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東京精神病院「トイレ」事情

内山智絵

 本誌でも進捗状況をお伝えしているように、精神病院調査訪問が昨年秋から始まっている。私も調査員の一員としていくつかの病院を訪問させていただいた。同じ「病院」とはいえ、こうも違うものかと、あまりたくさんの病院を知らない私には驚きの連続だった。 今回の調査の主眼である、長期在院者の退院に向ける取り組みと急性期治療についての意識の違いや、病院スタッフたちの患者さんたちへの対応の違いなどにはもちろん思うところは多々あったのだけれど、今回は「トイレ」についてのお話を。
 私が12月末現在、訪れた病院は4つ。その中には、ぱんぱかぱ~んとそびえ立つ立派なビルディング。正面に施された壁画をあんぐり口をひらいて見上げた病院もあった。こじゃれた内装。ゆったりとした病室。アメニティは抜群。そんな病院では、トイレもまた充実した空間で、扉が「ふつう」なんて当然のこと、おしりもポカポカあたたかい洋式便器だった。
 一方、こころも荒むような鉄格子のある病院。すすけた壁紙には茶ばんだ張り紙。ホールにはきらきら輝くクリスマスの装飾が施されていたが、それだけがやけに浮き立っていて空しかった。そんな病院のトイレはどうか。扉は上下が開いているアメリカンスタイル。アメリカは防犯のためにそうなっているらしいけど。かろうじて鍵はついているものの、扉はオンボロ。患者さんが殴って開けたという穴をガムテープで修繕(とは言えないが)してある。でも「いつ貼ったの?」と思うほどそのガムテープも劣化していた。おまけに職員用として使用されている個室ひとつだけが、扉をちゃんとしたもの(上下が開いていない)に作り替えられていた。なぜその時に一緒に取り替えられなかったのか。思わず扉を殴ってしまう気持ちもわからなくてはなかった。せめてガムテープくらいは張り替えてくださいいいっ!
 精神科ではない病院でも、古く汚い病院はいくらだってある。現在、わたしの知人が入院している病院もそんなところで、壁紙は黄ばみ、ベットの間隔も非常に狭く、車いすなど通れず、手を伸ばせばすぐお隣さんのベットである。しかし、やっぱりトイレが違う。古いながらも清潔感が漂うように努力している姿勢が伺える。当然においはない。
 そう。におい。ニオイ。臭い!病院のトイレが臭いっていうのはいかがなものか。せめて消臭剤とか芳香剤くらい設置できないものなのか。私は戌年生まれのせいか非常に鼻が利くもので、病棟に入った瞬間、その臭いにやられてしまった。トイレの内部に入ったときなど、目に沁みるほどの「何か」に襲われ苦しかった。まさに「暗い(電灯が、という意味でなく)」+「汚い」+「臭い」=「3Kトイレ」。 あんなトイレを毎日使わざるをえないみなさんが気の毒でならない。あれじゃ出るモノも出ないじゃないか。
 「ボロは着てても心は錦」という唄があるように、「トイレはボロでも心は錦」ならば良いのだけれど、病院全体の患者さんに対する姿勢とトイレの様子は残念ながら比例していたように思えた。そうではない病院も存在するのかもしれないけれど。
 マイケルムーア監督の映画「THE BIG ONE」で、大量リストラした企業に表彰状を送ったのを見たが、それを真似てトイレのひどい病院に表彰状を送りたい気分である。便利屋をやっている仲間たちと、精神病院トイレ改修特殊部隊を結成して営業にいこうかと思っているがどうだろう。お安くしときますけど。

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