投稿 障害者自立支援法についての声明文
呼びかけ人 統合失調症当事者 佐野卓志(ルーテル作業センタームゲン)
1.今回の法案は国が福祉の責任を放棄して、税金の再分配から、自己負担の保険で福祉をすまそうとするものです。福祉は生活保護だけにしたいようです。障害者はみんな貧乏で、貯金がないのです。ここが老人と全く違います。だから、介護保険との統合は前提で無理なのです。それに障害者の場合は老人と違って、親(介護者)の方が先に亡くなりますから、介護保険では、親亡き後の心配がつきまといます。この法案は本人の自己負担を増やして、本人が払えないなら家族が払えと言っています。これの何処が「自立支援」なのでしょう?障害をもったことは本人の責任ではありません。普通の人のスタートラインまで引き上げることが果たしてサービスでしょうか?
2.特に32条公費負担の廃止削減は問題です。うつ病、神経症など公費負担からはずされた人が、精神科から足が遠のき、自殺が増えると思います。厚生労働省は自殺が増えてだれが責任をとるのでしょう?また所得証明を確認する手続きの煩雑さを1年ごとに障害者に強いることは、ますます公費負担の敷居が高くなるでしょう。精神障害者全般にわたる唯一の福祉の役割を担ってきた32条の根本的破壊です。
3.住む場所(グループホームなど)の障害の重さ別の分類も問題です。病者は特に居場所が大切です。今症状の落ち着いてる環境から切り離して分類して、遠くの新しい環境に住むよう強制するのは症状の悪化を招くだけです。定員を増やすことも地域から隔離されたミニ施設になり、ホームヘルパーもガイドヘルパーも使えません。そして判定による引っ越しの強制は憲法の生活権の侵害です。
4.作業所も国の補助金が切られます。自治体が資金不足を理由に右にならえをしたらどうするつもりでしょうか?少なすぎる社会資源を増やして、72000人の社会的入院の解消する時なのに、これ以上、貴重な社会資源である作業所を圧迫してどうするつもりなのでしょうか?
授産施設も下手すると利用者の賃金より利用料のほうが高くなって、金を払って働かないといけなくなる可能性があります。これが仕事と言えるのでしょうか?
5.3障害の法的統合に反対するものではありませんが、3障害の違いや介護、サポートの必要度の議論を積み重ねた上で、障害の特色を生かした統合、細やかな配慮の行き届いた統合がなされるべきで、今のような拙速な統合は混乱を招くだけだと考えます。当事者を含めた議論を時間をかけて十分に尽くすべきで、決して急ぐことの無いよう要求します。
6.この法案には反対です。成立するようなら、年金改革で障害年金を上げることを要求します。そうでなければ、障害者は生活していけません(以上編集部要約)
4月29日この声明文(賛同者は障害者75名、健常者112名)を送付し終わりました。厚生労働省には内容証明郵便で送り、関係の国会議員にはエラーにならなかった67名にメールとファックスで送りました。
5月13日障害者自立支援法ができたらどうなるか?という学習会が松山でありました。工賃より高い1割負担を払って、作業所に働きに来てくれとは、とてもメンバーに説明出来ない。第一1割負担より多い給料をとろうと思えば、メンバーは必死に働いて、次々に再発していくことは目にみえています。それに僕は同じ病気でありながら、スタッフだから、メンバーの上前をはねた1割負担を給料としてもらうことになります。そんなことは、そんな金は絶対に受け取れません。みんな再発か負担金を払って働くばかばかしさで来なくなって閉じこもっていくでしょう。
先行き不安で押しつぶされそうです。頓服の量も限界です。睡眠薬も沢山飲んで眠りました。それでも調子は落ちたままです。昨日も自殺を考えましたので、採決されたあかつきには自殺をするかもしれません。
作業所指導員会でも他の作業所のみんなも頭をかかえていました。いったいこの法案でどれほどの作業所が潰れるのでしょうか?うちの作業所も生き延びる道を探るとは思いますが、メンバーが自由に溜まれる、癒しの空間という機能がなくなるようであれば、潔く作業所を閉じようと思っています。(5月14日記)
何もする気がおこりません。うつ気分が続いています。(5月15日記)
作業所がNPOになれば、メンバーの誰が来てどんなことをして、という細かい把握が必要で、メンバー一人ひとりの1日ごとの個別給付の請求額を計算する専門の事務をする人が必要になります。金をはらって働きにいくということで、大幅なメンバーの減少により、指導員を減らすことが予想される中で、そんな余裕がどこにあるのでしょうか?いままで通りの包括払いではいけないのでしょうか?(5月16日記)
今日診察がありました。先生はいともあっさりと言いました。政府の腹は自然発生的な作業所をぶっつぶすことだと。そして介護保険と統合して金のある業者に施設をつくらせ、純然たるサービス業にすることだ。福祉だと思うから悩み込むんだ。な~んだ、そうだったのか。深く納得してしまいました。メンバー30名近くをかかえる作業所を失うことが僕は怖かったのです。それでこの「福祉ぶっつぶし法案」に必死で反対した。それで死にたくなった。潰すのが政府の腹なら潰れるしかないじゃないか。たとえ建物は潰れても政府にも介入できないメンバーの絆があるじゃないか。原点に戻って患者会になればいい。ただ、採決の日を「福祉が死んだ日」として記憶にとどめたいと思います。(5月17日記)
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