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思わぬ入院生活をして

飯田文子

 11月から12月にかけて25日間、総合病院の整形外科病棟に入院した。その体験を「東京精神病院事情 」風に報告する。
[入院の手続き]
 外来受診時に個人情報保護法に基づく書面を渡され、サイン。入院が決定した段階で同じ書面を渡されサイン。退院まではずさないID番号の入った腕輪を右手首に着けられる。昨年の精神病院調査で訪問した病院のひとつに、訪問時時限ストライキ中で夜間は、派遣の看護師が入るため、しかたなく夜間のみ腕輪をしているというところがあったが、一般総合病院は認識のための腕輪は常識となっているようだ。点滴薬等の間違いを防ぐためとは思うが、人の顔などによる認識はID番号による認識よりも低く見られているようだ。個人情報保護に関しては2回もサインをしたが、入院生活についての説明はされなかった。私としては絶対安静を言い渡され、自分でトイレに行けないことが一番の不安だったが、そんなことは病院スタッフにとっては当たり前のことなのか、あまり説明はなかった。
 入院の翌日家族を呼び、病状と手術の説明があったが、家族だけが別室で説明を受け、私は家族からその説明を聞いて承諾のサインをした。医師から私への説明はなかった。
[病棟の環境]
 昨年の精神病院訪問で新築の精神病院を見てきた私には、古く狭く感じた。整形外科病棟なので車椅子を使用する人も多いが、廊下は車椅子がすれ違う広さはあるが、昼間は治療・処置の用具を乗せた台がいくつも置いてあり狭い。6人部屋に入ったが、ベッド間は車椅子がギリギリ入る程度。ベッド周りのカーテンはある。各ベッドにカード式のテレビと床頭台がある。2つの病棟に1ヶ所のデイルーム。面会室、診察室はない。部屋でのプライバシーはないに等しい。私がよく利用した喫煙所は、建物を出た駐車場の中にあったが、いずれなくなるのだろう。
[病棟の生活]
 6人部屋の6人のうち、途中から車椅子で動くことができるようになった私を含めて、3人が比較的自由に動くことができた。残りのうち1人は、私の入院中はほとんどベッドから動くことができず、ナースコールで看護師を呼んでベッド上でのトイレ。ナースコールをしても看護師がすぐ来られないことも多々あった。あとの2人は助けがあれば車椅子に移動でき、1日15分程度のリハビリもやっていた。
 1日の流れは朝6時起床、8時朝食、12時昼食、18時夕食、22時消灯。22時から6時はテレビも消える。食事はベッド上。風呂は週3回。外出は6時から22時までは可能な様子。私は外出許可の出た入院8日目からほとんど毎日外出し、外食をするという周りからはあきれられる生活を送った。
[スタッフについて]
 入院中の生活は看護師を中心に動いている。「看護師命」である。当然いろいろなタイプの看護師がいる。手術前に寝たままシャワーを浴びることがあった。その時介助についた看護師は最初から自信がなさそうだったが、シャワー室で「顔も洗ってほしい」と言ったら、シャワーを寝ている私の顔のあごの方からかけたので危うく溺れ死にそうになってしまった。ベッドから動けない私が箸を洗ってくれと頼んだら、湯のみのお茶に箸の先をチャチャッとつけて渡してくれた看護師もいた。
 スタッフ間では毎朝ミーティングがあり、申し送りをしていたが、意外に伝わっていないことが多いと感じた。私は手術の前日浣腸をした。それまで絶対安静、ベッド上での大小便を強いられていて、入院以来大便は出ていなかったが、浣腸をする看護師はそれを知らなかったのか、あらためて質問された。手術前でもあり、ちょっと不安になってしまった。
 同室のAさんは寝たきりの状態だったが、ある日の食事時、看護師に「パンは食べられないからご飯、それもおかゆにしてほしい」と頼んでいた。それから3日ほどして大回診(医師数人と看護師、リハビリ担当者による回診)の時、Aさんがまた同じことを医師に頼み、看護師が「今夜は無理だけど、明日の朝からは大丈夫ですよ」と話しているのを聞いて、3日も経つのにまだやってなかったのか!と驚いてしまった。
 看護師はルーティンの仕事以外にも、ナースコールで「水を持ってきてくれ」「便器を持ってきて」「トイレに連れてって」「車椅子に乗せて」「気持ち悪い」「吐いてしまった」「熱がある」・・・等々ひっきりなしに呼ばれ、大変な忙しさである。回診の時、医師から「そろそろ退院だね」とか「手術が必要かも。考えといて下さい」と言われて、悩んだり混乱してしまう人もいたが、フォローしたりほかの相談者に紹介したりするのも看護師の仕事の一部と思うが、そこまではなかなか手が回らないようだった。退院後の生活等についてはリハビリ担当者が話しを聞いている様子だったが、ソーシャルワーカーは、私の6人部屋では一度も登場しなかった。[退院して]
 この文は自宅で書いている。入院患者としては、毎日外出・外食するという随分自由な生活を送った。それでも自分で考えたものを食べられ飲める生活に戻れ、何よりもいつも誰かがそばにいる生活から離れられて、ホッとしている。

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