「ちょっと待て!心神喪失者等医療観察法6・12の集い」報告
病院ソーシャルワーカー 古井美樹子
6月12日、国分寺労政会館にて「ちょっと待て!心神喪失者等医療観察法6・12の集い」が開催された。集会は「国立武蔵病院(精神)強制隔離入院施設問題を考える会」と「心神喪失者等医療観察法(予防拘禁法)を許すな!ネットワーク」の共催で、都内以外にも遠方からの参加者もあった。
会の内容としては、これまでのネットワークの活動の経過と医療観察法の問題点を指摘する龍眼さんからの基調報告に続き、衆議院議員石毛えい子さんの講演。ここでは「障害者差別の現在を考える」と題して、昨年の障害者基本法改正の流れの中で障害者差別に関して「何人も障害者に対して障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない 」という文言が入ったにも関らず、心神喪失者等医療観察法案の審議過程に障害者差別についての議論が深くなされなかったこと、また国会内で法案をいかに通すかというテクニカルな問題に流れがちである現状を残念に思うと話された。そして、障害を持つ方のおかれている環境、特に労働や教育の面で、それぞれに応じて然るべき便宜をはかるリーズナブル・アコモデーションの理念が現場に反映されていくようにするのが課題であること、障害者雇用促進法や障害者自立支援法においても達成されていないし、差別禁止を規定した障害者基本法の改正が役割を果たしていないと語られた。石毛氏の講演の中にあった、「法案をいかに通すか」ということに傾倒する流れは、障害者自立支援法案の審議過程にも共通して感じられる。一人ひとりの人権や生活を左右する重大な法が、根底からの議論や吟味なく成立することに憤りを感じる。
講演の後は会場に集まった参加者からの言葉。「この法に対し、皆で戦っていきたい」との決意や、「これまでゴミとして扱われてきた精神障害者を、さらに治安のために入れておこうとする『危険ごみ処理施設』が造られようとしているのである」とする訴え、「精神障害者が自殺するしかないと思う背景には社会の問題があり責任がある。生まれてから死ぬまで差別をされずに生きられる社会を皆で作ろう」との呼びかけといった、さまざまな声があがった。
また弁護士の池原穀和さんは、心神喪失者等医療観察法に対して我々がどう対処していくかという3つの方針を示された。1つはもし入院になる人がでてきた場合、地域の人やPSW、弁護士等第三者がとにかく病院の中に入っていくこと。これは見えないところでこそ人権侵害が起こるということの他、最大3ヶ月とされる鑑定入院期間中に保護室を利用する可能性が高いと考えられるにも拘らずこの法律に人権保障の規定がなく侵害を受けたときの救済が保証されていないといった法自体の欠陥も関係している。2つ目は施行させないこと。施行させてしまったとしても反対の声や廃止に向けた運動を起こし続けること。3つ目はこの問題を社会全体のものとして共有し、大きな市民運動にしていくこと。当日も集まった参加者からは、この運動をこの場だけではなく、全国区のものとなるように呼びかけて広げていかなくてはならないとの強い声があがった。
医療や社会復帰という名目で、多くの欠陥がありながらも施行されようとしている心神喪失者等医療観察法と、就労支援や自立のためという名目で成立しようとしている障害者自立支援法。2つの法が個人や精神医療、障害者福祉のあり方に与える打撃は大きく、それは人間の尊厳と権利に打撃を与えることにもつながるのだと感じている。7月15日に施行をむかえる心神喪失者等医療観察法に対しての怒りとこの法のあり方の不当さを実感させられた会であった。 (6月記)
| 固定リンク


最近のコメント