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もやい特別講座に参加して ~生活保護について~

柏木診療所 岩田 邦生

 初めに、自立生活サポートセンター・もやいとは、野宿者を始めとする生活困窮者に対して、アパート入居時に必要な連帯保証人の提供をしたり、入居後の生活支援や地域生活への復帰をサポートしているところです。
 私がこの講座に参加しようと思った理由の1つとしては、生活保護を取得するにあたってどこをポイントにして福祉事務所と交渉すれば良いのかを、もやいのスタッフがロールプレイで解説してくれるという講義があったのです。ケースワーカーとしての経験が浅い私にとって、福祉事務所の職員が生活保護の申請をしてくる人にどんな対応をしているのかを知る絶好の機会だと思ったからです。
 まず、生活保護を受けたいといっても誰でも簡単に生活保護を受けられるとは思っていませんが、まともに話しすら聞いてもらえずに帰されてしまうケースが多数あるというのには正直驚きました。例えば、1万人が生活保護の相談をするために福祉事務所に行ったとします。その相談者のうち、1000人が申請書をもらえて、残りの9000人は申請書をもらえずに帰されてしまうというのです。そのときに福祉事務所の人が相談者に対して言うことが、『65歳以下だから生活保護は受けられない。』『あなたの手持ちのお金がすべてなくなったらもう一度相談に来て下さい。』『死にもの狂いで頑張って仕事を探せば、絶対に仕事は見つかるから!』などと言って帰してしまうそうです。私はこの話しを聞いたときに正直言葉が出てきませんでした。仕事をしたい気持ちは十分あるけれど、年齢でひっかかってしまい、職に就けない人たちがたくさんいます。たとえ健康に見えていても、病気で働けない人だっています。お金がなくなったらまた来て下さいと言われても、福祉事務所に行くまでの交通費はどうなるのでしょうか?誰もが簡単に生活保護を受けられるというわけではありませんが、福祉事務所に相談をしに行くということは、何かしら生活をしていくのに困っているからだと思います。覚悟を決めて福祉事務所に行く人たちをあっさりと帰してしまうことがあっていいのでしょうか。もちろん福祉事務所の職員すべてがそういう人ではないというのもわかっています。ケースワーカーの人数が少なく、一人のケースワーカーが担当している生活保護受給者の人数も多いことで、職員側に余裕がないという問題もあるでしょう。ただ、相談を受ける側として『困っている人たちの話しを聞く』ということは、どんな事情があったとしても簡単にすませてはいけないと思います。
 さて、ここで少し話が変わりますが、この講座の中で生活保護申請のときのポイントとして説明していたところをお伝えします。
 まずはとにかく福祉事務所の人にお話しを聞いてもらい、申請書をもらうことが始まりですが、何度行ってもお話しを聞いてもらえなかったり、なかなか申請書をもらうことができなかった場合、手作りの申請書を置いてくるだけでも福祉事務所側の反応が変わってくるそうです。それと、相談をしに行く時に一緒に同行してくれる人(信頼出来る人)がいれば、ついて来てもらうだけでも効果があるそうです。詳しくは、もやいの事務局長をされている、湯浅 誠さんが書いた『本当に困った人のための生活保護申請マニュアル』という本を参考にされると良いかもしれません。生活保護を申請するまでの段階から、生活保護を受給した後のことまでわかりやすく説明されているのでお勧めです。
 最後に、私はこの講座に参加して『人の話しを聞く』という基本的なことかもしれませんが、その重要さを改めて考えさせられました。自分が患者さんに接するときの態度はどうだろうか?と振り返ると、やはり反省するべきことがたくさんあります。私も自分の余裕の無さによって相手の話しを短く切り上げてしまったり、ピリピリとした空間を作って話しづらい雰囲気にしてしまったりと…。これでは相談する側の人にとっては、自分が言いたいことも言えなくなってしまいます。
私は、これから先も仕事をしていく中で、自分の発言や態度について振り返ることや相手の立場にたって考えること、そして、なるべく心に余裕を持って接するということを忘れないで頑張っていきたいと思います。

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