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マインド調査報告
高齢者への深刻なネグレクト(無視・放置)を告発! 
2005.10.10 ワールド・メンタルヘルス・デイに寄せて

<要点・利用できるサービスの年齢制限・治療の選択肢のなさ・地域の家庭医による年齢差別、薬の情報提供を含む・自殺率の高さにもかかわらず(自殺者の1/3は55才以上)、何らの予防策が採られていない・電気けいれん療法の多用>

サービス利用:最近では65才になると、施策上「稼働年齢の成人」から「高齢者」へ位置づけが変わり、利用できる精神保健サービスの範囲が制限されるようになる。これは行政が予算上の制約をつけているためで、たとえば「政府精神疾患特定基金」は稼働年齢対象のサービス開発のみに資金提供することになっている。それでこの基金によって運営されているデイセンターなどを利用するメンバーは、65才に達するやいなや、出ていかねばならなくなるのである。

高い自殺率:政府は高齢者の自殺率について言及もしていない。75歳以上では、6%の人しか家庭医から自殺について問われていないようだが、1/5の人は気分の落ち込みについて質問されており、1/3は精神科医に紹介されている。

治療の選択:調査への回答では、治療の選択肢の狭さの訴えが目立つ。とりわけ話しをする治療は待機者が多いという理由で。また精神療法や認知行動療法、運動療法や針治療などは、高齢者には有効性が低いという理由で受けられないことがしばしばである。「薬をのむこと以外の治療法は、何も言ってくれない」というのがよく聞く不満である。

薬による治療:調査は、マインドがこの間行ってきた薬とその副作用についての情報提供の重要性をアピールするキャンペーンの正しさを裏付けた。とりわけ、高齢者は、前記のように薬の服用以外の治療の選択肢がほとんどない状況なのでなおさらである。私達の調査では、38%が治療について十分な情報を与えられていない、40%が治療の選択肢について十分相談できていないと感じている。加えて王立薬学会の調査では、高齢者の半数が処方どおりに服薬していないとのことである。また高齢者は、新しいSSRIより古いタイプの三環系抗うつ剤を処方される傾向にあり、最近の分析では三環系抗うつ剤が処方される場合、適量を処方されているのは65歳以上の人の43%のみという結果も明らかになった。

電気けいれん療法:2002年の調査では、65才以上の人々への電気けいれん療法の使用は、他のいかなる年齢グループへの使用より2倍は多く、そのことへの納得できる理由の説明もない。記憶喪失など深刻な副作用も起こすこの異論の多い治療法は、高齢者には特に心臓への負担となる危険性があるにもかかわらずである。

診断ミス:老年期の精神保健問題の増加、老齢人口の増加は周知の事実である。しかし高齢者の精神保健問題は医師や病院スタッフに見過ごされ、精神科医の診察を受けることもまれという深刻な問題がある。65才以降、6人に1人が医療を要するうつ状態に陥り、これはケアホーム居住者の40%に当たる。認知症は65才以上の20人に1人、80才以上では5人に1人が発症する。今後10年で65才以上人口は15%、85才以上人口は27%増加すると予測されている。

キャンペーンを!:このレポートは、マインドの新しいキャンペーンを導き出す。国政、プライマリ・ケア・トラスト、自治体行政等々が一体となって、高齢者がその他の人々と同様のレベル、質の医療とケアが受けられるよう保障せねばならない。マインド事務局長のリチャード・ブルックは、「調査は、社会的に弱い立場に置かれしばしば孤立しがちな人々に対する、恥ずべきネグレクトを明らかにした。65才になると同時に突如それまでのサービスや治療が取り上げられることは、多くの人にとって打撃となるに違いない。この不公正な差別は撤廃されねばならない」と語った。家庭医の中には高齢の人々に優れたサポートを提供している人々もいる。しかし多くの医療保健専門職には、増加する高齢者の精神保健問題を見分け対応するためのトレーニングが未だ欠けたままである。肝心なことは、高齢者にとっても他の人々と同様、治療の選択は、たまたまの幸運ではなく権利であるべきだということである。 (要約 編集部木村)

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