者の人格まで変えてしまうのだ!
与えられた字数をすでに大幅に超過しているので、最後にこれだけはこの際是非いっておきたいことを述べて本稿を終えることとしたい。
現在、電気ショック療法やロボトミー手術の被害者は、後遺症の実態調査をうけることも何の補償をされることもなく、精神病院や老人病院等、社会の片隅で今もひっそりと暮らしていると聞く。私も本著で主張したが(96頁),日本精神神経学会は、ロボトミー被害者や、電気ショック療法の中、長期的な後遺症についての実態調査を絶対行うべきだと思う。その作業はいずれ必ず必要となってくるのであり、被害者の救済に役立つのはもちろんのこと、日本の精神医療総体に対する「治療的効果」も期待出来ると思う。
紙数の関係で、深刻な、電気ショック療法の懲罰的使用の問題、患者を手間をかけずにおとなしくさせるのに大変有効であるという看護側の「本音」の問題、さらに江端さんが強調する「コロされたキーサンナカマ」の「怨念」の問題や、プシ共闘の現在の問題、また私自身も当時関わった「反保安処分の大合唱(たいした「大合唱」ではなかったとも思いますが)」の問題等を十分に紹介出来なかったのが大変残念であるが、本著に掲載されているES体験者(35~39頁)の手記等、電気ショック肯定派の方には、ぜひお読みいただきたいと思う。
さて本著には、電気ショック療法にかぎらず、精神医療全般に対する多くの当事者団体、活動家の生の声も掲載されている、ぜひ一人でも多くの人に、一読といわず二読、三読を薦めたい。最初、前進友の会の持つ独特のトーンに多少の抵抗感を覚える人も少なくないかもしれないが、実は自分自身に突きつけられている問題だということに、やがて気がついていただけるのではないかと思う。

| | トラックバック (2)

第20回東京精神医療人権センター総会のご報告

事務局会計 尾藤昌子

 2006年5月31日(水)午後6時30分から、事務局員を含め15名の出席者のもと、総会が開かれた。
 まず最初に代表永野があいさつし、前年の総会で、昨年度末で東京都地域福祉振興事業の補助金を取り下げ、活動を縮小する方向を報告したが、精神医療・福祉をめぐる重要な時期に、今年度も補助金事業として継続することの報告と総会決議に反したことのおわびがあった。
 ついで、事務局長小林から活動報告がされた。主な点は、1.医療観察法施行に伴い、国立武蔵病院第8病棟に月2回のペイシェント・アドボカシー(PA)活動を行っている。また小林が病棟の外部評価委員を依頼され引き受けた。2.「東京精神病院事情2005年版」の出版と販売 3.松沢病院定期訪問活動の継続などである。
 特に1の国立武蔵病院内の医療観察法に基づく病棟での権利擁護活動は、精神医療人権センターとして重要、かつ法の機能、問題点を監視する意味でも意義のある活動の一つである。具体的には、1回4~5時間病棟に滞在して相談
を受けており、今後は新規入院者のすべてに必ず弁護士とPAが面会し患者としての権利等を説明するよう病院側に申し入れを行っている。
 全体の相談集計は、電話相談延べ288件、手紙400件、電話相談での依頼による病院訪問は延べ23件、オアシス(東京弁護士会高齢者・障害者総合支援センター)弁護士との同行訪問3件とであった。
 次に2006年度の活動方針と予算が可決された。(ちなみに財団からの補助金決定通知は既に来ている)また来年度補助金事業から撤退し、事業を縮小していくことが再度確認された。
 活動方針としては、1.国立武蔵病院第8病棟への患者権利擁護活動の継続 2.自立支援法の情報収集と監視 3.松沢病院D44棟への定期訪問 4.国連拷問等禁止条約に基づく政府報告へのカウンターレポートの作成などが主なものとしてあげられるが、いずれにしても今年は今後のセンターの行方、人的資金的やりくりなどを模索する1年となる。これまで毎週2回の電話相談は専従の小林が1人で負ってきた状態だったが、今年度当初から分担して転送電話サービス(ボイスワープ)を使いセンター事務所以外の場所でも受けられる態勢に変えており、その分小林がこれまでのまとめを行うことも報告された。
 人権センターを支えて下さる皆様のより一層のご協力、ご理解をお願いいたします。

| | トラックバック (0)

投稿 山本真理さんからの集会ご案内

保安処分法施行1年! 心神喪失者等医療観察法のある社会を改めて問う

■日時  7月15日(土)13時~17時
 ■場所  南部労政会館
  地図は http://www.get5.net/japan/schedule/map/nanbu_rousei_k.htm
 ■交通  JR山手線 大崎駅 徒歩3分
■会場費 300円(チケットあります)
■集会概要
  基調報告 龍眼さん
  (心神喪失者等医療観察法[予防拘禁法]に反対するネットワーク)
  シンポジウム「心神喪失者等医療観察法のある社会を改めて問う」
・岡田靖雄さん(精神科医:コーディネーター)
  ・市野川容孝さん(社会学者)
・池原毅和さん(弁護士)
  ・大賀達雄さん(日本病院・地域精神医学会)

 2003年7月、怒号の中で「心神喪失者等医療観察法」が強行制定され、昨年7月施行されました。以降、申立て件数は1日に1件の勢いで仕掛けられています。
「精神障害者」の再犯は多くありませんし、未来の犯罪を予測することは不可能です。にもかかわらず「精神障害者」を殊更に危険視する同法は差別思想にもとずく保安処分法であり、罪刑法定主義・責任主義の刑法思想を転換するのみならず、精神医療そのものを解体するものです。
 施行後の適用・運用実態は、同法が紛れもない保安処分法であることを露わにしています。法の対象は「重大な犯罪にあたる他害行為」ですが、実際は全治1週間の傷害などの微罪事件、事件性そのものに疑問があるもの、あるいは遡っての適用など、その運用に疑問符がつくものばかりです。また政府は昨年10月拘禁施設設置要件を「新築・30床・24箇所」から「既存施設改修・1床でも認可・全都道府県」へと大幅緩和しました。拘禁施設建設反対運動による法の破綻状況を逆手にとって全国化しようというのです。
 木村義雄元厚生労働副大臣は、障害者自立支援法が審議されていた'05年国会で「今は障害者福祉の時代ではない。治安の時代だ」と言い放ちました。新自由主義「改革」による監視と治安強化のなかで、保護観察所を中心とした地域保安処分体制の構築が進み、全ての「精神障害者」の隔離・抹殺が狙われています。
「人格障害者」へ拡大されていくことは時間の問題です。
「心神喪失者等医療観察法」は廃止しかありません。施行されて1年、改めて「心神喪失者等医療観察法」の持つ時代的な意味を深く問い返し、反撃への足がかりをつかみたいと思います。多くの皆さんのご参加を訴えます。
    共催 心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)に反対するネットワーク
       国立武蔵病院(精神)強制・隔離入院施設問題を考える会
TEL. 090-8432-1091/TEL.FAX 042-348-1127

| | トラックバック (0)

« 2006年5月 | トップページ | 2006年7月 »