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Mad & Proud ーニュージーランドからー

総持真子

ダスキンの広げよう愛の輪運動基金のサポ-トを受け、ニュ-ジ-ランドに留学して1ヶ月が過ぎた。テ-マは、精神障害者のエンパワ-メント。精神障害者の社会的な自覚、能力、自信を高めるための学びやその実現、持っている力を社会に還元することを目指して研修を進めている。

ここは、「人種のるつぼ」と呼ばれているニュ-ジ-ランド最大の都市、オークランド。その中心部より少し離れたところにある、マインド&ボディコンサルタント社に、今私はいる。

ここでの業務内容は多岐に渡っていて、ピアサポ-トやトレ-ニングなどのサ-ビスを提供する一方で、調査、サ-ビスの開発、保健局のサ-ビスや保健省管轄機関に対するアドバイス、学校機関や精神保健従事者に対するレクチャ-、PSWのためのトレ-ニングなどのコンサルタント業務を行っている。

スタッフは、総勢19名。ニュ-ジ-ランド人、カナダ人、イギリス人、インド人、ロシア人、南アフリカ人、マレ-系中国人、アイルランド人、アジア・ヨ-ロッパ系のハ-フ、マオリ族と多種多様な顔ぶれがそろう。

虫の音が鳴り響く昼間、マネ-ジャ-とコンシュ-マ-アドバイザ-が、日の当たるテラスで、椅子に座って、何やら楽しそうに話をしている。そこに、アシスタントマネ-ジャ-が、仕事の話を持ってやって来た。どうやら、コンシュ-マ-アドバイザ-の作り話を、アシスタントマネ-ジャ-が盛り上げているようだ。真面目なマネ-ジャ-は、いつもこの2人にはめられるらしい。

表玄関では、かつて放牧で一役かった老犬リパが、気持ちよさそうに昼寝をしている。ミ-ティングスペ-スでは、ピアサポ-トワ-カ-が、パンを片手に、スケジュ-ル帳を広げ、資料に目を通している。奥の部屋では、別のスタッフが、コンピュ-タ-に向かって運営管理の仕事をしている。今、オフィスにいるのは、この5人だけだが、病院や、精神保健に関する施設や団体、地域のどこかに出向いて、それぞれが自己管理の下、責任を持って仕事をしている。

マネ-ジャ-が、「うちは、逆差別をしている」と誇らしげに言うように、ここで働いている人は皆、精神病の経験がある人達だ。ここでは、病気を体験し、それを克服したことが、価値ある必須の資格の一つとして、認められる。それぞれが、自分の体験を十分に生かし、得意な分野を通じてチ-ムに貢献している。

みんな、自分の体験を一つの経験として誇りに思い、自分らしく生きている。

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