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キューバからの手紙 Nさんへ No3

作業所勤務  宮城ゆみ子
 朝、雷と激しい雨音で目覚めると日本で言う夕立ちのような降りで、朝食に下りる
とレストランは薄暗く、停電のようでした。そんな中で食事を済ませ、なかなか連絡のとれないHさんへ何度めかの電話を..やっと繋がって、日本から某作家が取材を兼てキューバへ来ており、そのグループの通訳で出かけていたとのことでした。
 日一日と夏に近づいているのがわかる季節です。Hさんとハバナ精神病院へ行く日
です。交通手段の少ないキューバで今回も彼女の所属しているF研究所が運転手付きで車を出してくれるということだったのですが修理から戻らないとのこと。どうしようかと相談していると、Hさんの住まいとしているホテルのフロントマンが友人の車を借り運転してくれると言うことになりました。Tと私の日本からの荷物の3分の1は病院へ持ってゆく衣類で、それらと以前に送っておいた荷物を届けに今回の旅行の目的でもある病院訪問となりました。
 以前、この通信にNさんが詳しい報告をされていたので(編集部注:おりふれ通信No.211 02.7・8月合併号)詳細は省きますが、キューバで一番古く一番大きな精神病院です。病院の入り口で寄付など受け入れ担当の女性が迎えてくれ、通された会議室では副医院長ともう一人の担当者がいて、なぜかマンゴージュースとコーヒーがセットで出され、コーヒーに砂糖はいらないと言うとすごーく驚かれてしまう。(キューバは砂糖の国でした。)前回の訪問時に比べると病院の状況は少しずつ良くなって来ている事、アメリカの経済制裁の続く中、カナダからの直行便がある事で、カナダ政府の援助による、精神病に関するソフトの入ったコンピュータ3台が近々届くと言う事でした。私達の持参した衣類はベッド3700床の内、現在2355床使用という中では焼け石に水そのもの、それでも内外の人たちの協力を得て届ける事ができました。その後の雑談で、前回の病院内見学で私達が関心持った飼料不足のため閉鎖していた養鶏所はやはり閉じたままでした。仕事の話になり同行のTが無職と言う事にアントニオ.バンデラスを小作りにしたような、Gパンの似合うハンサムな副医院長(Tの言葉による)は「女は家庭にいるのが一番」と言う。すかさず女性職員が「今回の衣類の寄付に関係したのは女性と男性どちらが多いのか?」と聞かれ突然なので「ほぼ女性」と応えると「やはり女性の力は偉大だ」と切り返す..こんなところは日本と同じですね 
 今回の訪問にはHさんの夫も同行しました。彼はアルツハイマーという病気で現在キューバでマクロビオテック(玄米を中心にした食事療法)なども取り入れた治療をうけているのです。またキューバはチェノブイリで被爆した子供達2万人を受け入れ治療をしたり、発展途上のアフリカや中南米諸国への医療関係者の派遣などもしています。深刻な経済困難にありながら、不思議にさえ感じられます。
 アメリカの経済制裁はまるで子供のいじめのようで更なる制裁が加わる中、どうな
ってゆくのだろうと、とても気になります。
 日本を発つ時はこれが最後かもと思っていたのが、帰りの飛行機の中ではキューバ
の友人達にちゃんとさよならするためにもう一度こなくちゃねという話になっていま
した。 Nさん、是非また、この変わり続けるキューバを一緒に旅したいですね。

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