« 普通の市民の目で精神病院を見るーその① どうしてコミュニティの常識とこんなにかけ離れているの?! | トップページ | 普通の市民の目で精神病院を見る-その② »

大阪ピアサポートグループ訪問記

<編集部から>東京でピアサポートに関わる当事者達が研修旅行で大阪のピアサポートグループを訪問し、訪問記を寄せてくれました。

「すいすい」とピアサポート
 11月18~19日に大阪研修旅行で、NPO精神障害者地域生活支援センター「すいすい」に行きました。そこでピアサポートに関するお話を聴かせていただきました。「すいすい」の名前の由来は、水 すなわち生命の根源・源源(すいすい)からきているそうです。階段をあがりいくつかの部屋の前の廊下を通り、奥の広めの会議室に案内してもらい、名刺交換をしたあと理事の芦田さんからピアヘルパーの育成状況など諸々お話がありました。その後実際にピアサポーターとして仕事をなさっている当事者のHさんとSさんの体験談を聞かせていただきました。お二人の誠意のこもった話には思わず引き込まれていきましたが、退院したいけど不安がいっぱいでなかなか退院できない患者さんにとって同じようなつらい体験をしてきた当事者の退院促進活動は真の励ましになると感じました。ただ社会的入院をされている患者さんを外に連れ出すことは簡単ではないようで、少しずつ少しずつ時間をかけてその方と仲良くなっていくようです。同席していた私の仲間の人が、自分に自信が持てなくて不安な気持ちをSさんに訴えかけていました。Sさんは「そんなん私だって不安はあるう(中略)患者さんと私は障害の種類は違うけど辛いんはいっしょ。そこで共感できるん。めいっぱいやわ」と話されていました。また「私にもできる 前進している」と歓喜のことばも聞くことができました。一生懸命に話されるSさんに私はとても好感がもてました。「そうや これがピアやわ!」と私まで大阪弁になってしまいましたが、その後の交流会ではおいしい551の豚まんと東京のたこ焼きとはひと味ちがう大阪のたこ焼きをおいしくいただきました。すいすいの皆さん、ごちそうさまでした。そしてこれからもがんばられることを期待しています。            さとりん

大阪研修の感想          ピアサポートグループりらく立川・神山久
まず最初に行ったのは、玉造駅のそばにある「すいすい」という地域生活支援センターだった。この施設は、ピアヘルパー事業のために三菱財団から350万円の助成金を受けて、それを有効に使っているとのことだった。僕達もこのように様々な財団から助成金を受け取ることができたらいいのにと思ったが、やはりお金がないから最低限の人を集めるのもままならない状態だ。ひと通りお話を聞いた後、豚まんとたこ焼をごちそうになった。とてもおいしかった。
翌日行った阪急の池田駅にある「咲笑(さくら)」という地域生活支援センターでは、長期入院していたある利用者が、保証人である妹さんから「退院するな」と言われてしょげていたところ、大阪市の退院促進事業の対象に選ばれ、所長さんに何度も訪問してもらって1ヵ月後には晴れて退院できたという素晴らしい話を聞き、感動した。やっぱり、僕達よりも進んだところがあると、いい勉強になった。
それに、その日出してくれたコーヒーとうどんは安いし美味しいし、とても素晴らしかった。以上食い倒れの大阪旅行だった。

大阪で感じたこと考えたこと
   地域生活支援センター当事者職員               久保田公子
 「すいすい」と「咲笑(さくら)」はどちらもピアヘルパーやピアサポーターが活躍しているところであり、その人たちの活動を知ることを主な目的とした。
<ピアヘルパーについて>
「すいすい」では、既存の2級ヘルパー養成講座とは別個の、「共感」と「ありのままの自分を活かせる」独自のカリキュラムを作っている。そしてピアヘルパーを「当事者性を生かしながら相互支援する中で相互にエンパワーメントする」ものとして位置づけ、有償=就労の一形態としている。なおかつ、ピアヘルパーの役割として2級ヘルパーで足りないところ(対等性、ケア内容や場所・時間などの柔軟性)の補完があげられていた。これらの活動に先立って、作業所・グループホーム・生活支援センターのスタッフに当事者同士の支援場面についてアンケートを行なったということも、他にない特色である。
またピアヘルパーの体験から学んだこととして①まず自分の健康管理、②金銭を介することで上下関係にならないように心がける、③病気の体験をしたことで相手のことが全て分かるわけではないことを自覚する等、いくつかあげられていたが、私がこの研修の中で最も印象に残り共感したのは③のことである。
私は、自分が当事者職員として働く意味を、自分の病いの経験を生かしたい、当事者になった立場から「健常者」であったときの自分の支援のあり方・関わり方を点検したい、と考えていた。そしてその前提には当事者でなければ分からないことがある、という思いがあったし、今もそう考えている。しかし、専門家が「専門家としての知識というフレーム」でのみ見て分かったようなつもりになることが間違いであるように、当事者が「自分の体験というフレーム」でのみ見て分かったつもりになるのもまた違うと思う。人は相手が自分とは違うということを前提にするからこそ共感したい、理解したいと努力できるのだし、自分の限界をわきまえることが相手を尊重することにつながるのだと、いまさらながら思う。

<ピアサポーターについて>
ピアサポーターは、大阪市退院促進事業の中で、入院者に地域の情報を提供して退院の不安を解消したり、退院者に寄り添いながら地域での生活をサポートするものとして位置づけられている。養成研修と主治医の推薦を受け、何よりも「自分のことをどれくらい知っているか」を条件に雇用され、雇用先は「すいすい」など数ヵ所の支援センターだったり、財団法人の精神障害者社会復帰促進協会(厚生省・大阪府の認可を受けて設立)であったり、二通りあるようである。
ピアサポーターの役割や効果の根底にあるのは、ピアヘルパーと同じく「共感」であるが、資料によれば、共感のむずかしさについても、①賃金が発生することでうらやましがられたり、嫌味を言われる、②経験から行なう支援なので自分自身の分からないことにぶつかったときに戸惑う、という上記に述べたピアヘルパーの体験からの学びにも通じるようなことがあげれている。さらに当事者が当事者であるピアサポーターからの支援を望まない、という声もあげられており考えさせられる。それは、「精神障害者」に対する社会の差別意識から私たち当事者自身も解き放たれていない現状があるからではないだろうか。
また、退院促進事業によって精神病院も変わってきたということだったが、時間がなく詳しいことは聞けなかった。この事業は長期入院者の退院促進が目的であることは言うまでもないが、そもそも長期入院者を生み出してきた大きな原因は、収容主義的で管理的・閉鎖的な日本の精神医療・病院にある。その反省の上に立って、当事者の力・ピアサポーターの力を活用すると同時に、病院内部の開放化にも取り組んでほしいと思う。私も一員である「ピアサポートグループ・りらく立川」の長期在院者退院促進のための訪問を積極的に受け入れていて、都内でも良いとされている病院でさえも閉鎖率の方が高く、閉鎖病棟内では一律の金銭管理(現金が持てない)がなされていることを知ってショックを受けた後だったこともあり、改めて考えさせられた。
全体的な感想としては、大阪においてはピアとしての意味や役割が整理されており、「すいすい」の運営母体である「ヒット」の理念でもある「当事者」と「健常者」の<協働>が成り立っているように感じた。また、活気はありながらもゆったりとした流れの中で運営がなされているように感じられた。
そして最後に、「健常者」も「当事者」もなく、慣れない大阪の町で時には右往左往しながらも共に研修旅行を終えられたことが嬉しい。

|

« 普通の市民の目で精神病院を見るーその① どうしてコミュニティの常識とこんなにかけ離れているの?! | トップページ | 普通の市民の目で精神病院を見る-その② »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/19973/2438557

この記事へのトラックバック一覧です: 大阪ピアサポートグループ訪問記:

« 普通の市民の目で精神病院を見るーその① どうしてコミュニティの常識とこんなにかけ離れているの?! | トップページ | 普通の市民の目で精神病院を見る-その② »