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「データから見た埼玉の精神病院」が出ました!-「東京精神病院事情」につづき、埼玉の精神病院情報公開本です。

埼玉県の精神医療を考える会  星丘匡史

saitama

 埼玉県の精神医療を考える会は、平成14年3月にスタートし、精神保健福祉資料を有効に活かそうと、冊子を作りたいと会合を開いてきました。参加者は入れ代り立ち代りで、集まった人によって内容も変わり雑談で終わることもしばしばありましたが、この度ようやく冊子ができあがりました。東京や大阪ではすでに何冊も作られていますので、それらを参考にさせて頂きました。埼玉県では初めての試みです。
 精神保健福祉資料には病床数、専門病棟の有無、医師数、看護者数、コメディカルスタッフ数、入院期間、入院者の年齢構成などが記載されています。それらのデータの中から、病院の特徴が現れると思われる項目を8つ(常勤医・常勤正看護師・常勤コメディカル一人当たりの在院者数、回転率、5年以上・3ヶ月未満の在院者率、家庭復帰以外の退院率、外来者)選び、点数化しました。必ずしも点数の多いほうがいい病院とはならないけれども、ある程度の特徴は現れると思います。
 この冊子はあくまでもデータをもとにした参考資料にすぎませんが、利用したい人たちに、利用せざるを得ない人たちに病院を選べるようにとの思いで作りました。また、長期入院者の数や入院期間の長さ、医師や看護師やコメディカルスタッフなどの少なさなど、多くの問題を持った精神病院の実態を多くの人に知ってもらいたいとの思いがありました。
 この冊子が、当事者やその家族の方々の役に立つことを望むとともに、少しでも多くの人たちに精神病院の実情を知ってもらい、病棟の中で人生の大半を送らされている取り残された人たちのことを考えるきっかけになることを望みます。

~冊子作りに参加した面々  (一部ですが)の思いを紹介します~

「東京精神病院事情」の本を知って、埼玉版を出そうと思ってからはや10年余り。7,8人の仲間で話し合ってるうちに、迷ったり、不安になったり、こね回しているうちにへんてこになったりしながらも、何とか冊子の形になりました。とてもでないけど十分とは言えませんが、形になって良かったと思います。埼玉の精神病院について少しでも多くの人が関心を持ってくれることを期待したいと思います。
 始めの頃は、病院を敵視していて、病院に「一泡吹かせてやろう」と力んでいたと思います。その頃は、空回りしていたように思います。最近になって少し穏やかになり、事実のみを伝えようと思うようになりました。まだまだ批判的な表現が多いかもしれませんが、病院関係者の方や、関係機関の方や、当事者の方や、家族の方や、その他の方々とも一緒に考えていけたらと思っています。(星丘)

 なぜ冊子製作に携わったかというと、まずこの会が入りやすい雰囲気を持っていたから。そして、この会に参加して長い間、心の奥底にしまっていた思いが蘇った。
 全てがそうではないが、精神科病院は明らかに他科病院と異なっている。10数年前、家族が精神病院に入院した時、病院側は頑なに『3ヶ月』の入院期間を提示してきた。同じ病院に2度入院するが、いずれも3ヶ月だった。本人が退院を強く希望し、素人判断だが家庭に復帰できると思い、退院させてほしいと訴えるが、3ヶ月より早い時期だった為、「責任もてませんよ」と主治医は強く言い放った。(後に新患入院は4ヶ月目から診療報酬が低くなると知って、合点がいった)急性期は家族も消耗するが、本人がある程度落ち着いた状態であり、家族も支えられるのであれば本人にとって家庭で養生した方が回復は早いはずだ。
 その後、医療不信になるが、断薬により再発。医療に再度つながるまでは、時間がかかってしまったが、別の病院に入院。順調に回復していったが、開放病棟に移ってから、具合が悪くなる。和室での何十人もの共同生活、管理的なスタッフ。これは逆効果と判断し、退院を主治医に頼むが、「もう少し、もう少し」と延ばされ5ヶ月を過ぎた。本人の我慢も限界に近い。退院せざるを得ない家庭の状況であると、うそを言い、逃げるように退院。(後に、入院者を固定資産と考える病院があると知り合点がいく) 入院当初この病院で、スタッフから不思議な言葉を聞いた。本人の衣類に名前を縫いつけて持っていった。退院後は、糸を抜けばまた自宅で着ることができるからである。それを見た看護師は「あら、退院を考えてるのね」・・・この時、ピンとくれば良かったと後悔した。
 病院のせいだけとは思わない。入院という形で当事者を他に任せたままの家族もいると思う。しかし、普通に考えれば入院とは治療の為にするもので、病院の都合や利益から入院期間や治療方針を決めるものではないはずだ。ある入院経験のある当事者の方が「俺たちは金儲けの道具じゃない」と言った。同じような経験のある人がいる。そうは思いたくはないが、こういう体質の病院はまだまだあるのではないだろうか。また、20年も30年も病院生活をしている人達がいるのを知り、衝撃を受けた。中には保護室で何十年もというケースもある。知れば知るほど許されないことが、放置されたままである。
 私にとって冊子を送り出すということは、病院批判をしたいのではない。治療を目的とした医療を望んでいるだけである。問題の投げかけをする為という意味でこの冊子が生まれたのである。(堀)

 私が、考える会に参加したのは2004年の初めでしたが、基本的に知識を増やしたいと考えて参加したと思います。その後、冊子の制作に携わり病院の実情を知ることとなりました。その結果として、視野が広くなったことが自分にとっては最も有意義であったと思います。冊子を見て点数の低い病院の関係者の方々はおそらく不満を持つと思いますが、長期入院者が多いことなど考慮すべきことが多くあると思います。ただ、私としてはこの冊子が病院の実情を全て表しているとも思ってないので、今後も自分自身の視野を広げて行こうと考えています。また、少しでも病院の実情が明らかになり、閉鎖的といわれている。病院の状況が少しでも改善されることを望みます。(平井)

 精神科医療、また精神科病院について、個人的には何の体験も特別の思いもありませんでした。しかしボランティアとして多少なりとも動いてみると、一般市民の関心のなさ(あるいは偏見)と関係者の閉鎖性、相乗効果の「風通しの悪さ」をとても感じました。そして風通しの良くないところにはあまりいいことがないのではないかと思います。したがって病院や関係者はもとより、むしろ関心がなかった人々の目にも少しでも触れてくれたらと願っています。また、これは一つの投げかけであり、いろいろな方の反応や意見を頂くことで、次の「何か」につなげていけたらと思っています。(村田)

 昨今は情報過多とも思えますが、自分の必要としていることが、どれほどあるかは疑問です。知りたい人に知りたいことが届いているのか・・・と思います。特に精神病院のことは家族でも入院しない限り何もわからない、知らされてはいないでしょう?
 遅ればせながら精神障害者の福祉の向上が少しずつ変わってきている今日でも、その状況は同じだと思います。私はただ「知りたい」そして知ったことを伝えたい。それが参加した理由です。(西屋)

「データから見た埼玉の精神病院」お申し込みは、fax048-731-3401 郵便振替00100-3-686227 埼玉の精神医療を考える会

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