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第48回日本病院・地域精神医学会に行ってきました

にしの木クリニック 北原真樹

10/7~8、この時期にしては暑い福岡だったが、この学会も熱かった。当事者や従事者の垣根を超えた数々のその議論の中で、個人的に印象に残った発表でのエピソードを2点紹介させていただきます(詳しい内容については学会のホームページ等を参照なさってください)。
ひとつは、いわゆる医療観察法について、その是非を問う2つの発表。反対・賛成それぞれの見解が出され(ちなみにこの学会では反対撤廃派が圧倒的のようですが)ました。反対意見として出された発表は、この法律・制度の不備や人権の侵害を整理して述べられてました。これに対して、当事者が鑑定中に調子が悪くなったときの配慮はどうするのか、という質問があり、現在ガイドラインを策定中のよう、という曖昧な答えには腑に落ちないものがあったものの、概ねフロアが納得する内容でした。一方で、実際に「医療観察」に携わる医師の発表はこの制度を冷静に妥当評価するものでした。環境に配慮されたきれいな個室で、さまざまな職種の支援を受け18ヶ月程度で「社会復帰」させる(1年半後が「たのしみ」ですが)、とのことで、普通の措置入院より待遇がよいのでは?と考えさせられるほど、勉強不足の私にとっては衝撃的な内容でした。この発表に対しては当然ながら(?)フロアから多くの意見が飛び出しました。こんなひどい法律を肯定するような人間を呼んだのは誰だ、1人の当事者に多くの支援者がとりまくのは屈辱ではないのか、この制度のせいで一般の精神医療の財源が圧迫される、全国30万人の入院患者も置き去りにしないでほしい等々・・・。解釈は人さまざまですが、異論も得た上で物事を判断することの大切さを思ったのと、当事者のやり場のない気持ちの強さを感じました。
もうひとつはデイケアの分科会の中での発表。ある若手職員が仕事の重圧につぶされそうになるが利用者との関わりの中で徐々に立ち直っていく、という話。よくある話かもしれませんが、それを公の場で本人が披露するという勇気、他のスタッフもそういう問題をオープンにして解決しようとする姿勢に感銘を受けました。話の中で、若手職員のいじめられ体験を利用者に打ち明ける、というエピソードがあり、こういう援助技法もあるのか、と考えさせられました。きっとそのデイケアのグループ全体もこのことをきっかけに大きく変化したのではないか、と感じました。医療福祉従事者の燃え尽き症候群は、当事者にも、職員への不信感という悪影響をあたえます。またその原因には複合的な問題が考えられ、私自身も取り組んでいきたい課題のひとつとして胸にしまっていたので、大変刺激を受けました。
実をいうと、軽い気持ちで出発した学会でしたが、今後の自分自身の仕事にどう活かしていくか、深く考えなくてはならない「みやげ」を抱えきれないくらい持って帰ってきてしまいました(笑)。

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